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Posted by ブクログ
大沢在昌『暗約領域 新宿鮫 11』光文社文庫。
第1作が1990年の刊行で、スローペースながら30年以上続く傑作ハードボイルド警察小説。
第11弾はシリーズ最長の900ページ超え。これだけのボリュームでストーリーも面白いとなると、非常に読み応えがあるものだ。ボリュームがあり過ぎて、読み終えるのに足掛け4日間を要した。
公安、北朝鮮や中国の工作員、犯罪者、殺し屋、暴力団と役者は揃い、その中で主役を努める鮫島という図式。元暴力団の男の違法民泊経営、謎の男性の射殺事件、公安の暗躍、かつて鮫島を殺害しようと殺し屋を差し向けた中国人犯罪者とミステリーとサスペンス、ハードボイルドの要素は満載であるが、仕掛けはこれだけではない。
前作で上司の桃井課長が殉職し、恋人の晶とも別れて独りきりになった鮫島は不眠に悩みながらも、単独で捜査を続けていた。
協力者からの情報で薬物取引の現場である違法な闇民泊を張り込んでいた鮫島は鑑識の藪と監視カメラを調整しているうちに監視対象の民泊で謎の男性の射殺体を発見する。射殺された男性は何者なのか。犯人の正体は、目的は何なのか。
そんな時、新宿署にノンキャリアの星と呼ばれる阿坂景子が鮫島の上司として赴任して来る。彼女は警察の規則とルールを重んじる考えを前面に出し、鮫島に新人の矢崎隆男とコンビを組んでの捜査を命じる。
一方で、鮫島と因縁のある国際的犯罪者の陸永昌と元公安刑事の香田に不審な動きが確認される。
相棒の矢崎の立場を気遣いながら捜査にあたる鮫島は少しずつ事件の真相に近付いていく。やがて、射殺された男性が中国人で、民泊に滞在していた目的、事件の背後に公安と北朝鮮の高官、元暴力団、金石という非合法グループの関与が明かになる。
久し振りに『新宿鮫』シリーズの作品を読んだが、設定が人気テレビドラマの『相棒』に酷似していることに気付いた。『新宿鮫』の刊行が1990年で、『相棒』の放送開始が2000年であることを考えると『相棒』が『新宿鮫』をパクったのだろう。ある秘密を握ったことから警察組織から疎まれ、それでも抜群の推理力と行動力で事件を解決する警察キャリア・鮫島の姿は杉下右京と重なる。今回、鮫島がコンビを組んだ矢崎隆男は杉下の相棒の亀山薫だろう。また、鮫島が鑑識の藪と懇意にしているところなどは『相棒』でもお馴染みの光景だ。
本体価格1,260円
★★★★★
Posted by ブクログ
去年から1作目を読み始めて11作目。とうとう、読んでいない作品は、最近文庫化されたばかりの黒石のみになりました。だいぶゆっくりと新宿鮫を堪能してきましたが、どんどん読んでいきたいのを我慢して、このペースで進めてきました。それは、刊行された作品がまだ何冊もある状態なら、読んでいくスピードは、自分でコントロールできますが、最新刊まで読んでしまうと、作品が出来上がるまで待たなきゃならないからなのです。この作品を読み終わった瞬間に、黒石をいつ読むのか、少しワクワクする悩みを抱えて、全く違う積読してある作品の山を崩していきたいと思います。
今回の作品は、過去の作品に登場した人物の思惑や因縁が絡み合って、かなり厚みを増した作品になっています。これは、長いシリーズがないとなかなか成立しないことで、まさに作家と読者が作り上げた世界観だと思います。
この新宿鮫を読み続けている理由は、生死をかけた銃撃戦が、死ぬかもしれないという恐怖を主軸にリアルさを追求しているところです。
国際情勢が刻々と変化していく中、鮫島はどんな事件に巻き込まれ、そしてどんな選択をしていくのか、是非読んで楽しんでみてください。
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小説・文芸
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