井沢元彦のレビュー一覧
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今回は忠臣蔵、綱吉名君説、デリバティブの本家日本、徳川時代の中朝関係について。綱吉は生類憐みの令を出したことで暗君扱いされているけれど、それまでの時代は切り捨て御免の風習があり、かの水戸光圀でさえ浮浪者を大した理由もなく殺していたという。綱吉はそれを改め、今では当たり前の命の大切さを世間に知らしめたという。また彼は、側用人の制度を設け、政治の実権を握る役人たちを世襲制から実力本位の人が担当するように変革した。
だから暗君ではなく、名君だと著者は判断している。一方で綱吉には朝鮮系の血が流れている可能性もあり、そのためか現鬱陵島、現竹島(旧名松島)を朝鮮のものと認めてしまった経緯がある。これが現在 -
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オーディオブックで視聴完了。
聖徳太子編めっちゃおもしろかった。
何があれって、うちの地元の太子町が出てくるところが最高(違
井沢さんの面白い所は、色々な資料を引っ張り出してきて、推論を組み立てるところにあり、教科書やこれまで読んだどんな歴史書とも違う世界を見せてくれるところにある。
本当に井沢説が正しいかはわからないけれど、腹に落ちるし胸も躍る。僕は歴史家ではないので、正しい歴史を正しく理解したいわけではない。僕らが点と点で知っている出来事や人名を有機的に結んでくれる本書は実に読んでいて楽しいし、僕が理解する歴史に対して深みや幅を与えてくれる素晴らしい本だと感じる。
続きのオーディオ -
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井沢氏の解釈
古代のある時期から「徳」という名は、「ご無念な生涯であらしめられた」天皇に贈られることになった。
天武はなんと「忍者」だった。
持統王朝は、持統系の皇族と藤原氏の「連立内閣」だった。
アマテラスはそもそも卑弥呼であった。
子孫を蘇我氏によって皆殺しにされ、子孫による祭祀をたたれた聖徳太子は怨霊化した。
日本の大魔王「崇徳上皇」は、アマテラスの決めた「日本はアマテラスの子孫が永久に支配する」という根本原則に対して「天皇家を没落させ天皇家以外の人間をこの国の王にする」と、呪いをかけた。
長屋王一族の供養つまり怨霊鎮魂にために東大寺と大仏は建立された。 -
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10年以上前から愛読している、逆説の日本史の最新単行本が出版された(2017.11)ようですが、本屋さんの店頭で迷った挙句、この本を先に読むことにしました。
というのも目次を見て、秀吉が織田家からどのような手順で天下を取ったのかが、この本では詳細に解説されていると思われたからでした。久しぶりの大阪南部への出張で新幹線の乗車時間も少し長め、往復で楽しく読むことができました。
信長の失敗を秀吉が修正して引き継ぎ、秀吉の失敗を参考にして家康が引き継ぎ、家康自体も失敗をしてそれが明治維新へつながった、歴史は一つに繋がっていることを改めて感じさせられた本でした。
以下は気になったポイントです。
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ネタバレ世界の平和を考え、世界の民族との協調を望むのであれば、彼らが信じる宗教はどのようなものか、国際問題では何が争点となっているのか、その背景は何かを知らなければならない。同時に日本人の宗教にどのような特徴があるかを知ることは、日本人としてのアイデンティティを確立するうえでも、あるいは世界の宗教を理性的に知る上でも必要である。「宗教音痴」では国際問題は理解できない。国際人の入門書として、本書は有益だ。印象に残った点を纏めると次のとおり。
1.和の世界
日本人の思想は、「和」によって規定されている。これは弥生時代の環濠集落の「環」→「輪」→「和」に由来すると考えられる。また、聖徳太子が作った「十七条 -
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柿本人麿と猿丸太夫を同一人物とする、梅原猛の説を題材にした歴史ミステリ小説です。
主人公の香坂明は、民俗学を専攻している大学院生です。彼の書いた「碩学折口信夫の足跡」という論文に関心を持った製薬会社の研究員がやってくるところから、物語は始まります。
好きな夢を見られる薬を開発していた製薬会社の研究員・泉田卓司は、過去の人間の意識に同化するR試薬を開発します。薬のモニターを探していた彼は、明ならば高い確率で民俗学者・折口信夫の意識に同化することができると考え、彼にモニターになってくれないかと依頼します。じつは明は、猿丸太夫の子孫であり、猿丸一族に伝わる暗号「猿丸額」を説くことを夢見ていました