楠木建のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
世の中にありふれた経営戦略本がある中、革新をつくような内容だった。事業をやる上で成功事例、言わばベストプラクティスと呼ばれる構成要素を、無作為に模倣しても、それは全体として効果が出るものではないということを示唆していた。各部分を切り取って貼り付けた戦略(戦略とも呼べないようなもの)では、不安定であるからだ。それを一連の流れとして、筆者による具体と抽象を織り交ぜた言葉巧みな解釈に、感銘を受けた。ページ数は、500ページにわたり、比較的ボリューミーであったが大変面白い内容で読んでいて飽きなかった。読み進めていくと重複する内容は勿論出てくるのだが、それはコンテクストとして必要であると素直に受け取ることができた。初めて読んだが、何度か読んで腹に落とし込みたいと心底思った。
-
Posted by ブクログ
ラーニングについて知りたくて読書。
傾聴する時に「今・ここ」と意識して集中する。
適切な発問をしてコミュニケーションを深めていく。
シンプルに、常に本質は何かを考える。
私から私たちへ主語を変えて語る。
目標を作り、努力して、達成を成功とする西洋的な成功原則は、現代日本の教育でも是とされている。
これらと幸せ、人間的な満足・充実感・生きがいは異なる。
そこへ集中して1ミリでも向かっていきたい。
現状を変えるために改善(学習)に集中する。
改善と好奇心を失わないためにコンフォートゾーンから意識して抜け出し続ける。
教える立場になるように常に意識して機会を増やしていく。
読書時間:約1時間25分 -
Posted by ブクログ
経営学者 楠木建が、経営戦略について述べたエッセイをまとめたもの。全体を「戦略」「経営」「対話」に分類してまとめている。説得力があり、とても勉強になった。「対話」で出てくる企業経営者の話も興味深い。
「「競合他社に対する違いをつくる」、ここに競争戦略の根本があります」p3
「競争戦略の要諦は業界の中で独自のポジションを確立することにある。言い換えれば、顧客からみて、「ベター」ではなく、「ディファレント」な存在になるということだ」p11
「(米キャピタル・グループ社長 マイク・ギトリン)「日本企業の変化は本物」だとしつつも、「すべての企業が変化しているわけではない。投資先選びで重要なのは特定の業種ではなく、個々の企業の経営者だ」とコメントしている(2024.2.27)」p13
「企業は3つの場で評価される。競争市場と資本市場と労働市場だ」p15
「19世紀のゴールドラッシュ時代の「金鉱掘るよりジーンズ売れ」は日陰戦略の古典的な例だ」p23
「需要サイドからイノベーションを考えると実は保守思想がものを言う。技術は時として非連続だが、顧客の需要は本質的に連続しているからだ」p31
「表面的には巣ごもり需要の追い風で伸びているように見えるのですが、それは本質ではありません。それ以前からずっと磨きをかけてきたアイリス・オーヤマの戦略に風をとらえる力があった。このことがより重要です」p40
「どの企業も、もともとは何かしらの事業を顧客に提供したくて組織をつくったはず。組織を存続するために事業を開始した会社は1つもない。しかし長く経営を続けていると、組織が事業をするための手段ではなくなり、組織を維持することが目的で、事業がその手段になるという逆転現象が起きやすくなります。それは結果的に組織をむしばんでいくのです(大山社長)」p47
「「全員から好かれている」は「誰からも愛されていない」に等しい」p67
「(経営者と担当者の違い)優れた競争戦略は組織的分業からは生まれない。戦略は「部署」ではなく「人」がつくるものだ。本社中枢の「経営戦略室」や「経営企画室」といった部署のスタッフはそもそも戦略を構想する任にない。戦略はあくまでもその事業の経営者がつくるもの。経営企画部門はそういう経営者がいるという前提で、経営者をサポートする「担当者」に過ぎない」p91
「独自のポジションを取るということは、他社がしないこと、できないことをやり、顧客にとって新しい選択肢を示すこと」p101
「「そう簡単には変わらないもの」、ここに「本質」の本質がある。ビジネスは変化の連続だ。しかし歴史に目を凝らすと、一貫して変わらないものが見えてくる」p118
「「納税」が企業の最大の社会貢献だというのが僕の考えです」p134
「(ノルウェー銀行インベストメント・マネジメント)「これからは適切で透明性のある税務を期待する」という宣言を出しています。実際に基準に合わない租税回避をしている7社を投資対象から外しています」p135
「経営者が長期利益を真剣に考えて突き詰めることが、結果的にESGやSDGsを満足させる最善の道だというのが僕の見解です」p136
「人間は目に見えるものに引っ張られがちなので、どんどん短期的な思考に流れていってしまう。そうならないよう、長期的な視点で的確に物事を判断していく役割を金融機関に果たしてもらいたいのです」p163
「「決める人」をトップに選ぶ。一旦決めた以上は、その人の好きなようにやってもらう。もし「この社長、まずいな」と思ったら、ほかの人に替えればいい。この割り切りが、日本ではできてません」p165
「経営は「人による」ということは本質的に科学ではない(自然科学の法則のようなもので判断や評価できない)」p166
「(商社での経験)グローバル化に必要なのは「グローバル人材」ではなくて事業経営者。すなわち、海外に出ていって、ゼロから商売を立ち上げる、もしくは商売丸ごと動かせる人の存在です。日本に限らず、この意味での経営人材はもっとも希少な経営資源です。日本企業のグローバル化の最大の障壁は、グローバル人材の不足ではなく、経営人材の不足にあります」p210
「経営丸ごと経験を得るという意味では、コンサルティング会社よりも、商社の方が適している」p212
「投資家がスタートアップ企業と出資契約を交わす際の雛形契約書を見ると、多くの場合、「1日も早くIPOしろ。できなかったら自分で自社株を買い取れ」とある。これではローンと変わらない。つまり、金融機関やVCは本質的なリスクを取りたがらない。その結果、起業家がリスクを取っている」p216
「(アメリカ企業との交渉)「日本人だからどうせ言ってもわからないだろう」というスタンスで来られるので、最初に戦わなければいけません。2年も3年も経ってしまうと、ただギャップが開いてしまうばかりで、信頼関係なんて作れませんから、早い段階で言いたいことをはっきり言う必要があります」p239
「日本人はイエス・ノーをはっきりさせないところに価値観がありますが、これは駄目なのですよ。はっきり言った方が向こうの連中にとって絶対にいい」p240
「不動産業界は昔からある商売です。特段の技術革新が起きる業界ではありません。一方で「ケモノ道」というか、業界に入らないと経営ノウハウがわからない奥深い世界でもあります」p240
「唯一わかっていたことは、資産は持たず、お客さんから手数料をもらう仲介業は決して潰れないこと。一方、資産を買うデベロッパーは潰れる」p242
「僕も自分のためにやるのだけれど、組織で成果を出すという発想で会社を組み立てようと思っていました。従業員にはそんな発想はなく、自分が稼ぐために従業員がいるという感覚。だから、これは楽勝だと思ったのです」p246
「会社はどうすれば大きくなれるのか。お客様ひいては社会に認められるから、会社は成長できるはずです。以前は「お客さんに時間を使いすぎると生産性が落ちるからやめろ」と平気で言っていましたが、「お客さんのために働くこと」を言葉として社内外に打ち出しました」p247
「不動産営業は若ければ若いほど数字がいいのです。理由は、不動産営業は行動力とお客さんとの接触時間で決まるからです。経験や知識よりも、お客さんと長く接する時間を作れる営業マンが強い。それは、データを取ると明らかです」p256
「これは不動産業界に限ったことではなく、どんなBtoCビジネスでも営業マンの仕事力は、出身大学の偏差値と反比例すると思います。頭のいい人は慇懃無礼だったりしますから。BtoBだったら逆で、相手に優秀であるというアピールが重要だから、偏差値は高い方が有利でしょう。BtoCは、自分がお客さんより下の立場にならないとだめです。お役さんはロジックで整然と説明する営業マンよりも、礼儀正しく感じがいい営業マンを好きになる。人に好きになってもらうと、自然と家も売れるのです(オープンハウス社長 荒井正昭)」p259
「(アクティビストにとっての良い投資対象)典型的に本業はあまりよろしくないんだけれども、過去に儲けた資産とかキャッシュがたんまりあって、株価はめちゃくちゃ安いというような会社ですね」p304
「「相乗効果」や「シナジー」といった言葉を連発する経営者はあまり信用しないことにしています。なぜなら、そういう人の頭の中は、戦略ストーリーが「組み合わせ問題」になっているからです(ストーリーになっていない)」p317
「(多くの人に見られることで生産性が向上)実験の被験者に選ばれて、常に「見られていること」それ自体がモチベーションを上げていたのです。この発見は「ホーソン効果」と名付けられました」p341 -
Posted by ブクログ
ギブ&テイクのようなキャッチーな内容ではなかったけれど、一つ一つの章をじっくり読んで、自分のものにすると人生を変えることができる本かもしれない。
この本を、自己啓発書として扱って、毛嫌いするのはもったいない。心理学書です。
アダムグラントさんについて調べてみたら、年下なのが衝撃(貴様いつまで女子でいるつもりだ...)。アダムグラントさんこそ、オリジナルな人だね。
昔、めざましテレビで「セグウェイ」を華々しく紹介していたことを思い出した。これから、これが流行りますよ〜って。(私の記憶が間違ってる可能性はあり。とくダネやったかなー。)あれは、何年前の話だっただろう。
私は未だに「セグウェイまだ日本で流行らないなー」と思っているけど、今後も流行る予定ないんだと知った笑。
※新しく覚えた言葉(明日には忘れるのでここに覚書)
【ブジャデ(vuja de) 】
心理学者や組織論の文脈で使われる言葉。造語。
「デジャヴ(déjà vu)」は「前にも見たことがある感覚」。それに対して 「ブジャデ(vuja de)」は『見慣れたものをまるで初めて見るように感じること』 。
-
Posted by ブクログ
「戦略」を持って会社を経営、事業を進めることがどれだけ大事かを痛感させられる内容だった。本書は決して明日からすぐ使えるハウツー本ではなく、戦略を作ることの考え方やスタンスを提示してくれている。業務ではじめて戦略を意識した業務に就くことになる自身にとって、「戦略を持つこと」がなぜ重要で、どんなふうに考えて作ると良いかの解像度が高まった。
戦略の方向性の定義として、SP(何を選択し何を捨てる)や、OC(組織力強化、仕組みづくり)、ストーリ戦略の5C、whyがつなぐ因果論理など…戦略を作る上で必要となる要素やその意義など、目から鱗な学びが多かった(今までいかに戦略という言葉をわかったふりをしてきたか…!)。
特に、コンセプトを定義することとは、「本当のところ(見たままではなく)、誰に何を売っているのか」の問いに答えたものである必要があり、それは人間の変わらぬ本性の部分に刺さるものであるという考えは大切にしていたい考え方。顧客がお金を払うのは、そのモノ自体ではなく、モノから得られる価値、もっというと「普遍的な価値」である。それを見つけることができるように、日常の仕事や生活の小さな疑問に「なぜ」を考えるようにしたい。 -
Posted by ブクログ
きっかけ
興味のある戦略×本の紹介となっていて次の読書の参考にもなるなと思って読んだ本
内容
経営戦略を得意とする著者がその目線で見た千差万別の本の紹介?説明をしている
感想
読み始めはボリュームが多く全然読み進まないと思っていたが、内容が軒並み面白くて寝る前の読書の楽しみにまでなっていた。
戦略とはいいつつも、概要の説明のために著者の趣味や体型や本の読み方など人柄も知れて、それこそ本文中にあるトリップ(著者との対話や追体験)に入り込めて読みながら読書の楽しさを再認識することができた。
特に読みたいなと思ったのは「直球勝負の会社」と「一勝九敗」、どちらも日本の起業家の本だけどその他にも紹介されてる本の幅が多く、タイトル確認するために目次見直しただけでもこれも読んでみたいな〜!ってワクワクした。
あとロングインタビューにあった「読書の合間に読書をする」という概念がやったことあったけど、何故できたのか何がどういう仕組みだったのかを言語化してくれてて会得したって感じがした。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ幼少で夢ができたときに、ふたつの夢から抽象化して一般化したというのだから驚いた。
本書を通して、楠さんはものごとを深く考えているなと思うが、これが好きなのだろう。
ビジネスに関してだと趣味と仕事の違いの説明はとてもしっくりきた。グラデーションで捉えていたが、仕事は顧客を儲けさせること。ぼかした言い方だと、ベクトルが顧客に向いていることだと認識した。
仕事をする上での大きな基準となりそうだ。
良し悪しと好き嫌い、自分はどちらの傾向も持っていそうだが、どちらかと言えば好き嫌い族かな?
自分を深く知るための新しい軸になると思うので、生活の中で「今の良し悪しだな」、「これは好き嫌い族っぽいぞ」と言うように気づけると面白そう。 -
購入済み
オリジナリティは選択である。
オリジナリティは選択である。という主張がとても響いた。オリジナリティは何か持って生まれたものではなく,それを成長させることができるというものである。また,多くのことは自分で制限をもうけてしまっていることも思いあたることがあった。
また,同じ街や時代など同じ環境でも異なる行動をする人の違いに,親が子に説明をしたかどうかがかかわているという部分はとても興味深かった。親が子に対し,「説明を理解できると信じること」という態度をとることがオリジナリティを生み出す人たちの共通点というのを調べていく著者の研究心がすごいと思った。
-
Posted by ブクログ
経営学者 楠木建氏が、スカイマークの機内誌『空の足跡』をはじめとする雑誌等に掲載されたエッセイをまとめた本。「ストーリとしての競争戦略」、「絶対悲観主義」など楠木建氏の本には感銘を受けたが、本書のエッセイを読んでいくと楠木氏の考え方が見えてくる。面白い。
「「そんなにイイか?」という自問はだいたいにおいて「そうでもないな」という回答になります」p13
「日本人の多くは死ぬときにいちばん多くのお金を持っています」p22
「独りご飯はご馳走であってはなりません。独りご飯ならではの「日常の美味しさ」というものがあります。そのど真ん中を突いてくる串カツ田中。これから四半期に一度は行くことでしょう」p24
「経済には好循環か悪循環しかありません。ただのバラマキでは動きが生まれない。個々の事業者が儲からないことには話が始まりません」p31
「降ってくる仕事を待っているだけではつまらない。自分から能動的に仕事をつくっていくに越したことはない」p47
「平等に与えられた24時間を何に消費するか。これによってひとりひとりに大きな差がついていきます。しかもそれが毎日繰り返される。その差がどんどん蓄積されボディブローのように効いてくる。成熟した社会の基準は時間消費の質にあります」p97
「名著『美について』で美学者の今道友信は「美の究極は自己犠牲にある」と結論しています。単に言葉や態度で他者に配慮するだけでなく、他者の利益のために自己を犠牲にする行動、これが最も美しい。まったくもってその通り。自分の生活があまり美しくないことを思い知ります」p121
「ピンチの裏にチャンスあり。トラブル対応にこそ顧客満足獲得のカギがあります」p159
「仕事生活は長く続く。とくに若い人であれば、10年、20年後に自分が何をもってお客に価値を与えられるか、そんなことがわかるわけがない。キャリアは滑った転んだの経験の中から事後的に見えてくるものだとしか言いようがない」p164
「負けは負けでわりと滋味がある。「そうは問屋が卸さない、か。」などと呟きつつ、うまくいかなかった理由に思いをめぐらせるのはしみじみと味わい深いひとときだ」p167
「自分自身が実務の道からアカデミックなコミュニティに入って気づいたことは、なんと狭いオーディエンスに対して、どれほどマニアックな議論をしているのか、ということでした。それは、80%答えが見えるはずの議論を100%に磨き込むために途方もない労力をかける作業です」p178
「「仕事ができる」とはどういうことか。あっさりいえば「頼りになる」ということです。「安心して任せられる」「この人なら何とかしてくれる」、もっといえば「この人じゃないとだめだ」、そう思わせる人が本当の意味で仕事ができる人です」p214
「人間は変化を嫌う生き物であり、その蓄積としての社会はさらに変化に抗うという本性を持っている。社会全体レベルの変化は漸進的にしか進まない。根本的な解決というのはあり得ません」p275