大沢在昌のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
文庫本にして918頁の、シリーズ最長篇。
これだけの長編を一気に読ませる著者の凄技に敬意を。
前作で、桃井課長を喪い、晶とも別れた鮫島には新しい局面が。
桃井の後釜にノンキャリアの女性課長阿坂景子が赴任し、同時に配属になった矢崎隆雄と組んでの捜査を、鮫島は命じられ、今までの一匹狼から中間管理職的立場となる。
薬物捜査に殺人事件も絡まり、暴力団の元幹部が行方不明になり監禁の疑いが。
事件の裏には、密輸が絡み、公安部の関与も。
中国残留孤児や在留邦人の二世三世で構成される「金石」のメンバーや、北朝鮮の工作員の影もちらつき、さらに殺し屋に正体不明の女性も。
公安刑事の香田や因縁のある国際的犯罪者・陸永晶も登場し、人間関係や事件の真相は、より一層混迷を深める。
「基本を守る、ルールを曲げない」という信念を持ち、警視庁を立派な組織だと公言する女性課長が、今後どういう役割を果たすのか。
すでに発売されている次回作も期待される。 -
Posted by ブクログ
桃井課長と晶を失い、新たな環境で捜査を展開する最初の刊。文庫本で読むのは辛いくらい分厚く、力作になっている。
昔から変わらないのは鑑識の藪、それが唯一の支えにも見える。その藪とタレコミのあった管区内の民泊を監視中、殺人事件にいきあうところから物語が始まっていく。
いつのまにか対峙する敵が国際的になり、その代わり過去に追い詰めてきた暴力団の人間と捜査をする上で協力する事にもなる。
新たな環境の始まりであるのは間違いないが、ヤクザのトルエン、シャブのシノギを追っかけていた主人公が、時折桃井の存在を思い出す描写で、過去の刊を読み返してみたくもなる。
解決した後、最後に協力しあった暴力団幹部が礼を言いにわざわざくる。そんな小さい描写も、昨今無くなりつつある漢臭い関係を何処か懐かしく、少しだけ羨ましく感じる自分を再認識させられた。
大沢在昌万歳! -
Posted by ブクログ
大沢在昌の長篇ミステリ作品『標的はひとり』を読みました。
『悪人海岸探偵局』に続き、大沢在昌の作品です。
-----story-------------
狙う側と狙われる側――命を懸けたゲームが始まる。長編ハードボイルド!
標的は一級のテロリスト。報酬は「自由」。
殺人に苦悩する男は、殺人を楽しむ男を追う――傑作ハードボイルド新装版!
かつて極秘機関に属し、国家の指令で人間を“消して”いた加瀬。
ある任務が原因で組織を離脱し、監視を受けながら暮らしている。
そこに、強大な権力をもつ大富豪、出雲グループ会長から私的な依頼が来た。
標的は会長の孫を殺した冷酷非情なテロリスト、成毛泰男。
報酬は金と国家からの「解放」。
加瀬は過去、そして自分と向き合いながら、最後の闘いに身を投じる。
緊張感に目が離せない、ハードボイルド・サスペンス!
-----------------------
1983年(昭和58年)に刊行された作品… 殺し屋・加瀬崇を主人公としたハードボイルド小説であり、冒険小説、スパイ小説でしたね。
加瀬崇、38歳… かつて私は、「研修所」と呼ばれる機関に属していた、、、
日本の暗部を担い、国家が邪魔だと判断した人間を闇から闇に葬る陰の組織だ… 組織を離脱しても私の心に傷は残った。
ある日、加瀬に電話がかかってきた… かつて関係を持った女・三津子からだった、、、
その電話が、私の心の傷を蘇えらせる点 「成毛泰男を殺せ」 突然の大企業社長・出雲からの依頼。
報酬は5,000万円… そして「監視者」の除去、、、
殺しを請け負うのは、「研修所」に所属していたとき以来であった… 断れなかった加瀬は、世界一級のテロリスト・成毛泰男を追う。
彼は全世界の司法機関の追求をかわし続け、機械のような正確さと残忍さで戦い続ける1匹の獣だ… 狙う側と狙われる側との目に見えない死のシーソーゲームが始まった! 緊張感溢れるハードボイルド・サスペンス。
主人公・加瀬の心理的モノローグにかなりの文字数が割いてあり、心理描写の比率がかなり重たいのですが… それだけに、殺し屋の加瀬という人物に感情移入できるかどうかが、本作品を愉しめるかどうかの分かれ目なんだと思いましたね、、、
私は愉しめましたね… テロリストと殺し屋の戦いという血なまぐさい物語で、日本国内を舞台にしているので現実感を抱きにくい設定なのですが、物語に惹き込まれていたので、(小説世界における)リアリティを感じながら読むことができました。
加瀬が成毛に接近するまでの展開が長く苦しいので… 結末の加瀬と成毛が直接対決するシーンは、ちょっと淡白な印象を受けましたが、これはこれで良かったかな、、、
次も大沢在昌の作品を読んでみようと思います。 -
無料版購入済み
面白い
もんでんさんのハードボイルド、初めて読みました。
原作は全く知りませんし、こう言ったジャンル自体、普段読んだことがないのですが、読みやすくて面白かったです。
-
Posted by ブクログ
ノスタルジックな想いが湧き上がる。
「昭和」という時代の匂いで満たされる、学生時代ハードボイルドが大好きで大薮春彦氏の作品読み耽った。大薮氏の作品に出てくるダークヒーロー、「野獣死すべし」の伊達邦彦や「蘇る金狼」の朝倉哲也、火のうちどころの無い主人公に憧れさえ持った青春時代。しかし著書の主人公である鮫島警部は1匹狼で勇猛果敢に犯人を追い詰めていくが、非情というより甘さや激情、悪を許せないという「人間」「警官」としての魅力を強く感じる、これが現在でも人気のあるゆえんの様な気がする。
著者が大好きな友人の推しもあり何処かで大沢氏の小説に出会いたかったが、著書を読んで改めて伏線と回収・スピード感等、大変バランスの良さを感じた。続けて読んでいきたいと思う。また、シリーズ以外の著者の作品に触れてみたい。