【感想・ネタバレ】サマーゴーストのレビュー

あらすじ

夏の間、郊外の飛行場跡地で線香花火を灯すと、自殺した女の幽霊“サマーゴースト”が現れるという。そんな都市伝説を聞いた高校3年の友也は、自殺系サイトで知り合った高校生の涼とあおいとともに、その幽霊に会いに行く。彼らは幽霊に「死ぬって、どんな気持ちですか?」と聞いてみたかった。それを聞くべき理由があったから。しかし、彼女からは衝撃の事実を聞かされ…。10代からイラストレーターとして活動し、近年はアニメ、作詞、小説、漫画、と多彩なクリエイティビティを展開する俊英・loundraw。その初監督の劇場アニメーションを、脚本を担当した乙一がノベライズした少し不思議な夏の青春長編!

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

「生きる意味」を考えさせられる本でした。
普段の生活から「生きる意味」を見つけ出すことは難しい。嫌で嫌で何もかも投げ出したい時だってある。けれども生きなくてはいけない。
そんなことを考えながら生きるって難しいことだなと改めて思いました。
また、登場人物一人一人の丁寧で重みがあるセリフにハッとさせられました。

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2025年02月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

3人の死にたい高校生が夏にだけ現れる「サマーゴースト」に会いに行き、遺体を探す話。
登場人物の命や恋愛模様、線香花火や夏といったパーツにいたるまで、すべてがどこか儚い美しさを抽出して書かれています。
そうした儚く脆いものが生きていくための「つながり」につながっていくというところがキャラクターのあたたかみにも、作品の土台のようなものにもなっていると感じました。
ラストも見たいところがきちんと見られて、起こり得ない奇跡とあるかもしれない事象のバランスが絶妙で、夏や幽霊といった言葉を本当に大事にして書かれた物語でした。

短い作品であるため生や死について深く掘り下げられてはいませんが、だからこそ思春期などに訪れやすい「自ら望む死」の上澄みのような美しい部分だけが描かれているのだと思います。
著者の他作品には死を扱ったものが多くあるので、深く掘り下げられた著者の死生観の物語を読みたいなら別タイトルの長編小説を読むほうが良いです。

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2025年02月26日

Posted by ブクログ

 生きる意欲を失った全ての人たちへの応援歌







 ※
 以下、ネタバレを含みます。
 個人的雑記となります。
 時間の許す方のみ、お付き合いください。
 







ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー






 キリスト教と無神論の間に生まれた少年
 乙一さんと言えば、おそらくはウルトラマンジードの脚本をされたことで広く知られるようになった方。今回のこの主役の立ち位置は、まさに、円谷さんの原点を見ているかのように思えました。
 飛行場跡というのも、飛行士になる夢を諦めた代わりに、特撮の神様になった円谷英二さんの面影を感じます。


 光が遮断されているはずの時間停止の中でも、世界が見えている・・・その時点で、私たちが見ている景色は、五感で再現するもの以外の、何か不思議なものに影響されていると思えてきます。実際、私たちも時間停止したら、止まった時間の中で「〜秒」という概念に意味はありませんが、せめて目安は、私たちの呼吸と心臓の鼓動の回数になるでしょうか。それを言い出したら、そもそも止まった時間の中でなぜ動けるのか。心臓は鳴り続けているのか、声を出して音が響くのだろうか・・・不思議なことだらけです。それでも成り立ってしまうのがこの世界観であり、そういう不思議に、実は私たちの実在の世界も関わっているのではないかという、奇妙な高揚感が、物語を楽しませてくれる味わい深さとなっています。

 まさに、主人公の少年が愛してやまない美術を、暗闇の中でもはっきりと見つめることが出来るのは、人は、光や美しさを認めるのは、ただの科学的な演算の結果のみではなく、もっと不思議な、魂に似た何かによって影響されているからなのではないかと___幻想的なシーンを交えて、伝えてくれているように思えます。




 
象形学-フォルモロジー-と心の美しさに見られる相似性も面白かったです。

 留まることも向かうことも
 魂と心が決めているのなら  
 見たい景色も愛しい姿も 
 この魂とこの心が望んでいること
 であるならば
 夢で聴いた言葉も夢で見た笑顔も
 自分が望んだ都合のいい願望であると同時に
 本当にそこにあるものだと———
 そう思っても、いいのではないだろうかと、そんなことをふと考えました。





 年上になってから逢いに来て
 時間が止まった美しい女性に恋をした少年は 
 その迂遠な告白に応えるため 
 今この瞬間を生きていく


 衰え 老いていくことは恥ではない
 むしろ 
 昨日まで出来たことが出来なくなっていくことを
 受け入れ それでも生きていく姿は 
 どうしようもなく格好いいものだから


 苦しくて逃げたくなるときでも 
 自分が心から慕う人が 
 痛みや悲しみに誠実に向き合う姿を見せてくれるなら 
 もう少しだけ もう少しだけ と信じて生きていける
 それは誰かに隷属することのない
 自分自身の魂の自由であると同時に、
 人は、他の誰かを愛し、慕い、絆を守り、
 育てていこうとする「共同体」の中でこそ、
 生きていく勇気を得られる証なのかもしれない

 ウルトラマンジードを記した乙一さんが観る死生観とは、まさしく、「ぼくたちみんなでウルトラマンなんだッ!」に込められている気がしました。

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2024年10月30日

Posted by ブクログ

主人公の悩みは思春期特有の言葉にできない悩みを思い出された。
もう今になれば「そんなことで」と思うが、当時の自分なら共感しながら読んでいたのかなぁ。

大きな展開も刺激もなかったけど、読みやすかった。

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2025年05月30日

Posted by ブクログ

内容的には同じく乙一氏の著書『一ノ瀬ユウナが浮いている』と同じプロットというかB面というか姉妹本にあたるらしい。こっちも青春。涙もろい人が読むとちょっと泣くタイプの作品。

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2025年04月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

パイセン本。主人公の友也は自殺系サイトで知り合った春川あおい、小林涼と連れ立ち3年前から目撃情報が出ている「サマーゴースト」を見つけるため郊外の飛行場跡地へ出かける。そこで花火をしていると出てくるらしい。果たして線香花火が大きな音をたてて閃光を放った瞬間、時が止まり「サマーゴースト」こと佐藤絢音が現れる。友也の母親がだいぶ毒親でしたね。かなりヤバい奴で友也が可哀想でしょうがない。そりゃ生きているのも辛くなる気持ちもよく分かる。それでも佐藤絢音との交流で生きることを決意した事に感動です。短くて一気読みでした。

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2024年12月27日

Posted by ブクログ

生きるのに疲れた高校生3人と幽霊のお話。
読むと幽霊になる気分を味わえます。
それぞれ抱えた悩みがあるが、みんなと話す事で少しずつ気持ちが変化いく。

辛い事は誰にでもある。
回避できるけど回避しない。
回避したいけど回避できない。
死ぬのに勇気はいらないけど、生きるのに勇気がいるんだよなー。

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2024年09月29日

Posted by ブクログ

夏の終わり特有の朧気さと苦しさを感じられる小説。
儚くて綺麗で、でも重くて苦しくて。
夏の終わりにぜひ読んで欲しい。

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2024年09月21日

Posted by ブクログ

短めで、さくっと読めました。
展開はある程度予測できるものの、飽きずに読むことができました。
アニメ映画も見てみたいなぁ。

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2024年09月03日

Posted by ブクログ

夏っぽさを感じさせ、生と死についてもしっかり考えることが出来た。
一ノ瀬ユウナとは違った雰囲気だけどこれもまたいい。

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2024年07月26日

Posted by ブクログ

アニメ映画のノベライズで『一ノ瀬ユウナが浮いている』の姉妹作。
短くてさらっと読めるので、中高生にオススメ。生と死がテーマですが重くなく読後感も良かった!

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2025年02月17日

Posted by ブクログ

自殺願望を持つ高校生3人と「サマーゴースト」と呼ばれる幽霊との邂逅の物語。
ほっこりした読後感の王道のファンタジー青春小説だが、死を扱う小説としてはちょっと薄っぺらいなと感じてしまった。

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2024年10月27日

Posted by ブクログ

どなたかのレビューを読んで買ったと思っていたのだが、今、見るといいね!をつけたレビューもなく、何で見たんだったのだろうなあ…。

ともあれ、、、夏の間、郊外の飛行場跡地で線香花火を灯すと現れるという“サマーゴースト”と、自殺系サイトで知り合った3人の高校生の物語。
映画の脚本を担当した作者自らがノベライズした作品というのは後で知ったが、確かに、まあ、そんな感じ。
160頁に満たない短い話で、ほぼ想像した通りに進んでいく話だが、現世に未練を残すゴーストと人生を終わらそうと考える高校生たちの、それぞれの心情が夏の終わりの季節と相まって醸し出す切なさはなかなかに沁みる。(友也の母親の押しつけがましさはクソ)
強烈なメッセージが発せられているというわけではないが、読んだ人には改めて“死んで花実が咲くものか”と刷り込みされるような出来上がり。

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2024年09月16日

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