あらすじ
会社をよくするのに必要なのは、「スキル」よりも「センス」を磨くことである。会計技術であれ英語力であれ、単なるスキルをアップさせても「経営」はよくならない。「よい会社」には根幹の戦略に骨太な論理=ストーリーがあり、そこにこそ「経営センス」が光るのだ──。本格的な経営書として異例のベストセラーとなった『ストーリーとしての競争戦略』の著者が縦横に語り尽くす「経営の骨法」。
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ー経営センスの論理
センスがある人に経営を任せ、ない人は一切関わらない方が良い。
自分がどんなセンスがあるのかに敏感になること。
ではどうすればセンスが磨かれるのか。もちろん即効性のある答えはない。しかし、物事に対する好き嫌いを明確にし、好き嫌いについての自意識をもつ。これがセンスの基盤を形成するということは間違いない。ありとあらゆる事象に対して自分の好き嫌いがはっきりしている。そして、その好き嫌いに忠実に行動する。ジョブズさんはその典型だろう。
好き嫌いにこだわる
優れたリーダーは自らやる
優れたリーダーは何をやらないのかがはっきりしている
競争戦略の本質は『違いを作ること』
イノベーションとは非合理から生まれる。
合理的なことは誰かがやるし、誰でも思いつくのである。
他社との違いを明確にして、自社独自の戦略を打ち出して競争に打ち勝つ。それが経営者の仕事だ。
簡単に真似されるような戦略は戦略とは言えない。複合的に出来上がる物。
ということで、経営にとって大切なのは「長期利益」という結論になる。長期にわたってしっかり儲ける。これが商売の本筋である。銭ゲバというのではない。経営者がこの本筋に沿って考えたり判断したり行動していれば、 ICESの各方面でさまざまな「良いこと」を同時に起こしやすくなる。
具体も抽象もどちらも大切。より正確に言うと、抽象的な思考がなければ具体についての深い理解や具体的なアクションは生まれない。抽象と具体との往復運動を繰り返す、このような思考様式がもっとも「実践的」で「役に立つ」というのが僕の見解である。
しばしば「あの人は地アタマがいい」というような言い方をする。抽象と具体を行ったり来たりする振れ幅の大きさと往復運動の頻度の高さ、そして脳内往復運動のスピード。僕に言わせれば、これが「地アタマの良さ」の定義となる。
人間が情報に対してなんらかの注意をもつからこそ、情報がアタマにインプットされ、脳の活動を経て、意味のあるアウトプット(仕事の成果)へと変換される。組織論の分野で活躍し、ノーベル経済学賞を受賞したハーバート・サイモンは、「情報の豊かさは注意の貧困をもたらす」という名言を残している。「情報」が増えれば増えるほど、一つひとつの情報に向けられる「注意」は減るわけだ。
洪水のような情報量の増大が果てしなく起きているということは、注意の貧困もまた果てしなく広がっているということだ。今後もその傾向が続くことはまず間違いない。そこに注意がなければ、たくさんの情報に触れてもほとんど意味はない。注意のフィルターを通してみることで、はじめてその情報は自分の血となり、肉となる。貧困になる注意をいかに復興させるかが重要な論点として浮かび上がってくる。
注意と情報の間に必然的なトレードオフがある以上、ITが進歩すればするほど注意が貧困になるのもまた必然。仕事の質を低下させないためには、強い意志を持って注意のフィルターを強化するか、情報を意識的に遮断するしかない、というのが僕の結論だ。
やみくもに知識の量を増やそうとしても、面白くないのは当たり前だ。勉強の面白さは、ひとえに知識の質に関係している。上質な知識とは何か。それは「論理」である。論理は面白い。論理の面白さを分かるようになれば、勉強は苦にならない。それどころか、自然とどんどん勉強が進む。習慣になる。単純に面白いからだ。 論理の面白さ(「知的な面白さ」とか「知識の上質さ」といってもよい)を説明するのは容易ではないが、ようするに「ハッとする」ということ。これが僕の見解だ。
人間はわりと単純にできている。人間の本性と折り合いがつかないことはだいたいうまくいかないと思った方がよい。「面白い」から始めることが大切だ。「意味がある」と思って始めても、知識のインプットそれ自体は面白くないことがほとんどなので、そのうち挫折する。
ただし、である。論理の面白さを知る。これがなかなか難しい。論理に限らず、ものごとを「面白がる力」、これこそが人間の知的能力なり仕事能力のど真ん中にある。面白がれるようになってしまえば、だいたいのことはうまくいく。この真理は勉強に限らないが、勉強にもっともよくあてはまると思う。
Posted by ブクログ
抽象・具体の往復運動は大事。アウトプットのためのインプット、そのための注意。相変わらず腑に落ちることを伝えてくださる。感謝。製造機能100個が限界の工場に1万個製造できる部品を集めても意味がない。でもこれをしがち。気をつけなければ。
Posted by ブクログ
楠木氏の著作は「ストーリーとしての競争戦略」がビジネス書のベストセラーになった頃から読んでいるが「ハズレ」と感じたことはない。
本書は2013年初版だが、2022年現在でも違和感なく読めた。これは「本質」に肉薄したことが書かれているからだろう。古い本を読むと著者の主張の真贋(予想の当たり外れ)が分かって面白い。
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イノベーションの肝が、非連続の中の連続にあるという話は非常に納得感が高かった。
ストーリーとしての競争戦略が好きな方にはオススメ出来る1冊。
・イノベーションの本質は、非連続性と顧客に受け入れられることの2つにある。
・イノベーションは出来る出来ないではなく、思いつくかつかないかの問題であることが多い。なぜこれが今までなかったんだろうがイノベーションへの最大の賛辞。
・これを実現するには、業界に根付いている認知された非合理を乗り越えることが必要。
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2021/12/19 再読・まとめ Excellent!
経営者=センス戦略策定←シンセシス(総合)vs分析・スキル
候補者の選定 センスのある人
ビジネスを任せる 子会社の経営
好き嫌いがハッキリ vs客観的・良し悪し・DATA
ハンズオン オーナーシップ 覚悟 責任感
経営は意志 言語化が不可欠 自分の言葉
戦略 予想ではない こうしようという未来への意志
良い戦略を作るのはスキルよりセンス センスの良さは天賦の才
育てるより見出し、育つようにする センスは好き嫌いで磨かれる
戦略の本質はシンセシス(綜合)であってアナリシス(分析)ではない
スキルで経営者を育てられない スーパー担当者になるだけ
経営は意志 意志は言葉でしか伝わらない 事業に対してオーナーシップがある
良い顔で仕事をしているか?も大事な視点
競争戦略の本質は「違いをつくること」独自性や差別化
イノベーションの本質は「非連続性」
戦略=競争の中で長期利益を獲得するための手段
「こうなるだろう」という未来予測ではない。
「こうしよう」という未来への意思が戦略。
人間はイメージできないことは絶対に実行できない。
数字より「筋」
「戦略が優れた会社」=「働きがいのある会社」
経営者が骨太の戦略ストーリーを構想し、それを会社全体で共有する
exニコニコ動画川上量生
僕の理想は「非効率な社会」
全体の効率化を進めると、無機質のつまらない街になる 同じチェーン店の同じ景色
精神的に豊かな社会は「多様な社会」
文化や富の正体は、昔から非効率なもの、無駄なもの
人間の価値 「意味がある」「面白い」
知識の質は「論理」にある 抽象と具体の行きつ戻りつとその幅が「地頭の良さ」
大ベストセラー「ストーリーとしての競争戦略」の著者
MBAのような分析的経営スキルが主流の中に、大きな一石を投じるスタンスは同じ
そもそも事業とは、経営とは、基本的な問いに答えてくれる大スケールの本
大変深みのある「新書」740円は大得です
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経営においてスキルだけでなくセンスが重要である、
ということを、いくつかの側面から解説しています。
とてもわかりやすく、読みやすいです。
興味深いものはいくつかありましたが、
手段の目的化なんて、言われてみればその通りで、
自分を振り返ってみてあーぁ…と思ってしまいました。笑
就職人気ランキングに関する話は、
確かになるほどな、と思います。
Posted by ブクログ
経営センスの論理 (新潮新書)
2013/4/17 著:楠木 建
すぐれた戦略をつくるために一義的に必要なのは何か。それは「センス」としか言いようがない。本を読んでスキルを身につけて、それでうまい戦略がつくれたら誰も郎いない苦労はしない。必要な要素は大半はセンスなのだ。
本書はそのセンスについて以下の6章により紹介している。
①経営者の論理
②戦略の論理
③グローバル化の論理
④日本の論理
⑤よい会社の論理
⑥思考の論理
人へ形容する言葉として「センスが良い」という表現は、私が最も憧れる誉め言葉である。恥ずかしながらまだ人様から「センスが良い」と言われたことは一度もないかもしれない。
元来、センスとは生まれ持った才能がその要素を形作っていると思っていたものの、そうではなく、センスは後付けでも育て上げることができるということが本書からも良くわかった。
しかし、それは難しく、身につけよう・育てようと思ってはじめてその土台に立つことができる。もちろん生まれ持った才能や他の要素からも形作られるケースはあるものの、それはほんの一握りの限られたスーパーマンでしかない。
本書では、いろいろな視点で「センス」を切り口とした著者の面白話がちりばめられている。楽しく書いてあり、飽きることなく、かつ想像以上に後味がしっかりと残る特異な一冊。
今の自分の迷いにも大きく背中を押してくれた。
Posted by ブクログ
「ストーリーとしての経営戦略」で有名な楠木建の著書。ストーリーとしての経営戦略を読んで以来、著者には注目をしていたが、本書は著者のセンスが随所に表れていて、面白かった。面白いといっても、興味深いという意味だけでなくて、笑いのセンスも抜群である。読み物として、本当に楽しかった。自分の感覚では共感できるところが多かった。
中でもそうだよなと思ったのは、最後の一節。
「人間が何かに継続的に取り組めるとしたら、その理由は二つしかない。『意味がある』と『面白い』このどちらか(もしくは両方)だ。」最近考えていたことがきれいに整理されたようで、非常にすっきりした。
Posted by ブクログ
仕事でセンスという言葉をよく使うようになった今日この頃。納得度の高い一冊となった。結局個人レベルでいけば論理力の組立が大事ということだな。意識と時間の使い方の問題だから日々意識していくこととする。
Posted by ブクログ
経営するのは、スキルだけではできない。
経営は特殊解なので、センスが必要だよ。
ダケド、この本は、マニュアル本ではないので、
センスは、どう磨くのかということは、書いていない。
だいたい、センスなんて教えることはできない。
そんなもん自分で磨くもんじゃろ。
センスがあれば、自分で事業をしているわい。
ということを、いうために書かれた。
こういう切り口の本も、ノリがあって、いいねぇ。
このセンセイは、弁舌爽やか、結構毛だらけ猫灰だらけ。
煙に巻く 能力がある。
その煙に巻かれるのも、悪くない。
好きなことを言って、知らない間に、読み終わる。
読んだあとに、『センスだよね』と、うなづかせる。
わかったようで、わかっていない、迷路のような本である。
答えが、ないことが、優れている。
Posted by ブクログ
スキルではなくセンスが必要
アナリシスは分けること
優れた経営は要素だけではだめで、ストーリーが必要という著者の主張と整合する
余談も多いが堅苦しくなく読みやすい
Posted by ブクログ
競争戦略の専門家による、経営センスについて記した本。著書「ストーリーとしての競争戦略」が、かっちりした内容であったのに対し、本書は、著者の考えをざっくばらんに述べたものと言える。口語調であり話もあっちこっちに飛ぶが、興味深い箇所が多く、気軽に面白く読めた。
「(スキルよりセンスの説明)モテようと思って雑誌を読む。「こうするとモテますよ!」というスキルめいたものが山のように紹介されている。そこにあるファッションやデート方法をそのまま全部取り入れたらどういうことになるか。ますますモテなくなる。間違いない」p15
「好き嫌いを自分で意識し、好き嫌いにこだわることによって、経営者として重要なセンスが磨かれるのではないかというのが僕の仮説だ」p21
「「ノリがいい」会社ほど、好き嫌いについてコミュニケーションが多い。高度成長期にホンダやソニーといったグローバルブランドが育った背景にも、会社にとって重要な判断ほど、最後のところでは好き嫌いで物事が決まっていたということがあった」p23
「「何枚もセーターを着て家の中にいると、外の寒さがわからない。寒さを肌で感じないと経営はできない」とウェルチ(GEのジャック・ウェルチ)さんは言う」p25
「(柳井正)「経営は意志。意志は言葉でしか伝わらない。人が書いた原稿を読み上げるだけの経営者がいるが、何を考えて経営しているのか、不思議としか言いようがない」」p27
「その経営者が「何をしない」ことにしているのか。これが経営という仕事を深く理解し、その経営者の資質や能力、スタイル、されには経営哲学を深く読み解くカギだと僕は考えている(時間を作るために何を切り捨てているか)」p31
「(EUの公的支援ガイドライン)「経営不振企業の市場での淘汰は必然であり、経営破綻に対する公的支援の制度化は絶対に容認されない」」p102
「「手段の目的化」は古今東西の経営の失敗パターンとしてもっともよくみられるものだ」p104
「昔から「イギリスの最も競争力のある輸出品は英語だ」という」p108
「人間が何かに継続的に取り組めるとしたら、その理由には2つしかない。「意味がある」と「面白い」、このどちらか、もしくは両方だ」p227
Posted by ブクログ
ストーリーとしての競争戦略の著者の新書です。日経新聞広告をみて購入。一言で経営学に関するエッセイというところでしょうか。巻末に、ダイヤモンド社のオンラインサイト「ハーバード・ビジネス・レビュー」の連載の集約・編集の記載あり。
前書でも感じましたが、競争戦略論の専門家でありながらも、著者のセンス・主観を重んじる主張に頷きながら読み進めることができました。
最終章の「思考の論理」における、「抽象」と「具体」の往復運動と振れ幅の大きさとスピード感があるのが、「地アタマが良い」であるという主張に、大いに共感!
これからも素晴らしい研究にご期待したいです。
Posted by ブクログ
著者は「すぐによく効く新しいスキル」をもとめている人が多いと書いてあるが
それは正しいと感じた。
人は皆失敗する事を恐れ、模本解答を求める。
そしてそれは社会人になってからも同様であらゆる物事をケースで対処しようとする。
その方が楽で安心だからだ。
だが、これから新しいイノベーションを起こすには非連続性の中から生み出さなければならない。
そのために自分は様々な企業の戦略(木)をしっかり読み取り、経営者の方々の経験談からヒントを見つけ活用できる棚を作っていきたい。
そのために日経新聞の「私の履歴書」の著者の書籍を月2回読み、纏める。
企業戦略はポーター賞を読み解き纏める。
Posted by ブクログ
面白かったです。氏の言われるとおり、イノベーションとは非連続的な価値の創造なんですよねー。これがなかなか解っていてもできない。経営者は一度成功したから、今の地位があるわけでそれを自ら壊してまで新しい道を作るのは大変なこと。どこの大企業でもイノベーションというけど、本当にやっているとは思えませんね
Posted by ブクログ
あの名著「ストーリーとしての競争戦略」で知られる楠木 建さん待望の新刊。
というものの、ダイヤモンド社のオンラインサイト「ハーバードビジネスレビュー」
での連載を再編集したもの。 前作とはつくりか違う。
書評は、悪いものも多くちょっと躊躇していたが、やはり読もう。
「スキルだけでは経営できない。センスが必要。」自分にはセンスがあるのだろうか???
【ポイント】
16/まず、スキルとセンスをわけて考える。「アナリシス(分析)とシンセシス(総合)」との区別と置き換えられる。
「代表取締役社長の担当業務を粛々とこなしています。」←まともな戦略ででるわけがない。
「センス」は他者が育てるものではない。当事者がセンスある人に「育つ」しかない。センスは自動詞だ。
32/ビジネスの根本原則は「自由意志」だ。経営者自らが「・・・せざるを得ない」と言ってしまっては、もはや経営の自己否定。
34/こういうことをするぞという」という自らの意思、それがすべての原点だ。 (いいものを作ったから、米人に使ってもらおう)
「日本のマーケットが縮小したから、海外に進出せざるを得ない」は最悪。
39/経営はすべて「特殊解」:売れているものを作れば売れる。←ZARAの独走的発想 (第三コーナーで馬券を買う)
42/本を読むのではなく、本と対話することが大切
42/イノベーションは「進歩」ではない、本質は「非連続性」にある。
44/イノベーションは、供給よりも需要にかかわる。多くの人に受け入れられて、その結果社会にインパクトを与えられること
45/技術の進歩は「できるかできないか」だが、「イノベーション」はできるできないではなく、「思いつくかつかないか」の問題。
53/既存の価値を連続的に増大するだけでは、技術進歩であってイノベーションではない。技術進歩がなくても、顧客にとって新しい
価値の次元を切り開くものであれば、それはイノベーション。
イノベーションは、供給よりも需要に関わる。顧客の心がうごかなければない。
58/顧客が受け入れてこそのイノベーションとは、「非連続の中の連続」(非連続の中に一定の連続性が確保されている)
63/非連続な技術でもそれが「できる」だけではイノベーションにならない。顧客がその気になって必ず「する」。これが描けて
初めてイノベーションとなる。
アップルほど、「できる」と「する」の間のギャップに敏感な会社はない。多くの人があからさまにそそられ、自然と「する」と
いう確信がもてる製品しかださない。顧客がその気になって必ず「する」という確信が持てる機能に厳しく絞り込む
70/なぜある企業が儲かっているのか。その答えは「戦略」。「景気」や「業界構造」といった上のレイヤーをみてしまうが、
深層にある「戦略」を正しく理解せねばならない。
74/特に優れた戦略ほど「似て非なるもの」がある。
126/グローバル化の本質は、それまでのロジックで必ずしも通用しない未知の状況でビジネスするという「非連続性」にこそ
グローバル化の本質がある。
128/
経営人材には商売人としての「センス」が必要。スキルをいくら磨いても経営者になれない。優れた「担当者」になるだけ。
129/経営は、「これは!」という商売センスの匂いのする人を抜擢して早い段階から小さな単位で商売まるこど任せる。
その機会を与えることで、そのひとのセンスを見極め、センスを引き出し、伸ばす。
145/日本が抱える問題を「複雑性」と「不確実性」で分けて考えると本質が見える。
問題の複雑性は高いが、不確実性は高くない。
社会を統治する仕組みには、「市場」と「組織」がある。市場が相対的に得意なのは不確実性に対応すること。
組織(政治)はそもそも複雑性に対処することに使命がある。
147/★「日本は複雑な問題を抱えて大変だ。だが、そう不確実ではない。問題の正体はわかっているし、何をすればよいかも
決まっている。ついては、こういう段取りでこういう順番でこういう風に問題を片づけていく。この先、この段階はこういう
立場にある人々には苦しい状況にある。しかし、その先の未来は開けているのだからついてきてほしい。」
という強いストーリー。
148/企業は逆境を正面から受け止め人のせいにしないこと。ここは、問題の本質を直視して腰を据えて戦略ストーリへを作る。
それをステイクホルダーにいやというほど繰り返し発信する。それが経営者の仕事。
157/GEは「ホートフォリオ経営」。日本は一意専心の経営が時間軸を比較的長くとった時にむしろ変化対応力をもたらす。
これが日本企業の強みと言える。
日本は「中小企業の国」といつていいい。
横に幅広いポートフォリオを抱え、システマチックに事業評価してポートフォリオを最適化するのは苦手。
158/これだと決めた領域に長期的にコミットし、商売をどんどん深堀していくのが得意。
専業をテコに競争力を高めている中小企業的な経営の方が日本企業は力を発揮できるのではないか。
グローバルな視点で見ると、「一意専心の中小企業」というスタイルは競合他社との違いになりうるし、競争優位の
源泉として大きな可能性を持つ。 ←戦略そのものの定義は、「他社と違ったことをする」
217/本質を掴むためには、抽象化・論理化した方がずっと効果的な場合もある。
218/具体と抽象の往復を、振れ幅大きく、頻繁に行う。これが「あたまがよい」ということだ。
219/人間と情報をつなぐ結節点となるのが「注意」である。
221/そもそも情報をインプットする目的は、二つ。?インプットそれ自体のため(趣味)と?アウトプットのため(仕事)
230/「面白い話」であれば、自然とインプットされる。
「論理の面白さ(「知的な面白さ」とか「知識の上質さ」)とは、ようするに「ハッとする」こと。
まるで関係ないとおもっていたものが実はつながっている」というパターン。 例)取引コスト
単一のものだとおもっていたものが実はまったく違う複数だった時 「二要因理論」
人間が仕事に不満を感じるときは、問題はその外部環境にある。 ←給与、対人関係、作業条件
231/人間が仕事に満足を感じているときは、その人の関心は仕事そのものに向いている。 ←「達成感」「承認されること」「仕事そのもの」
満足と不満足は、一本の物差しの両極ではない。
非常に仕事に満足していながら、非常に不満足もありうる。 達成感はあるが、安月給。
233/主体的・自発的に勉強を続けるためには、論理(化)の面白さを経験で知ることが大切。
見たり、読んだりするときに、いつもその背後にある論理を考えてみるとよい。
235/どんな仕事でも優秀な人というのは「面白がる力」の持ち主だ。
自分が面白がられるようになったのはなぜか。その背後にある「論理」を考えてみよ。
【目次】
第1章 「経営者」の論理
第2章 「戦略」の論理
第3章 「グローバル化」の論理
第4章 「日本」の論理
第5章 「よい会社」の論理
第6章 「思考」の論理
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経営にはスキルではなくセンスが必要であるということ。経営戦略やマーケティング、アカウンティングなどスキルは誰でも身につけられるものでもあるし、それを使って判断、実行することにはセンスが求められる。
センスはその人の好き嫌いによって形成されてくるものでもある。自分の好き嫌いについて意識づけしセンスを理解することも大事である。
好き嫌いで仕事はできないが好き嫌いが仕事の原動力にもなるということ。
センスは美意識に近いものだと解釈する。好き嫌いだけではなくその人に備わる教養、考え方、姿勢が伴ってくると考える。
Posted by ブクログ
書かれている話は着眼点がよくどれも素晴らしい。
ただ、本全体として構造化されていないせいで話がいろいろ飛びまわっており、面白いのだが、今なんの話をしているんだ?と置いてきぼりにされてしまう。
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経営センスの論理 (新潮新書) 新書 – 2013/4/17
本を読むのではなく、本と対話することが大切だ 抽象化して本質をつかむ
2017年1月28日記述
楠木建氏による著作。
一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授。
1964年東京都目黒区生まれ。
南アフリカ共和国ヨハネスブルグで子供時代を過ごす。
1987年一橋大学商学部卒業。
1992年同大学院商学研究科博士課程単位修得退学。
一橋大学商学部専任講師、同助教授、一橋大学イノベーション研究センター助教授、
ボッコーニ大学ビジネススクール(ミラノ)客員教授、
一橋大学大学院国際企業戦略研究科助教授、准教授を経て、2010年より現職。
本書は、ダイヤモンド社が運営するオンラインサイト「ハーバード・ビジネス・レビュー」での
連載「ようするいこういうこと」(2011年10月3日~2012年5月1日)、「楠木建の週間10倍ツイート」(2012年5月24日~2012年11月15日)の記事を元に編集を施したものです。
連載をまとめた本でもあるのではじめにで著者もことわっているように何か一貫したテーマについて述べている訳ではない。
だから色々な方向に話題があちこち行っている印象。
また2012年くらいの世の中の出来事についてのコメントも多い。
さくっと読んで参考になる部分があれば良いなって感じだ。
印象に残った文を引用してみたい。
英会話や財務諸表の読み方、現在企業価値の計算はスキルを身につければ何とかなる。
しかしスキルだけでは経営はできない。
戦略を創るというのはスキルだけではどうにもならない仕事だ。
すぐれた戦略をつくるために必要なのはセンス。
スキルをいくら鍛えても優れた経営者を育てることは出来ない。
スーパー担当者になるだけだ。
センスは他者が育てるものではない。
当事者がセンスある人に育つしかない。
センスは他動詞ではなく自動詞だ。
経営に出来ることはセンスがある人を組織内で見極めその人にある商売の単位を丸ごと任せる。
経営は意志。
意志は言葉でしか伝わらない。
人が書いた原稿を読み上げるだけの経営者がいるが、何を考えて経営しているのか、不思議としか言いようがない。(柳井正)
他社の経営者が書いた本は個別の文脈の中に埋め込まれているので、すぐに応用することはできない。
しかし、優れた読み手はそこで抽象化して本質をつかむ。
本を読むのではなく、本と対話することが大切だ。
これから就職しようという人々にとって「大学生が選んだ就職人気企業ランキング」に情報価値はほとんどないと言って良い。
有名な会社を挙げて下さいとあまり変わらない。
GPTWインスティチュートが実施している働きがいのある会社ラインキングの方が良い。
戦略は「こうなるだろう」という未来予測ではない。
「こうしよう」という未来への意志が戦略だ。
「人間はイメージできないことは絶対に実行できない」
「こうしよう」というイメージがしっかりと共有されていれば、根拠を持って仕事が出来る。
毎日の仕事がタフであても、明るく疲れることが出来る。
数字を掲げるだけでは「こうしよう」という意志が組織で共有されない。
数字を掲げて走らせるだけだと、疲れが暗くなる。
だから戦略ストーリーが必要になる。
Posted by ブクログ
著者の言いたいことを書いた読みやすい本。
新規事業の人、管理職(マネージャー)、日頃仕事に鬱憤がある人に読んでもらいたい。
・印象的なこと
1、p.14
優れた戦略をつくるために必要なのは「センス」。スキルとセンスをごっちゃにすると、スキルが優先し、センスが劣後する。
2、p.22
客観的なものだけで判断していくと、同じような結論に至る。それだけでは他社との差別化を可能とする面白みのある戦略にならない。好き嫌いにこだわることが重要である。
3、p.28〜
ハンズオンを目的に、「何をやらないか」をはっきりさせる。垂直的・水平的分業による形式的な線引きではあり得ない。
4、p43〜
その業界に根付いている「認知された非合理」を乗り越える。ここにイノベーションと進歩の分かれ目がある。
イノベーションは技術進歩とは異なる。「次から次へとイノベーションを生み出そう!」という掛け声はイノベーションの本質を誤解している。イノベーションは、「非連続性」だからだ。
イノベーションは供給より需要に関わる現象である。どんなにスゴイものでも、顧客の心と体が動かないとイノベーションにならない。
「できる」だけではイノベーションにならない。顧客がその気になって必ず「する」。その絵が描けてはじめてイノベーションの芽となる。
アップルは、この「する」を突き詰めている。
5、p.66
「いまはまだないけれども、将来は可能性のあるニーズだから…」という発想では、イノベーションは難しい。人間の本質部分では連続的なもの。今そこにないニーズは、将来にわたってもないままで終わる。未来を予測、予知する能力はいらない。今そこにあるニーズと正面から向き合い、その本質を深く考える
6、p.148
企業は逆境を正面から受け止め、人のせいにしないことだ。問題は常に山積みしているものと割り切る。
7、p.152
戦略は個別企業の問題であり、個別企業の中にしか存在しない。
8、p.173〜
限られた資源を有効活用する戦略が大切になる。逆に言えば、資源制約がなければ戦略は必要はない。これが戦略論の前提として大切なこと。
9、p.178〜
「カネ、名誉、権力、女・男」のどれが一番かは愚問。相互に繋がっているから。
10、p.182
商売の本筋は「長期利益」。適正に長期に、しっかり儲けること。
11、p.201
いつの時代も前世代の価値基準は世の中の実際と少しズレている。ズレた基準に引きづられると新陳代謝が進まない。
12、p.204〜
「働きがいのある会社」と「戦略が優れた会社」は高い確率で重なっている。
「人間はイメージできないことは絶対に実行できない」。だから、未来への意思を会社で働く人たちにイメージさせる。頭に入らなければ、会社は動かない。数字より「筋」。
13、p.211〜
「具体」と「抽象」の往復。具体だけだと、目線が低くなり、視野が狭くなり、すぐに行き詰まってしまう。
抽象化・論理化して本質を掴み、そこから具体のレベルに降りていく。
どんな仕事も最後は具体的な行動や成果での勝負である。ただし、具体のレベルで右往左往してあるだけでは具体的なアクションは出てこない。抽象化させることで、取るべきアクションが見えてくる。
14、p.221〜
情報インプットの目的は、「インプット自体のため」と「アウトプットを生むため」。前者を「趣味」、後者を「仕事」という。
人の役に立つ成果が生み出されなければ、仕事と言えない。インプットしているだけで、アウトプットな出なければ趣味の領域である。
情報のインプットを増やしていけば、自然とアウトプットが豊かになるということは絶対にない。
情報は仕事の友ではなく、わりと悪質な敵である。
15、p.227〜
人間が何か継続的に取り組むためには、「意味がある」と「面白い」のどちらか/両方を満たすこと。
その行動に目的達成の意味があると思えるときに、人は努力を投入する。
そのこと自体にその人にとっての価値があると面白くなる。
「面白い」から始めることか大切。「意味がある」と思って始めても、知識のインプットそれ自体は面白くないことがほとんどなのでそのうち挫折してしまう。
16、p.231〜
人間の仕事における満足度は、ある特定の要因が満たされると満足度が上がり、不足すると満足度が下がるということではない。
満足度は一本の物差しの両極ではない。それぞれが独立の次元である。
満足の反対は、不満足ではなく、満足がない状態。
不満足の反対は、不満足がない状態。
Posted by ブクログ
HBRでのオンライン連載と記事を再編集したものだそうで、とても軽いタッチの文体です。『ストーリーとしての競争戦略』からの流れで手に取る人には物足りないかもしれません。
第5章で、大学生が選んだ就職人気企業ランキングなんか、『ラーメンを食べたことのない人による人気ラーメン店ランキング』みたいなもので、情報価値は限りなくゼロに近い、という例えは痛快。
Posted by ブクログ
3章あたりまでは楠木先生特有のユーモアを織り混ぜたストーリーに引き込まれ、この本との対話を楽しめた。
ただ、後半の4章以降はストーリーは面白いが、中味が薄くちょっと物足りなかった。
商売センスあふれる経営人材は多くの会社にとっても希少な資源である、、、同感!
Posted by ブクログ
こうなるだろう、ではなく、こうしよう、というのが戦略
生き残りのために海外に出るのでは無く、海外の人に使わせてあげようというのが戦略
せざるを得ないではなく、こんないいものどうですか?
顧客に価値を与えなければ商売として成立しない
Posted by ブクログ
「ストーリーとしての競争戦略」の著者、待望の新刊。
僕は「ストーリーとしての・・・」とても面白い本だなあ〜と思っているのですがいかんせん分厚い。。。内容が濃い。。。そうなると正直賛否両論な一冊なはず。でも、今回のはかなりライトな一冊です。(新刊ということもありますが)
そして、楠木さんのオヤジギャグもちょいちょい差し込まれて苦笑い。。。爆笑
でも、「ストーリーとしての・・・」のエッセンスをギュッと凝縮した内容です!
【印象に残ったフレーズ】
1.経営者は「センス」のある人材を見極めて登用しなければならない
2.「好き嫌い」本位の経営(松井証券の松井さんも同じようなこといってたな)
3.抽象化して物事を捉える
4.「進歩」と「イノベーション」の違いを理解すべし
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「ストーリーとしての競争戦略」の楠木さんのエッセイ的な文章をまとめた1冊。まとまりはなく、繰り返し同じような内容が出てくるのは残念だが、随所に経営に関する鋭い分析、提言はあった。
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楠木教授の書籍。スキルとセンスの対比が本書の根幹。スキルだけを磨いてもダメで、良い会社や経営者は「センスがいい」と説く。
スキルとは会計や英語力。それを磨くために教科書や教育機関がある。スキルだけを磨いてもスーパー担当者になるだけ。対して「センスがいい」とはどういうことかというと一言で言語化できないのが難しい。経営の観点でいえば、優れた戦略ストーリーを読み解き、本質を見て見破ることを繰り返すことで確実にセンスが磨かれる。そうした帰納的方法しかない。
著名な経営者へのインタービューを通してセンスを深堀りするとその人の固有の好き嫌いが明確にされており、それがセンスの基盤を形成していると著者は仮説を立てている。
※「センスがいいってどういうこと?」と短絡的に解に飛びつこうとした自分はその時点でセンスがないような気がする...
Posted by ブクログ
ビジネスは自由意志でするもの。そのため、何をやりたいかだけでなく、やりたくないこともはっきりさせる必要がある。
成功した経営者は他の経営者の本を読んでいる。
日本は専業をテコに競争力を高めている中小企業的な経営の方が力を発揮できる。
日本の会社はこれまで何をしてきたかを重視する。
2020/6/3
他社の優れた戦略をたくさん見て、抽象化する。
顧客が受け入れてこそのイノベーション