あらすじ
性愛の享楽は社会の正義と両立しない―――宮台
「良い変態」は社会の抜け道である―――二村
社会が良くなっても性的に幸せになれるわけではない。
むしろその逆が起きている。
男も女も満たされた人生に必要な知恵とは
(〈目次〉より一部抜粋)
まえがき あなたなら愛しあえる 二村ヒトシ
第1章 ほんとうの性愛の話をしよう
・「母への恨み」と〈心の穴〉
・女性が「うっすら病んでいる」世の中
・男の〈インチキ自己肯定〉 他
第2章 なぜ日本人の性愛は劣化したのか
・「セックスレスの増加」と「精子の減少」
・「年の差恋愛」をする女性
・女が男を見極める3つの基準 他
第3章 性の享楽と社会は両立しないのか
・性愛における決定的な男女の差
・男の感情的劣化に対応する女
・中動態の女と能動態の男の断絶 他
第4章 「性愛不全」から脱却する方法
・エロい男は希少資源
・メンヘラとヤリチンの共通点
・専業主婦廃止論で言いたかったこと 他
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
感情が劣化した当方に、この本はグサリと刺さった。
心の穴を埋めるように恋人、パートナーを扱ってはいないか?自分の気持ちはオートマタ的な損得に基づいて発露されていないだろうか?
一度通読しただけでは咀嚼し切ることはできない、性愛と社会の諸問題。
自分自身がそんな「クソ社会」の一員であることを自認した上で読むと、より興味深い示唆を与えてくれる。
本著は年齢や性別を跨いで、性愛で悩む多くの現代人のガイドブックになりうる。
そしてこの一冊が個人、社会にとって要らなくなる。
そうなれば著者のお二人、私にとって御の字だろう。
Posted by ブクログ
衝撃を受けた。こんな風にセックスや性愛のこと考えたことなかった。難しい言葉が並んでいるが、宮台真司が同じことを何度も繰り返し発言しているので、主張したいことは分かった。ここに書かれているような性愛を自分は感じたことがまだないので、憧れたかも。損得よりも正しさ。本当にそうかも。
Posted by ブクログ
一冊の本に、こんなに傍線を引いたのは何年ぶりだろう、ほとんど緑線なのも。
主張は要するに「野良男と賢し女構造の」野良男、つまりバイオレーターになるしか、人生を、仲間を、社会豊かにする方法はないぞ。という、何千年も続く神話の繰り返しだったが、耳通りの良い言葉で、なんというかリフレッシュされる。
ぼくは、丙午のへそ世代だけど、工学部大学時代マン研の先輩の何割かは性経験があり、僕らは片思いの経験があり、後輩はそれすらゼロだったのを思い出す。そこに断層があった。恋愛至上主義世代の最後の尻尾だ。
よく考えると、恋愛至上主義の解体はバブルの終焉よりも速かったように思う。
今より昔の方が、昔の女のほうが開放されていた。こんな事実も忘れてしまっていたことにショックを受ける。多分2006年のハルヒのころには気づいてたんだが。
少し前なら「全ての若者が読むべき」と言ってたと思うが。もう望みがない。
この本は「恋愛工学」偏差値が80を超える人のもので、残りの99%の人には困難すぎるとしか思えない。むしろ炎上的な感情反射の棒で叩かれるだけだろうと思う。社会の閉塞にしか寄与しないだろう。すでに持ってる人にだけ届くだけだ。格差拡大。
sexというものが「病院でスポイトで種付けされるのが標準で、チンポをマンコに入れるのは異常!」
という社会まで、あと10年もかからないという印象しかモテなかった。生命の始まりも終わりも病院でないのは銀行が許さない社会。
「LGBTのみがリーガルな社会になりつつある」とは、よく言ってくれたの感
Posted by ブクログ
テーマからもう少し軽い感じかなと思いきや、想像以上に社会学の講義になっている。
男は経済的な豊かさがないと結婚の決断が出来ず、女性は経済的に豊かになると結婚を望まなくなると、色々な意味で結婚は金なんだと、改めて感じる。
Posted by ブクログ
二村さんの「あなたがモテないのは、自分について多面的に考えていないから」に納得。宮台さんの、好みからかけ離れた相手を好きになることが恋に落ちるってことというのも心に残った。
Posted by ブクログ
損得勘定の意識が強くなっていた自分に改めて社会生活をする上でもっと重要な事を気づかせてくれた本。
性愛時にフェチ系という自分の趣向のみを追求する人とダイブ系という相手と一緒にトランス状態(変性意識)になる人がいるが、前者は相手は代替可能なので長続きはせず、後者は相手は代替不可能でいつ迄も幸せな性愛生活を送る事ができる。
日本の若者の性的退化が言われて久しいが、その原因としては体育会的なホモソーシャリティ文化が失われた事が原因と著者は分析する。周りから強制・サポートする人が居なくなったから、若者の性に対する意識は退化してしまったのだ。
社会が良くなれば性愛的に幸せになれるかと言うと全くそのような事はなく、なぜなら人間の感情は不条理であるからだ。性愛は自覚的に損得から隔離する必要があり、社会の法外の営みとする事で日常社会での幸せな生活を維持する事ができると著者は考え、バンパイヤ的な生き方を進めている。
Posted by ブクログ
宮台さんの映画の本が非常に面白かったため、しかも今度は興味が強い「性愛」についての話ということで購入。AV監督二村ヒトシとの対談形式で本書は進むが、主には宮台さんの語りが占める。自分の中でうまく言語化できていない世の中に対してや人間に対しての思いみたいなものを言語化してくれているように感じる。ハレとケというのか、誰もが持つバンパイヤ的なものとか、いい変態と悪い変態、神経症、精神病、倒錯者。もう一度読み返すにはカロリーが高いが、いつかまた読むように思う。アメーバになる。時間が立つのを忘れる。
Posted by ブクログ
さすがは社会学者の著書でした。表紙の愛らしいイラストからは想像できないくらいにちょっとヘビー。笑
難しい言葉が沢山並んでいて、とてもすべてを理解するには及びませんでしたが、非常におもしろく読ませていただきました。
小生、普段はこういった本を手に取ることが少ないため、性産業に従事されている方々が、こんなにも真剣に人間の性に向き合い思索していることに率直に感動を覚えました。
自分の無知と無教養を晒す覚悟で申しますと、「セックスは、欲を抑えきれない動物がそれぞれの性欲を処理すべくとる刹那的な手段」だと思っていました。とんでもなかった。もっと奥が深かった。(謝罪)
最後の方の章で書かれていた言葉が特に印象的でした。
「セックスの醍醐味とは、眩暈である。つまり、忘我。
ハイデガーの言葉で言えばエク・スタシス(脱自)。(以下略)(人は)リアルというクソから逃避すべく性交する。」
なるほど。わたしはセックスをしたことがなかったのか…。
Posted by ブクログ
<メモ>
女性の中にも結婚して幸せになれるであろう相手と、恋をしてしまう相手(発情できる相手)は違う、という人がいる。多くの男性は侮辱・支配できないような、尊敬できるような女性に対して、女性は自分を尊敬してくれる男性には発情しない(逆もたまにあり)。まったく立場が同等・公平になって友愛的な男女関係になってしまうと、そこには興奮が入り込まなくなる。しかし、それも社会によって信じ込まされている物語では?79
現代の若者の大半は、自分の心の穴を埋めるために相手の存在を使ってそれを恋愛と呼んでいるに過ぎない。相手の感情を自分の心に映して同じ感情に感染する能力が落ちた。109
東洋的な武道や格闘技、ヨガなど体を動かす習慣があり自分のカラダの癖を知っている人の方がいいセックスができる可能性が高い。女性は体が柔らかい方がオーガズムに達しやすい。ストレッチや骨盤矯正などで体のゆがみを開放する。腹筋や腹式呼吸 152
損得よりも正しさと愛を重視する相手を選ぶ
ラカンが提示した「倒錯者」として社会に適応した「ふり」をして生きる道274
結婚しないで妊娠するとヤバいぞ、セックスするな、しかし適齢期になったらさっさと結婚して子を産め、それ以降は貞淑であれというメッセージが、社会や親から女性に対して押し付けられていますよね294
射精の快感よりシンクロの快感の方がずっと大きい。散歩や料理やスーパーでの買い物でもシンクロ率が高まる300