40年前のビル屋上で亡くなった人物の謎を追え!そこには時代を超えた人間ドラマがあり… #リペアラー
■あらすじ
イラストレーターの想一は、同級生でノンフィクション作家のミヤビから仕事の依頼をされる。40年前、六本木のビル屋上で亡くなっていた人物についての調査であった。
その人物は当時から身元不明で行旅死亡人として処理され、情報が全く存在しない。想一とミヤビは今も六本木に残る現場のビルで、住民たちに聞き取りを開始するのだが…
■きっと読みたくなるレビュー
行旅死亡人って、知ってます?
外出先で行き倒れ、身元不明の引受人がおらず、無縁仏になってしまった場合に官報に掲載されるんですよね。
私が若かりし頃、出版関係のアルバイトをしてた時に官報や公報を読んでたんですよ。その時に行旅死亡人の記事が目に入ってしまうこともあって、何とも言えない切ない気分になりました。ちなみにこれが頻繁に出るんですよ… 無縁仏になってしまう人がこんなにもいるなんてと、当時結構ショックでしたね。
さて本作は、40年も前に発見された死体、行旅死亡人について調査していくお話です。何者なのか、なぜこのビルでなくなったのか… 想一とミヤビの名コンビが謎解明に向けて突き進んでいきます。
彼らに背景があるところもリアリティがあるし、引き込まれてしまうポイント。二人の距離感も絶妙だし、ずっと見ていたくなるコンビでしたね。
さて本作の一番の読みどころは人間ドラマなんです。想一とミヤビは、調査を進めるうちにたくさんの人たちと人間関係を築き上げる。ビルの現在の住民、かつての住民、大家、不動産屋などなど、彼らそれぞれの人生があって聞き入っちゃう。
特に中盤以降に出てくる飲食店経営者の望月が深い、彼から吐き出される含蓄あるセリフには重みがあるんですよ。これまで苦労してきた人生が容易に想像できちゃいますね、大変勉強になりました
他にも想一の祖父、占い師の老婆、歌手、かつての銀座のママ、ジャズピアノを弾く外国人など、もはや肩書だけでひとりひとりの横顔が見えてくる人たちばかり。すっかり仲間気分で、物語に入り込んじゃうんですよね。
さて物語は後半はいると、思いもよらない角度で展開し始める。40年前の人探しだったはずが、なんでこんなにもスケールが大きな問題になっちゃうのか。そして終盤の終盤… ぜひご自身の目で読んでください、本タイトルの意味は想像もつかなかった~
ベテラン作家先生にも関わらず、とってもチャレンジングな作品だったと思います、面白かったです!
■ぜっさん推しポイント
想像力を掻き立てられるお話でしたねー、読み終わってから色々と考えてしまいました。実は知られてないだけで、世の中には理解が及ばないようなレベルで苦労している人がいっぱいいるのかもしれません。
しかし本作にでてくる登場人物は、みんな優しくていい人ばかりでした。人生を楽しく過ごすなら、やっぱり色んな経験を積み上げることは大切ですね。