野中香方子のレビュー一覧
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人間には、恒常性維持機能(ホメオスタシス)が、備わっていて、そこを上手く活かすっていうのが本書の本質。高城剛さんと同じような論調。
その中で、全てを極端に変えることは難しいということを著者がわかっていて、具体的には、
・低炭水化物にすべき
・食べ物もバランスよくすること
・運動をすること(トレイルランを推奨)
という最低限を守りつつ、個人個人の裁量に任せるという結論にしていること。
ただ一つ、砂糖水を飲まない、ということは本社から学ぶ一つのルールとして、守るべきであるとは言っている。
そして私が嫌いな野菜から取るセルロースを人間は消化できないため、草食動物にアウトソーシングしていることの確認もできた。(人間は菜食主義でなく、肉食/タンパク質、資質、ミネラル等、だからきちんとしたものを食べている肉が体にいい)
自分の人生を生きるのに、何を選択するのか。
考えていきたい。 -
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分子生物学を古代DNAに適用したパイオニアが書いた自伝的な本。古代DNAと言ってもネアンデルタール人みたいに数十万年前のものまで。それより古いとDNAは失われてしまっているそうだ。恐竜のDNAを復元したなんてニュースも昔あったが、それはとんでもない誤りだったそうで。そういった試行錯誤も込みでの科学の現場が描かれていて読み物として楽しめるし、分子生物学の知見や古代のDNAを復元するむずかしさについても興味深い。
ただ理論的なところについては、半分わかったものの半分はハラに落ちなかった感じ。PCR法の説明なんかも昔読んだ福岡伸一の本のほうが分かりやすかったので、引っ張り出して復習してしまった。時節柄、PCR法と言われると反応してしまいますしね。感度の高さ故、コンタミに気をつけなければならない手法であることを再認識。
分子生物学の手法についてのくだりを読んでいて痛感するのは、生物学もコンピューターサイエンスになりつつあること。生けるものは皆、4文字を組み合わせたコードでプログラムされた存在なのである。ナチュラリスト的な昔気質の古生物学に対する、著者のなかば憐れむような視線にはほろ苦さも感じる。
本書でも触れられているが、23andMeはサービスの中でどれくらいネアンデルタール由来の遺伝子を持っているか教えてくれる。ワタクシは23andMeのカスタマーの中では上位2%に入るらしい。だからどうしたという訳でもないが。ただ現生人類がネアンデルタール人と交配したのは出アフリカの後らしいので、アフリカ人にはネアンデルタール由来の遺伝子は見つかりにくい。ここらへんは色々センシティブになりうるので、著者もちょっと気を使っている様子がある。 -
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書名に惹かれて。コークこのVSペプシ、VHSvsβ、appleVSandroid、世界のディファクトを争うような強烈な二項対立についてのレポートかと思いきや、ボイスコンピューティングについての昨日・今日・明日をしっかりと俯瞰する本でした。原題は「Talk to Me: How Voice Computing Will Transform the Way We Live, Work, and Think」ということで内容をそのまま意味しています。つい手に取ってしまう、という意味で翻訳者の技ありかも。プログラミングからGUI(グラフィックユーザーインターフェイス)、そこからのVUI(ボイスユーザーインターフェイス)、あるいはキーボードからアプリ、そこからのVUI、とコンピューターとのつながり方の第三革命として盛り上がったのは5年ぐらい前のCESだったような…その頃の盛り上がりは一回落ち着いているような気もしますが、声によるコミュニケーションは人間本来の機能によるものなのでそこへのシフトは不可避と改めておもいました。そこにはロジックから勘定へのシフトも含みます。著者が愛する父をAIと音声によって永遠のものにしようとする最終章のエピソードはこの革命の核心なのではにでしょうか?そういえばNHKスペシャルでAIにより美空ひばりの新曲を作るというプロジェクトが取り上げられていましたがCGによるビジュアルより音声合成による声の再現の方が感動を与えていたような気がしました。新曲「あれから」の発表のスタジオに招かれたファンたちは語りの部分「お久しぶりです。あなたのことをずっと見ていましたよ。頑張りましたね。さぁ私の分までまだまだ頑張って。」ではボロ泣きでした。ただコマンドによる命令からサウンドによる対話へのシフトはコンピューターに残るデータが即物的なものから情緒的なものへ突入することも意味し、そこに対する恐怖も感じます。スパイク・ジョーンズの「her/世界でひとつの彼女」を見た時には、まだお話でしかなかったことがもう始まっているだとギクッをしました。
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オランダの若き歴史家ルトガー・ブルグマンがベーシックインカムと国境の廃止によるユートピアの実現を論じる。
すべての福祉を廃止し、国民全員一律にベーシックインカムとして年間約150万円の金額を支給しそれで生活させる。さらにすべての国境を廃止し、人、物、金が世界中に自由に行き来することができるようにする。これにより、世界の富が再配分され、ユートピアが訪れると説く。
本書は非常に説得力があり、読みやすい。もし、これが実現すれば本当に楽園が訪れるかもしれない。
筆者も現状ではこのような話は夢物語であるとは言っているが、200年前には奴隷制廃止や女性への参政権の付与などを論じれば狂人だと思われていた、この理論も将来的に見れば同じことになるだろうと予言している。
しかしながらベーシックインカムを実施するには元手がいる。現在の日本で考えれば2018年の数字で、年金、医療費、介護費などの社会保障給付費の予算総額は約120兆円。これを国民全員(約1億2000万人)で公平に配分すると1人あたり約100万円となる。著者のブルグマンは適切なベーシックインカムの数字は年間国民一人あたり約150万円程度と想定しているので、現在の社会保障給付費だけではかなり足りない(でも良い線いってる)。
ベーシックインカムが実現すれば、役所の福祉課や年金関連の部署も必要なくなり、その他の関連部署もすべていらなくなる。もしそのような部署等で働いている公務員をすべて廃止してその部分の人件費を回せば足りるかもしれない。
家族4人の家庭であれば4人分のベーシックインカムは約600万円。十分に生活できる金額だ。一人暮らしであれば約150万円、これにちょっとしたアルバイトや仕事をして年に100万円くらい稼げば年収約250万円、贅沢をしなければ暮らせる金額だ。高齢者が受給する年金の平均額が約5万5千円、年間にすれば約66万円なので約150万円のベーシックインカムの方がずっと実入りが良い。
どうだろう。これは悪くないかもしれない。ベーシックインカム目当てに子だくさんの家庭が増えれば人口減少も抑えられる。そして医療費が3割負担ではなく全額負担になるとしたら余計な医療費を払わないようするために、もっと健康に気を遣うようになるだろう。
もちろん多くの国民が働かなくなればその分の所得税が入らなくなるので国家予算が減り、税収計算は狂ってしまうし、農業や漁業などの一次産業に従事している人が働かなくなったら農産物も魚も食べられなくなってしまう。う~ん。これは困る。
やはりAIやロボットがもっと発展して人間の代わりに仕事をし、国家予算に充てられるような収入を得られるようになったときこそ、本当に人間が働かなくても良くなる時代が来るのかもしれない。 -
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覚えているだろうか?
ほんの10年前までは、日本は世界第2位の経済大国だった。今や中国は日本をはるかに追い越し、世界一の座を耽々と狙っている。
この躍進は、世界の工場として海外からの設備投資が集中し、その後、豊かになった国民による内需が拡大したため、といった経済的な説明もできるのだが、実は、中国政府の長期的な戦略に基づく周到な計画のたまものである。
100年マラソンといわれるこの戦略は、西欧により中国は搾取されてきた雪辱を果たすため、毛沢東時代から秘密裡に実行されてきた。
「孫子」「戦国策」といった中国古典においては、謀略を使い、戦わずして勝つことが美徳とされる。100年マラソンにも、この思想がしっかり息づいている。
私たちは、だまされているのだ。
民主化、自由経済を目指していると信じさせ、技術情報を盗み、着々と武力を整え、気づいたときにはもう手遅れ…
本書はCIA諜報員として長年中国を研究してきた著者による、スパイ小説さながらの見聞録である。本書を読めば、国と国の競争とはどういうことなのか、民主化・自由経済の理想がいかに脆弱なものか、思い知らされる。 -
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脳死状態にした鶏を透明のパックに入れて吊り下げ、チューブに
よって栄養を送り込み成長させる。この鶏には羽もない。
「どうせ食肉として殺されるのだから、生きるのには最低限の能力
だけあればいいだろう」との発想から生まれたようだ。
効率よく食肉を生産する方法として提案された未来型養鶏工場(?)
の画像を目にしたのは数年前だ。気持ちのいいものではなかった。
これはあくまで提案の域を出ていないようだが、そう遠くはない将来、
現実になるのではないかと思われる。
食肉、魚、野菜、果物、乳製品。私たちが口にする食べ物は、一体
どのように育てられているのだろうか。産地や加工地のことは気に
しても、育成の過程まで気にかけてはいない。
本書は多くの国で行われている工場式農場の現状や環境に及ぼす影響
などを詳述し、ではどうすればいいのかの提案をしている。
農作物に関しては、やっぱり出たか遺伝子組み換え作物なのである。
日本国内では本格的な商業栽培はされていないが、海外から輸入さ
れる牛肉や豚肉が、遺伝子組み換え作物を餌にして飼育されている
かどうか、確かめようがない。きっと…いや、絶対餌になっている
ると思うわ。特にアメリカ産の食肉に関しては。
しかも効率よく飼育する為に抗生物質や成長ホルモンをガンガン投与
されている。
それもこれも、大量生産・大量消費社会が招いたこと。将来的には
そのツケが人間に回って来るはずなのだよね。工場式農場だって、
食糧不足を補う為に始められたはずなのに、世界では今でも多くの
人が飢饉に瀕している地域がある。
私は研究者も何でもないので、広々とした牧草地で育った牛と、狭い
檻の中で育った牛の肉に、どれだけの違いがあるのか分からない。
分からないけれど、より自然に近い状態で愛情をこめて育てられた
食肉を口にしたいと思うし、卵だって、乳製品だって、飼育方法
が明記されていれば参考にしたいと思う。
飼育する農場の方から見れば、消費者のわがままなのだろうけれどね。
ただ、「より多く」を求めて行くと、冒頭に記した未来型養鶏だって
当然になるだろうし、クローン技術の導入だってありえるだろう。
農作物は害虫や病気に強い遺伝子組み換え作物が主流となるだろう。
そうして、昔ながらの農場風景は姿を消し、肉も野菜も巨大な工場内
で清算されるだけになったら?
「沈黙の春」ならぬ「沈黙の春夏秋冬」がやって来るのではないか。
本書では工場式農場からの脱却を目指す試みや、イギリスでの飼育方法
表示販売、家畜の飼育方法を規制するEUの取り組みなども記されてお
り勉強になった。
惜しむらくは、本文中に出て来る参考文献の日本語訳があるのかが
明記されていないのが難点。いくつか読んでみたいと感じた作品が
あったのにな。 -
Posted by ブクログ
人間の進化適応環境は新石器時代であり、それと大きく乖離した現代の生活様式は、様々な疾患や不健康の原因になっている。ヒトが野生だった頃の生活様式に学ぶことで健全な身体を取り戻そう、という本。著者はハーバードの医学者。
低糖質食の効能について語るときに狩猟採集時代の食生活に言及される(人間はナッツ、果実、肉を中心に食べていた期間の方がイネ科の穀物を常食するようになってからの期間よりも圧倒的に長い)ことが多いが、本書がカバーする範囲は食事だけではなく、睡眠、人間関係(同族意識)、バイオフィリア(自然を好む性向)などにも渡っている。
いうなれば、「野生の人間」、すなわち私達の体のハードウェアの部分が適合しているのはどのような生活スタイルなのかということを広く取り上げているのだ。
例えば、公園や川の近くのタワーマンション(マンハッタンのミッドタウンや武蔵小杉)の上層階の物件価格がなぜ高いのかについて、本書のバイオフィリアの視点から説明できる。