乙一のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ乙一という名前は知っていたが、読むのは今回が初めてだった。全体的に読みやすく、万人受けするタイプの小説ではあるが、その代わりに作品としての深みは少し薄いように感じた。
次は面白いと思った順に短編を紹介していく。
しあわせは子猫のかたち
一番感動した。それまで人と関わることを諦めていた主人公が、幽霊となった、前の居住者の優しさを感じることによって自分の本当の気持ちを吐露していく場面が凄い人間味が溢れていて良かった。特に最後のお別れの手紙の場面は泣きそうになった。
マリアの指
最初はホラーの混じったミステリー系かなと思ったが、中身はヒューマンドラマ。全体を通じて漂う、あの陰鬱な雰囲気と物語の展開がすごくマッチしていて印象に残る短編だった。なかなか救われない内容だけど、最後主人公が人を信じようとしているのがグッと来た。
Calling you
小説の最初の短編として一番適していると思った。仕掛けあり、涙ありの話。この本の中では一番人の関わり合いの美しさというのを感じた。昔よく読んでいた5分後に意外な結末を思い出した。
傷
冷たい環境に囲まれて、何度も裏切られて。それでも他人のために動ける優しい心に胸打たれた。環境が変わってお互い会うことがなくなったとしても、この時の美しい友情を彼らは一生忘れないのだろうなと思った。
失はれる物語
悲しい。ずっと昔に手の上で奏でられた音色を、美しい旋律だけを心に感じながら男は孤独に死んでいくのだろうなと思った。カフカの変身に似た理不尽を感じた。
手を握る泥棒の物語
一風変わってコミカルなテイスト。偶然と運が重なり合って起こるミラクルなお話。最後、通報しないってところがまたいい。
ウソカノ
思春期の時代特有の見栄の張りというか。あそこで友達を救う選択、一緒に落ちる選択をした主人公は人生の中で大きな意味を持つものを手に入れただろう。
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Posted by ブクログ
セブンルームズを読みてえ!読み返してえ!と探して読んだ本。
セブンルームズと神の声以外は未読だったので楽しかったです。
山白名義の旅人の話はもっともっとシリーズで読みたいと思った。乙一は本当にじっとり気持ち悪いのにどこか間抜けで温かさも感じる文章がいいよね。
WiFi幽霊は、WiFiとAIというイマドキツールからのお話で面白かった。
昔、calling youではガラケーであんなに心に来る話を書いてたのに。似たようなツールを使ってホラーにしたらこれだよ。いいね。
夏にホラー読みたいと思って買ったのにもう春だよ。ホラーは気が乗った時にしか読めない。 -
Posted by ブクログ
「次はお前の番だ」
ほんの偶然から、聞いたら呪われるという「大きな目の女」の話を聞いてしまった人たちの間で呪いが伝染していく話。
正直、ネタは陳腐。
だけどちゃんと怖い。ネットで披露されている自作怪談とは違う。他人がフィクションの中で感じている恐怖なのはずなのに、なんだか身に覚えのある怖さを思い起こさせる。
被害者?たちの亡くなり方とかはとんでもなく突飛なのに、変に現実味があるというか。
そして、この話のアイコンになっている「女」の成り立ちやこの怪談ができるまでのストーリーにも説得力があった。ただ怖がらせようというだけでなく「だから怖いことが起こるのだよ」と理由をつけることで逃げ道をなくされた感じ。
ラストシーンをどう解釈するかでも、それぞれが感じる怖さが変わりそうです。 -
Posted by ブクログ
『A MASKED BALL』と『天帝妖狐』の2つの作品が収録されており、どちらも読み始めてすぐ乙一さんならではの独特な世界に引き込まれる物語でした。
1作目の『A MASKED BALL』を読み終わった時点では評価を☆5にしたいと思ったのですが、2作目の『天帝妖狐』のとあるシーンが怖すぎて、かつどうしてそういう衝動が湧き起こってしまったのかがわたしには今ひとつピンと来なかったため、☆4にしました。
ちなみに『A MASKED BALL』の舞台の高校は掃除当番がなくて、専門の業者が掃除してくださるそうで、珍しいなと思いました。
わたしはずっと公立の学校で、今でいうスクールカースト上位の子たちから掃除当番を押しつけられがちだった思い出があるので、少し羨ましいです(^^;
作中の舞台は私立の高校なのかな?とも思いましたが、売店に焼きそばパンや銀チョコなどの比較的安いパンが売られており、すごく親しみを感じたので、やはり掃除しなくていい公立校なのでしょうか( ¯ ³¯)イイナー
そして『天帝妖狐』に出てくる杏子さんにすごくいい印象を受けました。
もし道端に包帯ぐるぐる巻きの浮浪者っぽい方が倒れていたら、声をかけたり救急車を呼んだりはすると思いますが、家にあげて介抱するのはなかなか出来ないです。
家族に危害を加えられたらどうしよう、という不安がどうしてもありまして(_ _lll)スミマセン
それでもこの人を信じて助けようとした杏子さんは人を見る目があるというか、素晴らしいと思います。
一体、何を食べたらこういう風になれるのでしょうか…。
きっと焼きそばパンや銀チョコではないのでしょうね( ̄▽ ̄;)
作中では一度しか出てきておりませんが、今日は帰りに銀チョコを買って帰ろうと思った、そんな一冊でした。 -
Posted by ブクログ
様々なジャンルを一度に楽しみたい!って方にはかなりオススメです!
【物語を紡ぐ町】文善寺町で起こる6つの話。
様々なジャンルのストーリーが同じ町で起こり、読み進めるごとに次の物語に紡がれていき、気づいたら文善寺の住人になってる。そんな感覚になりました。
私は6つの話の中で、青春絶縁体とホワイト・ステップが大好きで、青春絶縁体のようなコミカルなテンポでThe青春ぽさが愛おしく感じました。
その点、ホワイト・ステップは最初は青春絶縁体のようなストーリーになるのかなと思いましたが、悲しみの中に希望が芽生えるような、温かい気持ちになる作品でした。