あらすじ
千年にわたって読みつがれ、今なお人びとの心を揺さぶる『源氏物語』。その主人公、光源氏や女たちが見た平安の都の場景とは――。本書は五十四巻からなる長編のあらすじを丁寧に紹介しながら、ゆかりの寺社、庭園、風物を訪ね歩く。若き源氏が暮らした京都御所をはじめ、空蝉、夕顔、紫の上、玉鬘といった女たちとの逢瀬の場となった五条の宿、東山、北山、嵯峨野へ……。小路から大橋、河畔、山々に至るまで、京都の風光には『物語』の気配が溶け込んでいる。例えば、薄幸の美女、夕顔が住んでいたとされる下京区高辻通堺町下ルには、いまも「夕顔町」という地名が残っている。京都の人々が『物語』のなかの人物とはいえ、夕顔を哀れんで町名にしたり、墓をたてたりしたところに、この物語への愛情を感じる。なんども訪れたことのある京都も、『源氏物語』を読み返すことで歩き方が変わるに違いない。カラー口絵写真も添えながら、王朝絵巻が甦る源氏紀行の決定版である。
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Posted by ブクログ
「源氏物語」に出てくる京都の現在の風景、神社仏閣、地名を訪ねる。1000年も前の小説に出てくる場所を現在に当てはめるのは、至難のことだったと思われる。
ただ、たいへん丁寧な仕事をされているため、この本を持って京都巡りをしたいと思った。
物語の内容も丁寧に紹介されていて、紫式部一人が書いたのではないと、書かれているのには驚いた。確かに、内容がガラッと変わるのを説明されると納得。
あんがい紫式部は全く関わってないんじゃないのと、思ってしまう。(紫式部が大嫌いなので)
私の好きな神社仏閣も紹介されているのも嬉しかった。
ぜひ、この本を持って京都巡りをするぞ~‼
Posted by ブクログ
「『源氏物語』のストーリーを紹介しつつ、その舞台となった京の都の各所を紹介して、『物語』に溶けている風光を見ていく」(p.188)という本。新書にしてはやや分厚め。内容としては、ストーリーの要所を紹介しながら、メインは源氏物語に登場した架空のスポットを、ここではないかという推測のもとに紹介し、訪れてみる、という感じになっている。
源氏物語の内容を知っており、かつ京都を訪れることがあるならば面白い本だと思う。観光情報も載っており、京都御所などの参観要領や、観光に際したちょっとしたアドバイスなども含まれている。実際、この本を元に、「清水寺は早朝がおすすめ」とか、「JR宇治駅からよりも京阪宇治駅からまわった方が良い」などは実践してみた。さらに第一章その三を参考にして河原院、本塩釜町、渉成園のあたりも散策してみて、観光に深みが出た感じがする。ただこの本を愉しむためには源氏物語のストーリーを知ってないといけないと思うので(この本だけでストーリを追うのは難しい)、他の本で源氏物語のストーリーを知っておくと良いと思う。(09/02/10)