金井壽宏のレビュー一覧
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「サーバント(召使い、奉仕者)」と「リーダー(導く人)」という言葉は対極のようにも思えるが、相手の立場で考え、奉仕することによってフォロワーは奉仕してくれた者を信頼し、「この人に尽くそう」と考えるものである。
第1章においてサーバントリーダーの概念について論じた後は、第2、3章で大規模組織の代表格である企業、大学、教会に焦点を当て、組織のあり方と“トラスティ”の果たすべき役割を指摘している。
統計データなどを活用した学術的な内容ではないが、実務を通した経験によって行き着いた結論が本書なのであろう。監修者解説まで含めると570ページにも及ぶ大著だが、冗長であり、かつ訳者の問題と思われるがとにか -
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ネタバレキャリアについていつどのようにとらえたらよいか、ヒントを与えてくれる本である。キャリアをデザイン(意図的に計画する)すべきか、それともドリフト(流れに任せる)なのか。この本では節目にはしっかり方向感覚を持ちデザインすべきだが、いったん方向が定まったら流れに任せてみることが提案されている。すると意識していなかった自分の才能を発見したり等、よき偶然や掘り出し物に出会うことがある。
いくつか印象に残ったポイントは
・「夢しか実現しない」:夢なんてという人がいるが、夢として描かないかぎり、それは実現しない(ベンチャー起業家の方のことば)
・「ドリフトも偶然を楽しむ」:そもそもキャリアを詳細に設計し -
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ネタバレ欲求階層説で有名なマズローが経営について語った手記をまとめた著作でもともと1965年の初版が再発掘され、編集されたもののようである。構成としても手記を中心にまとめられているため、まとまりがなかったり、難解な部分も見受けられ、個人的には全体としての理解がうまくできなかった。
印象的だったのはマズローがドラッカーらの経営管理原則が過度に一般化されており、適用すべき人間を限定していない、と批判していることだ。マズローは進歩的経営管理の方針として数々の仮定を設けている。いくつか重要なものをあげると、
・人間は信頼できるもの
・権威主義的な支配・被支配の関係は存在しない
・シナジーがある(ひとりの利 -
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前作『シンクロニシティ』よりも更に一層スピリチュアルな領域に踏み込んできています。
“リーダーシップ”に関する図書なのかどうかも怪しくなっています。
様々な経営者や科学者の名前を登場させて権威をもたせている……と訝しみながら読みたい気持ちをおさせて、「出現する未来を知る」ことができたりしている実績が確かにあるのだとしたら、それはなぜだろう? ということに迫るつもりで読み進めます。
一体どういう状況が人をそうさせるのだろう? を著者が掘り下げていった結果がこういうことなのだと思います。
“この方面”はなんだか怪しいですし、にわかに信じがたい点もはらんでいるのですが、その分 人が寄り付きに -
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ネタバレ支援とは、「役に立とうとする意志」のある者と、「支援を受ける意思」のある者との間に成り立つ。
生返事は関係を損ね、求められていないのに手を貸す行為は信頼関係を壊してしまう。
「役に立とうとする意志」のある者は、求められる支援が今まで似たようなものがあったとしても、全く新たな要求として捉えること。そして、求められる支援の本質的な意図を探ること。相手が話す内容だけでは、本当に求められていることに応えられないかもしれない。時期尚早に答えず、会話をし、何に困っているのかを明らかにすることが大切。
また、支援を受ける側をワンダウンの立場に感じさせないことも大切。あくまで対等なので、喜んで支援すること。 -
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GE、そしてリクシルの人事責任者を歴任した八木さんと金井先生の著作。
人事とは給与計算とか制度設計といった仕事ではない。HPにはずっと人事部がなく1000人をこえてはじめて人事部をつくった。その際、ビル・ヒューレートは「人事部門の仕事は経営の質を高めることだ」と定義した。それくらい広範囲にわたるのが本来の人事。外部環境の変化に対応した人材育成をしたり会社の事業戦略とそれに必要な組織、人材を育成する役割があるから「戦略」人事。単なる適材適所やルールやマニュアルを守る受け身部門ではだめだ。
会社全体の未来はリーダーの育成にかかっている。その育成は人事部員の育成にかかっている。人事をどう強くするかが -
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経営幹部の一皮むけた経験を集めたもの。
「プロジェクトで一皮むける」が自分としてはイメージしやすかった。
・事が成ったとき、みんなが「自分がやった」と自慢するのは、みんなが達成感を得られた証であり、幸せな物語である。
・「適応は適応力を阻害する」現状にしっくりきすぎると、過剰適応の状態となり、緊張がなくなり発達が止まる。
・ヒラメパラドクス
若手に仕事を任せるほど、顧客のほうではなく、上司の方を向いて仕事をしてしまうという現象。
・What構築能力 vs How能力
Whatは課題発見提起能力、How能力は課題解決を考える能力。リーダーにはWhat構築能力が求められる。
・戦略的自立性と戦術的 -
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ネタバレ経営組織・リーダーシップ論の研究者であり、神戸大学経営学部の看板教授である著者による、経営組織論。日系文庫ということもあり、基本的な内容をわかりやすく解説することに主眼が置かれている。ちょうど、人的資源管理論~組織行動学を学んでいるところなので、その復習にぴったり。主に後者が中心だが、組織の制度設計等、人的資源管理論に関する内容も扱われている。
肝心の内容というと、組織というものの定義が非常にふわっとしていて、捉えどころがない不定形であるという認識を前提として、その多様性をいかに外部・内部環境の状況に応じて考えていくか、という視点で描かれている。
具体的な内容で引っかかったのは以下のポイント