山折哲雄のレビュー一覧
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山折哲雄 「 義理と人情 」 長谷川伸 の義理人情の世界から 江戸時代の日本人の心性を論述した本
著者は 日本人の心性を 「弱者や敗者に対する仁(愛、寛容、慈悲)」とした。特に 長谷川伸 任侠作品や 仇討や捕虜をテーマとした 作品に 日本人の心性を見出している
「一宿一飯」の恩義 という言葉が印象に残る。「日本人は神を信じないかわりに人間を信じ、それが 人の期待を裏切ってはならぬ という義理人情の思想になった」という言葉とリンクした
長谷川伸が 我々に伝えるために、日本人の中の日本人として記録した「日本捕虜志」は読んでみたい
長谷川伸の最期の言葉に感動する
「死ぬのは簡単〜生きるの -
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ネタバレ「林住期」を生きる -2007.07.11記
「林住期」という語も、最近は五木寛之の「林住期」と題されたそのものズバリの著書が出るに及んで、巷間つとに知られるようになったようだ。
抑も「林住期」とは、古来ヒンドゥ教の訓える「四住期」の一。学生期.家住期.林住期.遊行期と、人生を4つの時期に区分し規定したとされる。
学生期-がくしょうき-とは、師について学び、禁欲的な生活をおくり、自己の確立をまっとうすべき時期。
家住期-かじゅうき-とは、結婚し子どもをもうけ、職業に専念、家政を充実させるべき時期。
林住期-りんじゅうき-とは、親から子へと世代交代をなし、古くバラモンならば、妻と共に森 -
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この本は、遠藤周作が宗教について語ったさまざまな作品から、人間とか愛だとかのテーマ別に集めた本である。したがって、遠藤周作の本を何冊か読んだことのある他人にとっては、その本で書かれていた深い言葉の意味を再認識できるのでとても良い。遠藤周作の本を読んだことのない人が読んでも、これは遠藤周作の本に興味を持つ手引になる。
いずれにしても遠藤周作の名言を再認識することができるのと、なぜ人は宗教信仰をするのかという本音がわかってくる。ベルナノスというフランスの作家が「信仰というものは、99%の疑いと1%の希望だ」と書いているそうである。遠藤周作にとってキリスト教は、「脱ぎ捨てようとしたが代わりに着る -
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地獄。
人を悔い改めさせるための場所。
とんでもなく遠い場所にあって信じられないほど長く苦しみ続ける場所。
でも、一体どんな場所?
ダンテの『神曲』ではないが、私たちも地獄を歩いてみることとしよう。
源信が著した『往生要集』に書かれた地獄が、私たちの想像する地獄のモト。
地獄に行く前にまずは事前学習。
「九相図」という絵について説明があるが、これ、見たことがあるが結構グロい。
が、そこが大事なのではなく、(美女が腐っていく様子なのだが)人は皆平等で、日々を正しく生きよ、という教えだとのこと。
説明なければただのグロ、やはり先達は欲しいものだ。
地獄で審判をする「十王」というのが仏様の別の姿 -
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東日本大震災直後(2011年7月)に編まれた、寺田寅彦随筆選である。編者の意図を超え、コロナ禍の現代に読むと、そのあまりにもいまの我々のために言ってるかのような言葉に溢れていて、びっくりした。
その幾つかを、以下に羅列する。
「天災と国防」(昭和9年)
・文明が進めば進むほど天然の暴威による災害がその激烈の度を増す
・日本のような特殊な天然の敵を四面に控えた国では、陸海軍のほかにもう一つ科学的国防の常備軍を設け、日常の研究と訓練によって非常時に備えるのが当然ではないかと思われる。
「流言蜚語」(大正13年)
・(大地震の最中毒薬を暴徒が井戸に投じたという噂に関して)いわゆる科学的常識とい -
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【気づき】
・渡辺和子
死と言う制限があるからこそ、限られた人生で自分は何をすべきか、何を大切にして生きるかを考えられるのです。p.21
・キリストも良い事しかしていないのに、弟子に裏切られ、群衆の罵詈雑言を浴びながら、十字架に磔になって無残な死を遂げている。p.25
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良いことをすれば良い報いが起こるとも限らない。
どのような生き方をしようが、死に方をするか分からないから、こそ丁寧に生きる。
・石飛幸三
誤嚥性肺炎による飲み込む機能の低下自体が治らないため、病院としては胃ろうや経鼻胃管を勧めることになる。
しかしこれは別の問題を誘発することになる。
高齢者にとって、食道と胃の接合部分 -
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山折老師の「哲学」というか、エッセイに近い人生の「終末期」に関する考察である。簡潔にして平明な名文が、そのように感じさせるのだろう。インドでは古来、人生では「学生期」「家住期」「林住期」「遊行期」の四住期を経るのが理想とされるが、日本で特に「林住期」「遊行期」に特徴的な業績(?)を残した4人・・・西行・親鸞・芭蕉・良寛・・・を取り上げて、それぞれの業績とそれに至るまでの葛藤を描き、またそれぞれの思想の関連性を考察している。本書の冒頭で、著者が老境を迎えて処分を進めてきた書籍のうち、どうしても処分に踏み切きれなかった全集類を最近手放して、意外にも「身軽」さを感じた、と述べている。そしてそれが本書