【感想・ネタバレ】ファーマゲドン 安い肉の本当のコストのレビュー

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Posted by ブクログ

脳死状態にした鶏を透明のパックに入れて吊り下げ、チューブに
よって栄養を送り込み成長させる。この鶏には羽もない。

「どうせ食肉として殺されるのだから、生きるのには最低限の能力
だけあればいいだろう」との発想から生まれたようだ。

効率よく食肉を生産する方法として提案された未来型養鶏工場(?
の画像を目にしたのは数年前だ。気持ちのいいものではなかった。

これはあくまで提案の域を出ていないようだが、そう遠くはない将来、
現実になるのではないかと思われる。

食肉、魚、野菜、果物、乳製品。私たちが口にする食べ物は、一体
どのように育てられているのだろうか。産地や加工地のことは気に
しても、育成の過程まで気にかけてはいない。

本書は多くの国で行われている工場式農場の現状や環境に及ぼす影響
などを詳述し、ではどうすればいいのかの提案をしている。

農作物に関しては、やっぱり出たか遺伝子組み換え作物なのである。
日本国内では本格的な商業栽培はされていないが、海外から輸入さ
れる牛肉や豚肉が、遺伝子組み換え作物を餌にして飼育されている
かどうか、確かめようがない。きっと…いや、絶対餌になっている
ると思うわ。特にアメリカ産の食肉に関しては。

しかも効率よく飼育する為に抗生物質や成長ホルモンをガンガン投与
されている。

それもこれも、大量生産・大量消費社会が招いたこと。将来的には
そのツケが人間に回って来るはずなのだよね。工場式農場だって、
食糧不足を補う為に始められたはずなのに、世界では今でも多くの
人が飢饉に瀕している地域がある。

私は研究者も何でもないので、広々とした牧草地で育った牛と、狭い
檻の中で育った牛の肉に、どれだけの違いがあるのか分からない。

分からないけれど、より自然に近い状態で愛情をこめて育てられた
食肉を口にしたいと思うし、卵だって、乳製品だって、飼育方法
が明記されていれば参考にしたいと思う。

飼育する農場の方から見れば、消費者のわがままなのだろうけれどね。

ただ、「より多く」を求めて行くと、冒頭に記した未来型養鶏だって
当然になるだろうし、クローン技術の導入だってありえるだろう。
農作物は害虫や病気に強い遺伝子組み換え作物が主流となるだろう。

そうして、昔ながらの農場風景は姿を消し、肉も野菜も巨大な工場内
で清算されるだけになったら?

「沈黙の春」ならぬ「沈黙の春夏秋冬」がやって来るのではないか。

本書では工場式農場からの脱却を目指す試みや、イギリスでの飼育方法
表示販売、家畜の飼育方法を規制するEUの取り組みなども記されてお
り勉強になった。

惜しむらくは、本文中に出て来る参考文献の日本語訳があるのかが
明記されていないのが難点。いくつか読んでみたいと感じた作品が
あったのにな。

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2019年02月16日

Posted by ブクログ

 先日、P・リンベリー 氏らによる「ファーマゲドン 安い肉の本当のコスト」を読み終えました。
 レイチェル・カーソンの『沈黙の春』は、以前から読んでおこうと思っていた本なのですが、そちらより先に本書を手にとってみました。
 今、世界的に拡大している「農業・畜産・漁業の工業化」がもたらす地球規模の影響について、著者たちのリアリティ溢れる警鐘が興味を惹きます。先に読んだ「里山資本主義」で著者の藻谷浩介氏が抱いている問題意識とシンクロして、危機の切迫感や対応の緊急性・必要性等、強く印象付けられました。

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2015年06月13日

Posted by ブクログ

工場のような家畜飼育

ファーム 農業 がもたらすハルマゲドン

食料植民地主義

バタリーケージ、クレート、ソウ・ストール

ブロイラー用のケージ、A4用紙1枚
子牛用の狭い檻、やわらかく白い子牛肉、
妊娠した雌豚用の狭い檻

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2015年03月25日

Posted by ブクログ

農業や食べ物に関心のある方は一読しておいた方が良いでしょう。世界中で食用に飼育されている家畜の凄まじい現状のレポート。もはや飼育ではなく工業的に生産されていると言った方が、残酷だが正しい表現。鶏に与えられたスペースはA4一枚程度、豚や牛に至っては一頭分以下(つまりほぼ重なり合っている)。その理由は場所の有効活用と”動物が動くとエネルギーを消費し、無駄だから”。これを支える飼料は世界中の飢餓を補って余りある量の穀物。先進国の一部の人間が肉を食べるために、途上国のコーンや大豆やイワシが牛豚鶏の餌になっている。また、工場から出る廃棄物、病気予防や成長促進のための薬物などは深刻な環境汚染をおこしているだけでなく健康被害も多発している。養殖サーモン等もまたしかり。発色剤など薬漬け。

ことさらに肉食を否定するつもりはないが、きちんとした食品や飲食店を選ぶことは、自分や家族の健康のため、また将来の農業のためにも重要なのだと改めて痛感した。

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2015年12月07日

Posted by ブクログ

今日のフードシステムの本質に迫る。工場のような家畜飼育、大規模単一栽培。環境負荷が高く健康を損ない、貧困層を拡大する。世界の穀物の1/3が家畜の餌となり、先進国では食べ物の半分がムダに捨てられている状況こそ変えるべき。

『スーパーサイズ・ミー』『ブルーゴールド』『フード・インク』を更に500ページ近くかけてしっかり網羅的に記述。未来への処方箋が明確なのが救い。

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2015年06月14日

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