【感想・ネタバレ】謙虚なコンサルティング ― クライアントにとって「本当の支援」とは何かのレビュー

あらすじ

コンサルティングの世界の常識を覆した「プロセス・コンサルテーション」
、世界中の人々の職業観に多大な影響を与え続けている「キャリア・アンカー」
に続く新コンセプト。組織心理学、組織開発の第一人者エドガー・シャイン最新刊!
■自分ではなく、 相手が答えを見出す「問い方と聴き方」
押しつけではない、本当に人の役に立つ「支援学」の極意(『人を助けるとはどういうことか』)と
自分ばかり喋るのではなく、「謙虚に問いかける」コミュニケーションの技法(『問いかける技術』)を
コンサルティングや支援の現場で活かす、という視点で書かれた実践的な本です。
■なぜ、「謙虚なコンサルティング」が必要なのか?
今日の組織は、解決に必要な知識や技術が自明でない問題に直面し、
「答えを提供する」から、「答えを見出せるよう支援する」へとコンサルタントの役割も変化。
クライアントが自ら真の問題に気づき、いま最もやるべきことを見出す「本当の支援」を実現するには、
自分では答えを出せないことを自覚し、謙虚な姿勢を選び、謙虚に問いかけることが不可欠なのです。
■25の事例から学ぶ、成功するコンサルティングと失敗するコンサルティングの違い
大失敗に終わった著者のコンサル第1号案件、たった一言でCEOを開眼させた「最高の支援」ほか
著者50年にわたるコンサルティング事例が満載。GE、P&Gなど実際の企業や組織の事例も多数。
「事例(背景、当事者の発言)」と「学び(失敗のワケ、成功要因)」を通して、実践のコツがつかめます。
「コンサルティングに関する書籍のなかで、シャインの著書ほど専門家の役に立つものを、私は読んだことがない。
コンサルティング業界は今また、本書によって、ふたたび変化をもたらされるだろう。まさしく必読の書である」
オットー・シャーマー 『U理論』(英治出版)著者、マサチューセッツ工科大学上級講師
原題 Humble Consulting: How to Provide Real Help Faster

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Posted by ブクログ

1.最近のサービス業はコンサル化していることを強く感じたのですが、今までのようなコンサルでは仕事にならないと思い、自分なりにどのようなコンサルとなりたいのかを考えた結果、提案よりもヒアリングを重視したやり方がベストだと思いました。そんな中で、本書に出会い、今までとは違うコンサルのスタイルを学びたいと思いました。

2.コンサルの中で最も重要なのは「役に立ちたい」というマインドです。これまでのコンサルは、ヒアリングと分析を行い、答えを導き出すスタイルが主流ですが、会社を経営しているのが人である以上、感情を持っています。そのため、ヒアリングしたことがすべて正しいとは限りません。そこで、より正確に深くヒアリングをし、課題を見つけ出すためには「謙虚なコンサルティングの姿勢を学ばなくてはならない」ということが本書の目的です。
これを実現するためには「相手が答えを見出す問い方と聴き方」を身に着けていく必要があります。今までのコンサルがこれを怠ったわけではありませんが、現代は問題がより複雑かつスピーディーに変化しています。また、コンサルが大量発生したため、どの会社を選べばよいのかがわからなくなることもあります。その判断基準として、本書ではレベル2の信頼関係、つまり、仕事だけではなく、プライベートも仲良く(決していつも一緒にいるということではない)するほど良いとされています。これらを実現してきた事例として、人材育成の視点から様々な経験が語られます。

3.ちょうど、今日上司と子会社に指導を行ってきました。やはり、旧世代のやり方を踏襲していたので、その子会社の結果は何も変わってませんでした。数字で見せて指摘を入れても長らく改善していないそうです。「相手を変える」という視点を脱却し、「自分から変わる」「相手に気づきを与える」という方向性で仕事をしなければ状況は改善しないと確信しました。本書では、相手に興味を持つことや自分が無知なふりをして相手に気づかせるテクニックについても幅広く説明しています。私は、まずは「マインド」から鍛えていきたいです。そしていつかは一言で相手に気づきを与え、相手が成長するきっかけを与えられる人間でありたいと思います。

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2021年04月30日

Posted by ブクログ

問題には2種類ある。それは、「技術的課題」と「適応を要する課題」である。
「技術的課題」は、正解がある問題。その問題の専門家が存在し、問題の所在に関して探るための診断をしてくれるし、その解決策を提示してくれる。例えば、医師と患者の関係が分かりやすい。健康診断、あるいは、場合によっては、精密検査を受けることにより、医師があなたの病気を特定してくれる。そして、投薬によって治療するのか、外科手術を施すのか、あるいは、しばらく様子を見るのか、などの解決策を提示してくれる。問題は簡単ではないことも多いが、正解を見出すための方法論が存在すると考えられている。
一方で、「適応を要する課題」とは、最初から正解が分かっているわけではない、あるいは、そもそも、問題が何かが分かっていない課題。色々なことを試みてみたり、あるいは、自分自身が変わったり、問題の関係者間の関係が変わったりすることによって、物事が良くなる方向に動いたりするもの。人間社会で起こる問題は、殆どが、これに属すると思う。例えば、コロナ禍における緊急事態宣言発出の可否。最初から正解が分かっているわけではないし、そもそも正解があるのかどうかも分からない。関係者・利害関係者も多いが、利害が同じであっても、意見が異なったりする。それでも、緊急事態宣言を発出するかどうかを決めなければならない。
私は、会社の中で人事の仕事をしている。会社の中の人に関する問題は、殆どが適応を要する課題である。会社の中の人事スタッフ、あるいは、他の職能のスタッフは、ある意味で、現場にとってのコンサルタントである。技術的課題に対応するのは、簡単ではないが、やれないということはない。人事で言えば、例えば、労働法の適用関係を問われる問題。条文があり、判例があり、それでも分からなければ弁護士に相談してみれば良い。一方で、例えば、「どうすれば、この職場の人間関係は良くなるのだろう?」とか、「若い人たちの育成にあたるマネジャーにどのように振る舞ってもらえば良いだろう?」など、正解があるかどうか分からない問題も多く、どちらかと言えば、こちらの問題の方が多い。

本書は、コンサルタントが、クライアントの問題を解決するにあたって、どのようなことを心がけるべきかを示してくれる。特に、「適応を要する課題」について。
会社の中のスタッフ部門の人は、読むべき本だと思う。

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2021年03月06日

Posted by ブクログ

発売後、わりとすぐに購入していたけどずっと積読していた本。コンサルとしての独立二年度目に入るということで改めて自分の姿勢を見直すヒントを得たいということで久しぶりにシャイン先生にお頼りすることに。

この本は何というか、シャイン流のプロセスコンサルテーションの注釈本という気がします。あくまで本論はこれまでの著作であって、そこに書ききれなかったけどわりと大事だよという点であったり、最近他分野で色々言われているエッセンスをプロセスコンサルテーションの範疇に統合するとこんな感じ、というところでしょうか。シャイン先生自身は「まったく新しい」とも言っているので読み取り方が浅いのかもしれませんが。

ということで初めての人は『人を助けるとはどういうことか』など先に手にした方が良いと思うし、その方が感動が大きいと思います。

この本で語られる謙虚なコンサルティングとは

「力になりたいと思って本気で尽力し、クライアントとクライアントが置かれている状況を心底気遣う姿勢のことだ、と。その姿勢を最初の瞬間から確実にクライアントに伝えるには、真摯な好奇心を全開にするといい。誠実で自然に沸き起こる好奇心ほどクライアントに対する関心と気遣いを確かに伝えるものはない。そのため、この姿勢は3つのCによって表されると言える。力になりたいと言う積極的な気持ちcommitmentと、クライアントに対する思いやりcaring、わけても大切なのが好奇心curiosityである。そして新たな姿勢を持つには新たなスキルもまた必要になる。」

新たなスキルとして最も重要なのは「聴き方」であり、個人的に打ち解けた関係を作った上で質問していくことが重要。

関係構築の大切さは従来のコンサルや営業でもラポール形成とか色々言われてきたわけですが、「聴き方」によって変わる、というのが本書の主張。聴き方には3つの種類がある。

①自己中心的に聴く
自分の知識や経験やスキルを活かすことによって、私は今話されていることに対し、どのように関わり、支援することができるだろう、という自分に関連あることに考えを巡らせながら聴いてしまい話を聴くのが疎かになる。

②内容に共感しながら聴く
クライアントがどんな問題や課題、あるいは状況を伝えようとしているのか、クライアントが伝えたいと思っていることの中でよく考えるべき問題の要素は何か、と言う点にフォーカスした聞き方である。これは、内容に誘惑されることと同じではない。それは、自分がもしその状況に置かれたらどうするかということにすぐ想像の翼を広げてしまい、集中力がその想像へ向かってしまうものに過ぎない。

③人に共感しながら聴く
コンサルタントに話している状況について、クライアントが実際にどのように経験し、感じているのかに焦点を当てた聴き方である。この場合、最大の注意と好奇心を向ける先は、クライアントの声などちょっとしたところに2時間緊迫感になり、そうしたサインをしっかり捉えると、クライアントが状況の詳細を述べながら感じているだろう思いを読み取ることができる。

基本的に初期の打ち解けた関係構築を目指すためには③を志向するべきで、そのために診断的な質問(なぜ、どのように感じた、どんな行動をとったか)や循環的な質問(組織のほかの人たちがどのように考え、感じ、行動していると思われるかを考えてもらう)、示唆的な質問(ある種の介入であり、タイミングが問題。なぜなら考えもしなかったことについて検討するようクライアントに求めることになるからであり、支援者は、助言するタイミングが早すぎたら信頼を損ねてしまうという点について、最も慎重になるべきだからでもある)、プロセス指向の問いかけ(次の三つのうちの一つを選ぶことになる。問題に対する自分なりの分析を説明しようとするクライアントの話についてその焦点を変える、支援のプロセスでクライアントがコンサルタントにしてほしいと思っていることを変える、そして今この場でのクライアントとのやりとりに集中する)

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2020年03月04日

Posted by ブクログ

これからのコンサルティングのあり方に触れる一冊

コンサルティング業務に関る者として、題名に惹かれジャケ買い。
『謙虚なコンサルティング』と聞くと、クライアントの言う事を素直に受け入れる
御用聞きの様なコンサルティングスタイルの様に聞こえるがそうではない。

原題は、“Humble Consulting: How to Provide Real Help Faster”なので、
本当の意味合いとしては、『控えめなコンサルティング』といった方がしっくりくる様な気がする。

今までのコンサルティングと言うと企業の課題に対して、状況を把握→課題の抽出→対応策の検討→クライアントへの提案と言った、コンサルタント主体の一方通行的なアプローチが主流だった。
ただ、現代の様に変化のスピードが早く、問題が複雑化している状況では、
上記の様な通り一辺倒のアプローチでは課題の解決ができないと言うのが著者の着眼点である。

ではどうすれば良いのか?

クライアントを巻き込み、クライアントの主体で課題解決をして行く必要があるという、
その為にはコンサルタントは黒子のように、控えめにクライアントをサポートする必要がある
と言うのが本書の論旨である。

ただ、この黒子に徹しながらも、クライアントへコンサルタントの価値を最大限提供する為に、
クライアントとの関係をよりパーソナライズしたものにする必要があると説いている。

なかなか実践するのは難しい内容だが、著者のエピソードが中心なので、自分ならどうするか
頭の整理をしながら読める一冊。

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2018年10月12日

Posted by ブクログ

かなり凄い本だと思います。レベル2の関係、パーソナライゼーション、アダプティブ・ムーブ、プロセス。
基礎となるのは、①力になりたいという積極的な気持ち(commitment )、②クライアントに対する思いやり(caring )、③そして何より好奇心(curiosity )。
そうだよね、好奇心だよね、と得心しました。最近そこが弱ってるなぁと反省。他の著書も読んでみたいと思います。

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2018年04月25日

Posted by ブクログ

組織文化を中心とした心理学者で現在MITの名誉教授である著者による企業や幹部へのコンサルティングの事例を通して、それぞれの成功と失敗の分析、学び、まとめ、読者への提案という形式で、著者が謙虚なコンサルティングと名付けたアプローチの内容が語られている。
どんなに正しい処方箋でもクライアントが受け入れ、実行しなければ、コンサルティングとしては失敗であり、その組織を熟知しているわけではないコンサルタントがいきなり分析と診断を提供しても成功するとは限らない。そうした状況では、役に立ちたいという意志、好奇心、共感をもって、まず相手との忌憚のない対話ができる関係(レベル2の関係)をつくること、そのうえで真の課題に気づき、アダブティブ・ムーブを互いに探ること。
知識と経験を積んだ著者ですら必ずしも成功するわけではないように、関係づくりにしろ、アダプティブ・ムーブを見つけることにしろ、簡単にできるものではなさそうだが、ほんの一言が事態を大きく変えるような気づきをもたらすことはイメージできる。
コンサルティングとして、外部専門家の権威的な診断が有効な場合と謙虚な問いかけが有効な場合という枠組みを知るだけでも有用だと感じた。
18-11

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2018年02月06日

Posted by ブクログ

いま70代とかの大先輩コンサルタントは、「正解を教える」「若輩者を指導する」というコンサルタントスタイルだったし、今でも、「私は何でも知っています」という「絶対的な自分」を演出するコンサルもいる。

が、コンサル10年目にして、そーいうのはなんか違うよなーと、思っていたところに出会った本。

コンサルと経営者の間には壁がある。
そして、コンサルがすべてを解決できるわけではない。

この本に書かれている通り、謙虚になって、お互いに持っているものを持ち寄って良いものを作り上げていこうとする姿勢がすばらしいなと。

さっそく、見込み客であるクライアントを食事に誘い、本当はどうなりたいのかを知ることに時間を使った。個人的なつながりを作りたかったので。おそらくこの商談はうまくいくだろう。

全体像やゴールがある程度早期に見渡せる、かなり経験値なりプロフェッショナル度が高いコンサルだからこそ出せる「謙虚さ」ではないかな、という気がした。

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2017年07月31日

Posted by ブクログ

コンサルティングというよりはコーチングに近いことが言われているのかなと思った。ただいずれにしても、相手が得たい答えは相手の中にしかなく、支援者はそれを一緒に探すというよりは、相手が見つけられるようにサポートする、そのための質問を投げかける、見つけるためのプロセスの支援をするというスタンスが何より大事なんだと思った。

そしてこの本では、そのスタンスをどう取るかよりも、どんな問いかけをすればいいのか、様々な具体的ケースを取り上げながら説明されている。最初のケースの「それであなたはどうしましたか?」という問いかけはシンプルだけど秀逸。

P.242の”内容に関して、実行可能かつ有用な提案を外部の支援者が考えつく可能性は、私の見る限り、きわめて低いのだ。”という一文が全てを表しているなと思った。何が最も問題なのか、それを解決してどうなりたいのか、そのためにはどうしたらいいのか…いつも相手と一緒になって考えて、自分が何か提案をしないといけないと思っていた気がするので、もっと質問の投げ方を磨いて相手が答えを出せるようにサポートできるようになりたい。

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2017年07月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

コンサル業界で働く私にとっては非常に有用な書籍であった。(もちろんコンサル業界でなくても有用かと思う)
過去コンサルとは、「クライアントの一段高い位置からクライアントの問題を診断し、課題を特定、課題の実行責任はない」というものであった。一方謙虚なコンサルとは、「クライアント自身が納得感のある解を自ら探っていけるよう支援」することであり、役割が変わりつつある。謙虚なコンサルになるには、レベル2の関係、すなわちクライアント自身の懸念を打ち明けられるような個人的な関係を初めから築くことが重要である。それには、なんとかして役に立ちたい、誠実な好奇心、思いやりのある姿勢を持つ必要がある。(とはいえ、馴れ合いやえこひいきを生むようなレベル3の親密な関係はビジネスには向かないことも言及されている)これにより謙虚なコンサル自らが解を導き出すのではなく、時にはクライアント側のアダプティブムーブに導きつつ、クライアントと協働していくのがコンサルには求められる。
高いフィーをもらっているコンサルだからこそ自ら価値を提供するという考えにシフトしがちであるが、クライアントをより一層高みに連れていくために、(コンサルよりも現場に詳しい)クライアントと協働していく姿勢が必要であることを改めて実感した。

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2017年07月12日

Posted by ブクログ

ちゃんと読み返して深く理解したい一冊。

謙虚なコンサンルティングには、診断的なアドバイスではなく
・謙虚な問いかけをとおした
・アダプティブムーブの実行
・それを行うための、積極的な気持ちと好奇心
・そしてそれを実行するための個人的な関係をクライアントときづく事
が大切だと学んだ。

まずは自己開示などから、関係を構築するところを実践したい。

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2025年09月07日

Posted by ブクログ

熱意と好奇心で組織を診断して、組織が納得感を持って、進んでいける支援をすることご謙虚なコンサルタントの仕事と理解。
内容はたくさんのケースからどのようにすると成功し、失敗したのかが書かれていて、同様の問題に直面した時に熟読すると気づきが得られる仕組みになっていて、この本自体もコンサルを支援するコンサル本になっている印象を持った

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2024年09月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 コンサルタントは傲慢な押し付けではなく、クライアントと同じ目線に立ってケアを行いつつ謙虚に改善に取り組むべき、とする。

 …当たり前では。

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2023年11月26日

Posted by ブクログ


コンサルがわからなくて手に取った本。
著者の実体験を交えながら、その仕事に必要な心構えを教えてくれました。
『人は話し方が9割』の強化版。

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2023年08月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

クライアントを支援するとはどういうことか気づかされた。

コンサルタント(自分) の手助けによって、クライアント(相手) が、 (1)問題の複雑さと厄介さを理解し、 (2)その場しのぎの対応や反射的な行動をやめて、 (3)本当の現実に対処すること  が、本当の支援なのである。

支援者としての私自身の経験から言えば、重要なのはおそらく、どんな問題に悩まされているかをクライアントが隠さず話せること、それも遠慮なく安心して話せることだった。

新たなスキルのうち最も重要なのは、これまでとは違うタイプの「聴き方」である。このスキルの向上をテーマとする書籍やプログラムを検討してわかったのだが、新たなタイプのコンサルティングを行うには、一般に推奨されるのとは別の聴き方を身につける必要があり、さらに言えばその聴き方は対応の仕方を知るためにも欠かせなかった。また、二種類の共感力を伸ばす必要もあった。一つは、クライアントが話している現況や問題について、好奇心をもって傾聴する共感力である。もう一つは、クライアントが状況や問題を説明しているまさにそのときに、クライアントを本当に悩ませている問題が何かを見きわめようとして、好奇心をもって傾聴する共感力である。

概念に関する質問 基本的に「なぜ」と問う。この問いによって、クライアントは、コンサルタントに話した内容のさまざまな面について考察・検討し、原因について考えをめぐらせるようになる。   感情に関する質問 クライアントが話した出来事に関して、「それについてどのように感じたか」を基本に、質問をする。   行動に関する質問 クライアントの話にあったいくつかの分岐点について、「どんな行動をとったか」を基本に、質問をする。

謙虚なコンサルティングが最も役に立つのは、クライアントの「思考プロセス」を、次の一つ以上の方法によって再構築する場合である。(一)問題をもう一度、説明する。(二)クライアント自身の役割が何かを再考する。(三)コンサルタントがすべきことは何かを再考する。これらのプロセス領域でこそ、たとえ初めて会話をしているときであっても、驚くほどすぐに支援できる場合がある。再構築によって、自分が今何を知っているかということに、クライアントが気づくからである。コンサルタントは、クライアントが最初に考えた、あるいは提案したことを上回る、コンサルタントを活用するメリットを示して支援するのだ。

中心にあるのは常に、クライアントがどんなことを懸念しているのか、本当に欲しいものは何か、どんな問題に取り組む必要があるか、という問いに対する答えの見つけ方だ。

アダプティブ」と呼ぶことによって強調しているのは、それが「問題」に対する解決策ではなく、状況を改善したり、次のムーヴへつながるより診断的なデータを引き出したりすることを目的とした行動だということである。「ムーヴ」と呼ぶことによって伝えたいのは、それが壮大な計画でも大規模な介入でもなく、状況を改善するためのちょっとした取り組みだということである。

組織という生き物がいよいよ複雑さを増し、今起きているあらゆるものごとがスピードアップしている現実を考えると、これぞアダプティブ・ムーヴだと思うのは、即興劇である。計画と仕組み、法則、型があれば安心はできるが、結局のところは役に立たないかもしれない。むしろ、率直に話をして、たしかな人間関係を築き、力を合わせて即興で行動を生み出すほうが、本当の支援をすばやく行ううえで効果が高いのである。


すべての項目に共通しているのは、それらが、役に立ちたいという積極的な気持ちと、好奇心と、思いやりから生まれるものであることだ。そして、その根本には、尊重され大切にされたいと願うクライアントを前にしてなお、クライアントが直面している状況の複雑さと厄介さを前にしてなお、変わることのない謙虚な姿勢がある。これまでと、どんな点が全く違うのだろう。それは、 個人的な関係になる 必要があることと、プロセス全体の最大の原動力として 好奇心 を重視していることである。

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2020年05月10日

Posted by ブクログ

クライアントを支援するには個人的な打ち解けた関係に入ることが大切。、ビジネスライクな関係よりさらに踏み込んだ関係だと思う。そのためには最初から、力になりたいという積極的な気持ちと好奇心と思いやりを自ら態度で示すことが大切。
そしてクライアントが、自ら課題を把握し解決できるように共同で行うこと。

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2020年03月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

真に問題を解決するには、コンサルタントは問題に対する解決策を提示することではなく、クライアント自身が実行可能なように動いてあげること(アダプティブムーブ)が重要であると説いている。
途中エピソードが多く流し読みしてしまったが、コンサルティングだけでなくあらゆる場面で使える話で示唆に富んでいると思う。
次回作は謙虚なリーダーシップというのも頷ける。

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2018年02月02日

Posted by ブクログ

プロコンとしてのバイブル。少なくとも現在自分が持っている仕事観と最もマッチする考え方。こういう議論を仲間内でしたことはないが、おそらくこれまでの同業他者が、このような感覚と価値観をもって業務に取り組んでいるとは聞いたことがないので、それだけでも差別化になると言える。
いずれにせよ、今後もこのスタイルでやり続けられるのか(していくのか)、検証(実験)しながら貴美を目指したい。

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2018年01月17日

Posted by ブクログ

キャリアコンサルタント試験対策及びその後の学びのために購入。
大企業での組織論がメインな印象。
現在の私の立ち位置とはちょっと違う(苦笑)
しかし、示唆に富む部分は普通にある。

払ってもいい金額:800円
貼った付箋の数:11

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2022年08月23日

Posted by ブクログ

仕事に役立つかなと思い読んでみた本。
お医者さんのようにこちらから専門的な方法を伝えるのではなく、本当の支援とはレベル2の関係を築き、クライアントが答えを出せるように問いかけをして答えを導きだすこと。
色々なケースの例がありわかりやすかったですが実際やるとなると難しいなと思う。

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2021年07月29日

Posted by ブクログ

・謙虚なコンサルティングに必要なのは、人間関係、信頼、率直さの3つ。
・3つの前の前提に、積極的に力になりたいという意志→好奇心、が必要。
・レベル2の関係性になって初めて解決に迎える(論理でいける、と過信しない)
 ・レベル2の信頼:約束をして守ること
 ・レベル2の率直さ:取り組みに対してお互いに協力し嘘をつかないこと
・雑談を場つなぎとかアイスブレイクのためにやろうとするとズレる。相手と信頼関係を結ぶための自己開示や興味の理解が大事。
・なぜかを問うときは、コトとトキで考える。
 1.対象は何が最適か?状況、その人の感情、行動
 2.時制は何が最適か?過去、今、今後

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2020年07月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

従来とは異なるコンサルティング手法について語る本。日本の大企業向けコンサルティングには当てはまらないことも多いと感じた。組織戦略やPMOをテーマとする場合には納得感があるかもしれない。
内容が凄く目新しいわけでもなく、綺麗に体系だっているわけでもないが、実際のケースが多く書かれていて興味深い。困ったときにヒントを探してぱらぱらめくると良さそう。

==内容まとめ==
「謙虚なコンサルティング」とは、クライアントが①問題の複雑さと厄介さを理解し、②その場しのぎの対応や反射的な行動をやめて、③本当の現実に対処すること、を支援すること。コンサルタントは答えを出すのではなく手助けをする。

コーチングや傾聴のような手法。

聞き方には三種類ある。
①自己中心的に聞く
・自分の知識や経験、スキルと照らし合わせて支援方法を探しながら聞く
・クライアントの本当に言いたいことが聞けない可能性があるので、良くない
②内容に共感しながら聞く
・問題の要素にフォーカスして聞く
・「従業員エンゲージメント」が本当に心配だ
③人に共感しながら聞く
・クライアントの感情にフォーカスして聞く
・従業員エンゲージメントが「本当に心配だ」

質問の種類
①謙虚な問いかけ
・支援者が答えを知らず、クライアントが自由に答えることができる
・基本的な情報を得るために、ここから始める
②診断的な問いかけ
・支援者は一定の考えを持ち、対話を始める
・概念:「なぜ」×過去/現在/未来
・感情:「どのように感じたか」×同上
・行動:「どんな行動をとったか」×同上
③循環的な質問/プロセスへのフォーカス
・その依頼はどんな結果を招く可能性があるか
・目的は?/集まった情報をどうするのか?/長期的な展望は?
④示唆的な問いかけ
・提案やアイデアを質問の形でソフトに伝える
・早すぎると信頼を損ねるため、タイミングが重要
・信頼関係ができるまでは、示唆的な問いかけを用意して待つべき
⑤プロセス指向の問いかけ
・次の3つのうち少なくとも1つを行う
- クライアントの問題分析の焦点を変える
- クライアントの支援して欲しい事柄を変える
- 今この場でのクライアントとの人間関係を確認する「私は役に立っていますか」

支援の場では、顧客と仕事の域(レベル1)を越えた個人的な話のできる信頼関係(レベル2)を築くことが有効。
そのために「謙虚な問いかけ」を行う。
しかし、そこにはリスクもあり、そもそもレベル2の関係が不要なこともある。

顧客の目的は当然尊重すべきだが、そのためのプロセスは間違っていることが多い。
そのプロセスのオーダーを変えるには、レベル2の関係が必要。

==考えたいこと==
「誰かに支援やサービスを頼むとき、その人を信頼できるかどうか、その人が本当のことを言っているかどうかを、どのような方法で判断するか」
「どんな種類の会話ができれば相手を信頼できると思えるようになるか」

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2020年05月09日

Posted by ブクログ

従来のコンサルは、ビジョンを出すことやアドバイスを与えるのが仕事だった。言い換えれば答えを出すのが仕事。

それに対し、昨今のクライアントの悩みは答えも欲しいがそれを適応することの難しさにある。
そういう意味で「クライアントが実行しきるまでサポートする。やり切ること」がコンサルに価値だと思っている。

この本では、そういうタイプのコンサルを行なう際に必要な姿勢を、クライアントにとって本当の支援とは何か という視点から解説している。

個人的な話が出来るレベルまで関係を築くことがまず最優先。

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2017年06月25日

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