山折哲雄のレビュー一覧
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多少の例外があっても。
日本では恋愛問題を取り上げた物語で、
知識階級が恥じない賞賛を博したのは、
明治の夏目漱石まで無かった。
ぢゃあ、「源氏物語」はどうなんだ?という声が聞こえますが。
アレは恋愛なんかぢゃあ無いよ、と。
だって、顔も見たこと無い相手と和歌を交換したら闇の中でベッドイン、ですよ?
個人と個人、性格と性格。
そういう人間性の交錯では、なかったわけです。
あれは恋愛ぢゃなくて、「もののあはれ」っていう、
長い歳月の人の営みの印象みたいなことについての文章でせう、と。
漱石さんは、19世紀までの欧州のブンガクを気が狂う寸前まで綿密に研究した学者さんだったわけで。
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ネタバレ2016年、21冊目です。
このタイトルと同じ書籍を読んだことがあります。
4人の著者の一人である大津秀一さんの終末期医療の現場経験に基づいて書かれた本だったと思います。確かテレビでも取り上げられていました。この本は大津さんに加えて、3人の著者が「死」に向き合うことについて書かれています。
渡辺和子さんは、「置かれたところで咲きなさい」の書籍が有名なノートルダム清心女学院の理事長です。一期一会を大切に生きることを書かれています。
著者の一人で「納棺夫日記」で有名な青木新門さんの死をもっと身近なもととして感じ、生活から遠ざけない生き方をしようと書かれています。現代人が死やそれにまつわる出来事か -
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宗教学者である山折先生のエッセイ風の死を考えるための手引書。本の帯には「死と向きあう作法」とあります。
東日本大震災のすぐ後に書かれた内容でもあるので、震災に関連した話題も多く取り上げてあります。先生自身岩手県の花巻市がご実家でもあり、当然と言うべきなのか宮沢賢治の自然への考え方にも触れています。葬送の本来の意味、失われてしまった今の既成宗教の求心力のことなどや日本人の持つ宗教観は元より自然への畏敬の念、無常観では村上春樹さんが外国で震災と復興をテーマにスピーチした内容の一部も紹介しています。
齢80という節目にご自身の身の始末も織り交ぜながらの中身は、死ぬ時は誰でもひとりであることを忘れたか -
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「源氏物語」に出てくる京都の現在の風景、神社仏閣、地名を訪ねる。1000年も前の小説に出てくる場所を現在に当てはめるのは、至難のことだったと思われる。
ただ、たいへん丁寧な仕事をされているため、この本を持って京都巡りをしたいと思った。
物語の内容も丁寧に紹介されていて、紫式部一人が書いたのではないと、書かれているのには驚いた。確かに、内容がガラッと変わるのを説明されると納得。
あんがい紫式部は全く関わってないんじゃないのと、思ってしまう。(紫式部が大嫌いなので)
私の好きな神社仏閣も紹介されているのも嬉しかった。
ぜひ、この本を持って京都巡りをするぞ~‼ -
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ネタバレP25
宗教を全面に打ち出せない現代社会の中で、「生きる意味」をどこに見出せばいいのか、「人を殺してはいけない理由」をどう説明すればいいのか。この対談では、こうした難問中の難問に、神や仏に頼らずに、どこまで追っていけるかを考えたいと思います。
目次
はじめに
第1章 「殺すな」の思想を問う
ある少年の問い/「殺すな」の思想と近代/「三種還元の方法」の限界/誰もが加害者でもある/少年の問いにどう答えるか/「比較地獄」の時代/「無常」の三原則/ロゴスの力
第2章 魂、そして死について
「一人」という問題/親鸞の「一人」/デカルトのコギト論/ヨーロッパ的人間観との違い/集団主義による「いじめ」 -
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地震の研究もしていたし、文筆家としても名高い寺田寅彦の随筆から、地震をはじめとした天災に関したものを編纂した一冊。もちろん3・11を受けてのものだ。関東大震災時の日記から昭和10年くらいまでの折々の天災(主に地震と台風)に関して書かれたものが収録されている。少なくとも70年くらい前に書かれたものだが、昔から人が住んできた地区は大丈夫なのに新造成地ばかりが地震の被害に遭っているとか、地震のない西欧の建築をそのまま真似しているとか、天災のパニックからか尋常に考えればありえないデマ・風評を信じる人がいるとか、いま読んでも十分に納得できる。ただし、ということは、私たちはまた同じ轍を踏んだということでも
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大抵の日本人は自らを無宗教者としていますが、日本人の日常生活には宗教的行動がたくさん浸透しています。
そのような「宗教」という物の日本人の考え方や宗教の意味、そして人間にとって宗教はなぜ必要なのかなど、4人の著者が幅広く考察して論じています。
私も本書を読むまでは宗教そのものの意味もよく分からず、偏見でしか宗教を見る事ができませんでした。しかし本書によって「宗教」そのものの意味や存在理由を知ることができ、宗教に対する観方がずいぶん変わりました。
国際化していく現代で日本人独特の宗教に対する偏見を見直して、本書によって世界ではあたりまえのように信仰されている宗教について知る事も重要だと思い -
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ネタバレ[ 内容 ]
今、あらためて親鸞をよむ。
頭で「読む」のではなく、からだで「よむ」。
それは、描かれたその面がまえから、残された筆跡、歩いた道筋から、そして主著『教行信証』や“和讃”の言葉から親鸞の息づかいを感じとり、その苦悩にふれる営みである。
加えて妻・恵信尼の自筆文書を新たな視角で読み解き、親鸞九十年の生涯の到達点に迫る。
[ 目次 ]
序章 ひとりで立つ親鸞
第1章 歩く親鸞、書く親鸞-ブッダとともに
第2章 町のなか、村のなかの親鸞-道元とともに
第3章 海にむかう親鸞-日蓮とともに
第4章 弟子の目に映った親鸞-唯円と清沢満之
第5章 カミについて考える親鸞-神祗不拝
第6章 親 -
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ネタバレ[ 内容 ]
平城遷都から千三百年―。
しかし、その遙か昔より奈良は「国のまほろば」として栄えていた。
古代国家の舞台となった飛鳥や神武帝の橿原の地に始まり、聖徳太子ゆかりの斑鳩の寺社へ。
興福寺、春日大社、東大寺といった定番コースではなく、時代の流れに沿って歩いてみるのも歴史ファンならではの愉しみ方。
さらに県域を見渡せば、秋篠寺(奈良市)、長谷寺(桜井市)、室生寺(宇陀市)、当麻寺(葛城市)など、ぜひ訪れてみたい名刹が点在している。
奈良の奥深さを知るための徹底ガイド。
好評の「京都の寺社」に続く決定版。
[ 目次 ]
エリア1 飛鳥・橿原周辺の寺社
エリア2 法隆寺と斑鳩周辺の寺社
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まず、ページを開いて字の大きさにびっくり。ページの薄さと相まって、何だか商業主義的な微妙な本かなと思い、疑ってしまった。こうした類の本は、一定の購買数が期待できるので、とりあえず出しておけという感じのものもある。文字通り、信者ビジネスだ。と思ったのだが、著者名を検索すると、宗教学者だが、1931年生まれで90歳を超えているではないか。よく分からないが、字の大きさも含めて感服してしまった。それなら仕方ないか、と。
老いと死に対する仏教的な視点を探る一冊。紀元前500年頃に80歳という高齢まで生きたブッダ(釈迦)の人生を通じて、老い方や死に方についての洞察を提供する。どうやら超高齢者と縁がある。