大沢在昌のレビュー一覧
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シリーズ最長のページ数?そして久々の4文字タイトル。
前作「灰夜」から一転、濃厚な”鮫”の世界を堪能できる。
桃井や藪は当然として、必ず出てくると思われていた真壁との確執、さらにはそこに村上(最後のライバル?)も絡んでくる。
最初は自動車窃盗犯の捜査が、高度経済成長期前の新宿で起きた事件と絡み、過去と現在をつないだ濃厚な人間ドラマが展開される。
話し(事件の規模)はシリーズ中でも小さいが、ドラマの陰影、キャラの絡め方や熟成ドラマは今までで一番深い。
延々と続く会話のシーンの巧さ、それぞれの視点での事件の見せ方のうまさ、ますますシリーズの深化がうかがえる。 -
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毎回、趣が変わるシリーズで、今回のテーマは…ん?ない?
今までは一つのプロット上で話が展開していたが、今回は複数事件の同時進行。それも(いくつかは重なるとはいえ)3つ4つもある。
イラン人と中国人グループの盗品強奪に端を発した対立抗争、ラブホテル連続放火事件、娼婦の連続殺人事件…と話が錯綜する上に、タイトルともなる(南米から入ってきた稲を全滅させる可能性がある害虫の)蛹探しがプロットに関わってきて、何より鮫島が正反対のタイプの植物検疫官とコンビを組むという設定が面白い。
シリーズで一番話の展開が凝っているし、のちに再び登場しそうなキャラも多い。ただあまりにも盛りだくさんの内容のため、晶の登 -
Posted by ブクログ
シリーズの中で一番プロットは練られているし、多彩な人物が登場する。しかも直木賞受賞作。
が、様々な人間模様が交錯すのはいいが、あまりにも偶然やタイミングが重なりすぎているし、それぞれのドラマを深く描いているようで同じような描写が多く冗長に感じる。
それぞれのキャラの行動にも根本的に説得力がないため、ラストは十分に盛り上がるが読後感はやや物足りない。
他の作品のレベルが高いのでこちらの期待値が高すぎたのかもしれないし、根本的にこのヒロイン(描写)が好きになれないかもしれない。やたら若さと胸の大きさがだけが強調されていて、全く魅力が感じられない。 -
ネタバレ
最後まで飽きずに読破
前半の謎解き、後半の活劇。一気に読みました。新宿鮫はいつも時事ネタが入ります。今作もたっぷりつめこまれています。それが物語にリアルさを吹き込んでいます。終わり少しあっけないかな。それが良いところか、、、。星4にしました。
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Posted by ブクログ
キャリア警察官出身の鮫島警部が所轄署の刑事になっていて、 そんなことは異例だから、警察内部機構の矛盾をついて いろいろぶつかりながら、事件を解決していくストーリーがおもしろい
この作品で直木賞を受賞というより、 これまでのシリーズ全体に受賞という感じ
ま、その後の10巻に及ぶ作品群もおもしろいらしいから
(夫が先に全巻読んでの感想で) 大沢氏、このシリーズ作品が大力作というわけである
作品の手に汗握る事件を追うのも楽しいが、 やはり展開の中にはさまれるフレーズにハッとする、 それが作家の妙味
たとえば次のような、鮫島(主人公の刑事)が、新しいバンドでプロのボーカルになっている恋人、晶に -
ネタバレ 購入済み
先が気になります
結論(黒幕が誰か)が見えつつあるにも関わらず、登場人物それぞれの個性と背景が作品に面白さを与えていて、ついつい先が気になる作品です。