楠木建のレビュー一覧
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大学教授による経営戦略論。論理に実例をうまく織り交ぜて、わかりやすく説得力ある内容になっている。「キラーパス」の考え方が面白い。興味深い記述を記す。
「「衣食足りて礼節を知る」「貧すれば鈍する」」p75
「「フォードは頑張りが利かないのが問題だ。マツダは頑張れば何とかなると思っている。マツダは何を頑張らなくてもいいかをはっきりしなければいけないし、フォードはマツダの頑張りに学ばなくてはいけない」(フィールズ)」p158
「フェラーリには需要よりも1台少ない数を作るという絶対の社訓がある」p178
「本当にニッチに焦点を定めて無競争による利益を追求するのであれば、成長はめざしてはいけない」p1 -
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大好きな楠木先生の著書。NewsPicksで先生に寄せられた仕事にまつわる相談に応えるもの。こういう仕事は受けなさそうなのに、そして、相談者の質問に愚問が多いのにもかかわらず、かなり真面目にかつ丁寧に回答していることに驚いた。でも、相談に対する回答は、的を得ており、切れ味抜群で、面白かった。
・「特殊読書」の悦び
極私的な趣味ですが、僕は「イヤな気分」になることが嫌いではありません。むしろ、わりとスキ。いや、時と場合によっては大スキといっても過言ではありません。
たとえば読書。本には面白いものとつまらないものがあります。当然、面白いものは読みたいし、つまらないものは読みたくない。ところ -
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「ストーリーとしての経営戦略」で有名な楠木建の著書。ストーリーとしての経営戦略を読んで以来、著者には注目をしていたが、本書は著者のセンスが随所に表れていて、面白かった。面白いといっても、興味深いという意味だけでなくて、笑いのセンスも抜群である。読み物として、本当に楽しかった。自分の感覚では共感できるところが多かった。
中でもそうだよなと思ったのは、最後の一節。
「人間が何かに継続的に取り組めるとしたら、その理由は二つしかない。『意味がある』と『面白い』このどちらか(もしくは両方)だ。」最近考えていたことがきれいに整理されたようで、非常にすっきりした。 -
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PUNK IPAで有名なブリュードックの創業者がその起業から財務、マーケティング、営業、人事そして経営者のリーダーシップを語ります。
ビール造りの経営を通してパンクを体現しているのが、その語り口も相まって熱いビートで伝わってくる好著です。
パンクと言いつつBonJoviなど一般的なロックも多数引用していてロックファンなら思わずニヤリとしながら読めること請け合いです。
パンクなら信念を曲げるなとBonJoviの「Keep the Faith」を引用してますが、あらためてQueenの「Keep Yourself Alive 」と並ぶ座右の銘にしたくなる良い言葉だと思いました。
ところで、著者の名前 -
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イギリスのクラフトビールの会社をわずか7年で売上70億円にし「経営の根幹は"パンクの哲学"」と語る創業者の著書。
小規模企業やスタートアップが長期計画を立てても実現するわけがなく必要な変数をすべて把握し続けることなど不可能と言い切り、賞味期限切れの計画書をいちいち確認するより、瞬間的に判断する方が重要。だから先の計画なんて立てず、今、全力を尽くすことだという言葉はビールのごとく痛快で爽快。
また「事実だとか論理だとかの堅い話にいくら説得力があっても、人が腹をきめるときというのは感情に従う」「適度な無秩序や内輪揉めが起こらないのは、全力を尽くしていない証拠。混乱も騒乱も、 -
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・どうせ細かいところまで完璧に計画したところで、ハイスピードで物事が動き、それが絡み合って変化を生む今の世界では、計画など実行する暇もないまま、無用の長物になるだけだ
・既存の経路や手順、助言に頼れば、既存の体制への依存が増幅する。パンクのDIY精神を実践するということは、それらを当てにしないということだ
・小さく使い、大きく考えよう。すべてを使ってレバレッジをかけるのだ。
・自分の会社を手助けすることで、彼らのキャリアにどんなプラスがあるかを想像させ、夢を見させるのだ
・価格を下げて短期的な売上が異様に伸びると、それに目がくらんで長期的な影響のことを一瞬考えられなくなる
・自分のすることは自 -
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ネタバレP143 強いものが嫌いだという人が挑戦の対象を選ぶ場合、往々にしてメジャーな方向に行かず、マイナーへマイナーへと行く人がいる。強者へのチャレンジというものがまるでない。自分の心地よい場所に引きこもる。アンチ巨人タイプの人は、単純にマイナー志向というか、世の中のメインストリームから意図的に外れていこうとする面がある。(楠木建)
P357 単純にスキルや良い悪いで人を採るだけでは強い組織にはならない。根底のところで好きなことがかぶっている人たちが自然に集まっている組織が強い会社。
P364 仕事がきつかどうかなどということは、そもそも良し悪しというよりその人の好き嫌いで決まる。(中略)世にい -
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ネタバレ読書は、経営のセンスを磨き、戦略ストーリーを構想するための筋トレであり、走り込みである。即効性はない。しかし、じわじわ効いてくる。20
日本の持ち味とは。菊池が言うところのアメリカの持ち味は、大きな対象を機能に分化して、それぞれに専門家を充てて、大所高所で計画を立てたうえで実行して事後的に統合するというやり方。日本では、全員が全体を意識して仕事をする。私たちはこれを顧客に提供しますというアウトプットに基軸を置いたコミットメントが自然と前面に出てくること、これはいまも失われていない、日本の持ち味ではないか。60
各科目の平均点が高いというのと綜合力があるというのは、全く別物。経営にはスキルで -
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人は3つのタイプに分けられるようです。
ギバー(GIVER:惜しみなく与える人)、
テイカー(TAKER:自分の利益を真っ先に優先させる人)、
マッチャー(MATCHER:損得のつり合いを考える人)。
そして、そのどのタイプがもっとも損をするのか。
きっと、想像通りだと思いますが、ギバーなんです。
では、もっとも得をする人はどのタイプか。
それもギバーなんです。
前者のギバーに対し、後者のギバーはどう違うのか。
後者のタイプの成功するギバーに焦点を当てて、
テイカーやマッチャーと比較をしたりなどし、
ギバーという存在がどれほど自分も他者も幸せにするかを
論理立て説明してくれるのが本書。
論 -
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相変わらずの楠木節炸裂といったところでしょうか。著者の作品を読むのは3冊目、ようやく気がつきました。芸風が合うんだなと。
携帯電話の契約手続きの超煩雑さという、供給側視点サービスへの不満とった部分だけでなく、理論(セオリー)よりも論理(ロジック)を好み、学問的な部分よりも実際の思考探求を好む事。それはスキルとセンスを分けて考えた場合のセンスに大きく依存する。さらに、スキルを身に付けましょう、とフォーカスされがちな昨今は、センスの議論があまりに少ない事。そして成功した経営者や著名人、歴史上の人物にはやはりスキルもセンスも両方優れていたわけで。
私はHow To本が溢れる書店の一角だ大嫌いなのだが