乙一のレビュー一覧
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ネタバレ
評判の振り幅が大きい作品。
謎を語り切らず、考察の余地を大幅に残している点が、低評価の一因。逆に私は明かされなかった部分を想像して楽しんだので、◯。
謎①蔵の女が閉じ込められた真相は?
謎②甦り対価の犠牲者は何処からか?
謎③呪いはこの後も延々と続くのか。
↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓私の考察。ネタバレ。
石森ミブとして溝呂木と話をしている老女は蔵の女。村を逃げ出すためにミブと入れ替わった。
入れ替わったのは「冷たくなっている蔵の女を発見した」←ミブを殺して(恐らく顔をボコボコに痛めつけ判らなくした)蔵の女が死んだとして通報。
怪異(山ノ神の使い)の顔には殴られ続けたような痛々しい痣がある。←殴り殺されたミブの姿。
鈴の音に怯えるのは殺した罪悪感と怨念に対する恐怖?
「チョウブク」とは、誰かを生き返らせるために大量の生贄を捧げる儀式を逆手に取った大量殺人呪詛。呪詛をせず、兵士との間に身籠った事が醜聞として隠蔽・監禁・流産されられた?
実は石森ミブとして溝呂木に怪談を話して手記を渡した後、溝呂木から森川までは偶発的な犠牲者?それともわざと手記を手渡し、この時点から甦りの儀式は始まっていた。←ひ孫が娘を亡くす事を予見して種を蒔いていた、もしくはもう一人甦えらせる予定だった?(が、渡辺少年がすっかり忘れたせいで20年放置になった)
もし偶発で無駄な犠牲者が出たのではなく、甦りの儀式中の犠牲者だった場合は、真央復活で一旦生贄の呪いは終了するのでは。 -
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不思議な語り口、言葉選びですね。
独特な世界観…(*´꒳`*)
本当にミステリー・ホラー・ファンタジーです。
だいぶ前に「ZOO」を読んだのですが、ちょっとエグくて(姉弟が何故か牢屋の中に閉じ込められていて血が流れてきて…という話)疎遠になっていたのですが、ブク友さんの〝乙一ラブ〟という想いを知って、読んでみたくなりました。
読んで良かったです。
なんだか、哀愁さえ漂う一冊でした。
最後にBLUEに繋がるのも良かったです。
現実には起こり得ない物語たちでしたが、不思議と違和感なく切ない気持ちになりました。
古い村の閉鎖的な雰囲気や、子供の気持ちを理解しようとしない親とか、そういうものを淡々と描写しているのも、熱の無い語りでなんだかシュールでよかった。
最後に病院で助けてあげた老人、あの社長嫌いだなぁ。
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Posted by ブクログ
初めて読む、乙一作品。
4編からなる短編集。
もっとホラーで怖いのかと想像していたら、全然違い、ファンタジー要素が強い印象。
1.石の目
“石の目”を見てしまった者は、石となる。
という、昔話風。
これは、すごく怖かった。
山で遭難した主人公SとNは、霧の中に人家を見つけ、助けられる。
しかしここは盆地になっており、周りを一本の砂利道が輪を描いて取り囲んでおり、外には出られない。
先程、ファンタジーとか書いたけど、この話はゾワゾワして本当に怖かったです。
2.はじめ
二人の男の子の想像から生まれた“はじめちゃん”。幻想なのに8年間も交流が続く。
この話は地下水路の探検など、子供時代ならではの冒険物語も楽しめて、私的には一番好きな作品。
3.BLUE
心を持つ不思議な人形達の話。
手作りの5体の人形達は、動いたり喋ったりするのだけど、これが私達人間社会と同様、醜い感情もあったり、葛藤もあったり。
それも子供時代から10代の頃の、若く未熟な感情と言うのかな。
切ないストーリーでした。
4.平面いぬ。
高校生の女の子が、ちょっとした気まぐれで、小さな犬の刺青を入れる。
その犬が動き出す、という不思議な話。
結構ハードな内容なのに、淡々とした文章が良い。
この本はブク友の土瓶さんオススメ。
乙一さんは“ホラーで怖い”イメージで未読だった私に、もったいない!と背中を押してもらいました。
新しいブックワールドへの第一歩となった一冊です! -
Posted by ブクログ
乙一さんの『平面いぬ。』
ふふ、なんて不思議なタイトル!
不思議なお話の中にも、人間模様や心情描写が切な美しく表現されその世界にあっという間に引き込まれる。
4話からなる短編集。
『石の目』
読みはじめて、あっ、日本昔話の世界だ!と思った。小さな頃に見たあの日本昔話の世界観が文章で伝わってくる。
でも、乙一ワールドはそれだけでは終わらない。目を見ると石になってしまう石の目の話と親子の複雑な心情描写が切な美しく語られる。
『はじめ』
2人の男の子の想像から生まれた『はじめちゃん』という名前の想像上の女の子。
3人の8年間に渡る不思議な関係のお話。
『BLUE』
動き喋り心を持つ5体の人形が出てくるお話。
みすぼらしい外見の青い人形、BLUEが主人公。
BLUEは健気で優しく、悲しい環境の中でも朗らかに過ごす事ができる。
初めて人間のテッドとの間に友情が芽生え、心を通わせ幸せな時間を過ごす。
彼女の宝物はテッドが自分の体の穴をふさぐためにつけてくれたバッジ。
BLUEがバッジを大切そうに眺めたり、
テッドとの別れを予感して初めて『悲しい』という気持ちを知る場面、テッドに一目会いたいと頑張る場面、BLUEの思いや発する言葉、相手を思いやっての行動に涙がじんわり。
悲しくて堪らないけれど本当に綺麗なお話!
『平面いぬ』
腕に"青い犬の入れ墨"を入れた女の子のお話。
青い犬はある日動き出し彼女の肌の上を行ったり来たり自由に動く事ができるようになる。
『BLUE』から『平面いぬ。』の流れがとっても好き。
なんだか、
『乙一版•世にも奇妙な美しい物語』を読んだような気持ち。たっぷり堪能しました!
これは、土瓶さんにおすすめしてもらった本。
こんな素敵な本を、感動したんだよとおすすめしてくれる土瓶さんは、なんて心豊かな人なんだろうと思いながら読みました。
乙一ワールド、どっぷり
堪能しました(^^)
どんちゃん、ありがとう! -
Posted by ブクログ
「石の目」改題。1998年から2000年初出の短編集、4編。作者大学入学時の作品群で早期のもの。
乙一氏のイメージは、ファンタジー・ホラー。ジョブナイル。年齢層若めの黒乙一。ところが、この若さでなかなか哀愁ある4作です。
どの作品も、別離での切なさをえぐってくる語り口。しかも作者は悲しみの有痛性を文章にそのまま表現せず描いていく。そこに、読み手がより痛みを感じることになると思う。
「石の目」は、高品質な日本の土着伝承物といった小品。伝説・伝承には悲哀感あるホラー要素が多く相性が良い。
「はじめ」は、二人の男子が罪を被せる為、創造した女の子が実像として現れ、気持ちの交流までできるようになる。少年期の幻想のみでないストーリーが生まれる。
「BLUE」は、手作りのぬいぐるみが意志を持ち行動する設定。醜い人形のBLUEの寄り添い愛されたい願いが切ない。
絶妙な痛さと切なさを、若い年齢層に読ませ人気を維持する作品センスは、ジャンルを決められない良さがあります。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ目次
・未来予報 あした、晴れればいい。
・手を握る泥棒の物語
・フィルムの中の少女
・失はれた物語
切なさド直球の物語、と思ったら、「切ない話を」とのオーダーだったのですね。(未来予報)
未来が見える、わかるというのは、必ずしも幸せなことではない。
天気予報レベルで外れることも多い未来予報だとしても。
彼も、彼女も、特段その未来に縛られていたわけではないけれども、その未来は支えだったはず。
「意味のない人生なんてない」
清水が言ったからこそまっすぐに伝わった言葉。
”僕たちの間には言葉で表現できる「関係」は存在しなかった。ただ透明な川が二人の間を隔てて流れているように、ああるような、ないような距離を保っていた。
しかし、僕は清水のことを考えるとき、まるで何十年も連れ添った後、寿命で眠るように死んでしまった妻へ思いを馳せるような、懐かしい気持ちになるのだ。”
この最後がもう飛び切りに上手い。
しかし古寺は、どんな気持ちでこの二人を見続けていたのか。
金に困って、旅館の壁に穴をあけて札束の入ったバッグを盗もうとした主人公が、まったく違うものを掴んでしまった挙句、何も取らずに家に逃げ帰ってしたこととは。(手を握る泥棒の物語)
”身辺を片付け、テレビやビデオの電源を抜き、冷蔵庫に入れていた腐りそうなものを食べた。逮捕されてしばらく戻ってこれなくてもいいようにという準備だった。”
こういう、ふざけているのか真面目なのかわからない語り口が乙一だなあ。
思わず噴いた。
「こわい話を」というオーダーで書かれた作品。(フィルムの中の少女)
確かに本来そこにいなかった少女がフィルムに映っていたら、そして再生するたびにその向きを変えていたら怖いよ。
でもこの作品の真の怖さはそこじゃなかった。
そして彼女がフィルムの中に存在した理由は、「せつない」じゃないか。
乙一の小説って、喪失とか欠落とか多いよね。(失はれた物語)
これはまた不条理で、切なくて、妻の気持も夫の気持もどちらもわかるだけに、どうするのが正解かなんて簡単には言えない。
だけど、最後のそれはないわ。
入院費用を払っている人はいるはずだし(まさかの自動引き落とし?)、点滴を交換しなければならないのだから、絶対忘れられた存在になるはずはないと思うの。
ってことは、叙述トリック?
ちょっと解釈に悩んじゃいます。 -
Posted by ブクログ
ミステリー小説家のアンソロジー。
長編にできそうなネタを惜しげもなく短編に仕上げている作品もあり、とても楽しめた。
特に下記三作品が面白かった。
近藤史恵「未事故物件」
乙一「沈みかけの船より、愛をこめて」
新津きよみ「女の一生」
●近藤史恵「未事故物件」
引っ越したアパートの上の部屋から午前4時に洗濯機の音が聞こえてくる。しかし部屋は空き家だという。騒音に悩まされた主人公は音の正体を探り始めるが…。
●福田和代「迷い家」
泥酔して他人の家に上がり込んだ主人公。食卓に用意された鍋を食べ、食器を1つ持ち帰る。後日、その屋敷の住人が行方不明になったと耳にする。しかも主人公が迷い込んだ日だとういう。知り合いの警察に相談するが…。
●乙一「沈みかけの船より、愛をこめて」
離婚する両親のどちらと暮らすか。主人公の女子中学生は冷静に判断するため、父母の状況を調べ始めるが…。
●松村比呂美「置き去り」
一大決心をしてジャングルツアーに参加した主婦。途中のトイレ休憩で置き去りにされてしまう。いったいどうなるのか…。
●篠田真由美「迷い鏡」
●新津きよみ「女の一生」
赤ん坊を事故で亡くした主婦。夫とも離婚することになり実家に戻るが兄嫁と折り合いが悪くなるり、アパートで一人暮らしを始める。そんな時、河原のホームレスと親しくなり、アパートへ招くのだが…。
●柴田よしき「迷蝶」
妻を亡くした定年退職者の主人公。唯一の趣味である蝶の写真撮影で知り合った老人と話すうち、過去の記憶が蘇る…。
●大沢在昌「覆面作家」
評判の覆面作家は誰なのか?小説家の主人公は古い友人のことを思い出す…。