【感想・ネタバレ】完全なる経営のレビュー

あらすじ

ドラッカーも絶賛!
「これはマズローの最も重要な、不滅の作品だ」

本当の自己実現とは何か?
欲求階層説は、そもそも何を示しているのか?
その真意はマズローのオリジナルにふれなければ理解できない。

アドラー、フロムらと並ぶ心理学の巨人、
その神髄がこの本にある!

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Posted by ブクログ

マズローの自己実現は自分らしさを利己的にそしてそれが利他になる、そこに至る過程では学びが必要で厳しい時もあるだろう、しかし、そこからシナジーを目指すことが必要。
今変化が激しく、その変化のスピードが早い時代だからこそ、改めて、自分の使命を見つめて組織化を考えます。すべてのことにありがとう。

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2024年06月02日

Posted by ブクログ

マズローの造語であるユーサイキアン経営は、社員が自己実現できる職場を提供する経営です。まさに今流行のウェルビーイング経営ですね。

本書は、構造化を嫌った書き方になっています。本のために書かれた原稿ではなく手記をもとに出版したのがその理由だそうですが、マズローの本は全てこんな感じです。

問題意識が無ければ、「わかりづらい」の一言でしょう。もし、自己実現に対する仕事や職業、経営に関心があるなら、本書から知識を得るのではなく本書をきっかけにして自己実現できる職場の実現を目指してみませんか。

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2022年05月03日

Posted by ブクログ

 「それでは貴方が仕事を通して叶えたい自己実現を教えて下さい。」と聞かれた時、私達はどのように答えるだろう。


 〝仕事を通じての自己実現は、自己を追求しその充足を果たすことであると同時に、真の自我とも言うべき無我に達することでもある。〟(マズロー)


 マズローのいう、仕事を通じての自己実現とは「仕事という外の世界と私という内の世界が一体化する」という事である。
 仕事の社会的価値を見出し、その価値を自己に取り入れれた時、その人は社会的価値を内包した価値ある自分になるのである。
 「まず隗より始めよ」という言葉がある。
 他人の仕事にケチをつける事に専念するのではなく、自分の仕事にはどの様な社会的価値があるのか、今一度考える必要がある。
 そして、その価値に共感し、自分の内に取り入れて、無意識に仕事を行える。
 きっとその時、自己実現を果たしている人と言えるのだろう。

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2020年05月17日

Posted by ブクログ

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シナジーを促進するためのベースとなるマインドセット。
「いいことの量は限られている」と思うか?「いいことは相互に開くことで増える」と思うか?
前者で捉えているとどんどん視野が狭くなっていく。

語彙が豊富な人ほど学習能力が高まる。
世の中に対する認識を高められるから。

企業秘密は何もない。いい経営管理手法や製造法は継続的に改善が加えられている。他社が模倣しても完成した頃には自社はさらに先に行っている。

責任をもって与えられたミッションをやりきる、そのことには全身全霊で取り組む。
ミッションが達成される、とは何かを履き違えないこと。自分が納得するまで考え尽くす、自分の納得する答えを出す、はどちらも達成ではない。目的があり、目標があり、そのために考えた変化が実践され実現すること。あくまで、実践。
考える人、と、やる人、の区分が曖昧になればなるほど実践へと移されやすくなる。

どのような方法で人間を管理するのが最も効果的だとかていしているか。これが経営トップに対する最も重要な問いかけである。経営陣がどのような仮定に立って人材を管理しているかで、企業の性格が決まる。(ダグラスマクレガー)

働く人の尊厳を保つにはどうすれば良いか?自分自身を一つのサンプルとして深く理解すること。抽象化した時の根源的な欲求は大差ない。
人間的に扱われたい。状況に作用したい。決めたい。自律的でありたい。評価されたい。
同じビジョンを目指していて、かつ、納得感があれば我慢もできる。
組織の目標と個人の目標がかみ合わない時に、本人のやりたいことを踏まえて機会を作ることも必要。

組織に課せられた最も重要な任務は社員の創造性を抑圧しないこと(サムスターン)

マズローは企業が個人の成長をもたらす場として機能し得ると考えている。
何としてもやり遂げるのだという気概で仕事に望んでいるとある時点から仕事は情熱を傾ける対象となり仕事と自分の距離はなくなります。人間は常に自分自身の核心に向けて徹底的に試されているのです。

構造化することで創造性が失われる。
判断を停止すれば革新的なアイディアを受容する力が高まる。

いまここに全面的に没頭し完全にその場で見聞きするためには強靭なパーソナリティをすべて備えていなければならない。
過去も未来も忘れ現在だけを考えること。
この姿勢はかなり勇敢な人物であり、自分自身に信頼を寄せていること、新たな問題を解決できるという静かな自信を秘めていることを示す。

事例評価法 ゲーリー・ハイル
企業内の人間がその企業について語った様々な物語を分析すれば、その企業の顧客サービスの質や従業員に対するエンパワーメントの実態などの有力な情報が得られる。
「職務を遂行する上でどのような障害がありますか?」
組織を束ねて行く上で不満を大事に扱う。

思考パターンとして、究極的に理想的な状態をまずは考え、そこから現実とのギャップを抽出する。

モチベーションは欠けている基本的な欲求を満足させるために努力することを指すのであり、非自己実現者の世界でのみ成り立つ概念である。自己実現のレベルでは人は動機付けられて努力しているのではなく、あえていえば「発達しつつある」のである。
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2012年02月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

マズローというと、「自己実現」という概念や「欲求5段階説」が
有名です。人間の欲求は、生理、安全、所属、承認、自己実現とい
う5段階からなっており、それらの欲求は低次から高次のものに進
化する、というものです。自己実現を頂点にしたピラミッドの図で
描かれ、色々な場面で引用されるので、聞いたことのある方も多い
ことでしょう。マズローがいなければ、「自己実現」という言葉は
これほどまでに広まらなかったと思います。

しかし、マズローその人の著書となるとほとんど知られていません。
広く名前が知られているのに、原典は読まれていない。古典と呼ば
れるものはたいがいそういうものですが、マズローの場合、その主
著が何であるかさえほとんど知られていませんから、受容のされ方
に問題があったとしか思えません。

かく言う井上も、マズローの著作はこれまで未読。いままでずっと
わからなかった「自己実現」という言葉の意味が、ようやくわかり
かけてきた気がするので、マズローでも読んでみようかと思い立ち、
以前に購入したままになっていた本書を手にとったという訳です。

原書の出版は1965年。本書は、そこに経営者や学者達のインタビュ
ーを追加し、多面的な視点からマズローの理論が考察できるように
工夫された新版の翻訳です。ただし、400ページ超ですし、断片的
な論考を集めた体裁のため、体系だっていないのが難点です。

それでも、やはり部下や会社のマネジメントに携わる人、働くこと
の意味について悩む人には読んで頂きたい本です。マズローは、企
業(役所等も含みます)に、個人の自己実現を追求する場としての
可能性を夢見て本書を書いています。つまり、本書は、組織の人間
的価値に対する問いかけなのです。そして、その問いかけは、現代
においてこそますます重要になっています。

格差社会と言われますが、それでも今の日本は、多くの人が自己実
現を目指す欲求段階に到達している希有な社会です。それはまさに
マズローが夢見た社会です。その時、企業はどうあるべきか。そう
やって見ると、本書がまさに予言の書としての輝きを持ってきます。

大部のためひるんでしまいますが、読み始めると面白くてやめられ
なくなります。是非、読んでみてください。

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▽ 心に残った文章達(本書からの引用文)

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仕事生活、すなわち生活のために収入を得る手段を正しく管理すれ
ば、そこで働く人間は成長し、世界はより良いものとなる。

重要で価値ある仕事をやりとげ自己実現に至ることは、人間が幸福
に至る道であると言ってよいだろう。(中略)洞窟にこもり、たえ
ず自己と向き合うことで自己救済を果たした者は、私の知る限り一
人もいない。(中略)私の知る幸福な人びとは、いずれも、自分が
重要と見なす仕事をりっぱにやりとげている人びとである。

自己実現者から見れば、仕事は「使命」「召命」「義務」「天職」
といった宗教的意味合いの言葉で呼ぶにふさわしいものなのである

権威主義的な経営管理の下では、労働者の尊厳が踏みにじられると
いう点に関しては、だれもがある程度気づいているようだ。このよ
うな場合、労働者が尊厳や自尊心を回復しようとして、敵意むき出
しの破壊行為に出たり、陰に回って陰湿な手口で報復したり、とい
った事態が生じる。

自己実現者は他人の喜びによって自分の喜びを得る人間である。

組織は、人間が全身全霊を傾ける舞台となる豊かな土壌である。そ
れにもかかわらず、大半の組織は人間の潜在能力が開花することを
許さず、むしろその芽を摘んでしまっている。

一般的に言って、自己実現に近づけば近づくほど、さらにいいリー
ダー、いい上司になりうるということである。(中略)いい上司、
いいリーダーは、他人の成長や他人の自己実現を喜べるような心理
的特質を備えていなければならない。言い換えると、彼は保護者も
しくは父親のようでなければならないのだ。

いいリーダーは優秀な農夫と同じで、必要以上に人を鍛えたり、型
にはめたり、無理強いしたりすることがない。人が成長するのに適
した条件を整え、人々に種を与えるか、もしくは、初めから人々の
内に埋まっていた種を発芽させたら、後は必要以上に干渉すること
なく、その成長を見守るのである。

動機づけ理論によれば、不平がやむことなど決して期待してはなら
ないのである。期待すべきは不平のレベルが次第に高まっていくこ
と、すなわち、低次の不平から高次の不平へ、そして最終的にはメ
タ不平へと高まっていくことだけである。(中略)われわれは「現
在の不平は、動機づけのレベルが向上した結果生じたものだろうか」
と問う姿勢を身に付けるべきなのである。

自分の能力を最大限に発揮できるということは自己実現に近づくと
いうことであり、欲求が充足されて幸福感を味わえるということで
ある。(中略)こうしたレベルに達すれば、人間は自分のやりたい
ことをやれるようになる。自分のやりたいこととは、すなわち、自
分の能力を最大限に発揮できること、何よりも楽しいこと、社会に
とって望ましいこと、達成感や楽しさ、義務を果たしているという
実感をもたらしてくれることである

人間は自分が社会に提供できることだけでなく、他者が社会に提供
していること-このことに関しては、自分よりも他者の方が優れて
いる-をも正当に評価しなければならない。言い換えると、他者が
自分とは異なっていることに感謝しなければならないということだ。

人間が成長し、精神の健康度を増すにつれて、競走を勝ち抜く手段
として進歩的な経営管理がいっそう求められるようになり、権威主
義的経営管理を続ける企業はますます不利な状況に追い込まれるよ
うになる。

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●[2]編集後記

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今、野草にはまっています。きっかけは、若草染めのワークショッ
プに家族で参加した時に、皆で採った野草を天ぷらにして食べさせ
てもらったこと。ヨモギ、クワの葉、ドクダミ、ハルジオン、ノビ
ルなどを食べたのですが、これがとっても美味でびっくり。学生時
代、タンポポの葉はよく食べましたし、多くの野草というか雑草が
食べられるものであることは知っていましたが、正直、こんなに美
味しいものだとは、今まで知りませんでした。

おまけに野草は多くの場合、薬効成分があります。ドクダミもヨモ
ギも健康にとても良い成分を大量に含んでいるそうです。特に、ヨ
モギは、食べるだけでなく、風呂にすると良いとも言います。これ
は野菜を買っている農家の方から教えてもらいました。その方は鳥
インフルエンザの予防として、茶がらでのうがいとヨモギ風呂を励
行しているそうです。

調べてみると、ヨモギには殺菌・消炎効果があり、ヨモギ風呂は特
に呼吸器系の病気や皮膚病、アトピー等のアレルギーに効くそうで
す。血行促進、保温効果、美肌効果もあり、まさに万能薬の感があ
ります。そういえば、子どもの日の菖蒲湯のセットにはヨモギが入
っていましたが、やはり意味があったのですね。

わざわざお金を出さなくても、世の中にはこんなにも美味しくて、
身体にも良いものがどこにでも生えているのです。なのに、食用は
もとより、入浴用等の使い方にしても、ほとんど一般化していませ
ん。それが不思議でなりません。もしかしたら、私達は、売られて
いるもの以外は価値がないと見なすような思考回路を知らず知らず
のうちに身につけてしまっているのかもしれません。それはとても
一面的で不自由なものの見方だと思うのです。

野草の愉しみを知ると、大袈裟なようですが、普段見ている風景が
変わります。今までは見過ごしていた足下に咲く野の花が、急に愛
しくなり、リアルに感じられるようになります。本当にちょっとし
たことで、毎日の生活は変わるのだなと改めて感じ入っています。

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2011年12月29日

Posted by ブクログ

ピーター・F・ドラッカー、またスティーブン・コヴィーらの考えを基礎に置き、またさらに発展させ経営のあるべきすがたを問う一冊。特に上記2冊は日本でもかなり有名であり、多くの人が呼んでいると思われるが、読んでいる人にこの本はふさわしい。また現在の日本的会社風習を打ち破り、個々の人間の自己実現を最大限高める経営が長期的な会社、また地域、そして地球全体に利益と幸福をもたらす信条の持ち主には一読の価値あると思われる。

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2011年05月19日

Posted by ブクログ

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「個々のセラピストの力ではどうすることもできないような問題でも、良き共同体、良き組織、良きチームが解決してくれるのである。(『完全なる経営』P6)」
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うーん、共同体はともかくとしてマズローは組織にそういうものを求めているのか。それは間違いな気がするな。組織は従業員の人格には関与しない。重要なのは成果をあげられるかどうか。企業は、慣れ合うために存在しているのではなく、成果をあげるために存在しているのであって、マズローが期待しているものを求めるのならそれはプライベートで求めるのが妥当のように思う。パーソナリティ障害は、よい組織によって少しは改善されるかもしれないが、それ以上に企業に深刻な問題を起こしそう。普通に考えたら解雇したほうがいいと思うけど。

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「(注訳:マズローが当時見聞したと思われる労働環境の良くない)チューインガム工場やインチキ広告代理店、あるいは安物家具の製造工場で働かされていたら、自負心や自己愛、自尊心を抱くことなど不可能だという思いがつのってくる。
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チューインガム工場w
ふーむ、まあ確かにそうかもしれないけれども、難しい問題だな…。

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「私にいいことは、あなたにもいいことだ」式の考え方は、長期的に見れば、どれも紛れもない真実なのである。だが、短期的に見た場合、あるいは緊急時や悪条件の下、とりわけ食糧難の際には決して真実ではありえない。(P200)
道徳、人道主義、善-親切、愛他主義、利他主義、思いやり、助け合いなど-は、いずれも豊かで恵まれた社会を前提としているのである。(P200)
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人間にとって豊かで恵まれた社会って実現するのかな。日本は世界的に見てどう考えても恵まれているけれども、幸福度(これの数値に付いてはいささかの疑問はあるものの)は世界で低いらしい。なんだろう、結局どんなに豊かになっても、人間に欲望が存在する限り、すべての人が豊かで恵まれた社会なんて実現しないんじゃないかな。これくらいでいいよ、今のままでいいよっていうのがあまり許されていない社会な気がする。それがいいか悪いかは別として。

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「ゼネラル・モーターズのためになることは、アメリカのためになる」という、大いに物議をかもした言葉が思い出されるが、理想的な全体論的世界、すなわち完全な有機的統合を果たした世界においては、この主張は真実なのであり、また真実であるべきなのだ。(P191)
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ううーん、それは相当な理想論というか、現実的な考え方ではないように思うなあ。今回のGMの救済については賛否両論あるし、確かに国家の救済はGMのためにはなるけど、アメリカのためになったかどうかについては、絶対にアメリカの利益になったとはまだ言えない。

--気になった言葉--
幸福とは、何かにともなって生じる状態であり、副産物なのだ。(P13)
「無益な仕事は、りっぱにやりとげる価値がない」(P25)
誰かを破滅させたければ、いきなり百万ドルを与えることだ(P36)
それほどの力を持った企業が、地域社会や環境、家庭生活などに関わる問題、あるいは従業員に関わるありとあらゆる問題に取り組まないとすれば、個人の生活をより良いものにする力が、この世から失われてしまうことになるのです。(P52)
「ウォール街がなくなり、四半期ごとの業績にあくせくしなくてすむようになれば、万事うまくいくのだが」というセリフは正しくないと思います。(P54)
どんな状況になろうとも「いい管理原則」なら永遠に有効だ、などと考えてはならない。

[P76-77]
●収益や利益を従業員に分配している企業は、そうでない企業よりもはるかに高い業績を挙げている。
●広く社員に情報を開示し、社員参加(知的な意味での参加)型のさまざまなプログラムを実施している企業は、専制的な経営スタイルを取る企業よりもはるかに高い業績をあげている。
●柔軟な仕事のやり方の設計(フレックスタイム制、ローテーション制、職務拡大の実施)と好業績との間には強い相関関係が認められる。
●訓練や人材開発プログラムの実施は財務上の業績にプラスの影響をもたらす。
●収益に影響を及ぼす要因の三分の二は、グループ制による従業員の経営参加や知的活動への参加、柔軟な職務設計、各種訓練などによって生じた複合的効果によって占められていた。

何パーセントかの人間は責任を引き受けることができず、自由を怖れ、自由のためにかえって不安に陥るというのが現実の姿なのだ。(P79)
人間の尊厳を奪ったり、損なったりしない組織を作るにはどうすればよいのか。組み立てラインのような非人道的な環境は、産業界では避けることができないが、こうした環境を浄化し、労働者の尊厳と自尊心をできる限り保つためには、どうすればよいのか(P96)
自社の利益や生産、販売のみを目標として掲げる企業は、事実上われわれ納税者を踏み台にしているのである。(中略)健全な社会は、高い水準の労働者を、ほぼ無償で企業に提供しているのである。(P109)
実務的に優秀な監督者は事前にあれこれと考えることなく、直感的、無意識的に、つまり、単純にパーソナリティを表出するだけで成果をもたらす。(P144)
愛とは二人の人間の異なる欲求が融合し、共通の欲求をもった新たなまとまりが誕生することなのだ。(P152)
人の考えを真似したり、盗んだりするのは、ニワトリを盗もうとせず、卵ばかり盗むようなものである。(P162)
この方法[各地を遊説し他の候補者と競い合う]が危険だというのは、候補者の顔ぶれが利己的な人間、すなわち他人を支配する力という意味での権力を病的に求める人間ばかりになってしまうからだ。(P214)
権力を求めるような人間こそ権力を手にすべきではないのだ。なぜなら、彼らの権力追求は病的であり、そのことが頭を離れないからである。こうした人間は権力を悪用しがちなのだ。(P214)
だれかが私を意のままに操る力をもっているとすれば、私はきわめて病的な人間ということになるだろうし、私を意のままにしたいと考えるその人物もきわめて病的な人間ということにならざるをえない。(P218)
自分とは異なる意見に耳を傾ける、多様な考え方を取り入れる、ある分野で専門的知識を持った人物を登用する。意識的にこうした行動を取るようにしないと、オブラートに包まれたような情報しか入ってこなくなります。(P222)
世界の欠陥を治すのは実業界だと思います。決して政治家や政府ではありません。人間の問題が一個の会社よりも重大であることに気づいたビジネス・リーダーたちが、世界を変えるのです。(P225)
リーダーには、敵対にあっても持ちこたえる力、言い換えれば、人に嫌われても取り乱さない力が必要だ。万人に愛されなければ気がすまないような人間が、優秀なリーダーになることはほとんど無い。リーダーは「ノー」と言えなければならず。断固としていなければならないし、闘いに挑むだけの強さが求められ、断固とした態度を貫き、解雇を通告し、人を傷つけ、苦痛を与えることもそれらが客観的に必要とされているならば、やらなければならないのである。言葉を言い換えれば、上司は弱い人間であってはならないということだ。(P226)
一般的にいい上司、いいリーダーは、他人の成長や他人の自己実現を喜べるような心理的特質を備えていなければならない。言い換えると、彼は保護者もしくは父親のようでなければならないのだ。(P229)
すべての人間を信頼すべきであるというドグマは、非現実的な行為を招きがちである。(P240)
善悪正邪の基準が曖昧な人びと、何を望み何を望まないかをはっきりと自覚していない人びとは、明確な指針をもったリーダーを求める。t中略)非権威主義的な人間は一般にそうであるが、民主的なリーダーには、自分が無知であることを容認する傾向、自分が全てを知っているわけではないことを隠そうとしない傾向が認められる。(P247)
強迫的な妄想をもった人間が管理者や経営幹部、リーダーに任命されることが多いのは、このためでもあろう。妄想をもった人間は、行動に一貫性があり、方針が明確で、容易に心を動かされない。つまり、こうした行動は病的なものかもしれないのだ。だが、心理学に精通していない一般人の目には、必ずしもそうは映らないのである。(P247)
悪い親は問題だが、優れた親も問題である。と言ってもよい。たとえ問題の質が違うとしても、問題であることに変わりはないのだ。(P250)
誠実さや真実は必ず痛みを伴うのである(P251)
[マイケルマーフィー談]カルト的な雰囲気が、強力な企業文化の一部として社内に存在する場合、社員の創造性が発達することがあります。目的に対する共通の意識が形成されるからです。(P269)
相手が私のことを、厳しいフィードバックを与えても耐えられるだけの強さと、能力と、客観性を備えた人間だと見てくれているとすれば、それは私が尊重されているという何よりの証となる。(P273)
企業における友好関係や開放性にはまちがいなく限度というものがある。上司、すなわち、判事や死刑執行人や警察官の役目を担い、採用や解雇の決定権を握る人物は、やはり自分が罰すべき労働者たちと親密になりすぎることなく、距離を保っておくべきなのだ。(P288)
動機づけ理論によれば、不平がやむことなど決して期待してはならないのである。期待すべきは不平のレベルが次第に高まっていくこと、すなわち、低次の不平から高次の不平へ、そして最終的にはメタ不平へと高まっていくことだけである。(P370)
高次の不平を、それより低次の不平と同等に扱ってはならない。高次の不平は、そうした不平が理論的に存在しうるための前提条件がすべて満たされていることを示す証拠として理解されなければならないのだ。(P371)
化学者は社会学者に敬意を払わなければならない。なぜなら、だれもが等しく必要な存在だからだ。お抱え運転手、ごみ収集人、事務員、機械オペレーター、タイピスト、その他ありとあらゆる人間が必要なのである。(中略)誰かがリーダーで、その他の人間はフォロワーということではない。社会の全成員が目標を明確に理解し、全力を尽くして各人になしうる最大の貢献を果たすのが理想的な社会変革の姿なのだ。一人ひとりの人間が、皆等しく将軍となるのである。(P390)

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2010年08月15日

Posted by ブクログ

あなたが知っている(と思っている)「自己実現」は本当の「自己実現」とは違うかもしれません。

この本には、マズロー本人が本当に世の中に伝えたかった「自己実現」とはどういうものなのか、ということが詰まっています。

タイトルからもわかるように、経営に活かせることができる経営書でもありますが、人間のあり方を説き、よき人間が作る組織・社会がよき経営のあり方につながる事を人間性心理学の観点から、非常に重みを持って伝えてくれる良書です。

現在、私たちが生きる社会に「健康な人」は何人いるのでしょうか。
なぜ、「健康な人」として成長できないでいるのでしょうか。

このような問いについて考えるよいキッカケとなることでしょう★
分厚い本ですが、読んでよかった、と思える本です。

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2009年10月28日

Posted by ブクログ

いい本って読みながら、あの事に通ずるなとか、あの人に読ませたいとか、伝えたいってなる。
かなりのボリュームだったけど、気付かされることが多かった。

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2023年02月01日

Posted by ブクログ

教科書的な断片の知識として知ったつもりになっていたマズローの考えに触れられる良書。
小宮先生おすすめシリーズ。
あとがきを読んで初めて知ったが、この方の著書は箇条書き的な書き方が多いようです。
たしかに読んでいて、箇条書き的なイメージを覚えました。
でも、随所に考えさせられたり、納得の出来るところがあり、いつか再読してみたいと思いました。
ピラミッドを書いて分った気にならずに済みそうです。

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2016年06月30日

Posted by ブクログ

んー、これは手ごわい。
人間心理学の見地から経営を望むアプローチ。
マズロー以外の言葉も多いが、解釈の一つとみれば、理解を深める手助けになる。

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2012年06月27日

Posted by ブクログ

最近、マズローの欲求5段階説を基にして「仕事における欲求段階」を自分なりに定義し「仕事の持つ可能性」を見出すという、『いったいなんのことだかわからないプレゼン』をしました(´・ω・`)しかしまぁやってみると案外おもしろくて、資料として読んだこの本も結構おもしろかったのでご紹介まで。いやしかしまだこれ全部読んでないんですけども。文字がいっぱいあって読めないという中学生のような壁にぶち当たりましたが、大人なので「忙しいから」という言い訳をします。必要な部分以外は『ぱらぱらと』読んだのですが、やはり「自己実現」という言葉に弱いのは政策科学部病でしょうか。自己実現の先にあるのは「自己を超越し他者のために尽くす」という、ナイチンゲール的な段階。しかし人間、仕事を通じてであれば「誰か」のためにがんばることができるのでしょう。「誰かの笑顔のために」みたいな。

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 欲求階層説で有名なマズローが経営について語った手記をまとめた著作でもともと1965年の初版が再発掘され、編集されたもののようである。構成としても手記を中心にまとめられているため、まとまりがなかったり、難解な部分も見受けられ、個人的には全体としての理解がうまくできなかった。
 印象的だったのはマズローがドラッカーらの経営管理原則が過度に一般化されており、適用すべき人間を限定していない、と批判していることだ。マズローは進歩的経営管理の方針として数々の仮定を設けている。いくつか重要なものをあげると、
・人間は信頼できるもの
・権威主義的な支配・被支配の関係は存在しない
・シナジーがある(ひとりの利益は全体の利益となる、全体の利益はひとりの利益でもある)
・諸個人が十分に(心理的に)健康で、組織もしかり
これらはマズローの理想とした、自己実現者で構成された文化ともいえる。私の勝手な解釈だが、企業の各個人が互いに尊重されており、共通の目標を持ち、柔軟にリーダシップをとったり協調できるような風土が確立されているような状況を指すのではないかと思う。今でこそ、業績主義の目標管理に偏らず行動や価値観を評価に含める人事が強調されているが、当時このような理屈が展開されていたことは驚きである。
 マズローはどのようにしたらよいかについて最後に「健康心理学的なものを目指す活動、つまり管理者を含む全社員の成長を促進する活動を第九の副社長に管理させるのが望ましい」、「広範囲にわたる哲学的・心理学的・心理療法的・教育的訓練が中心」とだけ言及している。言ってみれば従業員のものの考え方を変えるための教育を様々なアプローチで行うということなのだろうか。

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2015年02月14日

Posted by ブクログ

久々に読んだ、超骨太の本。
欲求の5段階(生理的欲求、安全への欲求、社会的欲求、尊敬への欲求、自己実現の欲求)で著名なマズローの書。

意外だったのは、欲求の5段階を示すピラミッド図でマズローが説明している事実はないということ。

後年の学者諸氏が、わかりやすく整理し図式化したということだ。

・気に入ったフレーズなど。

幸福とは、何かにともなって生じる状態であり、副産物なのだ

何か重要なものの一員となる。これが自尊心を回復させる特効薬だ。

人間はおのれの宿命、運命を受け入れるべきなのだ

シナジーとは、個人にとっての利益が同時にすべての人間にとっても利益となるような文化であると定義している

多くの人間は耐えること、無理をして困難な仕事に取り組むことをホッしていると言って過言ではない

数値による測定が必要だという姿勢には、まったく同意できません。まず、うまく行くと信じることからスタートすべきなのです。

人的資産を貸借対照表上に反映させるという考え方に関して言えば、かつて奴隷を所有物と見なし、財産とみなしていた時代の考え方に近いと考える人もいるでしょうね

チームメンバーが本当にやりたがっていることは何かを十分確認しないまま始めてしまうのが、問題を生む原因の一つでは無いでしょうか。

ビジョンというのはそれほど重要なもので、全体像が把握できていれば社員も共に血を流してくれるのです。

ビジョンというのは、各人の心に思い描かれた最高の状態にある組織の姿、完全に自己実現的な組織の姿のことです。

自己実現者は他人の喜びによって自分の喜びを得る人間である

アップルには、最先端の技術に精通し「発想の転換」ができるリーダー、自分は「世界を変えられる」と信じるリーダーを育て上げる力があるということだ

他人のアイデアを盗むようなくだらない人間は、優れたアイデアを見落とし、どうでもよいアイデアだけを盗んでいくものだ

貧しい国に必要なのは外国資本ではなく、自信に満ちた起業家なのである

人間誰しも何らかの点で鋭敏な感受性を備えており、その点にふれられるとどうしても憤りを覚え、きちんとしなければすまなくなるものだ

人間の問題が一個の会社よりも重大であることに気づいたビジネス・リーダーたちが、世界を変えるのです

リーダーには、敵対にあっても持ちこたえる力、言い換えれば、人に嫌われても取り乱さない力が必要だ

軍隊を民主化しようという努力は、いまだかつて成功したことがない

疑念や怖れは自分の内にしまっておくべきなのだ

あなた自身の貯金を企業へ投資に回す場合、過去12ヶ月の利益がどうだったかは考えないことにして、人的資源の豊富な企業と人的資産の乏しい企業のどちらに投資しますか。消費者の信用を得ている企業と消費者の信用をすっかり失ってしまった企業ならどちらがいいですか

基本的欲求が容易に満たされる状況では、欲求が充足されるということ自体、人間に意識にのぼらず、満たされているのが当然だと見なされる

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2011年11月23日

Posted by ブクログ

ドラッカーからの流れで読んだ。今の私には少々難解。内容が難しいという意味ではなく、そこまで難しく考えなくていいんじゃないか、ということ。
しかし、書かれた時代のことを考えると、マズローが与えた影響の大きさは分かった。
目新しさがないのはむしろマズローの偉大さのせいだろう。

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2010年10月29日

Posted by ブクログ

「欲求階層説」、「自己実現」、「心理学第三勢力」などで有名なマズローさんですが、今まで読んだことなし。書評などで好意的に取り上げられているので読んでみました。"Maslaw On Management"をこう訳すのは無理があるが、主著『完全なる人間』にちなんだのでしょう。その原題も"The Psychology of Being"。無理があるのでは?

正直に言うと、かなり違和感があります。神経症や発展途上国に対するかなり差別的な認識や、生まれながらの優劣の積極的肯定。文中でも何度も、昔の話でありそのため現代の認識とは違う、という訳者注が言い訳のように挿入されていますが、かなり根本的な問題であるように思うのは私だけでしょうか。少なくともそこの部分での違和感が私の素直な理解を妨げている気もします。例えば、
「ごく近いうちに、心電計や脳波計などを用いた信憑性の高い一連の実験が可能となり、被験者が将来いい管理者や監督者、上司、リーダーになれるかどうかを、かなりの確率で予測することができるようになるだろう」
...

またどうも言葉の使われ方に無頓着さを感じてしまいます。これは翻訳のせいなのでしょうか、自分の不勉強のせいなのでしょうか。選択された語が時代および学界を背景とした中で何らかの特別な意味と位置があったのではないのかとも思いますが、それを感じることは自分はできませんでした。例えば"いい人間"や"いい社会"という言葉が留保なく使われていて、どうもなじめません。"いい経営"というものを議論するためには、全体論的な議論が必要だということで、そのためにはこういう記述しかなかったというものなのかもしれないです...いいこと言っていることは、言っているのですが。

あと、途中に頻繁に挿入されるインタビュー。リズムが崩れて邪魔なのです。私だけ?

きびしめですが、星2つ。いい本なのかとは思いますが、合わなかったということで。

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2009年12月26日

Posted by ブクログ

「ビジネスマンのための心理学入門:和田秀樹著」にて紹介されていて興味があったので購入。研究論文やマズロー氏の説を学ぶことは結構あったけど、心理学者として有名なマズロー博士の著作を購入したのは初めてかも。

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2009年10月07日

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