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「知的体幹を鍛える本の読み方」を追体験する 『原書を読むよりも面白い』と評される、楠木建氏の書評を網羅した珠玉の書籍解説集。経営書から教養書まで、縦横無尽に語り尽くす。「今すぐに読みたくなる本」と出合える1冊。 「著者からのメッセージ」 読書という行為は事後性が強い。いろいろな本を読んでいくうちに、ようやく読書に固有の価値が分かる。いよいよ読書が楽しくなる。そうこうしているうちに、読書が習慣になる。問題はいかに事後性を乗り越えるかにある。
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Posted by ブクログ
「正解」よりも「自分解」――内田和成『リーダーの戦い方』 本書のメッセージを一言で言うと「人にはできることとできないことがある」――これには二重の意味があります。まずは「環境」と「打ち手」(戦略)との区別。ようするに自分の力でコントロールできることとコントロールできないことの線引きです。ここにその...続きを読む人のセンスが表れます。コントロールできないことをコントロールしようとする。逆に、コントロールできることを所与の動かせない条件だと思い込んでしまう。間違いの多くは、環境と戦略を混同することにあります。 本書の議論の中心は、もうひとつの「できることとできないこと」にあります。すなわち、その人の得意と不得意。すべてにおいて傑出したリーダーは存在しません。誰にもできることとできないことがあります。まずは自分の得意技を知る。つまりは自分を知る。「正解」でなく「自分解」で勝負する。できないこと、やりたくないことに拘泥しない。リーダーにとって決定的に重要なことです。 「戦略か実行か」「論理か感性か」、著者はこの2軸でリーダーを4つのタイプに分類しています。この2次元はこれまでも繰り返し指摘されてきたもので(著者も前著で「論理対感性」の問題をとっくり論じている)新味はありません。ただし、これまでいろいろな経営者と仕事をしてきた著者だけあって、実際の経営者の例の当てはめが面白い。著者の見立てでは、新浪剛史さんと本田宗一郎さんはいずれも「感性――実行型」に分類されていて、なるほどと思いました。 この分類に従っていろいろな議論をした上で、最後の最後に「決め手は運と人間力」と言い切ってしまうのも面白い。「人間力=チャーム+徳」というのが内田さんの定義です。チャームと徳は似て非なるものです。チャームがあるからといって徳があるわけではない。逆もまた真なり。徳は方向性がはっきりしています。だから、徳がある人には共通点がある。ところが、チャームは千差万別です。この「チャーム」というもの、その実体は何ともつかみどころがないのですが、僕は経験上これが非常に大きいと思っています。次の本では、著者にチャームの分類学をやってもらいたいところです。 不変の本質は確かにある――東海友和『イオンを創った女 評伝小嶋千鶴子』 若くしていきなり経営者になったからか、「世の中をもっと勉強せなあかん」というのが小嶋千鶴子の口癖でした。大変な勉強家。とにかく本を読んでよく考える。出てくる言葉が本質を衝きまくっている。人間の本性を見極め、それをテコに人と組織を動かしていく。経営者として最も必要な能力、人間洞察において抜きんでた人で、その力量には唸らされるものがあります。 「良いも悪いも関係なくたくさんのものを観ることやな。そうしているうちによいもの、悪いものが峻別できるようになる。とにかく数をたくさん見ることや」――センスにおける事後性の強さとその克服についての要諦を端的に示しています。 「つまるところ会社は社会の一員として暗黙の契約をしているという認識が必要である」――思考の抽象度が高い。だから本質をつかめる。「環境経営の重点ポイントは……」とか言っている「形だけESG/SDGs」の経営者に聞かせてあげたい言葉です。 「人はどんなときによく働くのか。愉快なときに働くのである。人間は、人から認められたとき愉快になるのである」――言葉がこのようにいちいち論理(AだからBになる)で組み上がっている。思考と行動において論理的でした。 「組織を活性化するためには、共有しなければならないものが3つある。同じ情報の共有、同じ目的の共有、そして同じ結果の共有である」――言葉が練りに練られている。「PDCAの徹底」とか言うよりこう言った方がよほど腹に落ちます。 小嶋の人事の特徴は何でも表に出すことでした。よいことも悪いこともすべてオープンにする。人事政策を全員に周知し、その通りに実行する。で、実施したことを必ず検証する。採用時の評価を記した個人ファイルをしょっちゅう見返して現状と比較する ある社員が逮捕されたとき、すぐに「その人のファイルを持ってくるように。そんな奴、だれが採用したんや!」と怒鳴る。ファイルを見て黙っているので「誰でした?」と聞くと、「私やったわ。採用は難しい。やっぱりな」――そこでまた深く考える。方針を明確にし、周知し、実行し、検証する。当たり前の話ではありますが、当たり前のことを自ら徹底してやり続けることができるのが優れた経営者の条件です。 そして何よりも主体性の重視。「まず決心すること、見分を広げること、実行に手をかすこと、自分の意思で参加することだと思います。社会を変えるためには自分自身を変えることから始めなくてはいけません」――理由を環境や制度に求めず、自分の意思と行動をすべての基点とする。小嶋千鶴子はその通りに生きた人で、説得力があります。 「問題あらへんか?」――自ら店舗の現場に出ては従業員にこの質問を繰り返していたそうです。小嶋は根っからの商売人で、「客のためになる」かどうかを基準にすべてを判断していました。それが結局のところ儲けるための王道だからです。とりわけ「店が客のためになっているか」。経営のすべての行為は顧客接点にある店に結実している。あそこに宝も問題もある。だから現場へ直接出向いていく。質問された従業員が「問題ありません」と答えようものなら「アホか、あんた勉強が足らんな」と
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