大沢在昌のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「酷く目立つ分厚い文庫本…」に変に惹かれて紐解いた『暗躍領域』の前に出ている<新宿鮫>シリーズの作品が本作だ。『暗躍領域』の中で、鮫島刑事が「少し前の出来事を想い起して…」という風に触れられる出来事が、“進行形”で起こっているのが本作の物語である。
何やら、発表された順番を度外視して、シリーズ作品をランダムに読み漁るような体裁になってしまっている。が、頭の中で、何年か前のこと、数日前のこと、当日のことと時間軸が乱れ飛びながら色々と思い出すというように、記憶している事柄の時間軸が何時も整っているのでもない面は在ると思う。それ故に、シリーズ作品をランダムに読み漁るような体裁も悪くないと思う。他作家による別シリーズだが、そういうことは過去にも色々とやって来た経過が在る…
<新宿鮫>シリーズは「訳アリ」な新宿署の鮫島刑事が活躍する。キャリアとして警察官になった鮫島だが、色々な経緯で警部の階級に留め置かれたままで、新宿署の現場に在るという人物で、部内的には「近付かない方が…」という扱いで敬遠されているので、刑事の定石を外れて単独で活動する場合が多い。逮捕することを「噛む」と隠語で表現する場合が在り、その「噛む」ことに関して遠慮が無く、執念深く被疑者を追うことから、姓に引っ掛けて<新宿鮫>と綽名される鮫島刑事である。こういう彼だが、理解者で協力も支援も惜しまない上司の桃井課長、「アイツは銃のオタク」と言っている好き仲間の鑑識係の藪という警察部内の数少ない人達、そして交際を続けているロックバンドのボーカリストである晶(しょう)という、近しく大切な人達も在る。そういう中、鮫島刑事はシリーズ各作品で様々な事案に臨んで行くことになる。敵役ということになる犯罪事件関係者等に関しても、シリーズの複数作品に跨って登場している例が存外に在るかもしれない。
<新宿鮫>シリーズは、本稿を綴っている2023年5月時点で12作の長篇が発表されている。それらの中の11冊が文庫本化されている。既読の『暗躍領域』は11番目で、本作『絆回廊』が10番目ということになる。
シリーズ各作品に共通すると思うが、大半の部分で、視点人物は鮫島刑事である他方、適宜他の人物が視点人物に切り替わる部分も在る。<新宿鮫>シリーズの作品を原案にした映像作品(映画やテレビドラマ)も在るのだが、本作を読んでいても、何となく「映像作品に触れるような感覚」も在る。テンポが好く、映像作品のように巧みに素早く場面が切り替わるような感じがした。こういう感じも好きだが、本作もそこは変わらない。
何か前置きめいた話題が長くなってしまった…
冒頭部に、20年を超えるような長期間に亘って不在をしていた人物が戻って来るということに関する、或る人物の独白のような短い節が在る。本作の鍵になる人物達のことが示唆されている。
そういう辺りから鮫島刑事の新宿での日々というような展開に入って行く。違法薬物の密売を、長い間に亘って巧みに続けている、他方で証拠が無いので逮捕に至らないという、顔馴染の「街の売人」に出くわして言葉を交わした鮫島刑事は、「ネタが在る」と言う男の話しに耳を傾けた。
男は、出くわした男に拳銃を売ってくれというような話しをされて当惑したのだという。出くわしたのは少し目立つ程度に大柄な男で、やや年配と見受けられた。その大男は、拳銃を入手して恨みが在る警官を撃つというように息巻いたという。その時の話しの中で、一昔も前に解散した暴力団の組の名を口にしていたことから、「長い間、刑務所に在って、出所して日が浅い?」と推定されるということになった。
警官を撃ち殺すと息巻き、拳銃の入手を図ろうとしていて、本気であるように見える者が在るというのも物騒な話しである。鮫島刑事は男と話し合い、情報を集めながら警戒するということにしたのだった。
他方、鮫島刑事の個人的な事柄でも動きが生じた。交際を続けている晶がリーダー格であるバンドのメンバーがその交際相手の事案を契機に薬物事案で逮捕され、晶自身を含むメンバーが捜査対象になってしまった。晶は悩んで鮫島刑事に相談する。
問題の「警官を撃ち殺すと息巻き、拳銃の入手を図ろうとしている」という“大男”の影を追う中、鮫島刑事は“大男”が口にしたという、一昔も前に解散した暴力団の組に関係が在った者等を探るのだが、何やら死人が発生する事件が相次ぐ。そして正体が判り悪い、犯罪や暴力を厭わない集団の影に行き当たる。
“大男”の正体、犯罪や暴力を厭わない集団の実体と、鮫島刑事は桃井課長のバックアップを受けながら奔走して探り出す。その事案の行方、そして晶の問題の行方と、最終盤まで目が離せない。
長くシリーズを読み継いで来たファンが衝撃を受けるような結末かもしれない。他方、いきなり本作に触れたにしても、ハミダシ者な主人公にとっての、年長の好き仲間であると同時に上司の桃井との共闘振りは熱く、意外に過ぎる組合せである互いの立場を超えて、人対人として絆を保ち続けた晶との情愛の行方も心揺さぶられる。
シリーズ各作品を愉しんだ後に愉しむべき作品かもしれないが、最初からこの作品でも酷く熱い…御薦め!! -
購入済み
相変わらず安定の大沢節
ほぼ一気読みでした。
登場人物を絡み合わせながら物語りをぐんぐん展開させていくあたりは相変わらず。主人公の相棒が成長していく様も読みどころか。 -
Posted by ブクログ
新宿鮫2
台湾の殺し屋・毒猿。
強すぎです!!
背後から水中から、目で追うことができないスピード。
あれ?小説読んでるのに変な表現かな?
新宿鮫1の時もそうだけど、完全に脳内で映像化されてます。
描写がリアルすぎて、緊張感と恐怖がハンパない。
今回の鮫島さんはちょっと脇役かなと思う。
それがまた良いのだけど。
毒猿を裏切った台湾マフィアのボス・葉威。
葉威を追う毒猿。
その毒猿を追う台湾の刑事・郭。
郭と共に毒猿を追う鮫島。
新宿御苑でのラストシーンは一気読み。
そして、毒猿に惹かれて手助けをする奈美。
この奈美の存在がまた哀しさを誘うのです。
そしてそして桃井さん。
鮫島の上司、桃井さんが今回も渋くてカッコ良い。
桃井さんは“まんじゅう”とあだ名されているが、鮫島との信頼関係にグッとくるのです。
「桃井はすでに書類をとりよせてくれていた。
鮫島は桃井に礼をいった。課長席にすわった桃井は、ふだん通りの、もの静かなマンジュウだった。老眼鏡をかけ、新聞をめくり、そっけなく頷いただけだ。」
ヒャー!しびれる~!! -
Posted by ブクログ
ようやくにしてこの一冊で直木賞を受賞し、既に超売れっ子だった大沢氏も、堂々たるメジャー作家達の仲間入りとなった。
主人公の「新宿鮫」こと鮫島刑事の活躍を愛する読者は多いと思うが、相変わらずの渋くて寡黙な男は健在だった。
700ページ近くに及ぶ長編物語で、序盤はゆったりとしたペースで進み、中盤から終盤にかけては一挙にペースアップして読み進むようになる。
もしも翌朝からハードな予定を組んでおられる御仁は、一挙に中盤から終盤を読み進むのは我慢して、翌日の予定がスカスカの前日に読み進むことをお勧めする。
それほどに結末に向かってのストーリーの展開テンポが激しく且つ軽快で面白い。 -
Posted by ブクログ
学生時代に出会った台湾の友人、
職場で助け合った中国から来た同僚、
みんな底抜けに優しくて真面目で勤勉で
美味しいものをよく知っていて
大切にしてもらった。
大沢作品の中に出てくる中国や台湾の
登場人物はそんな友人をじわっと思い出させてくれる。
台湾からきた殺し屋"毒猿"…
ほんとぉーにサイコーに格好良かった‼︎
台湾の殺し屋"毒猿"は自分を裏切り、恋人を殺した台湾マフィアの頭"葉威"を追って日本に潜入する。そして毒猿を追って新宿に来た台湾警察の"郭"
毒猿が"葉威"を追い詰めて行く中で
色々な人間関係が生まれ
駆け引きややりとりが交錯していく。
クライマックスがとにかく凄くて、
新宿御苑での
毒猿と武装した石和組と"葉威"の
戦闘シーンはとにかく強烈!
鮫島と毒猿の対面シーンは
唸りながら読み進めました。
新宿御苑の場面からは
止められなくて最後まで一気読み。
感想がうまく書けなくて
もどかしいのだけど…とにかく面白かった‼︎
星5個じゃ足りません!