あらすじ
世界に殺す者と殺される者がいるとしたら、自分は殺す側だと自覚する少年「僕」。もっとも孤独な存在だった彼は、森野夜に出会い、変化していく。彼は夜をどこに連れて行くのか? 「僕」に焦点をあてた3篇を収録。
「GOTH」シリーズ
シリーズ1冊目:「GOTH 夜の章」
シリーズ2冊目:「GOTH 僕の章」
シリーズ3冊目:「GOTH番外篇 森野は記念写真を撮りに行くの巻」
※「GOTH 夜の章」と「GOTH 僕の章」は、「GOTH リストカット事件」を改題した書籍です
※「GOTH番外篇 森野は記念写真を撮りに行くの巻」は、「GOTH モリノヨル」を改題した書籍です
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
過去に単行本で読んだものを文庫で再読。
単行本とは収録順が変わってるのですが、「リストカット事件」は序盤に置いてほしかったなぁ……
夜の手首にリスカ跡があると知ってて読むのとここで初めて知るのではイメージの鮮烈さが変わってくるので
Posted by ブクログ
人間は殺される側と殺す側に分かれる
主人公やその周りの人たち、関わってく人たちはその後者に当てはまる。この本を読めばそちら側の世界にどっぷりと浸かることができる。
さらに一人称がずっとぼくで進んでいくうちに、あるトリックにハマっていく感覚が味わえる。
短編であり読みやすく、それでいて物語に入り込みやすい小説であると思う。
Posted by ブクログ
夜の章、僕の章合わせてこの本を読み切るために暇な日を作ったほうがいい。何日もかけて読む本ではない。
私は2冊を2日で読んで、1日でもう一周しました。
とにかく私が読んだミステリーの中で1番サイコパスです
裏切られていることに気付かないうちに読み終わってしまって理解が追いつかない。笑
読んで良かった。
特に土、好きでした
Posted by ブクログ
夜の章に引き続き、読んだ。
乙一さんの書く物語は本当に面白いし、乙一さんの文が好きだなぁと思いました。
主人公は、残酷なことに心惹かれる二人、”僕”と森野夜。
二人を軸とした短編集となっています。
どの話も物語終盤にどんでん返してくる展開で、なかなか大きな驚きを伴います。
•少女連続殺人事件が発生、その犯人の犯行日記が行きつけの喫茶店に落ちていて…「暗黒系」(マスター犯人かよ!)
•同地区でペット誘拐事件が多発、犯人が攫ったペットを橋の下で殺していた…「犬」(犬が語り手かと思っていたら全部飼い主の女の子だった…)
•森野夜の双子の妹、森野夕のかつての首吊り自殺の真相は?…「記憶」(死んだのは姉の夜で、今いるのは夕だったとは…)
•人形、動物、そして人間の手首を切ってコレクションする異常者教師篠原に、”僕”は関心を示す…「リストカット事件」(”僕”が篠原のコレクトした手首を奪い、その犯人を森野夜に勘違いさせる手口がすごい)
•近所の子供を攫い家の庭に生き埋めにした犯人は、罪の意識に苛まれ葛藤するも、数年ののち次の標的を攫い、また埋める。”僕”はそれを見抜き…「土」(埋められたのは夜ではなかった!)
廃病院で姉の博子を殺された夏海。自分の元に殺される直前の姉の声が録音されたカセットテープが犯人の少年から届けられ、続きを聞くために自分も肺病院へ…「声」(犯人は”僕”でなかったとは!”僕”は中学バスケ部の後輩である神山樹であった)
二人とも死体は殺人事件等々、死について並々ならぬ興味を持っているという共通点があるが、それでいて全く異なる二人だなぁというのが感じられました。
森野夜は周りの人間とのコミュニケーションはほぼとらないものの、無感情ではなくとても人間的な情動を持っているのに対し、”僕”は血が通っていないのか?と思うくらいにサイコパス気質で、感情的になって行動することが殆どありません。
ただ”僕”は何かしら言い訳をつけて(凶器が人の死を望んでいると感じたから、殺人者からの危害を無くすため)殺人をするという点が、他の犯人と一線を画しているなと。
どうやら番外編もあるようなので、是非読んでみようと思います。
Posted by ブクログ
乙一ワールド全開の作品。
本格ミステリ大賞、受賞作。
前作の「夜の章」と本作「僕の章」を一気読み。
まさかそうならないよね
………え、そうなの?
…………………そっちかい!!!
と、ミステリを存分に味わえた作品。
ただし、そこは「乙一ワールド」なので読むタイミングには要注意。
Posted by ブクログ
「リストカット事件」と「土」は本当に面白かった。私の好きな『ZOO』の作品と似ている。
「声」は殴られたような衝撃はあったけど、一人称がそれぞれ誰を指しているかがいまいちわからなくて、ネットにある考察を読んだ。
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世界に殺す者と殺される者がいるとしたら、自分は殺す側だと自覚する少年「僕」。もっとも孤独な存在だった彼は、森野夜に出会い、変化していく。彼は夜をどこに連れて行くのか? 「僕」に焦点をあてた3篇を収録。
Posted by ブクログ
(リストカット事件)題名を回収する、現代的な物語だと思った。それを20年以上前にやっているため先進的だなと。ただ、(声)でも明かされるように、主人公は森野に対して、執着があるはずである。なのに、殺されそうになる森野を見過したのは、解せなかった。みたことないタイプの犯人像で面白かった。異常な手に対する執着に、親しみと哀れみを感じてしまった。
(土)やっていることは狂っているのに、犯人のその孤独感と哀れさに終始同情してしまった。主人公の全能感が半端なかった。憧れも抱いてしまった。ネタバレになるがおそらくこれが、(声)の叙述トリック、ミスリードに繋がるのだろう。犯人の悪の魂が浄化されたのは良かったが、一緒に埋まる恋人はよくわからなかった。全員狂人。
(声)一番面白かった。まんまと引っかかった。ミスリードの仕方が巧妙。しかも前編から通して、主人公のキャラクターは一貫されているのが素晴らしい。全てに整合性がとれていて、納得感があった。本でしかできないトリック。姉と妹の関係も、前編の(記憶)と類似するところもありまさに、集大成のような物語だった。ただ、サイコパス同士で同じクラスにいた時、気が付かなかったのだろうか。そこは不思議だった。あと、流石にもう新しい叙述トリックのようなものは見れないのかもしれないとも思ってしまった。とても面白かったが、オチに既視感は否めない。
(まとめ)終始、登場人物の世に対する異常な執着の有無に魅了された。世界観が癖になる。著者がライトノベルをたくさん読んでいるということで、心理描写が明快で、読みやすかった。登場人物も同世代であるため感情移入がしやすい。彼らの冷静さに憧れもあった。著者がこの小説を書いたのが22、3歳ごろということで奮い立たせられた。
Posted by ブクログ
「夜の章」に続き三作品が収められた短編集。どの話も狂気に満ちているのに、どこか静かで美しい。
『リストカット事件』は、ジョジョの吉良吉影のように異常なほど手を求める狂気が、どこか印象深く心に残った。『土』では、生き埋めという発想の恐ろしさにぞっとし、『声』では叙述トリックにまんまと騙されて混乱。
淡々とした文体だからこそ、そこに潜む狂気や冷たさがより際立っていた。
“僕”は怪物なのか、人間なのか。
読み終えても答えは出ないけれど、そんな曖昧さもこの作品の魅力だと思う。
Posted by ブクログ
⭐︎3.8
上巻よりダークさが増してて良き。
サイコパスの心理描写が上手すぎて乙一さん何者なん?となる。サイコパスもの耐性あると思ってたけどなかなかずっしりきた。どのストーリーも謎解き要素もしっかりあって、ミステリとしての満足度が高い。乙一さんすごいな〜
Posted by ブクログ
僕のキャラが魅力的。キャラクターはぶっ飛んでいればいるほど、また見たいってなるんだよな。
基本的に短編には全く面白さを感じてこなかったけど、この本は相当面白かった。
Posted by ブクログ
・リストカット事件
いろんな人がいるなぁ
てか主人公は犯人を夜に仕立てようとしたのマ?手首のリスカ跡がほしくてマ?
・土
これも叙述トリックに入るかな?
上巻を読んで全然面白くなくて、でも下巻だけ読まないのもなぁ…登場人物や世界線は繋がっているわけだし何か下巻でどんでん返しとかあるかもしれないし…という理由で読み進めてたけど、この話はミステリー要素がちょっと強めで面白かった!!
①(犯人の)嗜好が人と変わったものだとしても「それを理性で抑えるのが人間だろ甘えんな」と思う反面、
②誰にも言えない・理解されない・認知もされない嗜好をひた隠しに生き続けることがどれだけ辛いか知らないから、正論振り翳して糾弾するのも気が引けるな…
という気持ちと
③どんな妄想も好奇心も嗜好もそれ自体は罪ではないけれど実行したら終わりなんだって。お前は色々グダグダ言ってるけどやっちまった以上ただお前が悪いんだよ。と思う気持ちと
若干思うところがありつつ読んでいたんだけど
④「結婚して子供がいる上司や、妻がアイロンがけしたシャツを着る同僚のように、普通の人が送るような当たり前の人生が「与えられていたら」よかったのに…」って言い始めた瞬間全てを見限る気持ちになった。
お前な、結婚も、子供を持つ事も、誰しも空から降ってきてポンと与えられるもんじゃねーんだよ。人と関り合っていく中でそれなりの面倒な事を経て手にするものなの、なんか勘違いしてない??そもそも庭付き戸建に両親と祖母と住んで、優しい祖母と好きな趣味を楽しむ幼少期を過ごして、家族は早くして亡くなったかもしれないけど、最低限生きていく上で必要なものは与えられてたわけでしょ、それをお前…なめとんのか…
そもそも別に配偶者も子供も持たなくたって生きていけんだよ。これは別に極論でもなんでもないからな。なんだよ、俺も妻や子供が与えられたら違ったかもしれないのに、みたいな風に捉えちゃって頭きたよ。せてめ「普通の嗜好を持ってさえいれば…」だろうがよ。
語り手が佐伯だから、第三者から見ると主人公の頭の切れ具合こんな恐ろしいのか…すご…怖…かっこよ…からのクラスメイト埋めたんだ…で後味最悪。
でもミステリーとしてはしっかり騙された!
・声
これまでの全てが叙述トリックの仕掛けだったんですかーーーー!!!!!!
語り手が一般人を殺される側と勝手に定義して「だが僕は違う」とか「ナイフが僕へ呼びかける」とか「人を殺す、という宿命について」とか言い始めた時には、厨二病が進行するとこんな感じになるのかなと思ったりもしてたんだけど…
最後なにこれ?!えっどゆこと?!なに?!なんで?!なにが?!んんん?!??!?!
やー…騙された。
正直、個人的には上巻が微妙すぎて下巻も惰性と期待で読み始めたけど、結果的には読んでよかった。叙述トリックに鮮やかにひっかかる事が出来たので満足。
主人公がなぁ…普通に最高にかっこいい名探偵にも出来たはずなのに勿体無いと思っちゃうけどまぁそれはしょうがない。
とりあえず全編通して夜ちゃんの狙われ度えぐかった。元気でね…。
Posted by ブクログ
初の乙一作品
噂に聞いてた通りの叙述トリックの上手さ。
しかもコンパクトな物語の中に織り込んでミステリ×ライトノベルを有言実行してるのが凄い。本人解説もありがたかった。
これを23歳で書いたのかーー
Posted by ブクログ
投稿までにだいぶ日が空いてしまってすみません。
今、私はちょうど春休みで通学の時間がないため読む頻度が落ちてしまっていました。
この作品も実は、父のオススメで読みました。前作の「夜の章」の続編となっています。そして、今回も前作と同様に主人公の森野夜と僕を取り巻いた事件が起こります。でも、今回は「僕」視点で事件が進みます。
今作は、森野夜と僕が仲良くなったきっかけでもある「リストカット事件」や、「土」「声」の3篇が収録された短編集です。前作は190ページくらいだったけど、今作は250ページくらいと前回よりは少し長くなっています。でも、最後の「声」は最終回らしい話になっていて薄いけど読み応えありました!
ちょっとしたどんでん返し?とかは読んだ事あったけど、個人的には本格的などんでん返しは多分歌野晶午さんの「葉桜」以来で、ミステリー小説も普段あまり読まないジャンルだったので久しぶりだったし驚かされるという貴重な読書体験ができて楽しかったです!映画もあるみたいですが、映画は「リストカット事件」のみが映像化されてるみたいなので、それもどれだけ忠実に再現されているか観てみたくなりました!
(読み終えた時、父が「声」は映像化出来ないだろうって言ってた意味が漸く分かりました。)
Posted by ブクログ
衝撃。ミステリ好きでまだ読んでない人は読んで損ないから読んでほしい。この陰鬱な世界観が好きで、登場人物が人間味がないところも含めて好き。頭の悪い私には完璧には理解できなかったけど、それでも面白かった。
Posted by ブクログ
主人公の僕の何事にも冷静で見方によっては優しくもある雰囲気が非常に好きです。高校生なのに高校生らしくない感じを纏っていてかっこいいです。
殺す側と殺される側というのに焦点を当てていて印象的でした。後書きにもありましたが、この本が本格ミステリ賞を受賞していることに私も正直驚きでした。本格ミステリとしての傑作といわれるとなんとも言えない気がしています。しかし、他の小説にはない殺人の描写や心情を描いていて奥深さを感じます。どの賞であるにしろ高い評価に納得のいく作品です。この小説自体短く読みやすいと思うのでおすすめしたいです。
Posted by ブクログ
ミステリーとしても面白かったし、
少し人間模様も垣間見えるようになっており、妖怪のような人たちが出てくるストーリーというのは変わりないが人間関係の進展が見たくなるストーリーだった。
Posted by ブクログ
「GOTH」の番外編を借りたので、文庫版を読み直しました。
登場人物を思い出すためにサラッと読むつもりが、けっこうガッツリ読んじゃったな(笑)
表紙の図柄が合うように並べて、と。
単行本ではなかったあとがきを読めるのもいいね。
・リストカット事件
文字通りのリストカット。
・土
「埋めてみたくて、埋めてみました……」
・声
カセットテープ
単行本では★4にしてますが、今読むと、上下巻に分けると、★3の中ぐらいかな。
ナイフに魅せられて、みたいな話があったと思ってたんだけど、思い違いだった。
記憶って当てにならんね。
Posted by ブクログ
短編3作品の中でもdogが好きでした。グロテスクな表現や読むだけで悪寒を感じるような内容は、人を選ぶと思いますが自分は好きでした。細かい伏線やどんでん返しも楽しめる作品でした。
Posted by ブクログ
最後の「声」が1番面白かった。上巻の解説で作者が言ってていた「怪物vs怪物」の戦いに1番近かった。
リストカット事件は想像するとかなりグロいけど、何だか馴れ初めを見ているようで微笑ましかった。
上下巻以外にも番外編があるようでそっちも気になるな〜
Posted by ブクログ
夜の章が良かったので、読みました。昔は綾辻さんの殺人鬼すらハラハラドキドキ読めたのに、正直読むのがしんどかった。歳かもと少し凹む作品になりました。内容は叙述トリックでどれも秀逸と思います。後書きの通り、みなさんの読書習慣のきっかけになればいいな。
Posted by ブクログ
殺人を犯す人々に興味をもつ僕と異常者を引き寄せてしまう森野の周囲で起こる猟奇事件を描いたGOTHの下巻。
猟奇事件を犯す人々と自分のなかに類似点を見出している僕を中心として展開されている下巻も、ミステリー要素と残酷さ,そして人の暗黒面が興味深く面白かったです。
江戸川乱歩が好きな人は好きなんだろうなという感じでした。
主人公である僕の淡々とした様子は怖くもあり面白くもありました。