【感想・ネタバレ】子どもを森へ帰せ 「森のようちえん」だけが、AIに置き換えられない人間を育てるのレビュー

あらすじ

いま「森のようちえん」という幼児教育のスタイルが、世界的に注目されています。いわゆる野外保育であり、子どもたちは大人の指示にただ従うのではなく、自然環境に誘われるままに自由に動き回ります。それには日本の里山の環境も、じつにフィットするのです。本書は、社会学者の宮台真司さんと、教育ジャーナリストのおおたとしまささんによる師弟対談をもとに、葭田昭子氏、坂田昌子氏、関山隆一氏らユニークな実践者も参加しながら、「森のようちえん」の可能性を追究していきます。

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Posted by ブクログ

宮台ワールドが迸っていて、諸々自分も勉強してキャッチアップ・アップデートしていかなくてはいけない部分も多かったが、
繰り返し述べられている『「社会の外=言外、法外、損得外の時空」を開示して力を回復させる体験デザイン』によって、「失われた身体性・感受性を取り戻す」ことが急務であることには深く共感した。

たまたま併読していた本にも、日本の政策立案がいったいどういう戦略や意図があってなされているのかが見えなくなっている、という話が出ていたが、本書で日本社会の課題と指摘されていた

・「ヒラメ(上へへつらう)」「キョロメ(周囲に合わせる」で空気感に縛られる
・「価値的貫徹より学習的適応が優位(やりたいことよりも、やったほうがいいことを、やろうとする)」

による「劣化」がますます進んでいることとも関係しているようにも感じた。

また、森が成長変化していく様子を見続けることが、「関わる」ことで自分も環境に働きかけられるのだ、と実感できることにつながる、というお話はまさに上記の政策は与えられるものではなく、関わっていくもの、という意識にまで通じるのではないか、と感じたりもした。

森のようちえんの取り組みに触れる機会は限定的ではあるが、我が家はかつてスウェーデン大使館主催の森のムッレに参加した。こうした活度も目的とするところは一緒だと思うので、今後も機会をとらえて親子で「共同身体性」を育んでいきたいと思う。

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2025年03月16日

Posted by ブクログ

稀代の社会学者 宮台真司氏とフリーの教育ジャーナリスト おおたとしまさ氏の対談を中心に、実践者たる教育者の方々も交えた貴重な記録。

大学生の頃からずっと知る大家 宮台氏の、20年30年におよぶ学者としての研究・実践に基づく、ときについていけないハイペースでの学問的・体得的見解の出力の嵐を、おおた氏が噛み砕いて紹介・補足するといった展開。

当時宮台氏については色眼鏡で見ていたのもあったが、この本ではご自身の両親との経緯と共に、如何に考え行動してきたのかも触れられていて、あれはそのような狙いや背景があったのか、と気付くことも多数あり、勝手に伏線回収ができた印象もあった。

先ずは私自身の家族・身の回りから振り返り見直しの取り組みをしていくのと合わせ、今の日本が置かれている絶望的な社会を変革するために立ち上がった本書籍に登場する皆さんのネットワークの強化・発展を応援していきたい。

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2025年01月05日

Posted by ブクログ

知らない言葉が多くて理解しきれていない箇所もあるけど、お話はすごく良かったです
身体性を身につけること、アフォーダンスの重要性、などなど、始終頷いたり、そうかと感嘆したりしながらそこに参加してる気分になって読みました。
ギリ昭和で田舎育ちの自身の環境を振り返るとオーガニックな森のようちえんだったなと思いました。自然の中で過ごした経験は今思えばとても豊かだった。そのような環境に身を置くことでしか育たない感覚や身体性があり、それはとても大きな価値で、子供が成長する上で決して蔑ろにしてはいけないものだと改めて思った。

少し話は逸れるけど、以前、スタジオジブリの鈴木敏夫さんが「走ったり飛んだり、身体を使った経験がないと、そういう場面を表現することもできない」と言っていたことを思い出した。さらに、宮崎駿さんが言っていた『テクノロジーが発展して、身体を通した行為や動きが生活から消えると、(例えばスマホのようにダイヤルもボタンもないものになっていくと)アニメの表現としては退屈になる』と語っていたことも改めて腑に落ちた。
それはジブリ作品がなぜあんなに人の心を動かし、ワクワクさせるのかということへの答えだと思うし、人は本来、自然と共にあることにワクワクを感じるんだと思った 

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2025年03月23日

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