【感想・ネタバレ】ストーリーとしての競争戦略 優れた戦略の条件のレビュー

あらすじ

2011年ビジネス書大賞受賞!
500ページ超という本格経営書でありながら、異例の12万部を突破したベストセラーが待望の電子書籍化!

“戦略の神髄は 思わず人に話したくなるような 面白いストーリーにある。”

大きな成功を収め、その成功を持続している企業は、戦略が流れと動きを持った「ストーリー」として組み立てられている。戦略とは、必要に迫られて、難しい顔をしながらつくらされるものではなく、誰かに話したくてたまらなくなるような、面白い「お話」をつくることにある。本書では、多くの企業事例をもとに「ストーリー」という視点から、究極の競争優位をもたらす論理を解明していく。

※本書は、2010年5月に東洋経済新報社より刊行された『ストーリーとしての競争戦略』を電子書籍化したものです。

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Posted by ブクログ

経営戦略に関する本でしたが、突き詰めていくとロジックの糸(本書で言うところの「パス」)を切らさずに最後のゴール(経営であれば売上増or コスト減に繋がって利益創出)まで考え続けることが重要だと思いました。
身の回りに置き換えてみると、なんとなく、「良いことに決まってるでしょ」という体で美辞麗句が並んで終わり。 というケースが多いように思うので参考にしたいと思います

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2025年12月01日

Posted by ブクログ

会社の事業戦略、中期経営計画、自分のキャリア戦略、全てに応用可能。そして、これに基づいて、転職活動を行った結果、志望業界で応募した全ての企業に合格することができた。ありがとう、楠木建

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2025年11月24日

Posted by ブクログ

世の中にありふれた経営戦略本がある中、革新をつくような内容だった。事業をやる上で成功事例、言わばベストプラクティスと呼ばれる構成要素を、無作為に模倣しても、それは全体として効果が出るものではないということを示唆していた。各部分を切り取って貼り付けた戦略(戦略とも呼べないようなもの)では、不安定であるからだ。それを一連の流れとして、筆者による具体と抽象を織り交ぜた言葉巧みな解釈に、感銘を受けた。ページ数は、500ページにわたり、比較的ボリューミーであったが大変面白い内容で読んでいて飽きなかった。読み進めていくと重複する内容は勿論出てくるのだが、それはコンテクストとして必要であると素直に受け取ることができた。初めて読んだが、何度か読んで腹に落とし込みたいと心底思った。

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2025年11月13日

Posted by ブクログ

"戦略"、"競争優位性"、"競合との差別化"などの日々よく聞くがややつかみどころのない言葉の本質的な意味やその構造を理解することができる。

ボリュームのある本だが、読み物的な(話しかけるような)書き方なので、戦略とは何かを初めて学ぶ人にもおすすめできる。
(ただし、紹介事例が古いことには注意。)

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2025年10月29日

Posted by ブクログ

序盤の抽象的な話に挫折しそうになりながらも、ポジショニングとケイパビリティの話から「これは、研究における独自性の話のメタファーになる」と思い始め、以降は夢中で読んだ。思えば著者は学者なのだから理解できて当然なのかもしれない。

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2025年09月15日

Posted by ブクログ

マーケティングの勉強と思い読み始める。いくつも色々な本を読んだが、実際に人を動かす事が出来る本がこれだと実感した。まさに読み手にどの様なストーリーでどう感じさせるかということを体現して書かれている。勉強になったという感想より良い読み物を読ませてもらったと素直に受け入れる事が出来る本だった。

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2025年09月12日

Posted by ブクログ

「戦略」を持って会社を経営、事業を進めることがどれだけ大事かを痛感させられる内容だった。本書は決して明日からすぐ使えるハウツー本ではなく、戦略を作ることの考え方やスタンスを提示してくれている。業務ではじめて戦略を意識した業務に就くことになる自身にとって、「戦略を持つこと」がなぜ重要で、どんなふうに考えて作ると良いかの解像度が高まった。

戦略の方向性の定義として、SP(何を選択し何を捨てる)や、OC(組織力強化、仕組みづくり)、ストーリ戦略の5C、whyがつなぐ因果論理など…戦略を作る上で必要となる要素やその意義など、目から鱗な学びが多かった(今までいかに戦略という言葉をわかったふりをしてきたか…!)。
特に、コンセプトを定義することとは、「本当のところ(見たままではなく)、誰に何を売っているのか」の問いに答えたものである必要があり、それは人間の変わらぬ本性の部分に刺さるものであるという考えは大切にしていたい考え方。顧客がお金を払うのは、そのモノ自体ではなく、モノから得られる価値、もっというと「普遍的な価値」である。それを見つけることができるように、日常の仕事や生活の小さな疑問に「なぜ」を考えるようにしたい。

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2025年08月31日

Posted by ブクログ

戦略という言葉にピンとくる感覚を持てずにいたのだが、この本を読んでどういうことが重要だとか非常に焦点を合わせることができた。
自分が面白いと思うストーリーをこれから作っていきたい、そう思わせてくれる内容でした。

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2025年08月12日

Posted by ブクログ

優れた「戦略」とはなにか、この本にその要素が多分に詰まっていると感じた。戦略を考える時に必ず頭に入れておきたい名著。SP\OCの論理や部分非合理、賢者の盲点など、腹落ちする内容ばかりだった。
競争優位の階層を、①外部環境の追い風、②業界の競争構造、③ポジショニング(SP)と組織能力(OC)④戦略ストーリー、⑤クリティカルコアと、区別しており、③以降の戦略の要諦が本の中に詰め込まれている。常に頭に入れておきたいと思える論理がたくさんあり、

・SPの戦略とは「何をやり、何をやらないか」を決めるということであり、というトレードオフの論理が働く。
・程度問題としての違いをOEの追求は戦略ではなく、戦略とはdoing different thingsであり、doing things betterではない。
・SP志向・OC志向は、その発想が対照的なだけに、どちらかが優勢になると一方は劣勢になるという綱引きのような関係にある。
・ストーリーの本質は「部分の非合理を全体の合理性に転化する」ということにありる。
・キラーパスをテコにした競争優位の持続性は、自滅の論理に依拠する。
・優れたストーリーは「賢者の盲点」を衝くことによって、ユニークな競争優位をもたらすもの。
・シナリオを書くための必勝の方程式がないのと同様に、優れた戦略ストーリーをつくるための普遍の法則もない。 

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2025年07月12日

Posted by ブクログ

とても面白い。
特に競争相手の自滅のところはこれまでになかった視点。
一見不合理に見えることが、文脈の中に置くと合理に転化する。そしてそれが模倣されない強みとなるという点は非常に勉強になった。

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2025年06月26日

Posted by ブクログ

名著。
戦略論としても分かりやすく読み応えがある上に、終盤のある意味人生論に繋がる展開がとにかく秀逸。

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2025年05月18日

Posted by ブクログ

非常に読み応えのある面白い本だった。戦略を考える際に静止画ではなく、構成要素の繋がりを重視して動画(ストーリー)として作り上げる必要があると理解できた。その際にまずはコンセプトを考え抜くことが大切で、また一見不合理に見えるがストーリーに当てはめると最も重要な構成要素になるクリティカルコアの概念も非常に興味深かった。今後の参考にしたい。

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2025年05月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

今から15年前に書かれた本とは思えないほど、適格で腑に落ちる内容だった。自分の働く環境に対してここ数年抱いてきた違和感と、本来こうしなければいけないのでは、と感じてきたモヤモヤが言語化された感覚。
何より最後の骨法10の大切さが染みた。ストーリーを作る人自身が面白いと心底信じていること、そしてそれをストーリーテラーとして周りに伝播させ、巻き込むこと。
簡単ではないが、前向きに日々の仕事に対する向き合い方を見直したい。

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2025年05月10日

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競争戦略の大御所である楠木先生が執筆された本。従来の競争戦略の事例は、成功した企業のベストプラクティスが紹介されることが多かったが、それはあくまでも個別要素だけを切り抜いたものである。そのため、ただ同じように真似てみても上手くいくことは難しい(ほぼ不可能である)。一方で、この本では個別要素だけでなく、個別要素の組み合わせにより競争優位を生み出し成功している、というタイトル通りストーリーとして成功した企業の事例が紹介されている。さらに面白いのが、その個別要素が一見すると非合理性であり、他社が意図的に真似したいと思わないようにしている間に競争優位性を創っており、気づいた時には他社が追いつけないようになっているのである、ということが分かりやすく書かれている。戦略を考える立場にある人だけでなく、現場で働いている人、学生にも視座をあげるためにぜひ読んでもらいたい一冊。

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2025年05月06日

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今まで戦略をいかに理解してなかったのか、この本を読んで理解することができた。そして私が本の中で悪い例として上がってる項目をつくづく実践していたことにも気づけた。確かにこれでは仕事で評価されないし、成果がでないわけだ。リアルな人の感情、行動を考えるきっかけになった

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2025年03月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「デザインには理由(ワケ)がある」と、いつか読んだ本の帯にあったのを思い出す。
デザイン、アートと呼ばれるそれらは、ただ思い付いたものを作り上げているわけではない。キチンとした論理、過去の背景や学術的立ち位置(文脈)、他作品との関連に意味合いなどなど。
(素人の)私達はただただ驚くだけしか出来ないかもしれないけれど、実際見る人が見ると作品の骨子/思想というものが見えるそうな。まぁ真実は分かりませんが…。

色々な人が「経営はアートだ」という意見を発信していて、直近で読んだ近い内容は山口周の『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』かな。正直こっちはあまり論理的ではなかったんだけど、本著は同じことを言いながらそれ以上の説得力を持っている。
つまり、皆が言う「アート」とは、経営ストーリー(デザイン)における美なんだな。全てが綺麗に噛み合っているから、それはアートのように語られると。そう言ってくれよ…。

戦略ストーリーの5Cに語られているけど、つまり利益を出しながら他者と差別化をする上で、どの構成要素までそれを一貫できているか、ってとこが結びだろうか。
『イノベーションのジレンマ』や『ジョブ理論』ってのは、この中の差別化の一部だし、安易な構成要素であればすぐに模倣されてしまうんだろう。
経営におけるベース理論としてこの一冊は是非オススメしたい。これを読んでおくと色々なものがつながって面白い…。

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2025年02月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ストーリーとは部分的な成功の積み重ねではなく、全体としての整合性と持続可能な差別化を追求するための「物語」。サウスウエスト航空の「ポイント トゥー ポイント」、マブチモーターの「モーターの標準化」ガリバーの「買取専門」など、一見業界の常識からは非合理に見えることもその戦略を突き詰め選択と集中により長期利益を確立してきた。仕事の中でいつも合理的に合理的にと考えてきたつもりだが、強くて太いストーリーを持たずに戦うことは、真似され競争は激化する。「ストーリーとしての競争戦略」にそって一貫性をもった仕事の重要性を考えさせられた。
また、面白いストーリーをつくると組織として一貫性をもって進めるという言葉も戦略を実践していくうえでの重要なポイントであると感じた。

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2025年01月18日

Posted by ブクログ

2024年に読んだ本の中で一番面白かったです。
戦略立案の肝となる点、以下の2つは常々自分の観点としていきたい。
①良い戦略には、それぞれの打ち手に『好循環』と『繰り返し』の関係性を見いだせる。中心地からそれぞれの目的地に流れていく田舎の国道のような関係性ではなく、合流・分離・再合流を繰り返す都会の地下鉄のような関係性と感じた。
②その中でも、始発駅となる東京駅のようなクリティカルコアはある。そしてそれは逆張りの性質があり、模倣困難性を高める。(模倣しようとすると、他の組織内の要素がそのようにできていないため、かえって悪い影響が出る)

上記説明の前提となる、これまでの戦略論の振り返りも面白かった。今まで常識とされていて理屈は分かるけど腹落ちしないことの違和感が掴めたように思いました。
・2割の理屈が土台で、そこから先の8割は理屈じゃなくなる
・日本企業は機能分化ではなく、価値分化の文化。ストーリーの重要性が高い
・よくある事業戦略理論は合理的で良い理論だがすべてを説明できるようなことはない
・戦略とは競争の中で違いを作ること
・ストラテジックポジショニング流派においては、経営層は違いを作るうえでの超重要決定者。オペレイショナルケイパビリティ流派においては、経営層はより間接的な影響を持つ。

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2024年12月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

事業開発、事業推進の業務に携わっている方には必読の本だと思いました。
戦略をその場凌ぎの経営層向けのやらされ仕事ではなく、本当に顧客に刺さるものとして策定するかは本当に重要な仕事であると痛感しました。

キラーパスという、一見非合理だけど全体のなかでみるとストーリーとして繋がっている戦略立案にチャレンジしてみたいと思いました!

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2024年09月29日

Posted by ブクログ

ストーリーを主軸に掲げているだけあって、読み物として面白い。著者の性格が文章ににじみでて、親しみとユーモアで楽しみながら読み進められる。

内容にあっては、型にはまらない説得力のある内容になっている。よくあるフレームワークなどを押し売りする内容を批判しつつ、本当に通用する戦略の考え方とはなにか、考えさせられる。

これを読めば戦略性のあるストーリーを作れるようになる、というものではない。だが、少なくとも巷に溢れている紋切り型のフレームワークや思考法で成功を標榜するようなものによって踊らされることなく、本当に優れた戦略とはなにかを本質的に考える入り口に立つことができるだろう。

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2024年09月25日

Posted by ブクログ

これはすごく面白かった。ビジネス書ではあるんだけど、すごく読みやすく、実際の企業の戦略自体がとても面白かった。普段何気に目にしている企業にもきっちりしたストーリーがあるんだなと認識させられた。コンサルティングであれば一度は読んでみた方がいい本。いいか悪いかは別にして。

企業が競争優位性を発揮するには、希少性があるものを先見の明を持って誰よりも早く始めることが大事。と思われがちだけど、本当にいいものはすぐに模倣されるし、模倣されると過当競争になり、差別化するのは価格面しか無くなる。そうなると、利益率がどんどん落ちていって、規模の大きな所しか事業継続できなくなっていく。
この本の面白いところは、模倣困難性の「一見非合理なもの」がキラーパスとして機能しており、それが複数の要素と広く、長く、太く繋がることで発揮していく(それをストーリーと定義)、と分析している点である。

例えばスターバックスコーヒーの例。スターバックスのコンセプトは「第三の場所(サードプレイス)」。自分の家、仕事場とは別の場所。リラックスできる「避難所」という位置付け。コーヒーを売っているのではなく(実際は売っているのだけど)、その第三の場所を提供するサービスというコンセプト。だから、バタバタ急いでいる人には向かない。あえて、注文を受けてコーヒーを渡す場所を離れたところに設置し、一から手間をかけてコーヒーを準備する。そうすることで急ぐ人には「時間がかかる店」との認識を持ってもらい、自然と避けるようになる。店内はゆったりした雰囲気になるというもの。
ただこのコンセプトを実現するためのキラーパスが「直営店経営」にあることは知らなかった。なぜなら、フランチャイズとした方がコストも経営リスクも抑えられる上、事業拡大のスピードも早いからだ。
それでも直営店経営にこだわったのは出店地の選定の自由度と、顧客の回転率を下げることだという。フランチャイズとしてオーナーに任せると、当然共食いになるような出店の仕方は避けるだろうし、オーナーとして利益を上げるために顧客回転率を上げるような店舗経営を行うだろう。そうなるとスターバックスのコンセプトである「第三の場所」という価値が顧客に提供できない。このコンセプトを死守するため、コストもリスクも高い直営店経営という、一見非合理な戦略をとるというのである。
競合他社も「第三の場所」の提供には追随するが、合理的にフランチャイズでやるため、うまくいかない。結果、模倣困難性を発揮し、スターバックスがうまくいった、というものである。

こんな話が盛りだくさんで書いてあって、とても面白く読めた。
中小企業診断士の試験の中で必ず学ぶVRIO分析の模倣困難性のさらに先、それはストーリーにあるというこの本。ボリュームは多いけど(500ページある!)、読み物としても面白いので(前半はやや退屈)、プロジェクトXとかガイアの夜明けなどが好きな人は多分楽しめると思う。良書。

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2024年09月15日

Posted by ブクログ

より深くVRIO分析の模倣困難性や組織について理解できた。
論理的なリーダーの話は、働く人々の琴線に触れる話、面白い、聞いていて楽しくなる。
先見の明 外部環境の変化を期待
ストーリー構想 キラーパスが合理性に転化するメカニズムを自ら作り出す。

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2023年07月23日

購入済み

長いけどワクワク感あり

確実に実用に役立つと思うが、実用書として覚えるように読むのではなく、文書に身を任せながら展開を追っていくように読み進めていくことで、成功する事業と競争に明け暮れる事業の違いが分かり、何が大事なのかが頭に残る本。ただ、読んだ後の感覚や物事の見方を使って新たな事業を考えようとしても、実際に良いビジネスが生まれるわけでは無い(当たり前ですが)。

#深い #タメになる

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2022年06月26日

Posted by ブクログ

大学教授による経営戦略論。論理に実例をうまく織り交ぜて、わかりやすく説得力ある内容になっている。「キラーパス」の考え方が面白い。興味深い記述を記す。
「「衣食足りて礼節を知る」「貧すれば鈍する」」p75
「「フォードは頑張りが利かないのが問題だ。マツダは頑張れば何とかなると思っている。マツダは何を頑張らなくてもいいかをはっきりしなければいけないし、フォードはマツダの頑張りに学ばなくてはいけない」(フィールズ)」p158
「フェラーリには需要よりも1台少ない数を作るという絶対の社訓がある」p178
「本当にニッチに焦点を定めて無競争による利益を追求するのであれば、成長はめざしてはいけない」p180
「全員に愛される必要はない。誰に嫌われるべきかをはっきりさせる」p277
「(キラーパスの重要性)「一見して非合理」な要素がスターバックスのストーリーに組み込まれていた(フランチャイズでない直営方式)からこそ、競争相手も模倣しなかったのです。「まねできなかった」のではなく、「まねしようと思わなかった」というのがポイントです」p321

競争戦略のバイブル的な本であるので、あらためて読んでみた。ビジネスにおける戦略のカギになる点を再認識できた。

「戦略が「項目別アクションリスト」として放置される傾向は、近年ますます強まっているように思います」pvii
「一見して効き目がありそうなテンプレートやベストプラクティスを探してきて自社に流用するという発想は、むしろ戦略ストーリーを破壊してしまうのが普通です」pviii
「現実の戦略の成功は理屈2割、気合8割といったところでしょう。あっさりいって、現実のビジネスの成功失敗の8割方は「理屈では説明できないこと」で決まっている。「理屈では説明できないこと」には「運が良い」であるとか「野性の勘」があります。ビジネスは多かれ少なかれ「けもの道」です。その道の経験を積んだ人しかわからない嗅覚がものを言います」p3
「私の経験からすれば、「現実は理屈じゃない」という声に迫力を感じる実務家に限って、総じて理屈っぽく、論理的なのです」p5
「けもの道で身につく嗅覚は決定的に大切なのですが、その一方で、限界もあります。それは、日々けもの道を走っていると、視野が狭くなり、視界が固定するという問題です。走りながら考えている人は、どうしても視野が狭くなります」p9
「戦略はサイエンスというよりもアートに近い」p10
「『いよいよ日本経済は先の見えない時代に突入したという感がある。今こそ激動期だという認識が大切だ。これまでのやり方はもはや通用しない。過去の成功体験をいったん白紙に戻すという思い切った姿勢が経営者に求められる。』1964年9月の日経新聞からの引用」p10
「「違いをつくって、つなげる」、一言でいうとこれが戦略の本質です」p13
「通常のオペレーション業務のように、戦略をつくるという仕事を担当部門の「分業」で、「分析的」にやろうとする発想にそもそも間違いがあります」p29
「(法則戦略論)そもそも戦略とは他社との違いを問題にしているので、大量観察を通じて確認された規則性は、あくまでも平均的な傾向を示すものでしかありません。そこで示された「法則」に従うということは、他社と同じ動きに乗るということであり、戦略にとっては自殺的といえます。また、「他の条件が一定であれば」といったとたんに、戦略の本質である「文脈依存性」や「シンセシス」が根こそぎ切り捨てられてしまいます」p30
「ストーリーの面白さは、戦略の実行にかかわる社内の人びとを突き動かす最上のエンジンになります」p48
「戦略ストーリーをつくるということは、現在地や目的地や地図情報を記した地図の上に、自分たちが進むべき道筋をつけるということです。到達すべき目的地を特定したり、地図情報を細かく書き込むことは、あくまでも下ごしらえであって、戦略ストーリーではありません。ストーリーという道筋を組織のすべての人々が共有し、道筋のついた地図をポケットに入れて、それを見ながら進んでいく、これが私の「戦略を実行する組織」のイメージです」p48
「見える化という思考様式は戦略にとっては役に立たないどころか、ものの考え方が戦略ストーリーの本質からどんどん逸脱してしまします。戦略にとって大切なのは、「見える化」よりも「話せる化」です。戦略をストーリーとして物語る。ここにリーダーの本質的な役割があります」p54
「(戦略に重要な「ポジショニング」と「能力」)ポジショニングの戦略はそれがもたらす成果との因果関係がより明確なので、どちらかというと「短い話」で済む傾向があります」p55
「能力重視の戦略は、ポジショニングに比べて、成果との因果の距離が遠くなります」p55
「(映画作成の機能分化)徹底した機能分化は、たとえばスティーブン・スピルバーグさんのような強力なリーダーを必要とします」p57
「(「全員経営」柳井正)ユニクロでは「それはお客様に何をもたらすのか」という基準が、商品、売場、サービスなど販売にかかわる活動はもちろん、経営計画や管理部門のあらゆる施策にも適用されています。機能ごとに決まった仕事を専門化した人々が分担するという仕事の仕方は明確に否定されています。顧客価値を強化するためには、自分の専門分野のことだけを考えていればよいのではなく、部門を超えて現場の問題点を洗い出し、整理しながら解決策を見つけなければならない」p61
「戦略とは「北極の住人」の発想です。「最後はなんとかなる」ではなく「放っておいたら絶対なんともならない」というのが戦略的な思考です」p108
「競争戦略の第一の本質は「他社との違いをつくること」です。競争の中で業界平均水準以上の利益をあげることができるとしたら、それは競争他社との何らかの「違い」があるからです」p109
「戦略は、「ポジショニング」と「組織能力」」p113
「(トレードオフ)明確なポジショニングによる違いを構築するためには、「何をやるか」よりも、「何をやらないか」を決めることがずっと大切です」p123
「戦略ストーリーは終わりから組み立てていくべきものです。起承転結の「結」をまずはっきりイメージすることが先決です」p181
「コンセプトは、自分の頭でじっくりと考えるしかないのです。どんなに投資をしても、自分の頭を使わなければコンセプトは構想できません。流行の画期的な技術やそのときに華々しく成長している市場セグメント、今そこにいる顧客の声、こうした「外部の事情」に惑わされてはなりません」p291
「(スターバックスの直営方式)競争相手の目には「一見して非合理」(フランチャイズでない)に映る要素がスターバックスのストーリーに組み込まれていたからこそ、この要素については競争相手も模倣しなかったのです。繰り返しますが、「まねできなかった」のではなく、そもそも「まねしようと思わなかった」というのがポイントです」p321
「どうしたら「一見して非合理」なことをあえてするという決断に踏み切れるのでしょうか。キラーパスを繰り出すのに勇気が必要だとしたら、その勇気はどこから生まれるのでしょうか。それは自らの戦略ストーリーに対する「論理的な確信」にしかない、というのが私の意見です。戦略ストーリーを構想する経営者は、自らの戦略ストーリーに論理的な確信を持てるまで、「なぜ」を突き詰めるべきです」p423
「実現すべき競争優位は、WTP(willingness To Pay:顧客が支払いたいと思う水準)を上げるか、コストを下げるか、無競争状態に持ち込むか、選択肢は3つしかありません」p429
「スターバックスのお客さんにどのようなメニューを追加すべきかという希望を調査したところ、ビールなどのアルコールは常に上位に来たそうです」p457
「戦略ストーリーをつくるときには、失敗を避けようとしてはいけません。未来が定義からして不確実である以上、失敗は避けられません。避けられないものを避けようとすると、その時点で立ち止まってしまい、前に進めなくなります」p464
「自分にとって面白いことでなければ、ストーリーづくりは始まりません。面白ければ、文字どおり寝食を忘れてのめり込みます」p497
「本来は面白いはずの戦略が、このところ無味乾燥で奇妙な静止画の羅列(それは「アクションリスト」だったり、「テンプレート」だったり、「ベストプラクティス」だったり、ひどい場合は単なる「ワンフレーズ」だったりするのですが)になってしまっているのではないか、という問題認識です。面白く生き生きとした動画という戦略論の本来の姿を取り戻したい。それが私にとっての切実な思いです」p500

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2025年08月14日

Posted by ブクログ

筆者の言葉を借りれば、強く太く長く考えることの重要性を教えてもらえる一冊。ボリュームに見合うだけの価値がある。

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2025年02月18日

Posted by 読むコレ

良い会社というものはゴールに向けてどういうパスをつないでいくか、その道筋がしっかりできているんだ。あっ、と言わせるようなキラーパスを出せるように日々センスを磨いておかないといけないね。

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2013年04月08日

Posted by ブクログ

かなり前に評判になったビジネス書だが、著者の話を聞く機会があって面白かったかったので手に取った。
500ページの厚さだが本も面白くて一気に読みました。事例に出て来る企業の話は今は...ということもさすがにありますが、”誰かに話をしたくなるストーリー”が何故必要なのかについて理解出来ました。3300円の本を買った私も著者のストーリーにのせられたのかもしれませんが良い読書でした。

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2025年11月29日

Posted by ブクログ

後半の各社のストーリーを読みたかったので手を出してみた。
前半がとにかく長くて辛かった...読むのに体力が要ってなかなか手が進まない。
余裕のあるときにもっとじっくり読めばもっと楽しめるはず。

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2025年07月13日

Posted by ブクログ

マーケターや経営者が書いてるわけではないので、アカデミックすぎるかな?と思いきや、実践として使えるヒントがたくさんあってわかりやすかった。
企業の目的は、長期的利益を出すこと。そのための戦略ストーリーを立てるのに、とにかく「誰かに話したくなるような面白いこと」という視点が面白い。
戦術としても、1つ1つが合理的な項目を複数立てることではなく、その因果論理が合理的であるべきで、「なぜ」を繰り返し考えるというのも納得。

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2025年07月08日

Posted by ブクログ

戦略を「ストーリー」として捉える重要性が書かれたもの。全体的に読みやすく、特に、戦略の構成要素を因果論理でつなぎ、一貫性や全体の文脈を持たせることが持続的な競争優位につながるという考え方が印象的でした。さまざまな実例を通じ、単なる施策の集積でなく、「なぜ」「誰にどんな価値を届けるのか」というストーリーが、人や組織を動かす力になることがよくわかる一冊です。

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2025年06月26日

Posted by ブクログ

私はテクニックが載っているようなビジネス書はあまり読まないですが、自伝は好きでよく読みます。

この本でいう「人に話したくなるストーリー」が、自伝には溢れています。

例えば、スターバックス元CEOのハワードシュルツさんの『スターバックス成功物語』など、大好きです。

「自分だったらどうするかな?」と考えたり、「もしこんな場面が来たら参考にしよう」と思ったり。

「人に話したくなるストーリー性のある戦略は強い」と著者は言います。

その「強さ」を構成するものはいくつもありますが、私が印象に残ったのは、「クリティカルコア」という考え方です。

「業界の常識で考えると一見非合理に思えるけど、全体のストーリーの中で考えると合理性が保たれていて、戦略の核となるもの」と著者は言います。

他人がやりたがらないことは、ある意味でチャンスと言えます。

業界の常識を疑い、「なぜ」を突き詰める。

そうして、人との違いを作って、色々な要素を繋げて、面白いストーリーはできる。

私はいま新事業の立ち上げに関わっています。

面白いストーリーをつくり、社会を少し良くすることができるよう、頑張っていきます。

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2025年04月13日

購入済み

これでスッキリ

ビジネスにおいて戦略、戦略とは言うけれど、「戦略ってなんなのさ」「戦略とはどうあるべきものなの」というモヤモヤした疑問がスッキリ解決する名著
読んだ後に、普段目にする戦略を疑いたくなり、そして、どうしていくべきかを考えさせられる
もっとライトで、図解入りで分かりやすそうな戦略を語る書籍も多々あるが、本質的に戦略を考えるなら読むべきだと思う

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2019年11月13日

Posted by ブクログ

すぐれた戦略はすぐれた物語を内包するという当たり前のことを書いている。とくに発見はない。こんなことが新鮮な驚きなのかとむしろそこに発見があった。

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2025年08月18日

購入済み

ビジネススクール講師推薦書

現在某ビジネススクールに通いながら仕事をしております。読み始めると普段の講義内容が更に深まり、大変学びの多い一冊!

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2016年10月01日

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