あらすじ
飼育係になりたいがために嘘をついてしまったマサオは、大好きだった羽田先生から嫌われてしまう。先生は、他の誰かが宿題を忘れてきたり授業中騒いでいても、全部マサオのせいにするようになった。クラスメイトまでもがマサオいじめに興じるある日、彼の前に「死にぞこない」の男の子が現れた。ホラー界の俊英が放つ、書き下ろし長編小説。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
負荷をかけられているような感覚で、
いわゆる後味の悪さとは少し違って、作品に浸る間ずっと息苦しさや重さを抱え込むような読感が続く。
「アオ」という存在をどう捉えるか、それは救いなのか呪い、はたまた怨恨の権化にも感じられる。読み手によって解釈が大きく揺れる余白があった。
また、担任によるいじめの描写には強烈な生々しさを感じ、最初は反発心を抱くものの、それがやがて諦めへと変わり、最後には「これが真っ当なのだ」と思い込んでしまう。被害者の感情の移ろいが恐ろしくリアルで、ただのフィクションとして片付けられない重苦しさがある。
「人は理不尽にどう折り合いをつけるのか」という問いを突きつける作品だった。
Posted by ブクログ
恐怖があふれるこの世界で、自分の守り方を間違えてしまった先生。
教育者としてというよりも人として理解できない行為が多く、途中吐き気がした。
恐怖を目の前にした人間の行動が丁寧に書かれていて、親や家族に相談できないマサオの気持ちは痛いほど分かってしまい辛かった。
他人からの評価をいつも気にしてしまう私には、最後の言葉がどうしても刺さる。
頑張ってこれなら、しょうがないじゃん。
Posted by ブクログ
内容がとても胸糞悪い感じで、かなり読むのに苦労したが、読んで良かったなと感じています。
終始怒涛の展開で何度も読むのをやめようかと思いましたが、怖いもの見たさのような感覚でつい読んでしまう…そんな魅力があると思います。
個人的には教育関係者など、学校という場に関わりがある人全員に読んでほしい一作です。
Posted by ブクログ
私にとっては、結構ホラーでした。
内容は面白いけど、独特の怖さが
乙一ワールドで面白かったです。
うおこええって感じになりながらどんどん読んじゃいました。
Posted by ブクログ
家庭ドラマみたいな本好きで多く読んでたけど、最近飽きて
SNSで怖そうな本(ホラー)紹介してて読んでみた。
ホラー?て感じで
実話⁈と思うくらい身近な話しだった。
小説なので結末はもちろん違うけど。
私は中学入る時に転校したのでその後はわからないけど
小学生の高学年の時イケニエみたいな男子居たな‥
先生から理不尽に怒られてた男の子
初めての作者でどんな感じかと思って読み始めたけど読みやすくて凄い良かった。
目をそらせない
学校という狭い世界、必ず存在するカースト最下位の弱者。人気者の担任。
子どもを掌の上でじょうずに転がしているような教師も、また人間なのだと思わされる1冊だった。
Posted by ブクログ
続きが気になってしまって一気に読んだ。
“死にぞこないの青”と“恐がりな自分”どっちも自分であり、合わさったことで導かれた勇気ある結末。
きっと戦う力はずっと自分の中に秘められていたんだと思う。
子どもの頃って、学校が社会の全てで、先生と生徒しかいない世界、その世界が怖くて、好かれようと必死だった子どもの頃を、つい思い出してしまった
9割は悲しい気持ちで読んだが、残りの1割ですっきり
Posted by ブクログ
まじで羽田先生めっちゃむかついて、はよやってまえ!って思っちゃったけどマサオくんが犯罪者にならなくてよかった…。
乙一は怖い話書くけど救いのある結末だから好き。
Posted by ブクログ
中学生の頃乙一作品を読み漁っていた時に読んだ。
タバコを煮込んで人殺せるとか舌噛み切って死ねるとかいう役に立つか分からない知識をこの本で得た。
Posted by ブクログ
乙一さんの作品は数冊読みましたが
私の中では
1番ホラーでした。
学校や職場でも狭い世界の中では
ありそうだなと感じました。
この物語を読む事によって
いじめにおいて
加害者と
被害者、両方の感情を知ると
現代に起きている
悲しい出来事も少し減るのかなと
思います。
メンタル安定している時に
読むのがおすすめかも
しれません^_^
Posted by ブクログ
マサオは悪くない。
状況や理由を聞かず、結果から多数の意見が正しいと判断する大人(まして先生で)あってはならない。
先生は自分の空回りが怖くなり、マサオを生け贄にクラスのみんなをまとめようとする。
こんな下衆な先生が実際いたら困るけど、現実多くの先生は生徒を好き嫌いでランク付けしていると、学生時代から感じていたので、あながちゼロではない気もする。
アオは、マサオの負の感情だけが幽体離脱したような存在で、マサオが感情を捨てて人形のようになると現れなかった。
自分の感情を犠牲にしてまで、まわりに我慢する必要性はないと、家族だけはちゃんと見て気付いてあげて欲しかった。
最後、先生にある意味生き地獄を与え、アオを消すことができ良かったと思う。
新しい先生が来てから、前と同じように友達だったものが戻ってきて、マサオは怒らず接しているのが凄いと思った。相手の気持ちがわかる良い大人になれるだろう。
Posted by ブクログ
前半100ページが鬱々と暗く辛かったです。
ストーリーは実にわかりやすいしありがちだとは思うけどその為に100ページ費やすのが乙一なんだよ。そうなんだよ。
Posted by ブクログ
なぜか「できそこないの青」と覚えてしまっていた作品
先生のいじめが陰湿で生徒たちをうまく操っているなと思った
マサオの視点で語られていて、読んでいて凄く苦しくなった
終盤にアオと一緒に先生に復讐している時は頑張れ、頑張れ!と思いながら読んだ
なんというか、復讐はだめ、と言うのは簡単だけど、被害者のマサオの気持ちを考えたらつい応援してしまった
復讐されないように真っ当に生きようと思う
マサオが強くなって良かった
Posted by ブクログ
個人的に乙一先生の好きなところは、その場の雰囲気を簡潔にかっこよくあらわす、文の色彩の多いところです。
今作でも、小学校時代や、昼間エアコンに頼らず生活していた小さい頃、家庭訪問時の先生が家に来る不思議な空気感など、懐かしい情景が思い返されました。
ストーリーとしては、綺麗にまとまっており、読み終わった後も、その後のストーリーを聞きたくなるような、見ていて面白いものでした。
もし、小学校のの時に読んでいたら、視野がとても広く賢い子供で入れたと思います。
Posted by ブクログ
小学5年生クラスを担任する新任教師が、自身への不満解消のために生徒1人をイジメの対象にしてしまう胸糞悪い話。大人の目線だと先生の行為が懲戒免職に値すると簡単に判断できるが、子どもの立場から先生に逆らうことはとても難しかったことを思い出した。私も小学生の頃は、マサオのように周囲の人間の目を気にして言いたいことを言えなかったので、マサオの気持ちがよくわかる。
アオが先生への復讐をけしかけ思いを遂げたことで、マサオはクラスメイトや当事者である先生すら許せる心を持てたように思う。アオがマサオを浄化したのだろう。
Posted by ブクログ
マサオが教室でバカにされるシーンはずーっと胸糞悪かったーー。
だんだんマサオの第二の人格が芽生えてくるところは狂気的だし、やるせない気持ちになった。
Posted by ブクログ
新しい担任の先生からちょっとした誤解から嫌がらせを受けるように
ページ数も少なく話も簡単で読みやすいからサクッと読みたい時におすすめ!
現在クラスでいじめとまでは言わないけどちょっと嫌がらせ受けてるからなんか読んでて親近感感じた
学校行きたくなーい!(т т)
Posted by ブクログ
淡々と話が進んでいって、読みやすかった!
最後に出てきた女性の先生は、途中で何か伏線があったのかな…??
あとがきで乙一さんの人柄が出てたのが面白かったです笑
Posted by ブクログ
2025.07.14 (月)
読み終わった…200ページ余りだから半日もかからなかった。200ページ余りなのに、凄く長い時間、体が絞まる思いだった…
キツくて惨くて、とても目を向けられるようなものじゃなかったけど小説として文字を追うから最後まで見てられたかな…これが、ノンフィクションの世界だったら、映像化されたら、きっと私は見られなかったと思う……。
マサオがあまりにも清く尊い…小学5年生の男児にはとてもつらい半年が見て取れるのに、結末の行動に感心してしまう……すごいな彼は……
最後のマサオからの提案に、自分の非を認めず逃げ続けた担任には頭がチリついた、、ああ、こいつは場所を変えてまたこんな事をやりそうだなと、犠牲になる人が居るんじゃないかと思った……
担任が電話越しで話していた女性、家にも出入りしてたから恋人かな?が後に出てくるのでは…?担任の穴埋めとしてきたこの人がもしかしたら…?と勘ぐってしまった…(笑)草原みたいな人でよかった…
読んでよかった…しばらくは触れられないけど、また読み返す時どう思うんだろう……おもしろいと言ったらアンモラルに感じるけど、良かった…
あとがきを読んで、乙一さんが「好きなように書いた。」と仰っていて、ああこの人が書く作品をいつまでも読んでいたいと思いました。
Posted by ブクログ
乙一さん、はじめましての作品。
ホラーテイストかな。
新任教師がやる気に満ちて空回りしそうになる。そして…。
はっきり意図してなのか、流されるようになのかは知らないけど、1人の生徒をスケープゴートにして、他生徒の不満をスケープゴートに向けさせる。
そこから集団イジメになっていく。
途中までは本当に辛くて、我が子がこんな目に合ったらどうしてくれようかと、怒りに震えながら読んだ。
主人公が、
「お母さんに知られたら悲しませてしまうから、絶対に気づかれてはならない」
と考える気持ちが痛いほど分かったし、親目線では(お願いだから、お母さんに相談してー!)と泣きたくなった。
むしろ、
なんなのこの話。どういう意図があってこんな話書いてるわけ?!
と乙一さんに怒りが湧いた。
でも、終盤スッキリするし、救いもあって良かったな。
Posted by ブクログ
子供ながらに達観してる。子供って大人が思ってるよりも大人なんだよね。変に先生視点が無く、終始主観なのが良かった。
あと自分が思ってるより、人はそんなに見てない。自意識過剰になる時期ってあるけど、気にしすぎなくて良い。これは大人になってだいぶ時間が経って気づいた。生きやすくなったな。
Posted by ブクログ
ホラーというよりも深い哀しみを伴う物語でした。怖いというよりは物哀しい。先生が超絶胸糞野郎で、本当に現実にこういう人はいるからアオよりもそこにゾッとしてしまった。アオの見た目はグロいし言ってる事もすごく残酷なのになぜかすごく可哀想に思えてくる。マサオの心の奥底の闇を映し出してはいるけど、それは彼が経験していて吐き出すことのできない悲しみや痛みからくるものだからなのかな。
最後にマサオはどうするのか、こんなクソ師殺してしまえとも思いつつもこんなクソ野郎のために道を外さないでしいという気持ちもあり、後半はずっとドキドキしながら読めました。
Posted by ブクログ
なかなか人前では、自分の思っていることを表現できないことは多い。「なんでこんな理不尽なんだ?」とは思いながらも、「なんとか我慢すれば」で済ませることもある。そんな時に、気持ちの代弁者というのか、自分の心の奥底に眠っている負の思いを表現してくれる存在。それが本作で描かれている「アオ」である。
自分の心に存在する負のオーラの大きさに驚くこともしばしば。本作では主人公にだけ見える形で存在していたが、人の心にはこうした感情が小さくない形で存在していることを改めて気づかせてくれる作品でもあるように感じた。
Posted by ブクログ
またしても土瓶さんが覚えていない作品を発掘してしまった。
あとがきによると 本当に好きなものを自由に書いてしまった小説らしい。
おとなしめのどのクラスにも数人は居そうな心優しい少年。
教室でそっと生きていたかったのに なぜか担任教師の標的となってしまう。
担任は、大人の弱さだね。
自分のクラス運命の潤滑油として彼を使う。
彼を底辺として扱うことで、他の生徒の反抗を抑え、団結に導く。
現実的にこういう大人が存在するのがホラー。
教室内の蟻地獄にずるずるはまっていく感じがうまいなあと思う。
“死にぞこない”の男の子青は、少年の幻想であり、彼自身の意思だよね。
優しさだけでは社会は生きていけないのです。
復讐という意思表示。
Posted by ブクログ
恥をかきたくないし、よく見られたい。誉められると嬉しいけど、失敗すると笑われそうで心配になる。きっとみんな、自分が他人にどう思われているのかを考えて、恐がったり不安になったりするんだ。
ぐろい。そういや乙一さんの描く小説ってグロい描写あるんだった。(語彙力欲しい…)描写がリアルすぎて、本なのに目細めて眉間にしわ寄せて読んでた。
自分に素直に他人を気にしすぎずに生きていきたいな。
Posted by ブクログ
作者があとがきに書いていた通り、好きなものを書いた作品。
読んでいて、自分は主人公の気持ちが痛いほどわかった。
自分は主人公ほど運動ができなくもないし、人見知りで話しかけれないわけでもないが、人からどう思われているのかが怖いと思う。
誰しもそういう恐怖は少なからず持っているんだなと読み進めて強く印象に残った。
1人を犠牲にして周る安定にはいつか終わりが来る…そんなこと少し考えればわかるのにね。
目先の解決だけを考えると、あぁいうことができてしまうのだろうな。
Posted by ブクログ
小学生の少年がクラス担任から"いじめ"を受け、自分の分身とともに復讐を企てる話
小学校という狭くて閉鎖的な環境で、しかも10歳か11歳の子どもの経験値からして
「先生はいつも正しい、間違っているのは生徒」と思い込んでしまうのは誰にとってもあることなのだろうなと思った
先生の仕打ちはとにかく胸糞悪いが
社会科の授業で「えた、ひにん」の学習をして、自分がこのクラスにおけるそれだと気づけたこと
先生のしていることとはいえ、このやり方はおかしいと思える賢さを少年が持ち合わせていたことが救いだった
子どもに対して「学校で何かあったら相談してね」と言うことは簡単だが
その"何か"を本人が自覚することが難しく、子どもの声を聞く上での鬼門になるのだと改めて感じた