乙一のレビュー一覧
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ネタバレ
評判の振り幅が大きい作品。
謎を語り切らず、考察の余地を大幅に残している点が、低評価の一因。逆に私は明かされなかった部分を想像して楽しんだので、◯。
謎①蔵の女が閉じ込められた真相は?
謎②甦り対価の犠牲者は何処からか?
謎③呪いはこの後も延々と続くのか。
↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓私の考察。ネタバレ。
石森ミブとして溝呂木と話をしている老女は蔵の女。村を逃げ出すためにミブと入れ替わった。
入れ替わったのは「冷たくなっている蔵の女を発見した」←ミブを殺して(恐らく顔をボコボコに痛めつけ判らなくした)蔵の女が死んだとして通報。
怪異(山ノ神の使い)の顔には殴られ続けた -
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乙一さんの長編に挑戦しました。
はじまりの章「アイのメモリー」は、人間の言葉を覚えたカラスが、眼球のない少女と交流していく話なんですが…
そのグロテスクなこと!
早速、読み始めたことを後悔しそうになったけど、自分で“黒乙一”を望んだのだから、絶対に最後まで読もうと思い直す。
本編に入り、事故で左眼を失った女子高生の“私”が主人公。
移植手術で死者の眼球の提供を受けた“私”。
しかしその左眼は、その眼が見てきた風景の“記憶”を映し出す。
そして“私”は、提供者の住んでいた町を訪れるのだが…
この先も、グロテスクな場面が度々登場する。
だけど、そういう怖いだけのストーリーじゃないんです。
人 -
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不思議な語り口、言葉選びですね。
独特な世界観…(*´꒳`*)
本当にミステリー・ホラー・ファンタジーです。
だいぶ前に「ZOO」を読んだのですが、ちょっとエグくて(姉弟が何故か牢屋の中に閉じ込められていて血が流れてきて…という話)疎遠になっていたのですが、ブク友さんの〝乙一ラブ〟という想いを知って、読んでみたくなりました。
読んで良かったです。
なんだか、哀愁さえ漂う一冊でした。
最後にBLUEに繋がるのも良かったです。
現実には起こり得ない物語たちでしたが、不思議と違和感なく切ない気持ちになりました。
古い村の閉鎖的な雰囲気や、子供の気持ちを理解しようとしない親とか、そういうものを淡々 -
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初めて読む、乙一作品。
4編からなる短編集。
もっとホラーで怖いのかと想像していたら、全然違い、ファンタジー要素が強い印象。
1.石の目
“石の目”を見てしまった者は、石となる。
という、昔話風。
これは、すごく怖かった。
山で遭難した主人公SとNは、霧の中に人家を見つけ、助けられる。
しかしここは盆地になっており、周りを一本の砂利道が輪を描いて取り囲んでおり、外には出られない。
先程、ファンタジーとか書いたけど、この話はゾワゾワして本当に怖かったです。
2.はじめ
二人の男の子の想像から生まれた“はじめちゃん”。幻想なのに8年間も交流が続く。
この話は地下水路の探検など、子供時代なら -
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乙一さんの『平面いぬ。』
ふふ、なんて不思議なタイトル!
不思議なお話の中にも、人間模様や心情描写が切な美しく表現されその世界にあっという間に引き込まれる。
4話からなる短編集。
『石の目』
読みはじめて、あっ、日本昔話の世界だ!と思った。小さな頃に見たあの日本昔話の世界観が文章で伝わってくる。
でも、乙一ワールドはそれだけでは終わらない。目を見ると石になってしまう石の目の話と親子の複雑な心情描写が切な美しく語られる。
『はじめ』
2人の男の子の想像から生まれた『はじめちゃん』という名前の想像上の女の子。
3人の8年間に渡る不思議な関係のお話。
『BLUE』
動き喋り心を持つ5体の人形が -
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「石の目」改題。1998年から2000年初出の短編集、4編。作者大学入学時の作品群で早期のもの。
乙一氏のイメージは、ファンタジー・ホラー。ジョブナイル。年齢層若めの黒乙一。ところが、この若さでなかなか哀愁ある4作です。
どの作品も、別離での切なさをえぐってくる語り口。しかも作者は悲しみの有痛性を文章にそのまま表現せず描いていく。そこに、読み手がより痛みを感じることになると思う。
「石の目」は、高品質な日本の土着伝承物といった小品。伝説・伝承には悲哀感あるホラー要素が多く相性が良い。
「はじめ」は、二人の男子が罪を被せる為、創造した女の子が実像として現れ、気持ちの交流までできるようになる。少 -
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ネタバレ目次
・未来予報 あした、晴れればいい。
・手を握る泥棒の物語
・フィルムの中の少女
・失はれた物語
切なさド直球の物語、と思ったら、「切ない話を」とのオーダーだったのですね。(未来予報)
未来が見える、わかるというのは、必ずしも幸せなことではない。
天気予報レベルで外れることも多い未来予報だとしても。
彼も、彼女も、特段その未来に縛られていたわけではないけれども、その未来は支えだったはず。
「意味のない人生なんてない」
清水が言ったからこそまっすぐに伝わった言葉。
”僕たちの間には言葉で表現できる「関係」は存在しなかった。ただ透明な川が二人の間を隔てて流れているように、ああるような、ない