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Posted by ブクログ 2020年10月07日
「未来予報 あした、晴れればいい。」
「手を握る泥棒の物語」
「フィルムの中の少女」
「失はれた物語」
以上4つの短編が収録されている。
すべて毛色の違う物語であるが、共通項として「切なさ」が感じられる。
「さみしさの周波数」というタイトルは、うまく表現したものだ。
そして、ふつう短編集を読むと好...続きを読むきな作品とそうではない作品が出て来るものだが、この本はすべてに何らかの魅力を感じる短編集だった。
たった一冊の本で、やるせない気持ちになり、心が和み、ハラハラし、号泣した。
それでもあえて一つ挙げるなら、「未来予報 あした、晴れればいい。」を選ぶ。
私は「縁」という考え方を大切だと感じていて、人とのつながりは運命でも奇跡でもないと考えている。
つまり、出会うことも出会ってからどうするかも自分の意志と行動次第、運命と奇跡の中間といったところだ。
この物語は男女のすれ違いの物語でもあるのだが、今の考え方をしている私にはその様子がとてももどかしい。
しかし、読み終えた後には、その「はっきりとしたつながりがあるわけではないけれど、どこかで確かにつながっている」という関係がとても美しく思えてくるのだ。
50%OFFセールをやっていたので電子書籍として購入したのだが、紙で買えばよかったと後悔している。
Posted by ブクログ 2012年10月30日
乙一さんらしく平易で簡潔な文章にじんわりと感動を織り込んだ短編集です。羽住都さんのカバーイラストや挿絵も作品世界にフィットしていて、年齢問わずに楽しむことができると思います。”せつなさ”に飢えたときにピッタリです。
Posted by ブクログ 2022年05月20日
目次
・未来予報 あした、晴れればいい。
・手を握る泥棒の物語
・フィルムの中の少女
・失はれた物語
切なさド直球の物語、と思ったら、「切ない話を」とのオーダーだったのですね。(未来予報)
未来が見える、わかるというのは、必ずしも幸せなことではない。
天気予報レベルで外れることも多い未来予報だとし...続きを読むても。
彼も、彼女も、特段その未来に縛られていたわけではないけれども、その未来は支えだったはず。
「意味のない人生なんてない」
清水が言ったからこそまっすぐに伝わった言葉。
”僕たちの間には言葉で表現できる「関係」は存在しなかった。ただ透明な川が二人の間を隔てて流れているように、ああるような、ないような距離を保っていた。
しかし、僕は清水のことを考えるとき、まるで何十年も連れ添った後、寿命で眠るように死んでしまった妻へ思いを馳せるような、懐かしい気持ちになるのだ。”
この最後がもう飛び切りに上手い。
しかし古寺は、どんな気持ちでこの二人を見続けていたのか。
金に困って、旅館の壁に穴をあけて札束の入ったバッグを盗もうとした主人公が、まったく違うものを掴んでしまった挙句、何も取らずに家に逃げ帰ってしたこととは。(手を握る泥棒の物語)
”身辺を片付け、テレビやビデオの電源を抜き、冷蔵庫に入れていた腐りそうなものを食べた。逮捕されてしばらく戻ってこれなくてもいいようにという準備だった。”
こういう、ふざけているのか真面目なのかわからない語り口が乙一だなあ。
思わず噴いた。
「こわい話を」というオーダーで書かれた作品。(フィルムの中の少女)
確かに本来そこにいなかった少女がフィルムに映っていたら、そして再生するたびにその向きを変えていたら怖いよ。
でもこの作品の真の怖さはそこじゃなかった。
そして彼女がフィルムの中に存在した理由は、「せつない」じゃないか。
乙一の小説って、喪失とか欠落とか多いよね。(失はれた物語)
これはまた不条理で、切なくて、妻の気持も夫の気持もどちらもわかるだけに、どうするのが正解かなんて簡単には言えない。
だけど、最後のそれはないわ。
入院費用を払っている人はいるはずだし(まさかの自動引き落とし?)、点滴を交換しなければならないのだから、絶対忘れられた存在になるはずはないと思うの。
ってことは、叙述トリック?
ちょっと解釈に悩んじゃいます。
Posted by ブクログ 2021年05月25日
電子書籍で70%OFFになっていたので懐かしさから再読。
白乙一の短編集。下記の4編。
・未来予報 あした、晴れればいい。
・手を握る泥棒の物語
・フィルムの中の少女
・失はれた物語
ネットで失はれた物語が話題になっているのをよく見ます。
私はフィルムの中の少女が好きです!
対話体で物語が徐々に真相...続きを読むに近づいていき、ホラーかと思ったら読後感は切なさもあって、という感じです。
Posted by ブクログ 2019年01月09日
乙一さんの切なく怖い話4編の傑作短編集。題名「さみしさの周波数」は心の琴線に触れる物があり切なさが強く胸に迫ります。また本書は約15年前の文庫本ですが巻頭に色鮮やかなカラーイラスト4頁分が付いていてこれまた貴重な趣向だと思いますね。内容的には哀しみの中にもほのかな温かみと癒しを感じますね。『未来予報...続きを読む』小泉には清水の分まで幸せになって欲しい。『手を握る泥棒の物語』笑える変な思い出で済んで良かった。『フィルムの中の少女』迷える魂が安らかに成仏します様に。『失はれた物語』最後まで妻を信じて耐え抜いて欲しかった。
Posted by ブクログ 2017年09月18日
乙一さんの本ははじめて読んだ。それほど期待していなかったが、予想よりはるかによかった。まず、本の表題がよい。入っている短編の題とは違うので、別につけたのだと思われるが、全体をうまく一体化させている。作品のなかでは、手を握る泥棒の物語、失はれた物語がよかった。特に失はれた物語の、腕を鍵飯にしてピアノを...続きを読む弾くという部分は、なんというか、グッと来るものがあった。
あと、挿絵が凄い。羽住都さんというイラストレーターの方が描いたそうだが、見いってしまった。
Posted by ブクログ 2016年08月09日
味のある作品を並べた短編集です。「未来予報」「手を握る泥棒の物語」は主人公が似たような雰囲気です。「未来予報」は友人に隣人の女の子か自身が死ななければ結婚すると予言される。それを意識して、女の子と話せなくなり、自堕落は生活を送るが、最後に入院した女の子と話をして、生活を取り戻す。あまり僕には来ません...続きを読むでした。「手を握る泥棒の物語」はコミカルな感じで、金持ちの叔母が近くの旅館に泊まっており、そのバッグを盗むために、壁に穴をあけて、手を入れるが、なぜか無人のはずの部屋で腕をつかんでしまう。その相手とのやり取りから、何かが生まれ始める。出来過ぎのような話だけど、面白い。「フィルムの中の少女」はホラーで、一人の語りで話が展開します。ミステリですが、ちょっと追いにくかったです。「失はれた物語」は個人的には好きな話です。事故にあって、右腕の感覚と、右人差し指しか動かなくなり、視覚聴覚味覚嗅覚を失い、下界から隔絶された主人公。妻とは指の合図にのみでコミュニケーションをとるが、未来が見えない生活が続き、本人・妻ともに消耗し始める。本人がとった選択は?僕にはさみしさが染み渡る感じでした。
Posted by ブクログ 2015年09月27日
かなり昔に読んだ本ですが「さみしさの周波数」このタイトルは忘れられません。
私自身のさみしさの周波数が、この本とピッタリ合ったのかもしれません。
Posted by ブクログ 2015年04月04日
初乙一さん。
中学校とか高校に通ってた頃の私にとって
大好物だったんだろうなっていう感じ。
読みながらそんなことを感じてしまったものだから、
なかなか入り込めず、あとがきにいらっとして、終了。
それでも「手を握る泥棒の物語」は楽しかったので星4つ。
Posted by ブクログ 2014年08月25日
【本の内容】
「お前ら、いつか結婚するぜ」そんな未来を予言されたのは小学生のころ。
それきり僕は彼女と眼を合わせることができなくなった。
しかし、やりたいことが見つからず、高校を出ても迷走するばかりの僕にとって、彼女を思う時間だけが灯火になった…“未来予報”。
ちょっとした金を盗むため、旅館の...続きを読む壁に穴を開けて手を入れた男は、とんでもないものを掴んでしまう“手を握る泥棒の物語”。
他2篇を収録した、短編の名手・乙一の傑作集。
[ 目次 ]
[ POP ]
この季節になると「自分が生きていることに意味があるのか?」と、時折考えてしまいます。
でもそれは簡単に答えが出る問題ではないから、鬱々とした気持ちのまま、ひたすら沈み込む羽目になってしまう……。
そんなとき、ぜひオススメしたいのが、乙一さんの傑作短編集『さみしさの周波数』です!
04年に犬童一新監督でネットドラマ化された「手を握る泥棒の物語」を含む4つの物語の中には、きっとあなたと同じように苦悩する主人公がいます。
そして、心の底から聞きたいと切に望んでいた“言葉”に出合うことができるはず。
何度読んでもその感動は色褪せず、読み終えるたびに救われた気持ちになる1冊です。
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
Posted by ブクログ 2014年02月08日
初乙一本。タイトルと表紙買いで初めて乙一さんを知りました。
高校生の時のアンニュイな感性にビビッときたのを覚えています。乙一さんの白の本は夜中に自分の部屋のような静かな場所で読むのが好きです。
Posted by ブクログ 2012年10月07日
乙一さんの短編集。
特に衝撃だったのは「失はれた物語」
切ないを通り越して苦しい。けど愛なんだねこれも。
孤独、寂しさ、けどどうすることもできないこの気持ち。
想像を絶するよ
Posted by ブクログ 2012年05月18日
久しぶりに、読んだ乙一さんです。サクサクととても読みやすい。
4編とも「ホラー」では無いと思いますが、「フィルムの…」だけがホラーテイストという位でしょう。読後にはやはりせつなくてやりきれない想いにもなりますが、相変わらずそれは心地いい。
収められている4編のうち「手を握る…」と「失はれた…...続きを読む」は以前も読んだことがあり、当時は「手を握る…」でお人よしとも思える主人公の気持ちが伝わり緊張し、「失はれた…」ではどこかで起こっているかもしれないと身震いしたものでした。
再読して感じたのは、「手を握る…」では、主人公の敗北感だったけれど、明るい未来もあるような予感がしたこと。そして「失はれた…」は、主人公の悲しい選択といつまで続くかわからない孤独感。これはやっぱり、せつないという表現になるのでしょう。
Posted by ブクログ 2012年04月19日
四年ぶりに読み返した。
多分当時とは違う印象を抱いたと思う。
どの話も良かった。
失はれた物語がずば抜けて心に残った。
乙一作品の読み直しをしたいと思った、
Posted by ブクログ 2016年12月11日
乙一さんは読んだことあったかなかったか。まぁ手始めにこの短編集を読んだわけだけど。…すっごいね!切なくても怖くても最後に残るイメージは"綺麗"
綺麗事とかのじゃなくて、純粋に、綺麗。かっこよく言うなら透明感のある小説。
Posted by ブクログ 2012年03月29日
面白いけど怖かった…!特に「フィルムの中の少女」はホラーが苦手な私には鳥肌ものでした。乙一さんの書くお話は読んだ後で何とも言い表しがたい気持ちになります。今回はずっと喪失感がくっ付いて離れませんでした。じゃあどうすれば良かったんだろう、そう考えてみるもののやはりどうしようも出来なくて、いつの間にか大...続きを読む切なものを失っている。後悔はしたくない。でもその時気付けないから人は繰り返し後悔を重ねていくのだろう。きっと、彼らのように
Posted by ブクログ 2022年04月14日
全体的に切ない話が多かったです。個人的には、フィルムの中の少女と失はれた物語が好きです。
「フィルムの中の少女」は文体の影響もあり、ホラー展開かと予想して読み始めましたが…どうにも切ないです。やり切れないけど、誰かに気付いて欲しくて、主人公が引き寄せられた…主人公は少女と似ていて共鳴しやすいの...続きを読むかもしれません。
「失はれた物語」は辛いですね…閉じ込め症候群の方は同じように感じ、生きているのだろうかと思いました。中には主人公のような選択をする人もいるかもしれません。
この完全な孤独に人は耐えられるのだろうか…人は繋がりがないと絶望してしまうのではないかと感じたお話でした。生きていると言うことは、人や環境と繋がっていると言う事が強く感じられます。
切ない系のお話が好きな人には良い作品だと感じました。
Posted by ブクログ 2021年09月24日
羽住都さんのイラストがとても印象的だった。
哀切さが沁みる。
手を〜と失われた物語は、失はれる物語で掲載されていたので2回目。
未来予報の切なさが好き。
Posted by ブクログ 2017年06月02日
別名義の中田永一の短編集が面白かったので、古本屋で見つけて手に取ってみた。
いわゆる「奇妙な味の小説」短編集。4編の中では、コメディタッチの「手を握る泥棒の物語」が好み。
「失はれた物語」は小川一水の短編小説を思いだした。オチのつけ方はだいぶ違うけどね。全体を通してホラー作家っぽさがでている作品集。
Posted by ブクログ 2015年07月08日
切ない系の短編集。
ミステリやホラーじゃない初期の作品も面白いなこの人。内向的な人物の描写が素晴らしい。
「失われた物語」の主人公を自分に置き換えたら涙が出てきた。いや嘘。実際に涙は出てないけど心で泣いた。
Posted by ブクログ 2014年12月16日
『未来予報』
可もなく不可もなく
『手を握る泥棒の物語』
え~、泥棒???
と思ったのだけれど、面白かった!
『フィルムの中の少女』
リング、らせんっぽい!
でも、そんなに怖いものではなかったです。
『失はれた物語』
こういう、肉塊になった人の映画が、昔あった。
“ジョニーは戦場に行った”…だったっ...続きを読むけ?
全体的に、どぎつくない乙一、せつない乙一でした。
★は、3.5くらい。
Posted by ブクログ 2014年10月18日
「手を握る泥棒の物語」
ラストは別にどうでもいいが、上手く途中騙されました。
「フィルムの中の少女」
怖いと思いっていたが切ないなー。
「失はれた物語」
参った…この短編は!
苦しい。。どうすることもできない気持ち。
終盤、泣かないが…ヤバい状態が続いていた。
伴侶か...大切…だな。
Posted by ブクログ 2013年12月27日
静かに部屋で読むとじっくり堪能できる。
「泥棒」はラブコメで漫画的。だから好き
「フィルム」は背筋が寒くなった。何とかいい話に落ち着けた感じがする。
「失はれる物語」は何か胸が苦しくなるねぇ。自分が妻だったら、夫だったら、どんな選択をするんだろう。
愛する気持ちは嘘じゃないけど、重荷なのも本当。
Posted by ブクログ 2013年10月19日
「さみしさの周波数」というタイトルを冠しているけれど、
今まで読んだ乙一作品は表題作が含まれていたから、
そのタイトルの作品は収録されていないことがとても不思議。
収録された4篇のうち2篇が未読だったので、
未知の乙一作品を読むことができるという喜びに浸れた。
「未来予報」では、そうではない別の...続きを読む姿=パラレルワールドの
可能性もあったのだろう、と切なくなり、
「フィルムの中の少女」では黒乙一か? と思わせておきながらの
後半には悲しみを超えていく物語に。
同じく角川スニーカー文庫から出ている他の2冊にも、
未読の作品あるかもしれないし、手に取ってみよう。
Posted by ブクログ 2013年08月07日
タイトル通り、さみしくて切ない。未来予報が一番切なかったです。予知が出来るという友人に、隣に住む女の子と将来結婚すると言われ、意識してぎくしゃくしてしまう主人公。でもその結末は……という感じです。
Posted by ブクログ 2013年06月14日
短編4篇収録。うち2篇は既読なんで、未来予報とフィルムの中の少女の感想。
期待が大きすぎたのかもしれないけどその割には・・って感じ。
未来予報のほうが好みかな?予知能力というのが微妙で結果的に似たようなことになれば当たりということなのか?幾つもの不確定な未来を選択しながら生きてるということなんだろ...続きを読むうけど、病院のシーンでは気づかなかったのだろうか?ちょっと(かなり)疑問。
フィルムの中の少女の少女は湊かなえチックな文体がどうもあわなくてダメ。結末もいまいち腑に落ちない。
他2篇はまぁまぁなんで読んでいない人にはいいかも?
Posted by ブクログ 2012年08月25日
短編集
せつない話がつまってました。
死にまとうせつない気持ちが乙一調の普通じゃない仕上がりでかかれてました。
そのなかで手を握る泥棒の話は逆に勇気をもらう話で異彩をはなってました。
Posted by ブクログ 2012年05月26日
数年ぶりに再読。多分10年くらい経ってる。
初めて読んだ乙一作品で、自分が持ってる唯一の乙一作品。
書名の通りの4編だと思った。かなしいとは少し違う感じで、さみしいという言葉が確かに合う。何かをなくしたあとが描かれた4編。
前に読んだときも思ったけど、自分にとって一番面白かったのは「手を握る泥棒...続きを読むの物語」。
でも一番印象的なのは「失はれた物語」。実際、内容を比較的しっかり覚えてたのはこれだけだった。
前はあまり覚えのなかった「未来予報」の古寺が気になる。
古寺視点の「未来予報」や、古寺自身の物語を読んでみたいと思った。