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Posted by ブクログ
新宿鮫は1990年にシリーズが開始されているらしい。
今作は短編集を含むと13作目。全て拝読しているがずっと魅力的で面白くあるのはとにかくすごい。新宿鮫のイメージは壊さず、でも進化してる感がすごくつたわってくる。
今作は結構ボリュームがありましたが、それでも足りない!と思わせてくれる面白さでした。
金石という集まりについても考えさせられるな、と。日本人で中国人でもない人たち。きっと想像もできないような苦労があるのだろうとおもう。根底はそこなのだろうか、そこからの派生がおおきな事件に。今作は独特な凶器がフューチャーされていて怪傑の切り口も面白かったです。
Posted by ブクログ
大沢在昌『黒石 新宿鮫12』光文社文庫。
久し振りのシリーズ第12弾。600ページを超える大ボリュームの長編ハードボイルド警察小説である。
今となっては、日本のハードボイルド作家は絶滅危惧種となり、大変貴重な存在になった。かつては北方謙三や大藪春彦、船戸与一、原尞、生島治郎などの多くの優れた作家がハードボイルド小説を上梓していたのだ。
そんな中、30年以上も続くハードボイルド警察小説シリーズがこの『新宿鮫』である。決して公には出来ない警察組織の秘密を握ったことから飼い殺し状態となり、単独行動を常とする鮫島刑事はずば抜けた腕力があるわけでも、格闘技に秀でているわけでもなく、己の信念のもと、地を這うような捜査により巨悪を炙り出すのだ。
今回は、かつて鮫島を裏切った公安警察の矢崎がスポット的に鮫島の相棒となり、中国系犯罪ネットワークを我が物にしようと殺し屋『黒石』を操る『徐福』の正体を突き止め、『黒石』の凶行を食い止めようとする。
面白い。600ページ超えるボリュームも全く苦にならず、ほぼ一気読みであった。
公安警察の矢崎から新宿署刑事の鮫島に『金石』に関する新たな動向が伝えられる。中国系犯罪ネットワーク『金石』の8人の幹部である八石の1人『徐福』という人物が『黒石』という名の殺し屋を使い、『金石』をネットワーク組織からピラミッド型の犯罪組織に作り変え、自分の意のままに操ろうとしているらしいのだ。
鮫島は再び矢崎とコンビを組み、『金石』の動向を捜査すると、過去に『黒石』による手口と思われる複数の殺人が浮かび上がる。さらには『黒石』は既に八石のうちの2人を殺害していたことが明らかになる。八石たちに迫る『黒石』の魔の手。鮫島は『黒石』の凶行を食い止め、『徐福』の正体を明らかにすることが出来るのか。
本体価格1,260円
★★★★★
Posted by ブクログ
読書感想|黒石 新宿鮫12
大沢在昌の人気シリーズである新宿鮫シリーズの12作目にあたり、現在までの最新作である本作は、2作目の「毒猿」以来久々に敵役となる殺し屋をタイトルにした作品となった。
出版にあたって著者の大沢在昌に取材をしたウェブサイトによると、前回の『暗約領域』で話が複雑になりすぎて、かつやや長くなってしまったことから、今回はシンプルな作品にしたかったのだということだ。
実際に作品としては、”黒石”という殺人者と徐福というその裏側にいる黒幕が組織の要となる人間を次々と殺していくという、かなりシンプルな話ではある。
その舞台となる組織は、ここ2作品で重要な位置付けとなっていた中国残留孤児二世・三世をネットワーク型に結びつけている「金石」だ。この金石という組織は、もともとは中国残留孤児の子孫たちの互助組織のような位置づけだったのだが、中国と日本の両方の顔を持つ人間が犯罪行為を行ったことから犯罪を包含する組織となってしまったようだ。
そして本作では、その緩やかなネットワーク組織をピラミッド型組織に変えるために、徐福と呼ばれる人間が暗躍することになる。
この徐福という人間の正体を明らかにするというのが、ミステリーとしての今作の一つの面白さになるのだが、しかし著者はそこに強い力点を置いて話を進めていたようには見えない。
むしろ本作では前作の最後で殺されてしまった新本ほのかという女性を、実質的なヒロインとして、これまでの2作品で登場してきた人物たちの人間関係や裏側を丁寧に描いていくという作品になっている。
また、今回は黒石というある意味サイコパス的な人間を鮫島の反対側の真正面に配置したせいか、警察内部でのやりとりというのはあまり印象深くは書かれていない。ただし、前作においては桃井の代わりに登場した阿坂を敵対視していた薮は、本作では彼女の刑事魂に触れて、かなり親密感を持つようになっている。
作者によれば金石の話は一旦ここで終了し(主要人物のほとんどが死んでしまったので仕方がない)、過去に鮫島と因縁の生まれた陸永昌もしばらくは日本に来ないだろうということで、もし次の作品が描かれるとしたら、また違う犯罪者を描くことになるとらしい。
大沢在昌ももう70歳なので、それほど早く作品を書かない気もするのだが、ぜひ陸永昌との因縁には終止符を打ってこのシリーズを終えて欲しいと思っているのだった。ただ終わり方が見えないだけに、もしかしたら、警察官を辞めるというところで、物語が終わってしまうのかもしれない。
Posted by ブクログ
『黒石』は、まさに新宿鮫シリーズ屈指の緊張感を味わえる一冊だった。物語が動き出した瞬間から不穏な空気が途切れることなく続き、鮫島が一歩踏み込むたびに危険が迫ってくる展開に、ページをめくる手が止まらなかった。敵の存在感も圧倒的で、終始張り詰めた空気の中で読み進めることができた。
そして何より心に残ったのは、鮫島の変化である。長いシリーズを追いかけてきたからこそ、これまで多くのものを失いながらも前を向き、新たな人間関係を築こうとする姿に深い感慨を覚えた。孤高の刑事としての鋭さはそのままに、どこか柔らかな表情を見せる瞬間があり、鮫島という人物の歩んできた時間の重みを感じられた。
圧倒的な緊張感と、主人公の確かな成長を同時に味わえる『黒石』は、シリーズの魅力が凝縮された極上のハードボイルド作品だった。読み終えたあと、これから先の鮫島の物語をますます追いかけたくなる一冊である。
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小説・文芸
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