金井壽宏のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
本書は、組織行動論とカウンセリング心理学のコラボで、アサーションを解説。
格差、見通しのつかない未来、ネット・メール等顔の見えないコミュニケーション・・・。
自分は優秀だと思っている人は「もっと上昇してやろう」と前向きになれるが、そうでもない人は、「どうせここまで」とあきらめ感を持ってしまう時代。価値観も生き方も生活スタイルも多様化する中で、人と人がコミュニケーションをとり、理解を深めることが難しくなっている。
そんな時代、組織がパフォーマンをあげるには、構成員がアサーション(自分も相手も尊重する自己主張の仕方)を身につけることが鍵。
とは言っても、難しい・・・。
国権の最高府で議論される国会議員こそ、こうしたスキルを身につけてほしいとも思った。 -
Posted by ブクログ
キャリアは働くすべての人の問題であり、筆者の言いたいことは「節目の時だけはキャリアデザインを強く意識すべき」「節目さえデザインして不確実な中にも方向感覚さえ持っていれば、多少とも流されてもよい」ということである。
シャインやマイケル・アーサーの3つの問いに基づいて自らのキャリア・アンカー(キャリアの拠り所)を明確にする。
その際に気を付けなければならないのは、人はしばしば自らが得意なこと=好きなことだと勘違いしてしまうことである。
ブリッジズの「終焉-中立圏-開始」そしてニコルソンの「準備-遭遇-順応-安定化」というキャリアサイクルを繰り返す中で、あるサイクルと次のサイクルの間のつながり/関連性を見出す重要性と、毎回回り方が高度化し、スパイラル状に経験をくぐるようにすることが大切であると説く。
経営戦略的に言えば、ポーターのような内容学派的ではなくミンツバーグのような過程学派的立場であり、「まずは動いてみること。その上で次の流れはどこに乗るかをデザインするまではドリフトする」ことを推奨している。
いいものに出逢い、偶然を生かす(=掘り出し物に巡りあう)ためにも、むしろすべてをデザインしきらない方がよいということだ。
これから就職する若者、30~40代のミドル、そしてリタイアが近づいているシニアそれぞれのキャリア発達課題にも触れている。
冗長的で同じことを何度も繰り返している感がなくもないが、読んでおいて損はない一冊であると思う。 -
Posted by ブクログ
「サーバント(召使い、奉仕者)」と「リーダー(導く人)」という言葉は対極のようにも思えるが、相手の立場で考え、奉仕することによってフォロワーは奉仕してくれた者を信頼し、「この人に尽くそう」と考えるものである。
第1章においてサーバントリーダーの概念について論じた後は、第2、3章で大規模組織の代表格である企業、大学、教会に焦点を当て、組織のあり方と“トラスティ”の果たすべき役割を指摘している。
統計データなどを活用した学術的な内容ではないが、実務を通した経験によって行き着いた結論が本書なのであろう。監修者解説まで含めると570ページにも及ぶ大著だが、冗長であり、かつ訳者の問題と思われるがとにかく読みづらい(金井壽宏氏の他の訳本を読んだことがあるが、やはり読みづらかった)。
第4章で読むのがしんどくなり、第5章はまったく頭に入ってこず…第6、7章の財団および教会におけるサーバントリーダーシップの話は読まずに飛ばした。
第8章はズバリ「サーバントリーダー」と銘打たれていたため読んでみたが、紹介されている人物(大学の学長)に関してリーダーとしての資質を感じ取ることはできても、どのあたりがサーバントだったのかが今ひとつ分からずじまい…。
第9章では、次世代を担う若者への提言を5つの言葉で示し、第10章では、現代における世界のリーダーであるアメリカという国について、援助するという行為にはともすると傲慢になり、モラルに反する危険性が伴うとし、もっとサーバントであるべきことを訴えているように感じる。
そして最後の第11章では、ロバート・フロストの「指示」という詩を通して人としてのあり方を説く。宗教的、哲学的な内容だが、実はそれらに関連する道徳・倫理といった側面こそ、組織において人と人を結ぶ強力な“つなぎ”の役割を果たすのではないだろうか。そういう意味では、稲盛和夫の『生き方』などを併読すると“職業倫理”の重要性をより感じることができると思う。
第1章は必読だが、それ以外の章はピンとくるところだけに絞って読んでよいと思う。
まがりなりにも読み切ったという満足感はあるが、難解で分厚い本に敢えて挑戦したいという人でなければ、本書をベースにしつつポイントがまとめられている「サーバントリーダーシップ入門(かんき出版)」の方がおすすめできる(こちらの方が100倍読みやすい)。 -
Posted by ブクログ
ネタバレキャリアについていつどのようにとらえたらよいか、ヒントを与えてくれる本である。キャリアをデザイン(意図的に計画する)すべきか、それともドリフト(流れに任せる)なのか。この本では節目にはしっかり方向感覚を持ちデザインすべきだが、いったん方向が定まったら流れに任せてみることが提案されている。すると意識していなかった自分の才能を発見したり等、よき偶然や掘り出し物に出会うことがある。
いくつか印象に残ったポイントは
・「夢しか実現しない」:夢なんてという人がいるが、夢として描かないかぎり、それは実現しない(ベンチャー起業家の方のことば)
・「ドリフトも偶然を楽しむ」:そもそもキャリアを詳細に設計しようとするなど不遜であり、息苦しい。流される中で偶然に振り回されるひともいれば、それを楽しめる余裕のあるひともいる。
・MER(最低必要努力投入量):いったん方向を定めてアクションをとっていく中で、思うようにいかないからといってすぐにあきらめたりするのではなく、最低限の努力(よいガマン)はすべき -
Posted by ブクログ
ネタバレ欲求階層説で有名なマズローが経営について語った手記をまとめた著作でもともと1965年の初版が再発掘され、編集されたもののようである。構成としても手記を中心にまとめられているため、まとまりがなかったり、難解な部分も見受けられ、個人的には全体としての理解がうまくできなかった。
印象的だったのはマズローがドラッカーらの経営管理原則が過度に一般化されており、適用すべき人間を限定していない、と批判していることだ。マズローは進歩的経営管理の方針として数々の仮定を設けている。いくつか重要なものをあげると、
・人間は信頼できるもの
・権威主義的な支配・被支配の関係は存在しない
・シナジーがある(ひとりの利益は全体の利益となる、全体の利益はひとりの利益でもある)
・諸個人が十分に(心理的に)健康で、組織もしかり
これらはマズローの理想とした、自己実現者で構成された文化ともいえる。私の勝手な解釈だが、企業の各個人が互いに尊重されており、共通の目標を持ち、柔軟にリーダシップをとったり協調できるような風土が確立されているような状況を指すのではないかと思う。今でこそ、業績主義の目標管理に偏らず行動や価値観を評価に含める人事が強調されているが、当時このような理屈が展開されていたことは驚きである。
マズローはどのようにしたらよいかについて最後に「健康心理学的なものを目指す活動、つまり管理者を含む全社員の成長を促進する活動を第九の副社長に管理させるのが望ましい」、「広範囲にわたる哲学的・心理学的・心理療法的・教育的訓練が中心」とだけ言及している。言ってみれば従業員のものの考え方を変えるための教育を様々なアプローチで行うということなのだろうか。 -
Posted by ブクログ
前作『シンクロニシティ』よりも更に一層スピリチュアルな領域に踏み込んできています。
“リーダーシップ”に関する図書なのかどうかも怪しくなっています。
様々な経営者や科学者の名前を登場させて権威をもたせている……と訝しみながら読みたい気持ちをおさせて、「出現する未来を知る」ことができたりしている実績が確かにあるのだとしたら、それはなぜだろう? ということに迫るつもりで読み進めます。
一体どういう状況が人をそうさせるのだろう? を著者が掘り下げていった結果がこういうことなのだと思います。
“この方面”はなんだか怪しいですし、にわかに信じがたい点もはらんでいるのですが、その分 人が寄り付きにくいかもしれません。
しかし、この心のあり方・源泉とのつながり――しかもそれは仏教やアニミズムをバックグラウンドにもつ日本人にとっては比較的親和性の高い――を体得できれば、小手先のテクニックではない、とても根源的で有意義な能力になるのではないかと思うのです。