乙一のレビュー一覧
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ネタバレ 購入済み
暗闇の中でひっそりとただずむミチルと、ミチルに気づかれないよう気配を消すアキヒロの生活が緊張感があり先が気になってページをめくる手が止まらなかった。そして、軽いどんでん返しもあり非常に面白い。また、視覚障がい者の大変さを知ることができる。生活する上での困難さなど改めて考えさせられた。
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Posted by ブクログ
子ども向けに簡単な表現と漢字やふりがなで綴られた、もしかしたら青い鳥文庫で発売されていてもおかしくないくらいの体裁なのに乙一節炸裂!!!というお触れ込みを聞いていたせいで
学生時代に貪るように乙一作品を読んでいた私としてはかなりドギマギしました。
しかし実際は思ったより白乙一!
差別や暴力が横行し貧富の差が激しい時代背景だからダークな面も多くなっているけれど
主人公の少年と、その周りの子ら、学校の乱暴者、憧れの名探偵と鮮やかな手口の怪盗、冒険の数々。
これはドゥバイヨルの口調と行動さえなんとかマイルドにしたら、NHKのアニメーションになっていてもおかしくない。かもしれない。 -
Posted by ブクログ
盲目の女性の家に容疑者が忍び込み、音を立てずに生活を共にするという、一見すると恐怖しかないはずの状況から物語が始まる。しかし、物語はどこかほんわかとした雰囲気で進み、読者の不安を和らげる。これは、作者の巧みな筆致によるものなのか、それとも、暗闇に生きる二人だからこそ互いの存在を受け入れることができたのか。そこが、この物語の大きな魅力となっている。
ジャンルとしては、ミステリーやサスペンスの要素を持ちながらも、最終的には恋愛小説として分類したくなるような展開を見せる。核心となるのは「孤独」「人の優しさ」「誰かと関わることの温かさ」というテーマであり、物語の設定と見事に融合している点に感心させら -
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Posted by ブクログ
ネタバレ3人の死にたい高校生が夏にだけ現れる「サマーゴースト」に会いに行き、遺体を探す話。
登場人物の命や恋愛模様、線香花火や夏といったパーツにいたるまで、すべてがどこか儚い美しさを抽出して書かれています。
そうした儚く脆いものが生きていくための「つながり」につながっていくというところがキャラクターのあたたかみにも、作品の土台のようなものにもなっていると感じました。
ラストも見たいところがきちんと見られて、起こり得ない奇跡とあるかもしれない事象のバランスが絶妙で、夏や幽霊といった言葉を本当に大事にして書かれた物語でした。
短い作品であるため生や死について深く掘り下げられてはいませんが、だからこそ思春