Posted by ブクログ
2018年11月04日
競争戦略の専門家による、経営センスについて記した本。著書「ストーリーとしての競争戦略」が、かっちりした内容であったのに対し、本書は、著者の考えをざっくばらんに述べたものと言える。口語調であり話もあっちこっちに飛ぶが、興味深い箇所が多く、気軽に面白く読めた。
「(スキルよりセンスの説明)モテようと思...続きを読むって雑誌を読む。「こうするとモテますよ!」というスキルめいたものが山のように紹介されている。そこにあるファッションやデート方法をそのまま全部取り入れたらどういうことになるか。ますますモテなくなる。間違いない」p15
「好き嫌いを自分で意識し、好き嫌いにこだわることによって、経営者として重要なセンスが磨かれるのではないかというのが僕の仮説だ」p21
「「ノリがいい」会社ほど、好き嫌いについてコミュニケーションが多い。高度成長期にホンダやソニーといったグローバルブランドが育った背景にも、会社にとって重要な判断ほど、最後のところでは好き嫌いで物事が決まっていたということがあった」p23
「「何枚もセーターを着て家の中にいると、外の寒さがわからない。寒さを肌で感じないと経営はできない」とウェルチ(GEのジャック・ウェルチ)さんは言う」p25
「(柳井正)「経営は意志。意志は言葉でしか伝わらない。人が書いた原稿を読み上げるだけの経営者がいるが、何を考えて経営しているのか、不思議としか言いようがない」」p27
「その経営者が「何をしない」ことにしているのか。これが経営という仕事を深く理解し、その経営者の資質や能力、スタイル、されには経営哲学を深く読み解くカギだと僕は考えている(時間を作るために何を切り捨てているか)」p31
「(EUの公的支援ガイドライン)「経営不振企業の市場での淘汰は必然であり、経営破綻に対する公的支援の制度化は絶対に容認されない」」p102
「「手段の目的化」は古今東西の経営の失敗パターンとしてもっともよくみられるものだ」p104
「昔から「イギリスの最も競争力のある輸出品は英語だ」という」p108
「人間が何かに継続的に取り組めるとしたら、その理由には2つしかない。「意味がある」と「面白い」、このどちらか、もしくは両方だ」p227