山折哲雄のレビュー一覧

  • おひとりさまvs.ひとりの哲学

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    お二人の会話が噛み合っていないようで,どこかぴったりくる所もあり,楽しめた.宗教は,"便利なもんだ"という述懐はなぜか納得できるものだ.ボランティアを「ほっとかれへん」と訳したのは素晴らしいと感じた.日本は多神教的な風土があるので,無神論自体の意味が西洋とは異なるという説明は,共感できた.

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    2018年12月07日
  • 山折哲雄の新・四国遍路

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    宗教学者・山折哲雄さんが、黒田仁朗さんを同行人として四国八十八箇所の遍路道をたどりながら、空海や坂本龍馬といった四国出身の人物を考える、紀行文。
    巻末の対談で、遍路道を世界文化遺産に登録するための信仰と観光のジレンマを語っていますが、現世がかかわってくるとどうしても世俗的になってしまうのは、致し方のないことです。

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    2017年11月23日
  • 恋愛及び色情

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    多少の例外があっても。

    日本では恋愛問題を取り上げた物語で、
    知識階級が恥じない賞賛を博したのは、
    明治の夏目漱石まで無かった。

    ぢゃあ、「源氏物語」はどうなんだ?という声が聞こえますが。
    アレは恋愛なんかぢゃあ無いよ、と。

    だって、顔も見たこと無い相手と和歌を交換したら闇の中でベッドイン、ですよ?

    個人と個人、性格と性格。
    そういう人間性の交錯では、なかったわけです。

    あれは恋愛ぢゃなくて、「もののあはれ」っていう、

    長い歳月の人の営みの印象みたいなことについての文章でせう、と。

    漱石さんは、19世紀までの欧州のブンガクを気が狂う寸前まで綿密に研究した学者さんだったわけで。

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    2016年11月09日
  • 人は死ぬとき何を思うのか

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    ネタバレ

    2016年、21冊目です。

    このタイトルと同じ書籍を読んだことがあります。
    4人の著者の一人である大津秀一さんの終末期医療の現場経験に基づいて書かれた本だったと思います。確かテレビでも取り上げられていました。この本は大津さんに加えて、3人の著者が「死」に向き合うことについて書かれています。
    渡辺和子さんは、「置かれたところで咲きなさい」の書籍が有名なノートルダム清心女学院の理事長です。一期一会を大切に生きることを書かれています。
    著者の一人で「納棺夫日記」で有名な青木新門さんの死をもっと身近なもととして感じ、生活から遠ざけない生き方をしようと書かれています。現代人が死やそれにまつわる出来事か

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    2016年05月04日
  • 「始末」ということ

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    宗教学者である山折先生のエッセイ風の死を考えるための手引書。本の帯には「死と向きあう作法」とあります。
    東日本大震災のすぐ後に書かれた内容でもあるので、震災に関連した話題も多く取り上げてあります。先生自身岩手県の花巻市がご実家でもあり、当然と言うべきなのか宮沢賢治の自然への考え方にも触れています。葬送の本来の意味、失われてしまった今の既成宗教の求心力のことなどや日本人の持つ宗教観は元より自然への畏敬の念、無常観では村上春樹さんが外国で震災と復興をテーマにスピーチした内容の一部も紹介しています。
    齢80という節目にご自身の身の始末も織り交ぜながらの中身は、死ぬ時は誰でもひとりであることを忘れたか

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    2014年06月27日
  • 仏教とは何か ブッダ誕生から現代宗教まで

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    一章 ブッダの人生
    二章 ブッダと現代
    三章 仏教思想のキーワード
    四章 日本仏教の個性
    五章 民俗仏教の背景
    六章 現代との接点

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    2014年03月25日
  • 『源氏物語』の京都を歩く

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    「源氏物語」に出てくる京都の現在の風景、神社仏閣、地名を訪ねる。1000年も前の小説に出てくる場所を現在に当てはめるのは、至難のことだったと思われる。
    ただ、たいへん丁寧な仕事をされているため、この本を持って京都巡りをしたいと思った。
    物語の内容も丁寧に紹介されていて、紫式部一人が書いたのではないと、書かれているのには驚いた。確かに、内容がガラッと変わるのを説明されると納得。
    あんがい紫式部は全く関わってないんじゃないのと、思ってしまう。(紫式部が大嫌いなので)
    私の好きな神社仏閣も紹介されているのも嬉しかった。
    ぜひ、この本を持って京都巡りをするぞ~‼

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    2013年11月08日
  • 天災と日本人 寺田寅彦随筆選

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    深刻さはないが、戦争だけでなく、災害にも備えよ、との繰り返しの呼びかけは正鵠を得ている。「愛国心も大和魂も進化すべき」なんてにくい表現である。

    科学的思考で、流言飛語を却下するエッセイも素晴らしい。自分で考え、判断できるようになることが大切だ。

    文明が進むと被害が大きくなることや事故の責任の取り方、地を相する術についての指摘も鋭い。

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    2013年06月14日
  • 髑髏となってもかまわない

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    髑髏となってもかまわない。凄まじい覚悟?

    死とどう向き合えばいいのか、先人たちの事例を丹念に追った著作。

    序章 願わくは花の下にて で始まり、正岡子規、茂吉、松本清張、森鴎外、夏目漱石、宮沢賢治における最期が描かれている。

    最後、ツイッターがわりに書かれている言葉がいい。

    いつなんどき、髑髏になってもかまわない。

    別に死と慣れあおうとしているわけではないのであるが、それはそれでかならずしも悪い気分ではないのである。

    80歳となった山折哲夫氏の気分であるが、62歳である自分にはまだ、時が熟していないような気がいたします(笑)。

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    2012年08月26日
  • 救いとは何か

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    P25
    宗教を全面に打ち出せない現代社会の中で、「生きる意味」をどこに見出せばいいのか、「人を殺してはいけない理由」をどう説明すればいいのか。この対談では、こうした難問中の難問に、神や仏に頼らずに、どこまで追っていけるかを考えたいと思います。

    目次
    はじめに

    第1章 「殺すな」の思想を問う
    ある少年の問い/「殺すな」の思想と近代/「三種還元の方法」の限界/誰もが加害者でもある/少年の問いにどう答えるか/「比較地獄」の時代/「無常」の三原則/ロゴスの力

    第2章 魂、そして死について
    「一人」という問題/親鸞の「一人」/デカルトのコギト論/ヨーロッパ的人間観との違い/集団主義による「いじめ」

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    2012年08月18日
  • 宗教の力 日本人の心はどこへ行くのか

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    始めは、なんだかすごく主観的だなぁという印象をもったが、読んでいくと、「宗教を専門にしてる人はこんな風に世界を観るんだ」と素直に引き込まれた。童謡「夕焼け子焼け」が仏教の根本的な精神を歌っているという話や、寺と教会のならす鐘の意味の違いの話、「高さ」や「速さ」が人間に与える宗教的な体験の話など、とても斬新なようで妙に納得できる、興味深い話がたくさんあった。学問としての宗教じゃなくて、日々の生活の中で身体で感じる宗教についての本。

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    2012年04月03日
  • 天災と日本人 寺田寅彦随筆選

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    地震の研究もしていたし、文筆家としても名高い寺田寅彦の随筆から、地震をはじめとした天災に関したものを編纂した一冊。もちろん3・11を受けてのものだ。関東大震災時の日記から昭和10年くらいまでの折々の天災(主に地震と台風)に関して書かれたものが収録されている。少なくとも70年くらい前に書かれたものだが、昔から人が住んできた地区は大丈夫なのに新造成地ばかりが地震の被害に遭っているとか、地震のない西欧の建築をそのまま真似しているとか、天災のパニックからか尋常に考えればありえないデマ・風評を信じる人がいるとか、いま読んでも十分に納得できる。ただし、ということは、私たちはまた同じ轍を踏んだということでも

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    2011年10月09日
  • 宗教を知る 人間を知る

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    大抵の日本人は自らを無宗教者としていますが、日本人の日常生活には宗教的行動がたくさん浸透しています。
    そのような「宗教」という物の日本人の考え方や宗教の意味、そして人間にとって宗教はなぜ必要なのかなど、4人の著者が幅広く考察して論じています。
    私も本書を読むまでは宗教そのものの意味もよく分からず、偏見でしか宗教を見る事ができませんでした。しかし本書によって「宗教」そのものの意味や存在理由を知ることができ、宗教に対する観方がずいぶん変わりました。
    国際化していく現代で日本人独特の宗教に対する偏見を見直して、本書によって世界ではあたりまえのように信仰されている宗教について知る事も重要だと思い

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    2011年09月26日
  • 親鸞をよむ

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    [ 内容 ]
    今、あらためて親鸞をよむ。
    頭で「読む」のではなく、からだで「よむ」。
    それは、描かれたその面がまえから、残された筆跡、歩いた道筋から、そして主著『教行信証』や“和讃”の言葉から親鸞の息づかいを感じとり、その苦悩にふれる営みである。
    加えて妻・恵信尼の自筆文書を新たな視角で読み解き、親鸞九十年の生涯の到達点に迫る。

    [ 目次 ]
    序章 ひとりで立つ親鸞
    第1章 歩く親鸞、書く親鸞-ブッダとともに
    第2章 町のなか、村のなかの親鸞-道元とともに
    第3章 海にむかう親鸞-日蓮とともに
    第4章 弟子の目に映った親鸞-唯円と清沢満之
    第5章 カミについて考える親鸞-神祗不拝
    第6章 親

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    2011年04月27日
  • 奈良の寺社150を歩く

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    ネタバレ

    [ 内容 ]
    平城遷都から千三百年―。
    しかし、その遙か昔より奈良は「国のまほろば」として栄えていた。
    古代国家の舞台となった飛鳥や神武帝の橿原の地に始まり、聖徳太子ゆかりの斑鳩の寺社へ。
    興福寺、春日大社、東大寺といった定番コースではなく、時代の流れに沿って歩いてみるのも歴史ファンならではの愉しみ方。
    さらに県域を見渡せば、秋篠寺(奈良市)、長谷寺(桜井市)、室生寺(宇陀市)、当麻寺(葛城市)など、ぜひ訪れてみたい名刹が点在している。
    奈良の奥深さを知るための徹底ガイド。
    好評の「京都の寺社」に続く決定版。

    [ 目次 ]
    エリア1 飛鳥・橿原周辺の寺社
    エリア2 法隆寺と斑鳩周辺の寺社

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    2011年04月23日
  • [決定版]京都の寺社505を歩く<下> 洛西・洛北(西域)・洛南・洛外編

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    下巻になるとマニアックさがパワーアップ。
    秘境、辺境、地元の人しか知らない寺社を紹介。

    グーグルマップがすごく役に立つ。

    そして、イヤというほど出てくる記述。
    応仁の乱、戦、大火により焼失。

    でも必ず誰かが復興してくれたから、こうして今に残っているのですね。

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    2009年11月23日
  • [決定版]京都の寺社505を歩く<上> 洛東・洛北(東域)・洛中編

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    この情報量はすごい。もうこれは本じゃなくて辞典ですね。
    本を読み、グーグルマップでチェックしました。
    いや~、なんて便利なんだ。

    それにしても、京都府にはいったいいくつの寺社があるのでしょうか。
    筆者の方、ぜひ全制覇してほしいですね。

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    2009年11月23日
  • ひとりの覚悟

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    老議院というものを作って安楽死を検討したいと書かれていた。
    いろんなことが書かれていたが、言葉だけで、中身が薄いように感じた。
    言いたい気持ちはわかるが。
    この方は最期は西行のように死にたいらしい。
    断食して枯れて亡くなりたいそうだ。
    たしかに、末期のかたに点滴をすると褥瘡ができたり、痰がからんだりと、苦しみながら亡くなっていくことが多いとあるナースから聞いたことがある。枯れて亡くなるのが良いみたいだ。

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    2025年06月28日
  • キャラ絵で学ぶ! 仏教図鑑

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    神社とお寺ってどう違うんだろう?
    最近は神道や仏教の本を読むようになって理解してきたけど、それまではあまりよく分かっていなかった。
    日本では「無宗教です」という人が多いけれど、日々の暮らしに宗教的なものは多く存在している。
    日本をもっと深く知りたい。

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    2025年04月15日
  • ブッダに学ぶ 老いと死

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    まず、ページを開いて字の大きさにびっくり。ページの薄さと相まって、何だか商業主義的な微妙な本かなと思い、疑ってしまった。こうした類の本は、一定の購買数が期待できるので、とりあえず出しておけという感じのものもある。文字通り、信者ビジネスだ。と思ったのだが、著者名を検索すると、宗教学者だが、1931年生まれで90歳を超えているではないか。よく分からないが、字の大きさも含めて感服してしまった。それなら仕方ないか、と。

    老いと死に対する仏教的な視点を探る一冊。紀元前500年頃に80歳という高齢まで生きたブッダ(釈迦)の人生を通じて、老い方や死に方についての洞察を提供する。どうやら超高齢者と縁がある。

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    2025年02月06日