大沢在昌のレビュー一覧
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ネタバレザ・大混戦!って感じの話。桃井や昌がいなくなって新宿鮫新シーズンな印象を受ける。新課長阿坂、初の相棒矢崎、対立する正義香田、因縁の相手陸。内調と北朝鮮とのタミフル密輸出。その売人がタミフルの在りかを知らせぬままに殺された。真相を探る鮫島、タミフルが見つかるとまずい内調、密買の相手が知りたい北朝鮮工作員、タミフルを見つけ内調に貸しを作りたい陸、北朝鮮に復讐する田中と様々な思惑が入り乱れる。田中は死に、陸は逃げ、タミフルは結局公安が押収した。公安から内調に届けられたということなのだろうか?
大混戦とはまた別の話として、新キャラについて。香田とはまた違った正義の対立を描く阿坂。さらに綺麗にした内 -
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ネタバレ歪んだ発展を遂げた近未来の東京を舞台に、ギャングやマフィアやシンジケートの巨額のマネーロンダリングが水面下で行われる熾烈なサバイバルミステリー。アンダーグラウンド専門の探偵、ヨヨギ・ケンの、血と灰の中で育ったすれた性格、大胆な行動力と冷徹で容赦のない言動、しかし内面に持つ人情溢れるあたたかさのギャップで読者はたちまち虜になるであろう。ケンが汚い金ででっぷりと私腹を肥やした大金持ちを相手に吐く台詞は最高にシビれる。また、前作を読んだ者をこれでもかと喜ばせる登場人物、台詞や場面でいっぱい。また全ての登場人物の相関図の入り組み方、トリックにトリックが重ねられ、手がかりが現れては砕け散り、最後の最後ま
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ネタバレ『新宿鮫』を読んだ事がない人間でも、存分に楽しめる短編集だった。
以前、感想を書いた『小説 こちら葛飾区亀有公園前派出所』に収録されている、両津勘吉とほんの少しだけ関わり合いを持つ話や、両津勘吉に劣らぬ人気を博し、同時に、彼に負けないくらいの正義と信念、悪に対する怒りを持つイケメン・冴羽リョウ(ケモノ編に尞)と知り合いである、そんな突飛ではあるが、違和感を覚えさせない短編などに、実に心が奮えた。
刑事とは斯くあるべき、と決めつけてしまうのは実に危険だとは思うにしろ、鮫島のように、自分の命を、一線を越えた犯罪者を捕えるために懸ける、その覚悟が出来ているのなら、意外に、そういう刑事は死なないのかも -
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このシリーズは、「訳アリ」な新宿署の鮫島警部が、各作中での様々な事件に向き合って奮戦するという内容だ。シリーズの各作品で各々の味わいが在る。「各々の味わい」としたが、鮫島と一部の劇中人物達が共通する「各々の雰囲気が在る」のが好いのだ。
シリーズ各作品は、基本的に鮫島の目線で綴られるが、事件関係者等の目線で綴られる部分が適宜入り込んで切り替わりながら展開している。何処か「クールな映像作品」にでも触れているような気分になる場合も在る。
本作の題の『炎蛹』であるが、作中に登場する(架空)の害虫の名を和訳した字を宛てている。害虫の件が鍵にはなるが、次々と起こる様々な出来事がスピーディーに、複雑に絡み合 -
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気に入ったシリーズの各作品をランダムに愉しんでいる。これも凄く愉しかった。
「訳アリ」な鮫島警部が奔走し、事件の解決を目指すという<新宿鮫>シリーズである。近年の作品を読んでいないと手を着け始め、随分以前に読んでいた可能性も在る作品に辿り着いたが、一度読んでいたかもしれないにしても、記憶が曖昧になっているので、新たに出会うのと同様に愉しく読んだ。映像ソフトが少し入手し悪くなっているように見受けられるが、本作を原案とするテレビドラマが在ったことも憶えている。
<新宿鮫>シリーズは、主人公の鮫島の目線で綴られる部分と、作中の事件関係者等の目線で綴られる部分とが適宜交わりながら進むのが通例である。現 -
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読み始めると停められなくなるモノが在るシリーズだと思う。新宿署に在る、少し「訳アリ」で、街のワルにはその姓にも引っ掛けて“新宿鮫”と綽名される鮫島警部が奮戦するというシリーズである。物語の大半は鮫島の目線で綴られるが、適宜作中の事件関係者等の目線に切り替わる箇所も交じる。二転三転しながら、鮫島が出逢った、関わった事案の顛末がテンポ好く描かれる。そういう雰囲気は本作でも健在だ。
好評を博しているシリーズが続く中、シリーズの過去作品の「続き」的な要素を巧く織り込むということも出来ると思う。“新宿鮫”のシリーズは、そういうことを巧くやっているシリーズだと思う。と言って、過去作を余り知らなくても、作中 -
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ネタバレ区立花園公園
桃井が死んだ日の夜に桃井と鮫島の始まりの話を読んだ。つくづく生きていてほしかった。「マンジュウ」になっていなかったら、警察官の誇りを失ってしまっていたら。生きていたかもしれない。でもそうなれば10巻で築きあげてきた鮫島との関係はないものになってしまう。受け入れなければいけない。どうか、安らかに。
夜風
鮫島の日常って感じの短編。短くても鮫島の生き方がよくわかる話。
似た者どうし
炎蛹あたりの話なのだろうか。晶も鮫島も幸せそうだ。別れてしまったのが悲しい。僕はシティハンターはよく知らないが似たような生き方の人なのだろう。独特なクロスオーバー作品って良いよね。
亡霊
今 -
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ネタバレ別れはいつも唐突に、そして儚い。晶との別れがついにやってきた。氷舞から徐々に匂わせてきた晶との別れ。気づいていたとはいえこの別れは悲しい。どちらも悪くないのに。どちらも好きあってたのに。それでも別れなくてはいけない。別れ方も電話とメール。それでもお互い思い合ってのこと。やりきれない。でも2人の関係はとても綺麗だと思う。
そして桃井。事前に知ってたからまだ受け入れられたが、そうでなかったら最後まで読めなかったかも。最も心強い味方を失ってしまった。あっけなく。でも最後の署長の言葉で僕は救われた。表だって味方する人は桃井だけだったけど、鮫島をわかってくれる人はちゃんといたのだ。絞り出す勇気は誰か -
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「酷く目立つ分厚い文庫本…」に変に惹かれて紐解いた『暗躍領域』の前に出ている<新宿鮫>シリーズの作品が本作だ。『暗躍領域』の中で、鮫島刑事が「少し前の出来事を想い起して…」という風に触れられる出来事が、“進行形”で起こっているのが本作の物語である。
何やら、発表された順番を度外視して、シリーズ作品をランダムに読み漁るような体裁になってしまっている。が、頭の中で、何年か前のこと、数日前のこと、当日のことと時間軸が乱れ飛びながら色々と思い出すというように、記憶している事柄の時間軸が何時も整っているのでもない面は在ると思う。それ故に、シリーズ作品をランダムに読み漁るような体裁も悪くないと思う。他作家 -
購入済み
相変わらず安定の大沢節
ほぼ一気読みでした。
登場人物を絡み合わせながら物語りをぐんぐん展開させていくあたりは相変わらず。主人公の相棒が成長していく様も読みどころか。