金井壽宏のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
GE、そしてリクシルの人事責任者を歴任した八木さんと金井先生の著作。
人事とは給与計算とか制度設計といった仕事ではない。HPにはずっと人事部がなく1000人をこえてはじめて人事部をつくった。その際、ビル・ヒューレートは「人事部門の仕事は経営の質を高めることだ」と定義した。それくらい広範囲にわたるのが本来の人事。外部環境の変化に対応した人材育成をしたり会社の事業戦略とそれに必要な組織、人材を育成する役割があるから「戦略」人事。単なる適材適所やルールやマニュアルを守る受け身部門ではだめだ。
会社全体の未来はリーダーの育成にかかっている。その育成は人事部員の育成にかかっている。人事をどう強くするかが会社の長期的成長を決める。
以下ポイント抜粋。
年功序列の破壊方法。まずヤング、ミドル、オールドの3つのジェネレーションにわけ最も仕事のできる人毎に面接。一番できる人をトップにする。これだけですぐに破壊できる。
戦略とは普通の人がきいてなるほど、これなら勝てるなとわかるストーリが必要。それを噛み砕いて末端社員までつたえるのが人事の役割。
人事は言葉の魔術師でないといけない。社員の頭に霧があるならばはらってあげねばならないし、元気がなければ心に火をつけなければいけない。
戦略人事における最大の課題はマネジャーやリーダーの育成であり、その仕事には会社の命運がかかっています。
戦略人事における最大の課題はマネジャーやリーダーの育成でありそこに会社の命運がかかっている。会社が向かっていく方向に人々を巻きこんでいくのが本当の人事の力だ。
CEOジャック・ウェルチは「CEOの仕事の八~九割は人の問題だ」という言葉を残している。
GEはまず「勝ちの定義」がはっきりしている会社です。
景気がどんなに悪化しようと、為替がどう変動しようと、あるいは競合がどういう動きを見せようと、GEは勝つためにグロースとリターンを取りにいきます。
勝ちを定義するとは、勝てなかった場合には、誰かが責任をとってやめなくてはいけないということです。雇用よりも勝ちを躊躇なく撮りにいくのがGE。
モノが売れないのは人事の責任。
グロースバリューを策定するにあたって、GEでは初めに、社内でトップクラスの成績を出しているリーダーたちを一五〇人ぐらい選び、その人たちがもっている資質を分析しまし
実際にトップクラスの成績を上げているリーダーたちの資質を検証しており、長い目で見れば、バリューの発揮が必ずやGEのビジネスを成長させるという前提に立っています。だから、パフォーマンスの度合いだけでなく、バリューの発揮度も評価
ビジネスリーダーの仕事は、最強のチームをつくって目標を達成すること
GEでは「勝ちの定義」は「グロースとリターン」であり、「雇用を守ること」は含まれていません。ということはつまり、GEでは最後の最後は雇用に手をつけると言うべきかもしれ
経験は関係ありません。大事なことは、その人材がどれだけGEのことを理解しているかです」
自分の中に「逃げてはいけない」という軸を一本立てました。
組織の中で効果的なコミュニケーションができていれば、人間はすごい力を出すということ
「ケン、怒るよりも、耳を傾けよう」
なぜリーダーを育てないといけないのか?育てられるのか?滅多には出現しない。だからこそ万人に一人の出現率を、なんとかして一〇〇人に一人ぐらいに高めようとしています。逆説的な言い方になりますが、リーダーは滅多に育たないからこそ、育てなくてはならない
人事としてリーダーを育てようとするならば、人事の私たちがまずリーダーでなければならないのです。
毎年、開講にあたって受講者に「社長就任演説」を課しています。受講者たちが社長に就任したつもりになって三分間のスピーチを考え、コーチであるビジネスリーダーたちの前で話すというトレーニングです。私も何度も立ち会いまし
トレーニングには、受講者の学習をフォローアップする仕掛けが欠かせないのです。
月に一回一時間、私が受講者と差し向かいでみっちり対話し
私からは「リーダーシップとは何か」「リーダーには何が必要か」「君と現役のリーダーたちはどこが違うのか」「その違いはどこから来るのか」といった質問を次々に繰り出し、受講者をあえて悩ませるようにもしました。
「軸づくり」の流れを、私は「identify」「live with」「personalize」の三段階に分けて考えています。一番目の「identify」は、自分が大事にしている価値観やこだわりや哲学を軸として識別する段階。二番目の「live with」は、努力してその軸に従って生きていくプロセス。三番目の「personalize」は、軸がしっかりと自分の身につき、自然にそれに
人はもともとの能力でリーダーになるのではなく努力によってリーダーになる。
リーダーシップノートをつけさせる。リーダーシップについて考えたことをかかせて記録させる。ふりかえる。
人事には会社が網毎な状況におかれているときに、進むべき方向性を示すアンバサダーの役割、トップが言うことを社員にわかるように伝え、社員が抱いている思いをトップに正しく伝えるトランスレータの役割、社員のやる気を引き出し集団パワーを生み出すために会社の戦略をストーリにして語るストーリーテラの役割、社員の悩みを言葉によって前向きにしていくエンライター(啓蒙者)の役割をもたねばならない。
人事のプロに必要なことは何か?情熱がること。強くて良い会社にしていこうという情熱。 -
Posted by ブクログ
経営幹部の一皮むけた経験を集めたもの。
「プロジェクトで一皮むける」が自分としてはイメージしやすかった。
・事が成ったとき、みんなが「自分がやった」と自慢するのは、みんなが達成感を得られた証であり、幸せな物語である。
・「適応は適応力を阻害する」現状にしっくりきすぎると、過剰適応の状態となり、緊張がなくなり発達が止まる。
・ヒラメパラドクス
若手に仕事を任せるほど、顧客のほうではなく、上司の方を向いて仕事をしてしまうという現象。
・What構築能力 vs How能力
Whatは課題発見提起能力、How能力は課題解決を考える能力。リーダーにはWhat構築能力が求められる。
・戦略的自立性と戦術的自立性
テーマを選びたい人もいれば、テーマへのアプローチ方法を選びたいと考える人もいる。どこに自立性を持たせるべきか、組織運営上ミスマッチが起こっていないか。
・シャインの3つの問い(自分を失ったとき)
*自分は何が得意か
*自分は何がしたいのか
*何をしている自分に意義をかんじるか
・プライオリティ
自分自身の価値を高めることを1番のプライオリティにする。逃げ道を作らないことが価値を高めることにつながる。
・なんでも上司に相談しない
相手から「社内に影響力のない人間だ」と判断される
・疑わしきは節目だと思え
節目は自分を成長させるチャンス。
現実を直視する、局面から逃げない。
対処するには、性格の自己変革や新たな強みを身につける、助言を求めること。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ経営組織・リーダーシップ論の研究者であり、神戸大学経営学部の看板教授である著者による、経営組織論。日系文庫ということもあり、基本的な内容をわかりやすく解説することに主眼が置かれている。ちょうど、人的資源管理論~組織行動学を学んでいるところなので、その復習にぴったり。主に後者が中心だが、組織の制度設計等、人的資源管理論に関する内容も扱われている。
肝心の内容というと、組織というものの定義が非常にふわっとしていて、捉えどころがない不定形であるという認識を前提として、その多様性をいかに外部・内部環境の状況に応じて考えていくか、という視点で描かれている。
具体的な内容で引っかかったのは以下のポイント。
================
・集団圧力は、その意見が1人だけの場合には強く働くが、2人に増えた途端にその効果が大きく減少するという実験結果がある。
⇒ということは、少数派であっても1人でも味方をつけることで、集団圧力を弱めることが可能。
・ミドルマネジャーの業務時間が恐ろしく断片化していることは、中長期的な問題を考える思考時間を失わせているデメリットの要因とも捉えられるし、同時に、自分の属する集団内外の人々との交流を通じたネットワーク化による思考の進化というメリットの要因にもなり得る。
・組織を政治システムとして捉える観点は「社の内ポリティクス」という言葉に結びつくイメージにもあるようマイナスとも見られがちだが、組織変革を行う際にはこの政治システムへの対応力が大きな成功要因になっている場合が多い。変革を支えるミドル・マネジャーに求められる能力の1つ。
================
ところで、日系文庫は各章の扉に、その章の内容を要約してビジュアル化した図が書かれていることが多く、これが非常にわかりやすい。これ、他の本も真似したらよいと思うんだけど。 -
Posted by ブクログ
日本のリーダーシップ研究における第一人者、金井壽宏先生(神戸大学大学院 経営学研究科)によるリーダーシップ論とのことです。金井先生が本書で扱うリーダーシップは、ある特定のいわゆる「リーダーが持つ」リーダーシップではなく、誰もが持つことが可能なリーダーシップを扱っています。リーダーシップの定義は、1) それを支えるフォロワーがいること、2) 実践的に言語化されていることとしています。特に 2) 実践的に言語化されていることを強調しており、次のように解説しています。
誰もが、何かを達成すると言う実践上に得た「持論」がある筈で、そのノウハウを言語として抽象化した概念化すること(例えば、「即決」とか)がリーダーシップについて、内省面、外部コミュニケーション面で有効としています。逆に、そのようにして出てきた他者の「持論」が、抽象化されているが故に、そのまま鵜呑みにしてはならず、その人の職種や状況などに依存しているため、自分の中に取り込む際には、自分の環境を重ね合わせて咀嚼する必要を説く。
また、そのような持論が、一般に、組織の目指すべき課題軸 - Performance と組織を担保するための人間軸 - Maintenance の2軸で展開できるとしています。そのことは、現存の全てのリーダーシップ論の基礎となる考え方である、と位置づけ、PM理論を展開しています。