全巻読破。たいへん読み応えがあった。
この漫画は、終末期医療の美談だけを取り上げてはいない。
周りの家族の悩みや医療者の葛藤、本人の人生観も含め、それぞれの物語がある。
それらはどれもリアルで、決して正論や理想論だけでは語れない難しさをも描いている。
主人公の天道先生は、一見軟派男で主体性のな
...続きを読むいように見えるかもしれないが、そうではない。
「絶対に自宅で過ごした方が良い」とは言わない。本人の決定を最大限尊重する。
しかし、プロセスが足りていないと感じれば、「もう少し考えてみてはいかがですか?」と少しだけ助言する。
自分の経験を押し付けがましくなく伝え、あくまでサポートに徹している。
治してあげたい、感謝されたい、私の方が正しい、といったエゴが医師には生まれがちだ。
それは遠くから眺めれば正論かもしれない。
だが、人の生と死はそんなに単純なものではない。
一人ひとりに人生があり、その周りの人の人生も密接につながっている。そんなものに、一言で答えを与えることは不可能だろう。
終末期や緩和ケアと聞くと、どうしてもネガティブな印象を受ける人も多いとは思う。
それでも、様々なケースを知り、シミュレーションすることには大きな意味がある。
人生をどう終えるかは、人生をどう生きてきたかと同じくらい大切だ。
私ももっと、真剣に向き合っていこうと思った。
備忘録として、特に心に残ったエピソードを以下にまとめます。
↓↓
2巻 12-13話 カゴノトリ
2巻 14-15話 言えない想い
3巻 19-21話 命をつなぐ
3巻 23-24話 カリフォルニアの親戚
5巻 33-34話 遠い雷鳴
5巻 36-38話 母帰る
6巻 47話 慟哭
7巻 50話 しあわせであるように
7巻 54-56話 ケアマネ屯田さん 他
8巻 57話 幸せな場所
8巻 58-59話 食べることは生きる喜び 他
8巻 60-61話 おばあちゃんと僕
8巻 62話 長生きしたくない
9巻 65-69話 どうして私なの 他
9巻 70-最終話 最期まで 他
特に8,9巻は読み応えがあった。