大沢在昌のレビュー一覧

  • 雨の狩人

    kou

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    読了即傑作!

    狩人シリーズ3作目まで電子で読んだので、配信されるまで首を長くして待ってました。
    もしかしたら、新宿鮫・鮫島刑事より狩人・佐江刑事の方が好きかもしれません。鮫島刑事が館ひろしなら佐江刑事は・・・香川照之でしょうか?映画化して力のある脚本家に台本書いてもらって是非とも観たいものです。
    ラストバトルのシーンは、他の展開が無かったのか!?読了後に散々アナザーストーリーを考えましたが、結果、あれ以外にあり得ないと思いました。佐江、神谷、延井、佐藤、善悪捨てて良い男たちです。

    1
    2018年08月30日
  • 第46代棗希郎衛門黄龍の耳発現編 1

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    味のあるさくひんです

    続編をよみたかった。

    0
    2018年03月09日
  • 雪人 YUKITO 5

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    よかった

    2
    2018年02月18日
  • 鮫島の貌(かお) 新宿鮫短編集

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    買って帰って来て、あっ、これ読んだなぁって。わかってたんどけどやっぱりおもしろかった。また長編が読みたい。

    0
    2018年01月14日
  • 小説講座 売れる作家の全技術 デビューだけで満足してはいけない

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    作家という職業がいかに厳しいものかよくわかりました。
    読んでも読んでもそれでも飽き足らず、それ以上は自分で書くしかない
    情熱のある人がなる。今の自分の職業(作家ではなく普通のサラリーマン)
    はそう感じているものではないので、考えさせられました。

    0
    2017年10月06日
  • 灰夜 新宿鮫7~新装版~

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    寝床で読む小説として、長らく読んでいなかった「新宿鮫」シリーズを選んでみた。でも、これは寝床で読む小説ではなかった。頁を繰るのが止まらなくなって、逆に眠れなくなってしまう。
    相変わらず、大沢在昌はうまい。とにかく息もつかせぬ展開で一気に読ませる。
    何より共感するのは、保身のために節を曲げることをしない主人公・鮫島の生き方だ。
    たとえそれが小説の中だけのことであるとしても、そんな生き方をしている人物がいると思うだけでも勇気づけられる。

    0
    2017年09月30日
  • 絆回廊 新宿鮫10~新装版~

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    二十年以上の服役を終え、新宿に帰還した大男が果たすべき因縁。鮫島を支えてきた絆さえ清算されてしまうシリーズ第10作。
    第一作が1990年。それから二十年の長期間に及ぶシリーズだが、新宿という街のように全く熱情が衰えることがない。本作では、中国残留孤児二世らの闇の組織が絡む事件だけではなく、鮫島の支えである晶や桃井との訣別が物語の柱となり、集大成的意味合いを持つ作品になっている。明確なシリーズ完結の情報はないが、新たな鮫島の姿に再び会えるのか心配だ。

    0
    2017年03月05日
  • 絆回廊 新宿鮫10~新装版~

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    香田さん、どうしてるかと思ったら警察に極近いところにいた。相変わらずだが。それにしても、ストーリーは今回も十分に裏切られることは無かった。おもしろい。だが、悲しいことがいくつかあった。桃井さんの死、これは今後の鮫嶋にどんな影響を与えるのか?そして、晶との別れ。これで終わりはないと勝手に思ってる。下里、うっとおしい奴だと思っていたが、結果的には鮫島を助けることになった。本人も助かって良かった。次の作品がいろいろと楽しみ。

    0
    2017年02月15日
  • 狼花 新宿鮫9~新装版~

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    手段は違うが目的は同じ、それぞれにメリット・デメリットはある。違いは法の下において遵守しているか、してないか?だ。多分正しいやり方で目的を達成しないと、いつか破綻するだろう。そして、大切なものを守り抜く者とだからこそチャレンジさせて欲しい者、そこには相容れない世界があり、決して交わることはない。一方、鮫島はジリジリと足元から崩れそうな状況の中でも自分の信念を貫き通していく。香田も本当に鮫島を潰そうとするかと思いきやそうではない動きをする。その行動を理解し合えない二人だが、仲間意識はあるのだろう。今回も十分に楽しめた。

    0
    2017年02月05日
  • 雪人 YUKITO 5

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    名作

    文句なし

    1
    2017年01月09日
  • 新宿鮫 新宿鮫1~新装版~

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    バードボイルド

    これをバードボイルドというのでしょうか

    0
    2016年12月20日
  • 小説講座 売れる作家の全技術 デビューだけで満足してはいけない

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    凄く面白かった。久しぶりに続きをどんどん読みたくなる本に出会った。エンタメ小説を書きたい人は必読で、読むのが好きな人も楽しめるだろう。文庫化熱望。日本推理作家協会「ミステリーの書き方」と合わせて、何回も読みたい。

    特に日本文学・海外文学の文章表現の違いなどは実に興味深かった。神視点・視点の乱れの問題もとても分かりやすく書かれている。

    思ったのは、受講生のレベルが結構低いということ。だから講座として成立するわけだが、彼らの小説のあらすじや一部分を読んでいると、これで大丈夫なの?作家を目指してもいいの?と少なからず思ってしまったのも事実。不倫・死・復讐と、なんだか発想がとても陳腐。中にはおっというポイントがある作品もあるものの、「第二部 受講生作品講評」は少しだけ退屈かな~と思った次第。

    作家になる人はそもそも読書量が圧倒的で、大沢氏も年間500~1000冊読むそうだ。とにかく読書して吸収。
    ところどころ森博嗣と対極にあるなぁ、と思った。大沢氏の「読むのが好きすぎて読みすぎて書く方に転換した人間のみ作家になれる」という考えはとても正統派で好きだ。だけど、「いきなり文庫化」の効用はやはり森博嗣の方が数字に強いだけあって具体的かな。

    ここに書かれた方法や例がすべてのプロ作家にあてはまるわけではもちろんない。「そんな動機で殺人までするかなぁ」という動機ばかりを出してくるプロ作家の石持浅海がいるし、神視点を使う恩田陸だっている。要はやはりオリジナリティ・発想なのだろう。

    0
    2016年11月23日
  • 絆回廊 新宿鮫10~新装版~

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    ネタバレ

    このシリーズはこれで最後なんだろうか?

    自分の生き方を変えることはできない。
    それは鮫島だけではなく、鮫島の週の人間だって同じこと。
    結果、鮫島は大切な人を二人までも失うことになってしまった。
    他の道はなかったのかと読みながら何度も考えてみた。
    この喪失の大きさに鮫島は耐えられるのだろうかと心配になった。

    耐えられなければこのシリーズはこれで終わりだ。
    耐えられるのなら、永昌が仙田のような存在になるのだろうか。

    胸にぽかっと大きな穴が開いたようで、実は私自身が喪失の大きさに打ちのめされている。
    今作は確かに絆の回で、永昌も樫原もとしみも、それぞれに魅力的であったけど、それを上回る衝撃でちょっと感想が書けません。

    0
    2016年11月15日
  • 絆回廊 新宿鮫10~新装版~

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    新宿鮫シリーズを読破した達成感よりも新宿鮫シリーズを読めなくなるという悲しさの方が多い。

    とにかく面白かった。

    0
    2016年10月30日
  • 灰夜 新宿鮫7~新装版~

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    ネタバレ

    これは、番外編と言っていいでしょう。
    舞台は新宿ではなく、自殺した同期の宮本の故郷で全てが始まり終わる。

    そもそもは鮫島が拉致監禁された。理由は不明。
    鮫島を助けるために宮本の親友・古山が動いたが、鮫島の解放と引き換えに彼が捕まってしまう。
    古山を助けるため、鮫島は走る。

    地元で手広く水商売をしている古山、彼を調べていた麻薬取締官、鮫島を見張っていた地元警察、そして地元の暴力団。
    狭い地域で密接に交差するこれらの関係。
    いったい何が起こっているのかわからないまま、宮本と古山の友情のために走る鮫島に胸が熱くなる。

    人が死に過ぎて、死んで欲しくない人までも死んじゃって辛いけど、これは男の友情の物語なのです。
    いつもの新宿鮫とはテイストが違うけど、これはこれで好き。

    0
    2016年10月16日
  • 炎蛹 新宿鮫5~新装版~

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    前作から1年間空けて読んだ新宿鮫第5弾。面白い!ひょっとしたらナンバー1かも。シリーズの代名詞(はぐれモノハードボイルドや、恋人・晶の扱いなど)の観点からは推しづらいが、発想やサブキャラの濃さはじめ、無視するには惜しいカラフルな逸品。読者の皆様は、ぜひこの作品まで読み進めていただきたく。次の6作目も楽しみです!

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    2016年09月11日
  • 毒猿 新宿鮫2~新装版~

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    新宿鮫シリーズで 唯一読んでいない作品だった。
    第2作で 鮫島と青木晶が まだ若いなぁ。
    そして、桃井も 『まんじゅう』とはいえ、
    鮫島に全面的な信頼をしている。

    台湾ヤクザの親分 葉。
    台湾の殺し屋 毒猿 劉・鎮生。
    台湾の刑事 郭・栄民の 3人が、
    新宿を舞台にして、日本のヤクザ 石和組を巻き込んで闘うが、
    日本のヤクザの 無防備、直情的行動にあきれてしまう。

    毒猿が たったひとつの目的 葉を 殺害するために
    全力を挙げ、葉の隠れ場所を 浮かび上がらせ、
    徹底して たたいていく。

    『ローズの泉』店長 亜木を 脳天踵落しで決める。
    それは 『ネリョチャギ』。
    毒猿は 台湾の水鬼仔の出身。郭と同じである。
    そして、郭よりも 腕前は 上だった。
    ローズの泉は 石和組の 安井が 社長だった。
    葉は 石和組の組長が 隠れ場所を 提供していた。

    毒猿は、ローズの泉で働いていた 残留孤児の子 奈美
    の 通訳で 葉の居場所まで たどり着くのだが。
    奈美は、毒猿に いつの間にか惚れ、
    そして、毒猿の ために 薬を購入するのだが、
    とらえられ、拷問される。

    鮫島は、郭とともに 毒猿を追うが。
    テンポよく、緊張感があり、毒猿のたえまない攻撃で、
    葉まで 追いつめていく様は スリリング。
    大沢在昌の 流石の ハードボイルド。よかった。

    鮫島が人生の価値あるものを ふたつと言い切り
    晶との恋愛と 警察官としての職務遂行としている。
    これが、新宿鮫のコンセプトなんですね。

    0
    2016年09月03日
  • 狼花 新宿鮫9~新装版~

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    頑張って、働いて働いて。
    裏切られたり、裏切ったり。見捨てたり。見捨てられたり。
    自分以外誰も信じられない。信じない。
    弱肉強食。ハードボイルドな哲学を持って。
    それでもヒト握りの、信念。こだわり。美学を持って。
    裸一貫から成り上がって来た、初老の男性。一匹狼。

    ちょっとしたココロの隙なのか。
    なんだか懐かしい匂いのする、すごく年下の、懸命に頑張っている女性。
    そんな女性に、入れ込んでしまう。
    なんだけど、「ビジネスなんだから男女になっちゃ、いけない」という過去からの学習があって。
    入れ込むんだけど、男女の仲にならない。
    花にそうっと、日々、水をやるように。そして日向に置くように。
    どこかしら、遠巻きに大事にするような。

    純愛?自己満足?

    そして、その女性は、蛹が蝶に羽化するように、美しく強く大きく成長して。

    そして、気が付けば、その女性に裏切られていた。
    何十年もかかって築いたものを全て、宿敵とも言える相手に、奪われる羽目になってしまう...。

    #

    実に、オッサンの加齢臭が漂う、ロマンチックな魅力に溢れた物語な訳です。

    「犯罪物語。最後には、女性が男性を裏切る」
    もうこれは、ルパン三世の峰富士子を待たずとも、モノガタリの常道ですね。
    (峰富士子さんが、その集積的パロディ、と考えて良いと思います)

    #

    一方で、何かで読みましたが。
    大沢さん自身が「論文を書いたみたいで疲れた」と言及するような味わいも、満ち溢れています。

    #

    日本は、戦後の成り行きのおかげで、豊かな国。島国。
    だけど、世界中に資本主義が行きわたり、金持ちと貧乏人の格差が大きくなる。
    そうなると、飢えたものたちは、自由化の波に乗って金がある都市に集まってくる。
    その波は、グローバル経済だから、国境をまたいでやってくる。
    外国人が増えるのは当たり前。

    そして、世界中のどの国でも、どの都市でも、外国人は不当に差別され、「金持ち」になれないように意地悪されます。
    当然のように、犯罪に走る外国人も多くなります。
    それは、外国人が、その民族が、善だ悪だ、という次元の話ではない、必然である。
    犯罪は取り締まるべきだが、その時に、民族や階層で、差別して良いのか?
    民族論や、自業自得論で、見下して差別して良いのか?

    カネの論理、資本主義の論理で、
    勝ち組が既得権益を離さないのであれば、
    負け組の不満、憎しみ、犯罪が増えてしまうのは、自明の理ではないのか?

    #

    これは、「新宿鮫シリーズ」がその当初から多国籍性を売りにしているので、
    実はシリーズ当初から通底音として常に奏でているテーマだと思います。

    (そして、「外国人」という言葉を、「格差社会の負け組と位置付けられてしまう人々」と置き換えても、同じことが言えます)

    #

    2006年発表の、大沢在昌さん「新宿鮫Ⅸ 狼花」。
    僕としては、「風化水脈」「絆回廊」と併せて、この三作がいちばん好きです。
    (ま、オジサン嗜好としては、それが当たり前なんだと思います)

    #

    お話は、シリーズの常で、複数の線で描かれます。

    #

    外国人の麻薬密輸トラブルから、

    「大規模な、外国人犯罪者と暴力団を包括する、故買品の売買(盗んだ品などの売り買い)マーケットが、闇で作られているらしい」

    という確信を持った、主人公の刑事が、それを追求していく、という線。

    「新宿鮫シリーズ」で何度か姿を現した、外国とのパイプを持つ「仙田さん」という謎のスマートな中年犯罪者。
    その「仙田さん」が、恐らくその親玉ではないか、と。

    過去のシリーズで、主人公は、「仙田さん」との間に、警察と犯罪者なんだけど、
    決斗する孤高の騎士同士のような、ルパンと銭形のような、微妙な信頼関係があります。
    少なくとも、主人公はそう信じています。

    #

    別の線。

    その仙田さん。
    やっぱり、巨大なブラックマーケットを作り上げた男なんです。
    仙田さんに拾われて、ブラックマーケットで重要な仕事をしている、妙齢の中国人女性。
    その中国人女性を主人公として、
    「どの暴力団にも属さない自立した仙田さんのブラックマーケット」が、
    山口組さんを彷彿とさせる、日本最大の関西基盤の暴力団に狙われていく。

    中国人女性は、暴力団幹部と男女の仲になる。
    らせんを落ちていくように、結果的に仙田を裏切っていく。

    #

    そして、三つ目の線。
    これが、「狼花」のいちばんの売りかもです。

    警察のエリート幹部が、外国人犯罪者に家族を襲われる。
    その恨みからか、「外国人犯罪の撲滅」のために、

    「暴力団と事実上、結託して、外国人犯罪を日本の暴力団のコントロール下に置く」

    という、実にスリリングで、インモラルなプランを、密かに進行させていく。
    そのためにはまず、「外国人犯罪者にも優しい、仙田のブラックマーケット」を、
    暴力団に乗っ取らせることにする。

    #

    ...という訳で。どの線も、

    「仙田という謎の男が作った、自主自立のブラックマーケットが、日本の暴力団に乗っ取られる」

    という動きを軸にして、進んでいきます。
    これが実に、無論の事、荒唐無稽な大嘘マジック、なんでしょうけど、生々しくスリリングな攻防。
    全員、悪人。
    アウトレイジ状態の、じりじりとした、水面下の攻防戦。
    (ド派手は銃撃戦なんかは、ほぼ、ありません)

    #

    「仙田」という中年男性は、実はかつて、大昔、若き警察官だった。

    公安、という、とってもCIAみたいな機関に引き抜かれ。
    (公安警察自体は実在します。柔らかながら、戦前の「特高」ですね)

    学生運動や過激派が華やかなりし頃に国内で暗躍。
    その後は、中南米に出向させられて。麻薬カルテルと現地政府の間で、CIAの使い走りをさせられる。
    国家の狗になり、死線を彷徨い、ブラックビジネスを知り抜いて。
    とうとう、国家の正義を全く信じられなくなって、アナキストとしてプロの犯罪者になる。

    (この辺も、実際こういうような人生航路の人が居るのか居ないのか知りませんが、
    「あ、なんだか居そうだなあ」という匂いがする描き方。それが上手いなあ)

    かつてのコネクションを駆使して、主に日本の外国人犯罪者を束ねて、用意周到に儲ける。
    一方で人情に厚く、部下の面倒見が良く、頭が切れる。

    と、言う経歴の男であることが、徐々に捜査で浮かんでくる。

    そして、その仙田が、どうやら、例の中国人女性にかなり入れ込んでいる。裏切られる。
    裏切られてなお、何故か彼女を切り捨てられない。殺せない。
    むしろ人質に取られたように、全てを日本人の暴力団に奪われて行く。
    そして、かつての古巣・警察も。
    実は暴力団を裏で手を結んで、自分の組織を潰そうとしている。

    ...ここまで、仙田さんの魅力炸裂で引張って行きながら。
    仙田さんの目線では一切、描かない。
    この辺のサスペンス描写、構成。職人芸ですね。パチパチ。

    #

    サブタイの「狼花」。
    無論の事、解釈は読者ひとりひとりが楽しめば良いのでしょうが。

    まず、この、魅力あるアナキスト犯罪者「仙田さん」が、
    裏切られて破滅していく中の、
    満身創痍なファイティングポーズを彷彿とさせます。

    #

    ●徒手空拳から闇社会に地位を気づいた、中国人女性。

    ●市民の為の警察、という無私な思いを持つがゆえに、暴力団との密約、というタブーに手を染めるエリート警察幹部。

    という二人の脇役が、主人公の刑事とも「仙田さん」とも、全く相いれない人生観や考え方を持ちながらも。
    それぞれに、切れば血が出るような感情的な存在感を醸し出します。
    このあたり、ほんとに、描写力、という賜物です。

    そして一方で、冒頭に述べた、「予め富を持たざる者たちの犯罪」という。
    なんだか実にドストエフスキー風でありながら、
    ぬめぬめとして、大変に21世紀現在な手ざわりのテーマが、重く奏でられます。

    #

    大沢在昌さんの小説っていうのは、実はこのシリーズ以外は、数冊しか読んだことがありません。
    ただ、その数冊は、正直、「新宿鮫シリーズ」に比べるとかなり、ロマンチック過ぎて興ざめだったんです。僕としては。

    どうやら、
    「荒唐無稽でロマンチックな冒険譚」と
    「下敷きとしての現実世界の批評」という、
    ふたつの世界がバランス良く重なる地平線が、
    大沢さんの場合は「新宿鮫シリーズ」なんだろうなあ、という気がします。

    #

    ちなみに、「新宿鮫」である以上は、舞台はやっぱり新宿、歌舞伎町が多いのですが。

    飽きてきた?訳でもないでしょうが(笑)、

    この小説では山場、クライマックスが、「横浜中華街」。

    ちょっとでも風景を知っている人が読んだら、面白さもヒトシオ、だと思います。

    0
    2016年08月22日
  • 風化水脈 新宿鮫8~新装版~

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    例えば「望郷」(1937)。
    主人公ペペは北アフリカのカスバの港町で暮らす、フランス人の犯罪者。警察に追われ、母国フランスには帰れない。
    なんだけど、パリから来た女に惚れてしまって。「メトロの匂いがする」。
    例えば「現金に手を出すな」(1957)。
    足を洗いたい初老のギャングが、安定した老後の為に乗り出した最後の犯罪の顛末。
    例えば「さらば友よ」(1967)。
    アルジェの戦争で、心に傷を負って復員した男ふたり。
    国のために戦ったはずなのに、生活もままならず。
    人生を取り戻すために犯罪に乗り出すが、片方が逮捕。裏切るか。裏切られるか。
    (ラスト、名場面。映画史の「タバコを使った場面」ベスト3に入ります)
    フランス映画。
    予算の都合で、ハリウッドもののような派手さは皆無。
    苦み走ったジャン・ギャバンとアラン・ドロンの横顔が浮かび上がってくるような。
    「哀愁の」という枕コトバがぴったりの、犯罪小説。
    #
    大沢在昌さん「新宿鮫Ⅷ 風化水脈」。2000年に出た本。
    新宿署の一匹狼刑事・鮫島さんが活躍する、犯罪ミステリー&冒険小説シリーズの、第8作。
    1990年の第1作から、それなりに「オトコ臭いセンチメンタル」はありながら、
    「今風の国際的な犯罪模様」
    「ロック歌手の若い彼女との恋愛」
    「ハードな銃撃戦などのアクション満載、スピーディー」
    というド派手なケレンの味わいで売って来た感じですが、経年変化か。
    この「風化水脈」あたりから、イッキに「地味な物語展開に匂い立つオッサン的哀愁」に舵を切った感があります。
    「もう十分売れたから、もう媚びるのは嫌やねん。好きなジャンルの幅の中では、意地でも上質なエンターテイメント目指すから、地味なんが嫌なんやったら、読まんどいてや」
    というような、実にイサギヨイ、割り切り姿勢(笑)。
    具体的には、
    ●銃撃戦や、アクション場面は、激減。ほとんどラストだけ。
    ●年下のロック歌手の恋人、とは、ほとんど没交渉。全くと言っていいくらい、話に絡まないし、出ても来ない(笑)。
    ●国際的な巨大な深刻な犯罪、という風呂敷がなくなり、小さな犯罪の人間模様にシフト。
    ●主な登場人物に、高齢者が増加。全体に「昭和史」を背景にした重さが増加。
    という傾向でしょうか。
    この傾向は、「新宿鮫Ⅸ 狼花」(2006)、最新作の「新宿鮫Ⅹ 絆回廊」(2011)、と、継承されていきます。
    個人的には、この傾向、この三作が、シリーズでいちばん好きです(笑)。
    #
    国家公務員試験Ⅰ種(で合ってるのかな…)に合格した、「幹部候補生」のはずの警察官・鮫島さん。
    ですが、正義感がゆえに組織で爪はじきにされてしまい、
    更には、警察内部の権力闘争に利用されて自殺した同僚の「遺書」を預かってしまいました。
    その「遺書」が表に出れば、警察トップが総辞職しかねない秘密が書かれていました。
    警察組織の腐敗を憎みながらも、「警察」という機能自体は信じていて、汚したくない鮫島さんは、その遺書を、しかるべき時が来るまでは、と、公表せずに保持しています。
    警察組織のトップもそれを知っていて、脅したりすかしたりしますが、鮫島さんは渡さない。
    そこで仕方なく、普通なら署長クラスになっているはずなのに、ヒラの刑事として新宿署に「島流し」。
    でも、警察組織としては、彼の活動を監視していたいので、それ以上の地方にトバすことはできません。
    新宿署でヒラ刑事をやっていれば、疲弊するし丁度よかろう。ヒラ刑事の現場仕事なんて、どうせ出来る訳が無い。という意図の配属。
    本人が折れない限り、未来永劫、昇格も転勤も無い、という塩漬け人事なんですね。
    そして、新宿署の現場では。
    ノンキャリたたき上げの刑事からは「エリートが現場の仕事なんかできるかよ」と疎まれ。
    さらに皆から「あいつと付き合うと上に睨まれるから出世できない」と敬遠されている。
    ところが。
    鮫島さんは、スーパーエリートなのに、麻薬中毒者やヤクザ者相手の汚れ仕事を一切いやがらず、
    習慣や前例、馴れ合いを無視する硬派な態度で、たった一人でバンバン逮捕を繰り返していく...と、いう設定。
    こうして、全警察で唯一例外的な、「相棒のいない完全単独遊軍捜査官」が誕生している...。というのがシリーズの屋台骨世界観。
    (ま、無論、「実際にある世界観」を下敷きにして、「実際にはあり得ない状況」を物語として創作してはるんだろうなあ、と思います。)
    「風化水脈」では。
    高級車の連続盗難事件を追う捜査物語を縦軸に。
    カタギになろうともがく、もう若くない、ヤクザとその恋人。
    そして、戦後の渾沌とした新宿で、重い過去を背負ってしまった、男と女。
    というオトナな人々の葛藤、そして、彼ら彼女らを大きく包み込む、新宿という盛り場の歴史が描かれます。
    一見バラバラな、並行して走る物語が、徐々に接近してくる。
    二つの物語の線が、最後には合流するんだろうな、という予感。
    二つの物語が重なった時に、謎が全て解け、物語は破局と感動を迎えるんだろうなあ、という手触りが、登場人物たちに先行して、読者には判ってくる。
    この辺りは、ため息物の、エンターテイメント小説。職人技。
    (ま、それがアザといとか、予定調和だ、とか批判するのも簡単なことなんですけどね。長所は短所。)
    僕としては、大人な読み手の人には、第1作よりも、このあたりから読み始めた方が楽しめると思います。
    西新宿、十二社通り、と言った土地勘があると、なおの事、愉しさ倍増。
    相変わらずほぼ、イッキ読みのオモシロサでした。
    ##############
    以下、長々と、物語の備忘録です。
    #############
    今回の舞台は、割と珍しいことに、西新宿。
    これまで「新宿=歌舞伎町」というイメージで押してきた感があるシリーズなんですが。
    今回は、新宿署管轄で連続発生している、「高級車の盗難事件」です。
    外国人犯罪者と日本人ヤクザが連携した大掛かりなチームが背後に居そうだ、と嗅ぎつけた主人公。
    まずは「盗んだ車を、塗装やナンバープレートの作業をする、洗い場、を探す」という地味な捜査を開始します。
    #
    そして、このシリーズの常ですが、並行してもう一つの人間ドラマが描かれます。
    ヤクザと、その恋人さん。とあるカップルの人生模様。
    かつて、主人公が逮捕した、頭も良ければ度胸もある、若きヤクザ・真壁さん。
    中国人犯罪組織との抗争で、ボスを殺し、副ボスを半殺しにして、その代り自分も銃弾を浴びて、半死半生で、主人公の元に自首してきた、という過去があります。
    その真壁さんが、10年ぶりくらいか、出所してきました。
    当然、もともと居た、「組」が迎えてくれます。しばらくは、「お疲れさん」ということで、派手ではないラクなシゴトに就かせてくれる。麻雀荘の管理経営とか。
    服役中、待っていてくれた恋人さんがいます。ヤクザの恋人さんですから、水商売。以前は新宿で、今は六本木でホステスさんをしています。
    この小説では、この「真壁さん」と「恋人さん」のふたりは、ある意味、まっとうな人間として描かれます。
    真壁さんはもちろんヤクザだけど、当然ながら、雑に言うと不幸な生い立ちの果てで、そうなっています。
    そして、頭も切れるし暴力もふるうし、法律破ることに躊躇はないけれど、無駄に弱い者いじめはしないし、基本は筋の通った落ち着いた男性。
    恋人さんの方は、もともとご両親も歌舞伎町でゼロから小料理屋を営んでいた、という育ち。
    子供の頃に父親が死んで、母親は忙しく働きづめで経済的余裕もなく。
    ちょっとグレたりして水商売のプロになったけど、大人になって落ち着いています。
    そしてふたりとも、もう三十代もいいところ、という感じ。
    #
    このふたりの物語も、二筋に別れます。
    男性・真壁さんの方は。頭もキレるし度胸もある。なんだけど、組に戻ってみると、色々変化があって。
    自分のことを良く知っている先輩や後輩は、もういない。人が入れ替わっている。
    どうにも、敬われているけど、あまり自分がアテにされていない。本流から外されている。
    多少の焦燥。苛立たしさ。謎。やがて判ってくる真相。
    時代が変わって、今の「組」は、なんと、かつて自分が「組」の為に殺し合いを演じた中国人犯罪組織と連携していたのでした。
    どうやら、中国人犯罪組織とやっているのは、高級車を盗んで海外に売る仕事らしい。
    中国人たちは、真壁さんのことを「死んだ」と思いこんでいる。
    もし、「まだ生きている」ことが分かれば、復讐が必ずある。
    だから、今や「組」にとって、真壁さんは、微妙に邪魔者になってしまっている...。
    一方で、自分を待っていてくれた恋人さんには真剣なリスペクトがあって。
    いっそ、恋人のために、カタギになった方が良いのか。
    恋人さんの母親に、一度ちゃんとあいさつを、と。
    恋人のホステスさんの方は。
    まあ、ヤクザものと判っていても、真壁さんに惚れちゃってるんですね。
    出所してきて、同棲状態。それは嬉しいことです。
    なんだけど、初老になっても小料理屋を切り盛りしている母親に紹介すると、一発で「ヤクザ者だろ」と見抜かれて。
    当然ながら、なみだ、ナミダ、の、猛反対。
    この「母親さん」というのが、実に度胸もあれば、飲み込みも大きい、「修羅場をくぐって来た女性」。
    母娘の葛藤。悩み。
    「彼が、カタギになってくれたら。でも、前科者の若くも無い元ヤクザが、堅気になるのは、とっても惨めで屈辱的な生活が待っている。言い出せない」
    #
    高級車連続盗難事件を追う主人公は、「ここが洗い場ではないか」というガレージを西新宿で発見。
    そこを見張るのに絶好な、「平面駐車場の管理人室」の、管理人の老人男性・大江と仲良くなり、張り込みに入ります。
    ところがこの老人が、あまり語らないが、どうやら元警官であるらしい。
    そして天涯孤独で、もう何十年もこの駐車場の、この管理室にいる。
    凛として背筋の伸びた寡黙な老人。そして、新宿の歴史にとても詳しい。
    この管理人は、ひょっとして盗難車組織の仲間なのか?
    というサスペンス。
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    見張っていたガレージは裏手に古い井戸がある。
    その井戸が大雨で増水して、死後ウン十年というヤクザ者の死体が発見される。
    調べると、管理人・大江は、若い頃(つまり戦後直後の混乱期)に新宿署のヒラ警官だった。
    そして、「酒に酔って拳銃を紛失した」という不祥事を起こして警察を辞職していた。
    そして、発見された死体は、その頃に、女を食い物にしていたタチの悪いヤクザで、警察拳銃で殺されていたことが判明。
    更に調べると。
    真面目な警察官だった大江青年は、どうやらそのヤクザに食い物にされかかっていた若い女に、拳銃を奪われたらしい。
    恐らく、その若い女が、ヤクザを射殺。
    全てを知った大江青年は、その若い女を守るために、真相を呑みこんで警察を辞職して。
    死体を井戸に落とし、死体が発見されないように何十年も見張っていた。
    恐らくは、真犯人である、若い女性の暮しも、密かに見守っていたのだろう。
    #
    一方で、ヤクザな真壁さんと、その恋人さん。
    いろいろあって、真壁さんは、「どんなに大変でも、カタギになるよ」と決意。
    恋人さんと、肝っ玉母さんが、うれし涙にくれたその矢先。
    中国人組織に全てがバレてしまい、復讐。監禁されて嬲り殺しにされそうに...。
    #
    ですが、その監禁場所が、管理人・大江老人が常に見張っている、例のガレージ。
    大江老人の一報を受けて、主人公が乗り込んで、若干アクションがあって、めでたしめでたし。
    ヤクザの真壁さんも、死の寸前で助かって、恋人さんに「カタギになるよ」と。
    そしてどうやら、大江老人が、何十年もかばい続けてきた、「ヤクザ者を殺した犯人の若い女性」は、恋人さんの母親さんだったようだ。
    というところでお話はおしまい。

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    2016年08月20日
  • 絆回廊 新宿鮫10~新装版~

    Posted by ブクログ

    J様後追い第10弾

    読み終わって、まだ涙がじわじわ止まらず。
    ほんとにかけがえのない人を失ってしまった。
    でもほんとはもっと味方?理解者がいてくれたようで嬉しくもなりました。

    またまた後半は一気読み。
    なんでしょう。このシリーズはほんとに犯人側のドラマを読ませるところがありますね。
    冒頭も締めも鮫島関係ないし。
    主役はどっち?だけど惹き込まれます。

    このあとどうなるんだろうか?
    一生、晶なしなんて無理だと思うけど、鮫島の言うとおり隠れて付き合うなんてもっと無理なんでしょうね。

    ヒトシ(あえて)のその後も気になるけど、出てこないかなぁ。

    てゆーか、10冊までしかないけど、このあとも続くんだよね?
    自分で妄想するのも嫌いじゃないけど、いつも想像を越えてきてくれるので、切に次の話を希望します。

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    2016年08月14日