あらすじ
夏の間、郊外の飛行場跡地で線香花火を灯すと、自殺した女の幽霊“サマーゴースト”が現れるという。そんな都市伝説を聞いた高校3年の友也は、自殺系サイトで知り合った高校生の涼とあおいとともに、その幽霊に会いに行く。彼らは幽霊に「死ぬって、どんな気持ちですか?」と聞いてみたかった。それを聞くべき理由があったから。しかし、彼女からは衝撃の事実を聞かされ…。10代からイラストレーターとして活動し、近年はアニメ、作詞、小説、漫画、と多彩なクリエイティビティを展開する俊英・loundraw。その初監督の劇場アニメーションを、脚本を担当した乙一がノベライズした少し不思議な夏の青春長編!
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Posted by ブクログ
3人の死にたい高校生が夏にだけ現れる「サマーゴースト」に会いに行き、遺体を探す話。
登場人物の命や恋愛模様、線香花火や夏といったパーツにいたるまで、すべてがどこか儚い美しさを抽出して書かれています。
そうした儚く脆いものが生きていくための「つながり」につながっていくというところがキャラクターのあたたかみにも、作品の土台のようなものにもなっていると感じました。
ラストも見たいところがきちんと見られて、起こり得ない奇跡とあるかもしれない事象のバランスが絶妙で、夏や幽霊といった言葉を本当に大事にして書かれた物語でした。
短い作品であるため生や死について深く掘り下げられてはいませんが、だからこそ思春期などに訪れやすい「自ら望む死」の上澄みのような美しい部分だけが描かれているのだと思います。
著者の他作品には死を扱ったものが多くあるので、深く掘り下げられた著者の死生観の物語を読みたいなら別タイトルの長編小説を読むほうが良いです。