金井壽宏のレビュー一覧
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最初は翻訳のせいもあり、極めて読みにくく感じたが、先に読んだ知人の'第3章を過ぎたところから面白くなるよ'という言葉を信じて何とか読み進めたところ、確かにその通りだった。
この本のポイントは、第3章「成功する支援関係」に書かれている簡単な原理、「支援を求める立場は、心理的に一段低い位置(ワンダウン)に置かれ、支援を求められる立場は、逆に高い位置(ワンアップ)に立つ」ということだと感じた。一見簡単なことのようだが、この心理的な'あや'の部分をあえて言葉にして意識することが、スムーズに支援を進めていく上で極めて重要だという。
特に、支援を求める側はワンダウンの状態に置かれやすく、いったんそうなってしまうと、心理的な抵抗が生じて素直に支援を受け入れられなくなる。支援する側はこれを避けるべく、「控えめな問いかけ」(第5章のタイトル)からスタートして、相手がワンダウンの位置に落ちないように注意を払うことが大切だ。第7章「チームワークの本質」には、この原理が最もはっきりと表れていると感じた。
著者は、成果を上げるチームの本質を、'各メンバーが自分の役割を適切に果たすことによって、ほかのメンバーを助けている'、'メンバーたちは互いに、またチーム全体として支援し合う。誰もがクライアントであり、誰もが支援者である'と述べている。これは即ち、チームのメンバー同士が互いに支援し合う=相互に依存し合う関係を築くことにより、ワンアップとワンダウンが相殺されて、心理的に壁のないバランスが取れた状態になるということではないだろうか。チームリーダーの仕事は、このような'相互依存するチームワークのための環境を作り出すこと'である(第8章)。
かなり皮相的な部分にこだわりすぎた気がしないでもないが、この「ワンアップとワンダウンの心理的なバランス」というポイントを意識しながら読むことにより、全体の流れを掴むことができたように思う。仕事や生活の上で、支援したりされたりする機会はいくらでもある。学んだ内容を意識して実行していこうと思う。 -
Posted by ブクログ
経営学者の金井さんと、教育学の立場から「大人の
学び」について研究している中原さんが、往復書簡の
ような形で綴っている一冊。
内省することの意義と、効果のある内省の仕方に
ついて、それぞれの立場で語っている。
現場のことを丹念に調べてあげていることが随所に
伺われ、示唆に富んでいて、説得力も十分。
マネージャ・クラスだけの本にしておくのはもったい
ない。
むしろ、これから管理職になる中堅社員が読むのが
いいかもしれない。
以下、気になった箇所を抜粋:
"他者からの「内省支援」を受けていればいるほど
成長感が高くなる傾向がある。"
"プレイしながら部下が育つ環境を整備しなければ
ならないマネジャーには同情する一方で、マネジャー
がプレイングの状態は、「部下育成のよい契機」に
なりえるのではないかと思っている。"
"「なぜ、そういうやり方をするのですか」と聞かれた
とき、「とにかく俺のする通りにやれ」と言って模倣を
強要するベテランは、単一ループ学習を押しつけて
いることになる。"
"二重ループ学習の大切さがわかっているベテラン
だったら、模倣を強いるのではなく、自分がやって
いる仕事の真の意味や、特定のやり方をしている
理由を、自らも内省しながら教える。その過程に
おいて、今までのやり方で本当に正しいのかという
深いレベルでの学習が生まれる。"
"エンドロールで内省する"
"自分の顔を鏡に映し出すのも内省のよい方法に
なりうる"
"研修の締めくくりに「正しい答え」が必ず述べられ
るのも、問題だと思う。
"「企業人材育成のあり方」と「働く大人の学びの
あり方」が時にコンフリクトをおこしてしまう" -
Posted by ブクログ
NKK、GE日本法人を経て現在はLIXIL(住生活グループ)執行役副社長となった八木と、リーダーシップを中心とした経営学教授の金井のコラボ。八木が人事の現場経験から抽出された要諦を熱く語り、読者にスムーズに伝わるように金井が編集者+αの役割を果たして体系的な解説を挟みこんでいく構成。GEウェルチの「わが経営」を焼き直したようにも思えるが、日本人が、それも現在注目を集めるLIXILのキーマンが語るという点で、読みやすいものとなっている。
人事部門、人事マンは、もっとアグレッシブに経営戦略にコミットし、リーダーを産み出すためのダイナミックな発想と行動を心がけなくてはならない、と呼びかける。あらかじめ定めたカリキュラムとタイムテーブルに沿って人材育成が実施されるような管理だけでは、人事の仕事とは言えない。「社員のやる気を引き出すこと」が人事の役割だ。
■GEのやり方
八木はGEの例を引く。GEでは9-block(Nine Block)とよばれるツールを人事評価に用いる。パフォーマンス軸(高−中−低)とバリュー軸(高−中−低)で社員をマッピングする。パフォーマンス軸で求められるのは4つのアクション項目(imagine -
Posted by ブクログ
人事だけなく、社長をはじめとするリーダーの人には、
こんな風に働いて欲しいという願いがあると思う。
一人ひとりが異なる個性を持っている。
その上、人にも会社にもチームにも、その前後間での状態がある。
あるところではうまくいったとしても、
それはあるところであって、他でうまくいくとは限らない。
何かの理想を軸として、人と対峙して制度を作り、少しずつ改善していく。
軸があるから、悪いところは悪いことだときちんと指摘できる。
この道にも一発回答はなく、ただ一歩ずつ進めることしかないのかなと思いました。
(以下抜粋。○:完全抜粋、●:簡略抜粋)
○「経営と現場の間に一貫性をもたせる」という言い方もよくしています。会社の目指す方向性を決めるのは少数の経営陣です。一方、現場で働く人たちはさまざまな局面において、自分で考えて決断し、成果を出します。これをうまく一致させること、そこに人事のクリエイティビティが見だされるのではないかと思います。(P.26)
○私たちは新しい人事制度を企画するときは、事前に社員に対してかなり入念にヒアリングをしますし、その制度を導入することによって、かえって社員がしらけてしまわないかということを考え抜きます。ネーミングにこだわるのは、その制度を流行らせたいからです。社員がその制度のことを家族や友人に自慢できるようにしていきたいと思っています。(P.29)
○また、制度をつくるうえで、私たちはむやみに平等性を追求しようとはしていません。社員の才能はそれぞれ異なります。にもかかわらず平等性にとらわれすぎると、一人ひとりがもっている才能を認めないことになりますし、才能のある人材を認めないことにもなりかねません。手を挙げた社員は誰でもチャンスを得られるという意味での公平性はとても大事ですが、人事は平等だけでは成り立たないと考えています。(P.29)
○「答えはみんなの中にあるって学んだ」と私は思った通りのことを言いました。(P.51)
○中途採用者に会社になじんでもらうことを藤田は「溶け込まし」と表現していましたが、それを可能にするためには、社員同士が話し合って親しくなれる機会を増やしていくしかないと考えたのです。(P.53)
○精度は細かく作り込んではダメなのです。もちろん、しっかりとした軸は必要ですが、制度自体はなるべく軽めにつくり、現場が運用しやすいようにしたほうがいいのです。
運用しやすい制度は社内に浸透します。逆に、いくらよくできた制度でも、現場でうまく運用されなければ長続きしません。「制度は計画が二割、運用が八割」。(P.61)
○評価・査定はシステムではなく、「納得感のある対話」なのです。日常的に上司が部下と話し合い、よければほめる。悪ければ指導するという関係を築いていれば、評価や査定の結果がどうであっても、部下は納得してそれを受け入れるのです。(P.62)
○会社を辞めていく人は、目標の達成度合いがなぜか下降気味になるとか、出勤や退勤の時間が変わるとか、体調不良を訴えるといったサインを出しています。そうした変化を100%読み取るのは不可能でしょうが、できるだけ見落とさないようにしなければなりません。人事の仕事に「びっくり」はあってはならないことなのです。(P.82)
○我々のリーダーである藤田は「理想と現実のギャップを直視して、一歩ずつ前進していくことが大事だ」とよく言います。マキシムズに書かれていることは理想ですが、経営陣が理想を掲げるからこそ、会社に軸ができ、人事には理想を実現していこうという覚悟と努力が生まれます。(P.87)
○全ての人事制度は流行らなければ意味がないという考え方に立ち、新たに制度を企画する際には、社員の反応を事前によく考え、社員がしらけてしまわないかどうかをイメージしています。(P.91)
○前回の倍近い167件もの応募があったのです。私が「何をやったの?」と尋ねると、彼女は「提案してくれそうな人を一通り回って、一人ひとりに声をかけただけですよ」と言いました。私は思わず「すごい!」とうなりました。一人ひとりに声をかけるだけで、それほどまでに応募が増えるとは予想もしていませんでした。
このうれしくも意外な結果は、人事の要諦を私に教えてくれたように思います。社員に動いてほしいときは、人事がまず動き、一人ひとりの社員と直接会って声をかけなくてはいけないのです。(P.97-98)
○英語人材の中にはそうした境遇に耐えられない人たちがおり、ちょっと仕事で壁にぶち当たると、「今の仕事は自分がやりたいことではない」とか「今の仕事では自分の力が生かせない」などと言って辞めてしまうことがあります。(P.113)
○リーダーを育てるためにはリーダーをやらせるしかなく、経営者を育てるためには経営をやらせるしかない(P.117)
○新任マネージャーに対して、「三つのスキル」を獲得するように求めています。それは「目標力」「役割力」「評価力」です。(P.123-124)
●目標力はチームの成果を定義し、メンバーを導く力。役割力は個々のメンバーの強みを見極め、成果を出すために配置する力。評価力は成果への進捗を確認し、軌道修正する力。(P.124)
○ミスマッチ制度は、将来の会社のために欠かせない有効な制度だと考えています。大事なことは「頑張っている人が報われる会社」をつくることであり、その障害になるものがあるのであれば、厳しい態度で挑まなければなりません。誰にでも優しい会社は、いずれすべての社員を路頭に迷わせてしまう可能性があります。(P.135)
○人事制度というものは、自社の”なりわい”合わせてつくらないといけない(P.169)
○仕事に時間のかかるメンバーがいて、本人の改善能力に期待できない場合にマネージャーがやるべきことは、その仕事からムダを取り除いてメンバーの負担を軽くすること、それに尽きます。(P.175)
○「ネガティブというものは流行るものだから、もしネガティブな人が出たら徹底的に排除する」とはっきりと言いました。(P.192)
○その直前に、藤田に「お休みをいただきます」とメールすると、「今回の件あhお疲れさまでした。ゆっくりしてきてくださいね」という返信がありました。労をねぎらうような文面に救われました。
以来、自分が必要とされている限りは、この会社のために精一杯尽くそうという思いを強くしました。(P.199-200)
○世間にはよく「トップは孤独だ」とこぼす社長がいますけれども、八木さんは人事部門を預かる身として、藤森さんに絶対にそんなことは言わせないと先に決めている。人事のリーダーがそこまで腹をくくっていると、経営パートナーそいての迫力が増しますね。(P.227)
○中でも私が感銘を受けたのは、会議のさなかに誰かが何を意見を言ったときに、ファシリテーターが「ほかに誰か同じようなことを考えている人はいませんか」と聞くというテクニックです。(P.233) -
Posted by ブクログ
■「謙虚に問いかける」は、
・相手の警戒心を解くことができる手法であり、
・自分では答えが見いだせないことについて質問する技術であり、
・その人のことを理解したいという純粋な気持ちを持って関係を築いていくための流儀、
である
一方で、現代では「尋ねること」よりも「自分が話すこと」が優先されてしまっている。
しかし人間関係を築くのは謙虚な質問によってこそ。
その態度を持たなかったがゆえに、信頼関係が築かれず、大組織では大きな事故が発生している現実もある。
■質問をすることで信頼関係が築かれる
自分が話す:知らないから教えてあげる、という上からの示唆が含まれる。
質問をする:会話の主導権を相手に譲る
→信頼関係を築くには、パワーバランスが重要である。
■謙虚さには3種類ある
①基本的な謙虚さ:出自による地位
②任意の謙虚さ:自分よりも成功している人と接するときの謙虚さ。(その人と付き合うかどうかは選択できるので)
③今ここで必要な謙虚さ:チームで成果を出す必要があるとき、部下に対して謙虚に節することにより、成果を最大化する、など。成果をあげるために「実質は部下に頼っている」
★「問いかける」とは、相手に対して興味や好奇心を抱くという態度から導かれるもの
・「自分にとって」「相手にとって」ではなく「二人にとって」という視点で考える
・短期的にではなく、長期的にお互いのメリットを考える
★そしてお互いが心を開いて情報共有することにより、より深い関係を築くことができる
■4種類の問いかけ:相手の関係性でも変化する
①謙虚な問いかけ:自分が知らないことを認め、好奇心から出る質問。
②診断的な問いかけ:相手の思考プロセスに影響を与える
③対決的な問いかけ:自分の意見を織り交ぜる
④プロセス指向の問いかけ:謙虚、診断、対決的な問いかけ
■思考プロセスに影響を与える質問
①感情や反応に関わる質問
②理由や動機に関わる質問
③実際の行為に関わる質問
④体系的な質問
【アメリカでは人間関係構築よりも課題解決に重きを置くため、謙虚に問いかけることが文化的に難しい】
■謙虚な問いかけを阻害する"文化的"なものとは
・地位、肩書という状況
・組織、国、職種の文化
→「信頼関係を築くこと」が、社会で生きる上で様々な制約を受けている(外部要因)
■信頼関係を築きを阻害する要因:ジョハリの窓
・隠された自己を開示したくないという思い
・未知の自己にたどり着きにくいというプロセス、またフィードバックしにくいという状況
■適切な状況判断を阻害する要因:ORJI
①Observation否認と投影の自己防衛メカニズム。客観的な判断が歪められる
②Reaction自己の感情理解よりも突発的に判断する状況が多く存在する、自己感情の理解不足
③Judgement合理的判断の限界
④Intervention合理性を欠いた衝動的な行動 -
Posted by ブクログ
influence without authority 権威なき影響力
会社員である前に人間である。
RICOHでのキャリアの話の部分は飛躍しているような印象をうけたので、もう少し詳し説明が読みたかったかな。
ただ、全体としては、対談形式・時系列でやわらかい文調の中でいたるところに重要なtipsが散りばめられていて非常に勉強になる。特に印象に残ったのが文頭の2つ。
日本の慣行制度では、家族的に、(与えられた)役割・役職をまっとうするのが今まで良しとされてきたけど、今、それは確実にくずれている。そこで必要になるのは、与えられた権威ではなく組織の中の1人(=会社員)としてではなく、個としてのリーダシップを発揮し、周囲に影響を与え巻き込んでいける能力だと思う。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「おすすめする人」
”人事とは綺麗事を通す仕事である”
この言葉に「なるほど。」となる人が恐らくこの本のメインターゲット。笑
つまり、広い意味で人事の仕事に関わりながらも、理想と現実とのギャップを感じているビジネスマン〜30歳くらいまで?が対象。日本GEでのHRリーダー経験を元に、人が企業にとって価値を返せるような仕組み、運用を考えている。
「学び」
個人的には上述した表現がドンピシャで刺さった。人事は経営の考えを理解しつつ現場の声もちゃんと拾った案を考えつつ、その他多くの総務的な仕事もこなしているが現場からも経営からもコストセンターだと認識されているというなかなか難しい立場。芯を持たなければ社内の御用聞きになってしまうのも無理は無いなと感じる。
だから、リーダーシップを社内に求める人事がまずはリーダーシップを持つ必要があるというスタンスは最もである。
リーダーシップを持ってビジョンを浸透させるために、具体的には以下3点の行動が真似できるなと感じた。
①doableではなくdeliverableで考える
②理念から行動まで言語化する事で暗黙知の入り込む隙をなくす
③パフォーマンスだけではなく、バリューを守れているかも重視する -
Posted by ブクログ
「謙虚なコンサルティング」を読んで、著者の考えをもっと知りたくなり、読んだ本。
が、組織開発の権威である著者であるからこその理想を描いた本。なんとかお客を集めて稼がなければならない一般的なコンサルタント業は、私はすべてを知っている、という顔をしなければならない。
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自分が私人として生きていることと、経営コンサルタントであることは、今まで切り離して考えていたが、この本によってそれが統合された。
私は、クライアントに親切にしなければいけない。クライアントを助けなければいけない。
それは、必ず相手の望む成果を出す、という文脈において。
そのために、どのような態度が必要か、教えてもらった。