乙一のレビュー一覧
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ミステリー小説家のアンソロジー。
長編にできそうなネタを惜しげもなく短編に仕上げている作品もあり、とても楽しめた。
特に下記三作品が面白かった。
近藤史恵「未事故物件」
乙一「沈みかけの船より、愛をこめて」
新津きよみ「女の一生」
●近藤史恵「未事故物件」
引っ越したアパートの上の部屋から午前4時に洗濯機の音が聞こえてくる。しかし部屋は空き家だという。騒音に悩まされた主人公は音の正体を探り始めるが…。
●福田和代「迷い家」
泥酔して他人の家に上がり込んだ主人公。食卓に用意された鍋を食べ、食器を1つ持ち帰る。後日、その屋敷の住人が行方不明になったと耳にする。しかも主人公が迷い込んだ日だと -
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乙一は、想像力を掻き立てるのが本当に上手い。
怖くてたまらなくて夜に自宅では読めず、出勤前の朝や人が多いカフェで読みました。
スッキリとした分かりやすい文体なのに、そのシーンがありありと目に浮かぶ。
人物も個性的ではない普通のどこにでもいるような人達だからこそ、共感できて読み手もその世界に入り込んでいける。
本作にも、そんな作者の魅力が味わえます。
「目を逸らしたら近づいてこない」ってシンプルで分かりやすい対策ですが、最高に怖い。
怖いのに、見たくないのに、見続けていなければならないなんて。
ラストは好みが分かれるかもしれませんが、すごくリアルに感じて私は好きでした。
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Posted by ブクログ
ネタバレ近藤史恵「未事故物件」
一人暮らし始める前に読まなくてよかった。
ホントに怖いのは生きてる人間。
でも、毎日4時に洗濯機回されたら発狂しそう……
福田和代「迷い家」
舞台は現代日本だけど、導入はほんのり日本昔話テイスト。
優しいお出汁のお鍋食べくなっちゃった。笑
最後のオチはちょっと強引な気もするけど……。おちょこに指紋ついてるくらいなら、他のものにもベタベタついてるでしょって。
乙一「沈みかけの船より、愛をこめて」
自分の両親も主人公と同年代くらいの頃に離婚しているからか、感情移入がはんばない。しかも4つ下の弟がいるのも一緒!
両親のどっちについていっても良いよって、子供の気持ちを尊重し -
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購入済み
面白かった。
友人から話を聞いて気になったので読んでみたらとても面白かったです。
最後そう転ぶとは思わなかったので、ビックリしましたが、思い返してみるとあれは伏線だったのかという点がいくつかあったので納得しました。
『優子』も最初はどういうことなのかわからなかったけれど、あとからわかってゾッとしました。
メリバ、イヤミス(またはミステリーに近いホラー)を読みたいときにオススメしたいです。 -
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最近しょぼくれている私に
会社の先輩から突然、本のプレゼント。
ジョジョの奇妙な冒険のノベライズで、
4部作あるうちの一冊。
乙一さんの"The Book"だった。
ジョジョの奇妙な冒険は全く知らないので
どんな本なんだろう…とワクワクしながら
読み進めた。
初めの2ページに
主人公の蓮見先輩と楽しそうにお喋りしている女の子が
時を経て大切な人を殺してしまう終盤の場面から
物語が始まりぐっと惹きつけられる。
ストーリーの軸は
主人公の蓮見琢馬(The Bookのスタンド使い)の父への復讐劇。
The Bookのスタンドを持つ琢磨と
ビルの隙間で一年間生き抜いた女性と
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Posted by ブクログ
現世(こちらの世界)でいじめられていた兄弟が、ファンタジーの世界に流れ着きます。
そこでは「異邦人」である彼らの心の闇から生まれた「怪物」が猛威を振るっていました。彼らが生み出し高異物を退治することが、元の世界に戻る唯一の方法だと聞かされた兄弟は、まずは弟の心から生まれた巨大な「大猿」を退治するための戦いに身を投じることになります。
父親が死に、繰り返されてきたいじめによってすっかり性格が悪くなった弟グレイが生み出した、怒りに身を任せて破壊を繰り返す大猿は、その被害の大きさから「退治されるべき存在」として描かれますが、それだけの負の感情をため込むに至ったグレイのつらさを考えると、創造主である