あらすじ
親友の変死を目撃した女子大生・瑞紀の前に現れたのは、同じように弟を亡くした青年・春男だった。何かに怯え、眼球を破裂させて死んだ二人。彼らに共通していたのはある温泉旅館で怪談を聞いたことだった。
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原因不明の死の原因を調査している内に自分たちも呪われ、呪いの回避法と根源を探していくというよくある設定ではあるけど、瑞紀たちの話と交互に過去の溝呂木の話が差し込まれ、シライサンがどのように生まれたのかが少しずつ明らかになっていくワクワク感が凄くよかった
間宮幸太は深追いしなければ助かった可能性あるよね
ネットに流れたシライサン怪談によってはシライサン大忙しなのちょっと笑ってしまった
老女・石森ミブと蔵の女は同一人物なのか、溝呂木に語った話はミブによる創作なのかが曖昧なまま話が終わるのもとてもよかった
蔵の女(石森ミブ?)が村人の命と引き換えに我が子を取り戻した、その血を引き同じく我が子を失った間宮冬美の元に親戚の子供が預けられる...
旦那は死ぬ直前に黄泉の世界からこちらに戻ってくる船に小さな女の子が乗っているのをみた
蔵の女がしたように、今度は冬美の子を怪談を聞いた人の命と引き換えに連れ戻したのだろうか
冬美が瑞紀の視線から親戚の子供を隠したのも、実は朝起きたら目の前に我が子がいたとかで隠したかったんじゃないのかなとか思ったりした
そうなら冬美の元に子供が戻ったら呪い終了なのではないかな??
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F県Y市
「怖い話を作っている」
女は微笑みを浮かべて答えた。
山村瑞紀
加藤香奈
鈴木春男
鈴木和人 弟
富田詠子 3人目
森川俊之 4
渡辺秀明 5
間宮冬美
間宮幸太 レポーター 吉祥寺
間宮真央
石森ミブ
溝呂木弦
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面白かったー
夜に一人で読むと怖いし良い感じ〜
貞子を彷彿させられる内容で、さらに目が破裂とかグロいしそこが尚よし!
瑞紀と春男が死ななくて良かった。
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解決の気配もなく呪いは伝播し続け、諸悪の根源である祈祷師の血筋も残っている。
石森ミブを名乗る祈祷師の娘が村から逃げて死産した赤ちゃんを無事に出産しなおしたのだとしたら、最後に間宮幸太が見た対岸の船に乗っていた子供は誰だったのか。
孫娘である間宮冬美の事故死したという娘を生き返らせるためにまたシライサンが動きだしたのでしょうか。
預かっているという親戚の子供がおそらく生き返った娘で、それを瑞樹と春男にバレないよう隠していたんじゃないかな、と。
ということは冬美は故意にシライサンの怪談を知り合いに話して娘を取り戻すための生贄を確保したのかな。
怪談を世間の目から逸らさせるために冬美に似たような作品を創作してもらうことにしたとありますが、娘を生き返らせた今、本当に似たような作品を創作してくれているのか、それとも今度は夫を生き返らせるために…
と考えてしまいます。
聞いた人がまた呪われるという月並みなホラー作品ですが、失った子供を取り戻すためには他人どころか夫をも犠牲にするという異常な母性が伺えました。
297ページ中283ページまではよくあるホラー小説だなぁという感じでしたが、エピローグ的なラストの15ページで辻褄が合うというか伏線が回収されていてすごく面白かったです。
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うん。好き。
ホラー4
グロ1
ミステリ5
といったところか。
映像で見ればホラーが強まりそう。
乙一さんなので淡々とホラーも進んでいて、
謎解きのような要素もあり。
あくまで個人的な感想ですが
気分が重くなるとか
辛い、悲しいとか
気持ち悪くなるとかがそんなになく読めます。
そしてラスト。
はっきり明かすわけじゃないけど
あっ…そういうこと…って怖くなる。
最後まで丁寧に伏線を回収して
読後感も気持ちいい。
ただただ震えたい!
読後感最悪なの大好き!
って方には向いてないかもですが、
怖いの苦手だけど好き!
って方にはオススメです。
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シライサンにまつわる怪談話を聞いた香奈、和人、瑛子の3人が眼球を破裂させて次々と亡くなる。
香奈の親友・瑞紀と、和人の兄・春男、そして別ルートから調べていた記者の間宮が呪いの謎に迫るという話。
話を聞いて呪われるとは、まるで貞子を思わせるが、SNSを駆使すると広まり方がえげつないほど早いせいで、被害者続出。
なんとか迫り来るのを防ぐ方法が分かったのに、それをも妨害するシライサン。
間宮が見た船に乗っていた女の子はつまり血を受け継ぐあの子で、しかも…。
戻ってきたから呪いの死は収まったのかな。
気になる点は、冬美は全てを知っていたのかしらということ。
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分からない部分もあるけど、想像しながら読めて面白かった。 瑞紀、春男、生きてて欲しい。 血筋だからか。伝播を繰り返してるってことだよね、、何かを欲しがると多大な犠牲が生じるのは時代が変わっても一緒のこと。
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土着信仰、民俗学系のホラーは大好物。
この物語が怖くないって人も多いし、作者が他の本で描く人の悪意の方が怖いのも確かだけど、僕は怖かったなあ。
この本は作者が監督をした映画の ノベライズだけど、映画とはラストが違うらしいので、映画の方も観ないと。
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読み終わった印象は小さいがまとまっている。
インパクトある死、呪いの広がり方、呪いの影響、調査、対策、物語の発端、シライサンとは。と呪いモノのホラーに必要なのものが一通り揃っており映画をイッポン見たような満足感がある。
ただ面白いがこじんまりとしすぎている。丁寧に呪いと調査を描いていて物語がしっかりしてるが、意外性が足りなく物足りなさも感じる。
ただ拡散した呪いをどうするかという点は良かった。現代的で考察が光る。
呪いについて調べていくホラーを読みたいなら間違いなくオススメ。普通の文庫に比べれば短めなので手軽に読める
Posted by ブクログ
久しぶりの乙一さん作品。
この話を聞いたら呪われる伝染系ホラー。
ありがちな怪談のようで、丁寧な描写が読み手の想像力を掻き立て時折、背後が気になるほど。
どこかノスタルジックで、綺麗な山の景色や温泉街が目に浮かび、瑞希と春男のその後の二人も気になってしまった。
評判の振り幅が大きい作品。
謎を語り切らず、考察の余地を大幅に残している点が、低評価の一因。逆に私は明かされなかった部分を想像して楽しんだので、◯。
謎①蔵の女が閉じ込められた真相は?
謎②甦り対価の犠牲者は何処からか?
謎③呪いはこの後も延々と続くのか。
↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓私の考察。ネタバレ。
石森ミブとして溝呂木と話をしている老女は蔵の女。村を逃げ出すためにミブと入れ替わった。
入れ替わったのは「冷たくなっている蔵の女を発見した」←ミブを殺して(恐らく顔をボコボコに痛めつけ判らなくした)蔵の女が死んだとして通報。
怪異(山ノ神の使い)の顔には殴られ続けたような痛々しい痣がある。←殴り殺されたミブの姿。
鈴の音に怯えるのは殺した罪悪感と怨念に対する恐怖?
「チョウブク」とは、誰かを生き返らせるために大量の生贄を捧げる儀式を逆手に取った大量殺人呪詛。呪詛をせず、兵士との間に身籠った事が醜聞として隠蔽・監禁・流産されられた?
実は石森ミブとして溝呂木に怪談を話して手記を渡した後、溝呂木から森川までは偶発的な犠牲者?それともわざと手記を手渡し、この時点から甦りの儀式は始まっていた。←ひ孫が娘を亡くす事を予見して種を蒔いていた、もしくはもう一人甦えらせる予定だった?(が、渡辺少年がすっかり忘れたせいで20年放置になった)
もし偶発で無駄な犠牲者が出たのではなく、甦りの儀式中の犠牲者だった場合は、真央復活で一旦生贄の呪いは終了するのでは。
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乙一は、想像力を掻き立てるのが本当に上手い。
怖くてたまらなくて夜に自宅では読めず、出勤前の朝や人が多いカフェで読みました。
スッキリとした分かりやすい文体なのに、そのシーンがありありと目に浮かぶ。
人物も個性的ではない普通のどこにでもいるような人達だからこそ、共感できて読み手もその世界に入り込んでいける。
本作にも、そんな作者の魅力が味わえます。
「目を逸らしたら近づいてこない」ってシンプルで分かりやすい対策ですが、最高に怖い。
怖いのに、見たくないのに、見続けていなければならないなんて。
ラストは好みが分かれるかもしれませんが、すごくリアルに感じて私は好きでした。
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2021.48
高校時代によく読んでいた、乙一さんの最近の作品。
堪能させてもらいました。
僕が15歳歳をとったように、作家も15年経っていると思うと、ずっと書き続けていること、単純に尊敬するなぁと
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巫女(=石森ミブ)と冬美の対比に気づいた瞬間全ての辻褄が合い鳥肌が立った。
巫女が自分の我が子を取り戻すために噂を広げさせ村人を贄にしたのと同じように、現代の巫女となった冬実も真央を取り戻すために怪談を広く伝播させた…
答えを全て作中では語らず、考察する余地を残してくれているところが良い。
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乙一にしては普通すぎて。
シライサンの名前の由来や正体というか、発生源やその後についてはちゃんとうかがえるのはきちんとしていて良かった。読んでる途中、乙一がシリーズ構成を担当したドラマの「恐怖新聞」がちらついた。
シライサンという呪いへの対象法もほかで見たな感だし、「リング」と同じだし。「リング」はとりあえずリスク回避で、「シライサン」はまだ知らない人間に対してのリスク回避だけど。
眼球破裂や、怪奇的なところは乙一らしさを感じるし、淡白な人物描写も乙一らしい。ただ、コミカルさ軽妙さ、驚くような伏線回収、人間ドラマの妙といったものは感じられなかった。これは年々感じとれなくなったものなので、シライサンを読んで、またかという気持ち。
思い出の美化や、こちらの感性の変化のせいかもしれないけど、感触としては昔のほうが良かったなという感覚。
乙一という要素を抜いた小説シライサンとして見るとまあまあ面白かったなという感想。呪いについては科学的にアプローチしようと試みたり、突き止めようとするところはワクワクした。『残穢』を思い出す。また「リング」とも似た構造。というか、なんで女の人が呪いの発生源になるうるのかという、そういう掘り下げが欲しかったかもしれない。そこらへんの薄さが気になった。
映画のノベライズということで、映画サイズにコンパクトにまとめようとしたのかもしれないが、逆に映画じゃ入れられなかったけど、といった背景事情についてはもっと盛り込んで良かったかもしれない。
見落としていたことだけど、最後の子供って、蔵の女と同じように夫とその他を生け贄にして子供を復活させたということ??????
すごいな。わかりにくかった。
冬美自体動機はあるけれど、夫を死なせてまでというのはわからなかった。
でも、そうすると酒屋の渡辺が話し始めたトリガーはなんだったんだ?日記を読んで思い出してのはずだけど。冬美自体に力を受け継いでいて、なおかつ、シライサンの話を聞いて親の話を思い出してとか?
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続きが気になる感じだが最後解決までは書かれていないのでモヤモヤした。(原因とかどこから始まったのかは最後想像すればわかるが、退治するとこまで書いて欲しかった
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親友の変死を目の前で見てしまった大学生の山村瑞紀。死因は心不全だが眼球が破裂していた。同じ死因で弟を失った鈴木春男。真相解明のために調査を始めた2人は、この変死事件にとある怪談が関係していることを突き止める。
乙一作品を久しぶりに読んだ。本名で監督したホラー映画のノベライズ版だそうです。だから「小説」ってわざわざ書いてあったのか。それにしても何個別名義持ってるんだろう。多才な人だなぁ。
聞いた人のところに必ず怪異が現れるっていうあるある都市伝説なんだけど、シンプルに怖かった。鈴の音が聞こえてきたら心臓キュッとなりそう。日常生活で鈴の音なんて耳にすることあんまりないから余計に…
最終的に黒幕的な人物が発覚したりで、ちょっとしたミステリ要素もあり楽しめました。
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肝心の「シライサン怪談」が全然怖くない上に、いつ呪殺されるか分からない切羽詰まった状況のはずなのにやけにのんびりしている登場人物たち、怖がらせる気があるのか無いのか分からない展開、謎を解く気が無いようにしか見えない探索シーン(村の手前まで来ておいて引き返すのはどうなんだ。結局後で行くのに)など、大した長さでも無いのに全く牽引力の無いストーリーのせいで何度も読むのをやめようと思った。
しかし第四章の後半あたりから、書き手が交代したとしか思えない怒涛の展開が始まり、謎が完全には解明されなくとも(むしろ解明されないからこそ)余韻のあるラストまで、前~中盤の不甲斐なさが嘘のように楽しめた。
もしかしたら終盤の展開を際立たせるためにわざといまひとつはっきりしない展開をしていたのかもしれないが、これだけ書けるなら最初からホラーとして存分に楽しめるものに出来たのではないかと思ってしまう。
作者の他の作品は読んだことがないが、またこのような作品が書かれる(あるいは過去に書かれている)のであれば読んでみたいと思えた。
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久しぶりに乙一ホラーを堪能。
怪談を聞いた人に呪いが伝播する系の話だったので、夜中に読み終わったことを少し後悔…
終盤の呪いラッシュが凄まじく、現代ならではの恐怖でした。知らずに読んでしまう、なんてことも…
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もし自分が巻き込まれたら…と考えると、逃れられない恐怖にゾッとしました。
乙一さん作品が大好きでおそらく全部読んだと思うんですが、その中でもホラー味が強い感じでした。でもただ怖いだけで終わらない、登場人物の言動とか人間の心の部分とかの描写に、「乙一さんの文章」を読む魅力を感じると個人的には思います。
展開については「最終的にはそんな感じで終わっちゃうのか…」という感じで、SNSが駆使(?)されてて今っぽいなぁと(と言っても数年前だけど)。
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2020年映画化作品。
『その怪談を聞くと呪われる』という、王道のホラー作品。地方の怪談ベースに『消滅した村』や『呪い』と言ったジャパニーズホラーの得意技を掛け合わせ、乙一ならではの、複雑すぎないが興味を引き込む伏線回収が良い。
ただ、一歩引いてみると『呪われると眼球破裂して死ぬ』と言う部分に、シュールさを覚えるのは私だけだろうか…。
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知ったら呪われる系のホラー。
話が伝播する過程、F県から東京への電話のシーンで思わず声出た。
こういう不用意な登場人物がいるとやきもきして際立つね。
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とある温泉旅館で怪談話を聞いた人が次々に亡くなる。しかも眼球を破裂させて……
土着信仰も絡めた無差別系伝染ホラー。あるある設定かもしれないけど、こういうジャパニーズホラーがシンプルに怖い。
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映画原作。脚本のような書き方を採用していて読みやすい。ホラー的な題材を扱っているがミステリ的な要素も含んでいてなかなかに興味深かった。映画の方では深く触れられなかった箇所にも触れており、それを深く掘り下げている印象がある。読んでから観ても面白いし、観てから読んでも面白い。
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久しぶり乙一。漫画版がてんでダメだったから、小説版にもちょっと手が伸びなかったんだけど、自分的・夏のホラー特集の一環として着手。これはでも、こちらを先に読めばよかったというか、こちらだけ読めば良かった。でも冷静に考えると、本作のような呪いの伝播って、目新しい訳でもないだろうし、起こる悲劇もそんなに突拍子もない訳でもなし。ということは、これだけ楽しめたのも、語りの巧みさが一番の理由なんだな。さすが。
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とある怪談をしてたグループが次々と亡くなっていく。事故なのか事件なのかと調べていくうちに、その怪談を聴くことで呪われ亡くなっていることがわかっていく。呪いが噂やSNS、娯楽として伝播していくホラーミステリー。
乙一さんの描写がより恐怖をかきてます。
だだ全体的に山場は少なめ。
それでも、呪いはどうなったのか、何処から始まったのか、誰か生き残れるのだろうかと続きが気になってすぐ読み終わってしまう、乙一さんらしい本です
『次はおまえだ』
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面白かった
冬美がどういう存在かわかった時
全てが怖いとなった
主人公2人が解決するんだと思ってたけど
そんなもんじゃない
計画されたものだったのではないか
怖い怖い結局怖いのは人間
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2021/10/4
わ、ホラーだ。
そして「たたら製鉄」が2作連続で出てきたのもちょっとしたホラー。
1人生き返らせる分死んだら治まるのかな。
おおむね王道ホラーなんだけど、呪いの薄め型が今風だった。
ネットに関連したデマをばらまくってね。
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怖い!
最初からもう怖い。
怖い本は嫌いだが、乙一さんが好きすぎて、
怖いのを乗り越えて、かなり頑張って読んだ。
グロい。
調伏?
調伏とは怨敵、悪魔、敵意ある人などを信服させ、障害を破ること。また、身心をととのえて、悪業や煩悩などを除くこと。
相手を呪い殺すこと。
インフルエンザのように感染する呪い?
眼球破裂を伴う心不全。突然死。
シライサン→死来山
そして、蔵の女についての推測。恐ろしい。
表紙の赤い線も意味がわかると怖い!
鈴の音が聞こえそう。
映画化されたらしいが、怖すぎて見ることはできないと思う。
私が読んだ本の中で、過去1怖かった。
ちなみに順位は
1位「小説シライサン」乙一著
2位「残穢」小野不由美著
3位「火のないところに煙は」芦沢央著
4位「リング」鈴木光司著
5位「パラサイト・イブ」瀬名秀明著
怖すぎて、呼吸が止まる。
読後の体力消耗ハンパない。
容赦ない
大人も子供も、容赦ない呪い言葉だなと、少しイラッとしつつも先を見ずにはいられませんでした。
この先3日にいっぺん目のない人が現れる人生なんて、考えるだけで恐ろしい…
でも、逆にみんなこの話を知ったらどうなるんだろ。
とか、色々想像させてもらえて楽しかったです。
Posted by ブクログ
著者・乙一が本名・安達寛高名義で監督し脚本も手掛けた同タイトル映画のノベライズ。
泊りがけの旅で若者が何人か集まれば、しばしば行われるのが怪談だ。夏の夜など、暗い中でそれぞれが持ちネタを披露する。こういう時に盛り上がるのが、「巻き込み型」のものではないだろうか。例えば、トイレに現れる幽霊が、紙を探していて、「この紙じゃない。この紙じゃない・・・。この髪だー」と居合わせた誰かの髪をいきなり掴む、などというのは定番だろう。
本作品もある意味、巻き込み型の怪談なのだが、怖ろしいのは聞いていた者が本当に呪われてしまうこと。話自体は比較的他愛無いものである。
異形の女がいる。男の後をつけてくる。お前は誰だと聞くと、女は名乗る。なぜ後をつけてくるのかと男が聞くと、女は「お前が私の名を知っているからだ」という。男は「それは俺だけじゃないだろう。別のやつのところに行け」という。それは誰だ、と女が問うと、男は、いや語り手は言う。今、この話を聞いているお前! 次はお前だ!!
普通ならひゃー!と飛び上がって終わる。
しかし、この話はそこでは終わらない。
実際、この怪談を知ってしまったものが、後日、一人、また一人と惨殺されていく。
主人公、瑞紀はやや内気な女子大生。大学でようやくできた友達の香奈が、目の前で異常な死を遂げる。怯え、落ち込む瑞紀の前に、鈴木春男と名乗る男が現れる。春男の弟、和人も同じように異常な死を遂げていたのだ。
香奈と和人は同じバイト先で働いていた。もう1人、同じくバイトの詠子と3人で親しくしていたらしい。
瑞紀と春男が詠子の元を訪れると、詠子は3人で行った旅先で聞いた不審な怪談の話をし始める・・・。
怪談の元をたどるといささか根の深いものであることがわかってくる。詠子の身も無事ではなさそうだったが、怪談を詳しく知ってしまった瑞紀や春男も徐々に事件に巻き込まれていく。
この事件に興味を持ったジャーナリストの間宮とともに、一連の事件の謎に迫ろうとする2人だったが・・・。
口裂け女などの都市伝説の趣もありつつ、昭和初期の因習や禍々しさも絡め、雰囲気のあるホラー。
ちょっとおもしろいのは、この怪談がネットで徐々に広まっていく展開。2人はこれを逆手にとって、呪いの元の「邪気」と闘おうともする。昭和の怪談にはありえない発想だろう。
実際、ネットには怪談が山ほど転がっていそうだが、中には本当に「ヤバい」ものがあるかもしれないからご用心・・・!
ラストに向かって事件は意外な様相を見せる。禍々しい女に縁のあるものが、実は2人のすぐそばに。だが2人はそれに気づかない。事件自体も完全に解決することはなく、独特の余韻を残して終わる。
次に呪われるのは、あなたかもしれない・・・。
<以下、ホラーをあまり読みなれない一読者の蛇足的ボヤキです>
途中まで、や、怖いじゃん!?と思いながら読んでいたのですが、ちょっと引っかかってしまったのです。
カバー裏にもあるので、ネタバレではないと思うのですが、呪われた人の死に方。心臓が止まると同時に、眼球が破裂する、というのですが。え、それって一体どういうこと?? 一応、死因自体は心不全とされているのですね。けど、それが一因で何でかわからないけど、眼球が粉々に飛び散ると。心臓が止まる原因が、体内の圧の変化とかであれば、眼球が飛び出すことはあっても、粉々になることはなくない?? もしそんなに粉砕されてしまうとしたら、眼球の真ん中に異常な圧が掛かるってことじゃない? そんなことってあるの?? それ心不全とはまったく関係なくない?? そもそも著者さんは何でそんな設定を思いついたのか?
・・・いやまぁいきなり心不全ということ自体も理屈では説明できないわけですが(^^;)。
何かそこが気になって以降はあんまり怖くなくなってしまいw
・・・しかし、これ、多分、映像で見るとめちゃくちゃ怖いんじゃないかと思うのですよね。なんだかんだいってビビりなので、映画は多分、見ないと思います(^^;)。