乙一のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ久しぶりの乙一作品は、「乙一の真骨頂!」との帯の文言通りの、切なく、気持ちがギュッととなる恋物語だった。
今回の作品でイチオシの部分は、恋をした男性が一途に最後までその女性を思い続けてくれるところだ。周りの人たちが少しずつそれぞれの人生を歩み、変化をしていっても、彼はずっとずっと彼女を思い続けているのだ。
線香花火が無くなってしまい、彼女に会うことができなくなってから、最後にもう一度だけ会える時までの、時の流れの描写が好きだ。
それまでの流れに比べると早すぎる感じはあるけれど、もたもたすすんでも重すぎるだろう。
季節ごとの記念写真がスライドショーで現れては消えていくように、彼女を思い続ける -
Posted by ブクログ
読者のボツ作品を作者がリメイクするというコンセプトの短編集。
私は界隈の文化に明るくないので、こういった企画がよくあるのかは分からないが、とても面白い試みだと思った。
特に「コンビニ日和!」は短い割に起承転結がきっちりしていて読んでいて楽しかった。バイトの同僚の女性が吐く毒に目が行きがちだけど、主人公も中々イカれた精神の持ち主だと感じた。
私がこの作品集で一番好きなのは「青春絶縁体」である。根暗な高校生の青春の一幕を描いた作品。主人公と美人な先輩との部活でのやりとりをメインに進んでいくのだが、お互いを煽るように軽口を言い合うのがとても微笑ましい。幕の切替が途中から多くなって読みづらさを若干感じ -
Posted by ブクログ
マサオは悪くない。
状況や理由を聞かず、結果から多数の意見が正しいと判断する大人(まして先生で)あってはならない。
先生は自分の空回りが怖くなり、マサオを生け贄にクラスのみんなをまとめようとする。
こんな下衆な先生が実際いたら困るけど、現実多くの先生は生徒を好き嫌いでランク付けしていると、学生時代から感じていたので、あながちゼロではない気もする。
アオは、マサオの負の感情だけが幽体離脱したような存在で、マサオが感情を捨てて人形のようになると現れなかった。
自分の感情を犠牲にしてまで、まわりに我慢する必要性はないと、家族だけはちゃんと見て気付いてあげて欲しかった。
最後、先生にある意 -
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Posted by ブクログ
子供のころ読んだ記憶があるけど内容を忘れていたので再読。
怖さもあるけど、切なくて儚いお話ばかりですごく好き。
表題作よりも残りの3作にすごく惹かれた。映画を見てるようだった。
怖さと切なさが同居する乙一作品。とても濃厚なので、短編なのに短編とは思えず余韻が抜けない。文章1つ1つは淡々としているのに、どうしてこんなに人の心に響く物語を書けるのだろう。
石ノ目の伝承のような怪談話は静かな恐怖が続くけど、切ないオチに驚かされた。
はじめ、BLUEはファンタジーで、切ないけど美しい。
平面いぬ。の家族の設定はチープに感じてしまったけど、ポッキーが可愛いのでよしとします。