野中香方子のレビュー一覧
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ベーシックインカムは、「一定水準の所得に満たない人には、政府が「無条件で」一定金額を支給する」という政策です。仕事をしていようがしていまいが、病気であろうがなかろうが所得が少なければお金をあげる。
日本の主な貧困対策に生活保護があります。でも生活保護は非効率だと言われています。車を持っちゃいけないとか、(裁判にもなったけど)エアコン持っちゃいけないとか、資力調査を受けなきゃいけない。あいつ生活保護もらってるんだぜって後ろ指を指されるスティグマの問題もある。これを維持する行政コストもバカになりません。
でもベーシックインカムって現実的じゃないでしょ?一定金額をどう設定するのか、7万円?10万円?いずれそんな大金どうやって集めるの?借金大国なのにって話です。
そもそも、貧困はなぜいけないのでしょうか。本書によれば、貧困は認知能力を下げます。インドの農村で行われた実験によれば貧困はIQを13〜14下げる効果がある。これは一晩眠れないことや、アルコール依存症の影響に匹敵するほどの大きさなのです。
認知能力を下げるメカニズムはトンネリング効果と呼ばれています。さあ、サランラップの芯を目に当てて、そこらへんにある物を見てみてください。対象物はくっきり見えるけど、周りは全く見えないでしょ?これと同じようなことが貧しい人にはおこっているのです。貧しい人は「お金」に集中するから、やりくりは上手になる。でもそれ以外が見えなくなっちゃう、というわけ。
であるならば、お金を配って貧困から抜け出せれば、解決するはずです。しかも、それは「元が取れる」。アメリカのユタ州では、ホームレスに無条件で家を貸し出す、と言う政策が行われました。これによって治安が回復しただけでなく、彼らに支払った家賃以上に行政コストも減ったのです。
技術革新で労働時間は減らせます。ケインズは「2030年には人々の労働時間は週15時間になる」と予測しました。ところが産業革命以降続いていた労働時間の短縮は70年代にストップする。技術革新が続いているのになぜでしょう?本書では、2つの要因があったと推察します。1つめは、余暇ではなく消費を(ムダに)拡大したこと。もう1つは、資本に比べて労働の生産性が相対的に減少していることです。機械のほうが人間の労働よりもGDPに貢献してきている。難しい言葉でいうと労働分配率の減少してきていて、庶民の給料は増えていかず、資本家だけがもうかっているのです。
ここから筆者は、必要なのは(経済の拡大よりも)十分な再分配だと主張します。再分配ができれば、一日3時間労働で仕事に縛られない生活ができる。
短時間労働とベーシックインカムの組み合わせは、英語版のタイトルでもある「UTOPIA for REALISTS(現実主義者にとっての理想郷)」であり、これは人々が有意義な生活を送るための効率的な貧困対策です。かつては奴隷解放も、女性参政権も狂気の沙汰だった。まだ世間で理解されている政策ではありませんが、本書を読めばきっとバカな政策ではないことが理解できると思います。 -
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著者は医学博士とライター。タイトルからは原始時代の生活を安直に賛美するものとも思えるが、全体を通して科学に基づいた内容になっている。
ワシントン大学保険指標・評価研究所(IHME)は、世界の疾病負担研究で健康に対する危険度の高い12のリスク因子をあげている。
高血圧
喫煙
アルコール
家庭の空気汚染
果物をあまり食べない
BMIが高い(肥満)
高血糖
低体重
大気汚染
運動不足
塩分の摂りすぎ
ナッツ類をあまり食べない
狩猟採集民は、肉だけでなく、肝臓や脾臓、骨髄、脳、とりわけ脂肪を食べることによって、微量な栄養素を摂取している。
炭水化物は消化によってさまざまな種類の糖に分解されるが、いずれも果糖(フルクトース)とブドウ糖(グルコース)からできている。ブドウ糖には毒性があるため、インスリンを分泌して血中濃度のバランスを保とうとする。ブドウ糖は、グリコーゲンに変えて筋肉に備蓄することもできるが、その量は少ないため、それ以上は脂肪に変えて蓄えられる。果糖は酵素によって数時間かけて分解されてブドウ糖になる。
トリグリセリド値が高く、HDL値が低いと、心臓病のリスクが高くなる。トリグリセリド値は、糖の摂取量と比例して増える。コレステロールの多い食事が血中のコレステロール値に及ぼす影響は、ほんのわずか。
マーガリンなどに含まれるトランス型不飽和脂肪酸の摂取が2%増えると、心臓病になるリスクが23%高くなる。
脳と体を健康にするには、精力的に有酸素運動をするのが一番いい。動かない生活は、認知機能の低下をもたらす。学生に有酸素運動の日課を取り入れると、学力が目覚ましく向上する。
日中に情報を2時間取り込んだら、その意味を理解するために1時間の睡眠を必要とする。1日に8時間半眠るのがよい。
テロメアは、細胞の成長に伴ってDNAが分裂する際にDNAを完全な状態に保つ役割を果たす。テロメアを保護するために分泌されるテロメラーゼは、老衰のスピードを遅くする。瞑想をすると、テロメラーゼが著しく増加する。
新しい変化に着目すると、好ましい結果をもたらす。マインドフルネスによって、その効果が得られる。 -
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生痕学者が、骨以外の化石(足跡、吐瀉物、糞、巣、歯、胃石、共生生物、あるいは骨についた傷など)を用いて、恐竜の行動を推定していく、ニッチな仕事について述べている。主にオーストラリアの足跡群化石の解釈の変遷と自らの恐竜の巣の化石を発見する様を詳細に述べ、臨場感あふれる学者生活がわかる。
また、著者は恐竜専門ではないので、現代の恐竜である鳥類との比較をふんだんに用いてその生痕、足跡パターンの読み取りを行う。これまでのところでは、木の上に巣作り、交尾、飛翔(着陸や踏切の足跡)、放尿、日光浴の足跡がどういうものかは推定できるが実際には発見されていない(また従来の骨重視の古生物学者ではどういうのがそれに当てはまるか念頭にないので見てもわかっていないかもしれない)。 -
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ネットで見かけて。
9割ぐらいの部分はわかっていない。
ネアンデルタール人と現生人類が交配した、結論付けるまでのDNA解析の進歩や研究の過程が描かれている。
かなり噛み砕いて書いてあるのはわかるが、
それでももう少し面白い部分を増やしてくれないと、難しくて読んで理解する気にならない。
古代の標本からDNAを抽出するために、こっそりオーブンで子牛のレバーのミイラ作りをして、ラボの人々に臭いとばれてしまった話とか、著者の結婚に至る話とか、毎年自分はネアンデルタール人じゃないかと思うという手紙が届く話とか。
ネアンデルタール人から現生人類へDNAが流れ込んだ、つまり二つの集団が出会った時ネアンデルタール人の方が優勢な集団だったという説明の際に、ネアンデルタール人は結果として滅亡したので優勢とは思えないかもしれないが、という断り書きがあった。
いやいや、骨格標本をみたら、どうみてもがっちりとした体形のネアンデルタール人の方が優勢でしょ。
比較して貧弱な体形の現生人類が生き残ったのは、様々な偶然が積み重なった結果なのだと思う。
現生人類がネアンデルタール人と遭遇した時、ネアンデルタール人はすでにアフリカの外で20万年以上暮らしていたため、アフリカには存在しないヨーロッパ特有の病気に対抗できるDNAを有し、それを受け継いだ現生人類は生き延びやすくなったのではないか、と書かれていたが、そういう幸運をつかんできただけではないのかと。 -
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「安倍よ、お前が勝つ見込みのない戦争に参加するという無謀な
決断をしたために、この刃はケンジのみならず、いかなる場所に
おいても、引き続き日本国民を殺すだろう。つまり日本の悪夢が
始まるのだ」
2015年に日本人ジャーナリスト後藤健二氏を殺害したことを告げ、
インターネット上で公開されたイスラム国の動画の中で、黒装束
の処刑人は日本へ宣戦布告をした。
ジハーディ・ジョンと呼ばれた処刑人はこの動画を最後に公の場
から姿を消し、2015年11月12日にアメリカ軍のドローン攻撃によっ
て殺害された。
アメリカ人ジャーナリストのジェームズ・フォーリーから日本人2人の
殺害まで。常にイスラム国の動画に登場したジハーディ・ジョンとは
一体、何者であったのか。
イギリス訛りの英語を話す彼の本名はモハメド・エムワジ。イギリスで
教育を受けたクウェート移民の子だった。
ドローン攻撃による殺害後、著者はジハーディ・ジョンになる前のエム
ワジと会ったことがあることに気がつく。あのムスリムの青年が、世界
を震撼させた処刑人になっていたとは。
ひいきのサッカー・チームの選手になることを夢見た少年。信仰には
決して熱心ではなかったし、ムスリムとしての自覚を持ったのも遅かっ
た。そんなエムワジが、何故、イスラム国に参加することになったの
だろうか。
エムワジの周辺にはソマリアの過激派と繋がる者がいた。それが英国
の治安当局から目をつけられることになった。そうして始まった嫌がらせ。
証拠もなくテロリストの疑いをかけられ、治安当局のスパイになれとの
脅しをかけられる。海外旅行はことごとく妨害され、結婚さえも思うよう
に出来なくなる。
エムワジだけが特別だったのではない。何人、何十人ものイギリス在住
のムスリムの若者がテロの嫌疑をかけられ、似たような嫌がらせを受け
ていた。著者は彼らの話を聞き、当時在籍していた新聞にムスリムたち
の窮状を公表した。
一定の効果はあった。治安当局は自分たちの行いが公になったことで
嫌がらせは止まった。だったら、自分のケースも公表することで好転
するかもしれない。エムワジは一縷の望みをかけたのかもしれない。
著者に接触し、窮状を訴えた。
だが、タイミングが悪かった。著者が転職する時期と重なった為に、
エムワジのケースは紙面に載ることはなかった。
どの時点でエムワジが過激主義に染まったのかは分からない。もしか
したら、著者に接触した時点で一定程度の過激主義に感化されていた
のかもしれない。
それでも考えてしまう。もし、イギリス治安当局が執拗な嫌がらせをしな
ければエムワジは八方塞がりになることはなったのではないか…と。
確かに国内での監視を強めれば、過激主義に染まってシリアや周辺国へ
渡航する若者は減るかもしれない。だが、その分、国内で不満を蓄積し、
その国への憎しみを募らせる人々を増やすのではないか…と。
テロリストを育むのは、何も過激主義者たちのプロパガンダだけではない。
排外主義こそがテロリストの芽を育てるのではないだろうか。
エムワジは死んだ。けれども、第2、第3の「ジハーディ・ジョン」が誕生する
土壌は確実にあると思う。 -
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敵国の人間を斬首するというショッキングな映像を見せられてからイスラム国の戦士はどのような経緯を経てこんな残酷なことができるのだろうと思っていた。
結局彼は,テロを防ぎ、国を守るためのイギリス当局の執拗な干渉に自由を奪われ、結婚も邪魔され、新天地への移住もできなかった。そうした処遇も手伝ってイギリスを憎みイスラム過激思想にのめり込んだのだろう。
そんなイスラムの戦士の中でも他の戦闘員にない寡黙さを持ち、失うものが何もないようだったという記述に、人間としての尊厳を奪われ、失意のどん底から立ち直らないままいびつな性格、人間性を固定していったのではないだろうか。、
だが、しかしそれでもあの残酷なシーンは世界中の人たちを震撼させ、この先の暗澹たる未来を予言せざるを得なくさせた。通常あるべき善悪を超越し、良識を失った過激で野蛮な“国”の誕生がどれほど世界に大きな影を作ったか。大きなとてつもなく大きな罪を作った。彼もイスラム国も。 -
Posted by ブクログ
著者はアメリカの政策に大きな影響を影響を与える人で、元々は親中派だったのが、現在は中国に大きな懸念を持っている人です。要旨は、中国は共産党設立100年となる2049年に世界を制覇するという超長期な目標を持ち(中国にはそのために100年マラソンという言葉があるそうです)、それを実現するためにはアメリカを追い越さなければならない、そのために世界(特に西側)の常識では考えられないやり方でその実現に向けて着実に進んでいるということです。本当だろうかと思いましたが、現在の中国を見ているとたしかにその通りかなという気がして恐ろしくなります。中国は現在南シナ海を軍事拠点化しつつありますが、その後には東シナ海に大きな行動を仕掛けてくるでしょう。
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ネタバレ米国の対中国外交の中枢に長くいた重鎮が、中国語の原典資料を直接読む、中国要人と会話する等で得た情報に基づいて考察した結果至った、中国の行動原理なので、説得力がある。我々がニュース等で知る事実のバックグランドにこの原理を仮定するとよく当てはまる。我々日本人の感覚でも中国人の上層部が考えそうなことのように思える。
それにしても、このまま中国を放置しておくと20年もしないうちに、その経済力は米国の倍以上になって、全世界は自由を許さない「悪の思考」の中国が牛耳るダークサイドになってしまうのかと思うと、なんともやりきれない。
でも、バブル以降の日本以上に「(特に中国は盗んだ情報で)ものまねはできても新しいことができない」人々で成り立っているので、一時トップになれたとしてもそれ以上、経済力を継続することはできないのではないかと思う。
むしろAIの活用程度のほうが各国の経済力の勝敗を分けるのではないかと。