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Posted by ブクログ
新宿鮫が新宿ではないところで⁉︎
今回、新宿はおろか東京近辺での話でもなかった。
管轄外の地域では、捜査をする権限はないらしい。
それでも一個人として、たまたま出会った友人の友人のために、鮫島は動いた。
相変わらず命がけで。
結局まるでいつものように、行動を起こしていた。
結末は、誰も納得がいかないものだったけど、被疑者死亡で証言も証拠もないから仕方ない。
真相は闇の中だ。
それを上は、綺麗に収める。
鮫島も、上に守られたような形になってしまった。
組織を嫌っていても、結局は組織に守られることもある。
鮫島のとった行動に対して、何のお咎めもなかったのがいい例だ。
世の中、全てを白黒はっきりさせず、覆い隠してしまうことも時には必要なんだろう。
ただ、その塩梅が難しい。
Posted by ブクログ
「ルパン三世」という、テレビアニメがありますね。ありましたね。
僕は子供のころから、大人になっても、基本的に大好きです。楽しめます。
(と、言っても考えたら10年近く、見ていないかもですが)
あの面白さっていうのは、物語、シリーズ、ヒーローもの、という楽しみ方を考える上で、実に判りやすい例だなあ、と思うのは。
大まか25分の1話完結。
中には、名作、と呼ばれるものもあります。
「雨の午後はヤバイぜ」「脱獄のチャンスは一度」「七番目の橋が落ちるとき」「死の翼アルバトロス」「荒野に散ったコンバットマグナム」...
(狡いようですが、大隅正秋さんのルパンと、宮崎/高畑さんのルパン、僕はどちらも好きです)
なんですが、圧倒的に多数の作品は。
単発の25分のドラマとしては、「なんじゃこりゃ!」というひどい出来のモノが多いんですね。
冷静に考えると。
なんだけど、面白い。
これはもう、話がどうこうというよりも、
「ルパンたち、というキャラクターと出会えれば、とりあえず満足!」
ということなんだと思います。
実はそれが、「1作1作の単独作品としての芸術的完成度」なんぞよりも、娯楽、愉しみとしては、とっても大きいのですね。
(ただ無論、1本1本がオモシロイに越したことはありません。特に、22分ずーっとじゃなくても、部分だけでも)
#
大沢在昌さん。新宿鮫シリーズの、第8作。「灰夜」。2001年。
なんとなくシリーズ順に読んでいます。
この「灰夜」は、発表順で言うと、第8作なんですが、内容の時系列で言うと、第7作の「風化水脈」より以前の出来事、という設定だそうです。
(ま、ほぼどうでもいいのですが)
#
今回の趣向は、「場所が新宿ではない、ということ」に尽きますね。
ならもう、「新宿鮫」じゃないじゃん!
という気もしますが、まあ、大ヒットシリーズなので。番外編的に。
友人の法事で、とある県(名言されていませんが、どう考えても100%、鹿児島県)で、トラブルに巻き込まれる。
そして、事件が始まってから解決まで、1昼夜の出来事。
もう一つの今回の趣向は、「朝鮮」「北朝鮮」ですね。
鹿児島県は朝鮮とは関わりが深いですね。
※司馬遼太郎さん「故郷忘じがたく候」。名作です。
ネタバレざっくり言うと、
北朝鮮が国家として覚せい剤を日本のヤクザに売っている。
見返りに、日本で作った、「国際禁輸措置になっているハイテク機器」を仕入れている。
実行しているのは、在日朝鮮人。
なんだけど、そんなことに関わりたくない、主人公・鮫島さんとの友情を優先したい、という在日朝鮮人も現れます。
そして、そんなことと全く関わりなく、夜の町で生きている在日の人も。
お話としては、そこに、北朝鮮の特殊工作員、というのも絡んできます。
この辺は、第2作「毒猿」が彷彿としますが。
それに、公安警察、不良警官、暴力団、が絡んできます。
言ってみれば、ここまでの新宿鮫の要素のオン・パレード。オールスターゲームみたいな...。
そして、見事なまでに。
●前半、何が起こったか五里霧中。強烈な謎、サスペンスの中、いきなり監禁されるピンチから、反撃に転じる主人公。
ココはやっぱり面白い。わくわくしますね。
そして、
●あっち行ったりこっち行ったりしているうちに、なぜか何人かがしゃべらなくて良いことを勝手にしゃべって、巨大すぎる秘密があっという間に判明、
そしてそれを何故だか主人公が独りで全部カタストロフな終局導く。
という、ココのところはやっぱり、にやにやしちゃうくらい、割と強引(笑)。
まあ最早、かわいいと言っても過言ではないくらい...。
ただ、結局は。
暴力と理不尽と既得権益、脅迫と恫喝と弱い者いじめがまかり通る世の中で、
それらに敢然と立ち向かい、毎回毎回、死にかけながらも死なない鮫島さん(笑)。
言ってみれば現代の月光仮面の叔父さんなんですが(笑)。
そこに「警察官であり、上流階級(キャリア)であり、しかし放逐され流浪する貴種(プリンス)であり、その特権を振いながらも汚れた街を行く」
という、小説上のリアリズムベースの上を飛び跳ねることで、ただの「正義の味方」に停滞しない生活感が主人公にあります。
結局は、その主人公の新宿鮫さんが、それなりに「らしく」活躍してくれれば、多少の完成度は低くても愉しめちゃうんやなあ、と。
と、言う訳で、ふっと頭をよぎる、
「もはや、ルパン三世状態...」
#
ただ、なんだかんだ、読ませどころ、魅力も必ずあるのが、大沢在昌さん。
「灰夜」はやっぱり、地方都市の生臭さ、生々しさ。
そして、在日というマイノリティで、偏見激しい地方で生きる事、というヒリヒリした皮膚感覚。
これは面白かったです。
(危険なゾーンのネタを、犯罪アクション娯楽小説でいじり倒しながら、やっぱりどこか通底音として、大沢さんはリベラルな知性主義なのではないだろうか、と勝手に思います)
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