宮台真司のレビュー一覧
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ネタバレ巷に溢れる就活マニュアルとは全く違い、<脱>就活マニュアル的な本。
就活が適職があるという幻想に踊らされていることや、自己実現の最良の方法でないことを明晰に示している。他のことを疎かにして就活だけうまくいくはずないということ。たとえそれで就職できたとしても持続できない。
この本で自分が大切だと感じたのは、仕事がどうであろうと自分が自分でいられること。自分を入れ替え不可能な存在として承認してくれる人間関係さえあればどうとでも生きていける。依存せずに自立できるためのホームベースを獲得できるように、就職の意味を再検討するための一冊。いや、幸せになるための生き方を見つめなおす一冊。 -
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ルポから思想まで豪華布陣だが、宮台さんの激憤しながらの筆致が鮮やか。『「ファストフードからスローフードへ」と同じく「原子力から自然エネルギーへ」も日本的に勘違いされるでしょう。〈食の共同体自治〉の問題が、食材選択の問題に短絡したように、〈エネルギーの共同体自治〉の問題が、電源選択の問題に短絡するでしょう。(略)原発災害からの学びがその程度で終わってしまうのですか。』pp.384-385. まさにそこなのだ。設計の悪い世論調査と内閣支持率に翻弄されて愚昧な二択に落とし込んではいけない。そこで一般意志2.0の登場なんだろうな。東さんと宮台さんと津田さんは全く方法論が違うけど、震災をきっかけに議論が
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大塚氏が宮台氏に的確に切り込んでくださっており、いつもは推し量りながら距離をとっているような感のある、氏のその意図や真意を随分はっきりと聞き出して頂いている最新の対談に加え、過去の対談も見逃していたものが多く、酷く示唆に富む一冊となりました。
大塚氏は、個人的に、そして実に勝手ながら卑近過ぎるきらいがあってやや避けていたのですが、今回見事に、やはり一番近しかったのだということを明らかにされてしまった感です。また、もちろん天地の違いがあるわけで、”母”や“母系”の愚、弱点についても、母のファシズムについても、見ないようにしていた点を見事に描き出してもらいました。今年一番の猛省点、来年に向けての -
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<愚民社会>
この本について多くを語ると、ただでさえ色々なことを想像させるタイトルなのに余計に読者の方に予断を与えてしまうかもしれないという気がしているので、この本の読み方のヒント、というか、頭を冷やしつつ真摯に読む助けになりそうだと思う部分を、新たに収録された大塚英志さんの言葉から引用させていただきます。
――「沖縄ノート」をめぐる裁判が象徴するように大江的な「戦後民主主義的言説」を「叩く」ことのほうがこの何年も世の中の「空気」だったのに、「反原発」になった瞬間、用いられるロジックは大江そのものである、という「気持ち悪さ」を、しかし感じないところが「気持ち悪い」。
【そもそも自身の「鏡像」 -
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就活をテーマにしていますが、日本の社会と会社の転換期について書かれた本ともいえます。5つの社会変革の提言は、3・11以降、ビジョンというよりTo Doリスト化していると思います。本書の問題把握が本質的であればあるだけ、新しい世代のこれからは大変!「年長世代の自明性を破る提案を連発しつつ、相対的に人間関係を台無しにしないで済ませる能力」なんて、なんとスーパーなコンピテンシーか…しかし、試行錯誤しながら他者性を獲得しようとするしたたかさはこれからの時代に本当に必要な力であるともいえます。ただ、就活世代に求めるだけではなく、会社がどう変われるのかも同時に問われているのだと思います。「就活原論」の続編
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市場をうまく導入することで、社会の流れも変わってくる可能性があるという話は、なるほどと思った。
制約を加えた上で、市場に任せることで変化は自然に起きる。エコだからお金の話が絡んじゃだめってことはないんだろうな。どうしても、一般の人間より、我慢して、無理してやっているってイメージがある。
自然エネルギーについては、真剣に考えてみようと思う。北海道に住んで、家の作りで(断熱性能で)暖房のあり方も、コストも全然違うことがよくわかったしなぁ。
もっと当事者の意識が必要なんだろう。いろんなものが拡大して、多くの人が分け前をもらえた時代は終わっちゃってるんだから。 -
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OB訪問をして「素敵な人に会いました☆(正確には☆ではなく、キラキラしたのが点滅する)私もこんなふうになりたい☆(正確には以下略)」と書く女子学生、「就活セミナーを主催します」と告知する男子学生etc.etc。
学生時代、就活生のやっているキラキラした(いわゆる意識の高い)就活ブログにぶちあたる度にはらわたを掻きむしりたくなるような気分になった方は、私以外にも多いのではないでしょうか。
大部分がそこに乗っていけない自分への劣等感だということはわかりつつ、一方で「なぜこのゲームに乗ることを自明視するのか?」という疑問もある。『宮台教授の就活原論』は、そんなぐるぐるした気持ちを解決してくれる、初め -
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別に就職活動するわけじゃないけど、宮台さんの新刊ということで。
やっぱりなんというか、人気のある知識人であることに自覚的というか、スノッブな意識にすごく語りかけてくる話口。
ひごろあれこれふわふわと考えていることを、社会学の概念を用いながら言葉でずばっと言い表して分析してくれるのが宮台さんの本を読む一番の理由なんだろうな。
学術用語と、わかりやすい日常用語を行き来する能力はほんとにすばらしいと思う。
流動性の増した市場において仕事に自己実現を求めるのは危険すぎるから、どこかにしっかり感情のホームベースを構築したうえで、どういう状況にも適応できる力と、人間的なコミュニケーション能力を養うことが重 -
Posted by ブクログ
ネタバレ飯田哲也さんという半端なく頭の良い人の今までされて来られたこと、さらにはおいたち、さらに宮台真司さんという社会学者の一般人にも面白く分かり易い話で綴られた対談本。
勉強してなかった私なんかは、何かおかしいぞとまでは思うけど、それが何かがわからないでいた。今まで何だか疑問が残ったまま時が流れていたことの、答え合わせ本。自治体、個人個人がもっと勉強し責任感をもつこと。
三月の震災以降、始めて明るい未来が見えてきた。
東電をゾンビのように生かすのは、やはり変なんだ。東電や国の払うべき代償を国民に押し付けるなんてことはあってはいけない。
誰でも電気を作って都市ではそれを共有する。スエーデンの様に何発電