あらすじ
忠臣蔵の虚構と真実を解き明かす!日本史の常識を覆す全日本人必読の新・日本史!
歴史上の事実である「赤穂事件」はどのようにして「忠臣蔵」という「虚構のタイトル」で呼ばれるようになったのか? 「吉良の浅野イジメが作り話なのは会社員の接待の常識からもわかる」「最も基本的な史料である浅野内匠頭の辞世すら最初からなかった」「吉良邸に討ち入った四十七士に死者、重傷者がひとりも出なかったのはなぜか」など、従来の「常識」に真っ向から異を唱える意欲作。江戸庶民の喝采を浴びた赤穂事件の真実に迫る――
目次
第1章 忠臣蔵、その虚構と真実編
第2章 将軍と御用人システム編
第3章 大坂・江戸 大商人の世界編
第4章 江戸時代の東アジア外交I――明と日本編
第5章 江戸時代の東アジア外交II――琉球王国と日本編
年表
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感情タグBEST3
Posted by ブクログ
1巻からずーと継続して単行本発売→即買しているうちの一つ。学生時代は先生が嫌いであまり好きじゃなかった歴史を大好きにしてくれた作品。この巻は江戸時代中期ですが、昨今の領土問題の根幹の話は腑に落ちます。
Posted by ブクログ
歴史は、時代時代を切り取ってマニアックに閉じこもって覚えるのではなく、マクロから視ることが大事。この逆説シリーズは、そもそも当たり前で冷静な視点で物事を考えるべしと気付かせてくれる、よいキッカケになる。
忠臣蔵と赤穂事件の違いから、日本史全体を一気通貫している怨霊信仰・日本教が浮かび上がる。のちの倒幕や二・二六事件の思想に繋がっていくなんて。こんなこと学校じゃ絶対教えてくれない。
「自分の歴史的位置」言い換えれば「使命」が認識できていたかどうか。綱吉後の新井白石に対する著者の考察は鋭い。
ドラマ的には地味な江戸時代中期、一層興味がわいてきた。
Posted by ブクログ
“側用人”という改革実行のためのシステムを作り、戦国のある種野蛮な気風を一掃し、文治主義を確立した綱吉の功績。
そしてそれがいかにして後世に貶められて伝えられているか。
忠臣蔵のウソとそのウソが何故補強されて今日まで伝えられているのか。
14巻も相変わらず面白いっ。
Posted by ブクログ
忠臣蔵、朝鮮問題、沖縄対応が中心の14巻。
儒教、朱子学、勘合貿易再来の夢など、江戸時代初期の体裁を維持しようとする国際軋轢が勃発。歴史は面白いが、伝えられるものが真実だとは限らないことが、このシリーズでは思い知らされる。故に政治の介入しない、教科書の改訂は必要。
Posted by ブクログ
今回は忠臣蔵、綱吉名君説、デリバティブの本家日本、徳川時代の中朝関係について。綱吉は生類憐みの令を出したことで暗君扱いされているけれど、それまでの時代は切り捨て御免の風習があり、かの水戸光圀でさえ浮浪者を大した理由もなく殺していたという。綱吉はそれを改め、今では当たり前の命の大切さを世間に知らしめたという。また彼は、側用人の制度を設け、政治の実権を握る役人たちを世襲制から実力本位の人が担当するように変革した。
だから暗君ではなく、名君だと著者は判断している。一方で綱吉には朝鮮系の血が流れている可能性もあり、そのためか現鬱陵島、現竹島(旧名松島)を朝鮮のものと認めてしまった経緯がある。これが現在でも韓国の不法占拠の根拠となっており、そう考えると何をしてくれたんだろう、との思いもある。
また、いきなりデリバティブ=金融派生商品の話が展開されたので何かと思ったら、この元祖は日本の堂島米市場にあるという。その証拠に、ノーベル経済学賞受賞者のマートン・ミラー教授が大阪へ行った時に「人類に対するすばらしい貢献」として先物市場の跡地に花を捧げたとのこと。
今現在株式市場でよく使われているローソク足も元は「酒田罫線法」といい、日本発祥のもの。鎖国時代にもかかわらず、世界最先端の経済の仕組みを実践していた証拠にもなる。
忠臣蔵については、相当なページ数を裂いて説明がなされている。というのも、この事件があったことが幕末に幕府瓦解のきっかけとなったからだという。
それは、人民が納得する理由があれば殺人も許容されるとの概念を幕府側も認めてしまったから。主君の恨みを晴らした赤穂浪士たちを下手人として処罰するのではなく、あくまで義士として扱い、切腹を言い渡した。これは幕府自身が、幕府の定めた法を超越する正義があると認めてしまったことの証明となる。
それがやがて幕府の力を超えた権威=朝廷を正義と見做し、勤王討幕運動に結実することになった。
そして、中朝関係についてだけれど、儒教、それも先鋭的な朱子学がどれだけいびつな考えで、それが日中、日韓関係をいかにこじらせている元になっているのかが説明されている。儒教においては、歴史が「どうであったか」よりも、「どうあるべきであったか」が重視され、この論法によると歴史捏造がいともたやすくなされるという。儒教は宗教であり、それを国際社会で主張されても困るというのが本音。そんな国と関わっていかなくてはいけないと思うと気分が暗くなる。
Posted by ブクログ
文治政治と忠臣蔵の謎
武断政治から文治政治への展開Ⅱ
第一章 忠臣蔵、その虚構と真実編
武断政治から文治政治への展開Ⅲ
第二章 将軍と側用人システム編
武断政治から文治政治への展開Ⅳ
第三章 大坂・江戸 大商人の世界編
江戸時代の東アジア外交Ⅰ
第四章 明と日本編
江戸時代の東アジア外交Ⅱ
第五章 琉球王国と日本編
Posted by ブクログ
これまでの巻で折に触れて出てきていた、「忠臣蔵」について書かれている巻です。
私はなぜか「忠臣蔵」に対する一般的な知識と認識を持っていないので、そういう解釈も出来るんだなぁとすんなり入ってきたのですが、思い入れがある人はそうもいかないかもしれませんね…。
むしろ、なぜそこまで「忠臣蔵」がもてはやされてきたのか、という部分についてとても興味がわいてきました。
Posted by ブクログ
この巻では元禄時代の政治と文化があつかわれています。
赤穂事件の真相について著者ならではの観点からその真相にせまり、さらに綱吉によってはじめられた側用人のシステムが、家康以来の江戸幕府の統治の仕組みをどのように改変するものであったのかということが語られています。
また、朱子学を中心とする儒教的な考えかたが江戸幕府によって取り入れられ、とくに商業を蔑視する発想が非合理的なものであったという著者の主張が提示されています。そのうえで、この時代に日本には世界にも類例のない商業倫理が形成され、このことがアジアのなかで日本がいちはやく近代化に成功したことの理由であったと論じられています。この考えは、著者が名前をあげている山本七平の鈴木正三、石田梅岩への評価を踏襲したものですが、すくなくとも思想的なロジックだけを見れば正三の禅理解と山崎闇斎の朱子学解釈にそれほど大きなへだたりはなく、なぜおなじようなロジックが商業倫理に結びついたのかということが明らかにされなければ、著者の主張は成立しないのではないか、という疑問も感じます。
Posted by ブクログ
激動の時代が幕を閉じ、平定後の江戸時代の文化・政治を中心に論説が展開される。戦国時代からすると歴史的変化に乏しい時代のため、人それぞれ興味の問題ではあるが、個人的には些かダイナミズムに欠ける。
第1章 忠臣蔵、その虚構と真実編
第2章 将軍と側用人システム編
第3章 大坂・江戸 大商人の世界編
第4章 明と日本編
第5章 琉球王国と日本編
Posted by ブクログ
ご本人とその政治的主張は非常にクセがあり(マイルドに言って)、好き嫌いが別れそうですが、彼の通史は本当に面白い。「怨霊信仰+コトダマ+ケガレ忌避+和の精神」という日本人の宗教観をベースに古代史から現代までを新たな視点で考察しています。粗い・甘い箇所もあるけど掛け値なしに面白く、目から鱗。考えさせられます。
赤穂事件はまあまあですが、後はかなり散漫な印象。
Posted by ブクログ
柴田錬三郎は「秀吉は加藤清正に熊本でなく尾張あたりで百万石でも与えておくべきだった。そうすれば、豊臣家は滅びなかったであろう。」と書いた。
つまり、秀吉は、朝鮮出兵に本気で、家康をそこから排除し、子飼いをそこに張っていた。