大沢在昌のレビュー一覧
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新装版『新宿鮫』第三弾。鮫島の刑事生命に最大の危機が訪れる…
今回の鮫島の敵は警察組織でもなければ、暴力団でもなく、運命に翻弄され続ける女性たちである。エステサロンの経営者・藤崎綾香、看護婦・島岡ふみ枝…前二作とは異質な敵と刑事生命を賭けて闘う鮫島。
警察組織をも揺るがす重大な秘密を握った鮫島の孤独な闘いとそれを陰ながら支える桃井課長の関係が非常に良い。
『新宿鮫5 炎蛹』まではノベルズ版で読んだのだが、文庫の新装版が月一冊ペースで刊行されるのを知り、再び読んでみることにした。
第一作の『新宿鮫』が、真田広之主演で映画化された時、光文社文庫から『シナリオ 新宿鮫』が刊行されたが、今では -
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ネタバレ<印象的な箇所のクリッピング>
・白い紙に白い星を書くより、白い星を書いた後、周りを黒く塗りつぶした方が、星の輝きがひきたつ。
・惨めさを書くには、惨めな人の周りを黒く塗りつぶしていって、惨めな人の惨めさを引き立たせる。
・作家である自分専用の劇団を持つ。小説の中で、自分の劇団の役者にいろんな役者をやらせる。
・「喪失と獲得」何かを失った人間が何かを得ることで物語になる。
・80枚の新人賞なら60枚のストーリーを作る。残り20枚は艶出しに使う。
・まっすぐのプロットはつまらない。ぶらす幅を持たせる。
・ストーリーやプロットで読者を楽しませるのではない「何か」は年齢や経験で出てくる。
・「感情的 -
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こんなにふせんを張りまくった本は、久しぶりだろう。
本、文章術、作家論、全てのジャンルを網羅している素晴らしい一冊。
のっけから、初版4000部、定価1700円、印税10%とした場合の
手取り額68万円という事実が出される。
いくら力作を書いてもこの程度と言う現実、そして
本書で語られているように、プロはそれでも書き続けて”売れる”
作品を出すことが条件ということ。
作家としてデビューすることは簡単、ただしプロとして
続けていくことは別物、は本書を読んで納得した。
「本を一冊出すために、どれだけ多くの人が労力を使ったかを
感じなければならない」
「本書を手に取ってくれるかもしれない、見えな -
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中級者向けの小説作法の本。
基礎的な部分はあまり書かれていないが、それだけに実践的で参考に
なるところが多い。キャラ造形の仕方、描写のふくらまし方、デビューしてからの振舞い方など、付箋で本にたてがみが生えた。
兼業よりは専業の方がやはりいいものが書けるとしながらも、このご時世では厳しいので、10冊本を出す、何かの賞をとるなどの目標を決めて専業に移った方がよいというのは、聞きたくても誰も教えてくれないところだった。
講義の受講者(つまり読者)に対し、「これだけ教えて新人賞に3回挑戦してダメだったら根本的に才能がないと思った方がいい」とのことだったが、非常に厳しい現実だ。
著者は常にすべて -
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ネタバレサラリーマンVSなにわのやくざ!
テンポのいい展開で一気に読み進める!!
ハラハラドキドキ感が堪らない作品。
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新製品発表会議に出席するため初めて大阪を訪れた坂田。
しかし立ち寄った将棋会館で彼のアタッシュケースは取り違えられてしまった!しかもそれは大阪生粋のやくざの手に・・・。間違われたアタッシュケースの中身は闇取引に使われるはずの5000万だったのだ。
奪われた5000万と自分のアタッシュケースを取り戻すため、そして追跡中出会った真弓を助けるため、東京の平凡なサラリーマンが大阪の街をひた走る。
坂田はアタッシュケースを無事取り戻す事が出来るのか!?
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それにしても -
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マタギの血を引く雪人が対峙する相手が感情を欠いた怪物的な存在なんだけど、雪人は地に足の着いたバックボーンで(狩猟を生業とするハンターであると言う事実)立ち向かう所が鳥肌もの。杏相手には天然たらし振りを発揮しているところも、本人全く無自覚で、雪人単体萌え出来る。たとえBL的要素がなくても…と思っていたら、2巻ラストでまさかの…(笑)。宮本が渋い極道なんだけど、どうにも受け臭いんだ、これが(笑)。もんでんさんが描いていようと、青年漫画と解っていようと、雪人(天然無自覚年下攻め)×宮本(渋い系極道兄貴なんだけども、妙に男に固執されるタイプ)にしか読めなかった『雪人』2巻の巻末の下り!!!