乙一のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
死体目線で物語が語られていくという斬新な設定が気になって、読みました。
死んだ少女・五月が感情を交えることなく、淡々と自分の置かれている状況を語っていくのが面白い。
物語の中では、何度も「そこ、なんで気付かないの!?」と思わされるような際どい場面があり、ハラハラしながら読み進められました。
一方で、ストーリーの構成やキャラクターには少し既視感があり、途中で「この人、もしかして……」と思った登場人物がやっぱり予想通りだったので、私の中ではどんでん返しにはならず。
終盤の展開も、以前ドラマでで似たような話を観たことがあったため、そこまで大きな驚きはありませんでした。
もともと「この兄妹がサイコパスなら、この一族も何かありそう」と序盤から少し疑いながら読んでいたこともあって、個人的にはそこまで大きな盛り上がりを感じられなかった作品でした。
ただ、同時収録されている『優子』はすごかった。
主人公の少女・清音に、いつの間にか感情移入していたことに途中で気づき、彼女が少しずつ暴走気味になっていく様子にヒヤヒヤしながら読み進めました。
そして、最後に待っていたのは思いもよらない結末。
個人的には、『優子』の方が好みでした。 -
Posted by ブクログ
2026.08.22 ★3.0
乙一の異世界アドベンチャー。
山白朝子でもなく中田永一でもなく乙一が書いたファンタジー。
なのに、乙一らしさが全く無い。残念。
おそらくは小学生でも楽しめるように残酷さやグロテスクな描写がされていないのだろうが、このくらいのファンタジーなら他にたくさん良作がある。
普通中の普通だった。
↓↓↓内容↓↓↓
マリナは歯並びの悪い女の子。そのせいで、いじめられていた。いじめっ子に復讐する方法を探すうち、不思議な絵本「アークノア」の世界に迷い込んでしまう。そして、自らの心が生んだ“怪物”を殺さない限り、現実に帰ることができないことを知る。一方、元の世界に戻るため、怪物討伐の旅を続けていたアール一行。彼らの標的は、“歯並びの悪い竜”で…。壮大すぎるファンタジー長編第2弾! -
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ネタバレ五月と弥生ちゃんは仲が良かったが、五月は弥生ちゃんのお兄さんである健くんの事が好きだった。それを弥生ちゃんは木登りしている時に知ってしまう。それが気に食わなかった弥生ちゃんは五月を木の上から押して殺してしまった。やっては行けないことをやってしまった妹である弥生ちゃんから事情を聞いた健くんは五月の死体を隠そうとする。
死体が語り手として話が進んでいくのが斬新だった。
健くんの臨機応変やこの状況を楽しんでいる感じと、五月の背中を一時の感情で押し、殺してしまった弥生の子供ならではの狂気さが怖かった。
健くんが密かに思いを寄せている、緑さんが1番怖い。近隣の町で起きていた男の子が連続で行方不明になる事件も緑さんの仕業?健くんに似た子供を攫って殺し職場であるアイスクリーム工場の冷凍庫に入れておくとかヤバすぎ、しかも19歳だし。健くんと弥生ちゃんがやってしまったことに早くから気づいていたんだろうな。
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死体目線で進む物語というのは当たり前に初めてで新鮮だった。
死体目線と言うと死んだ当人の感情が入り込んで来てしまいそうだが、そのような描写がなかった点も含めて死体と言う設定が徹底されていた。
死体の隠蔽を企む健と弥生のもとに"死体が見つかってしまうかもしれない"という危機的シーンが次々と訪れページをめくる手が止まらなかった。
"見つかってしまうかもしれない"から"見つからずにすんだ"の緩急の付け方が秀逸だなと感じた。
ラストでの緑さんの伏線回収とどんでん返しは圧巻だった。
「優子」では清音視点で物語が進むため人形を妻とする狂った主人というミスリードにまんまと引っかかった。
短い作中の中でこれだけ清音と同じ考えを陥れてから裏切れる乙一の技術に感嘆した。
16歳で今作を書いた乙一恐るべし。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ乙一さんは久しぶりに読んだ。
まさかの五月目線で物語が進む。
ただ、五感や感情表現がまだ生きてる感じで進むから不思議な感じ。
2人を憎んでいる描写もなく嫌な気分で読み進める感じではない。しかしどこかしら薄気味悪さと淡々とした会話のテンポは不気味。
健くんの異常さと弥生の正常な反応の乖離が進むに連れて、さらにぞくぞくさせられる。何度も見つかりそうになったりと緩急もある。
そして緑さんはやっぱりそっち側ね…
装丁の五月の手が曲がっていたり、目が虚ろだから事故後のイラストかな。なにも知らないうちは素敵な夏の1ページって感じだったのに。
もうひとつの物語の優子は更に薄暗い感じだった。
お手伝いの清音が思いを寄せる主人には優子という妻がいるが長年床に臥せっている。清音は甲斐甲斐しく看病する優子に嫉妬するがその優子が人間ではないのではと考えるようになる。
しかし思い違いをしてたのは清音のほうでベラドンナの毒に犯されて幻覚をみていたという。
前のお手伝いさんからもらったナツグミっていうのも怪しいし、主人の医者にみせた取り乱し方も怪しい…なんだかもんもんとする終わり方だったな。 -
Posted by ブクログ
幽霊や怪異、不思議な出来事を題材にしながらも、人間の寂しさや滑稽さが描かれた短編集です。
登場するのは幽霊や奇妙な現象ばかりなのに、不思議と怖さよりも、その奥にある人の未練や後悔、誰かと繋がりたいという気持ちの方が強く残ります。
どの作品にも少しだけ現実からはみ出したような人物が登場して、周囲から理解されなかったり、うまく生きられなかったりする人たちが、それでも誰かを想いながら生きている姿には妙な生々しい人間味があります。
ただ、収録作ごとの雰囲気や完成度には多少ばらつきがあり、著者の初期作品のような強烈などんでん返しや衝撃を期待すると、正直少し物足りなく感じる部分もありました。
それでも、しんみりした話の中にふと笑える場面があったり、奇妙な話の中に優しさが隠れていたりして、読んでいるうちに自然と著者の世界へ引き込まれていきました。