あらすじ
8代将軍吉宗は名君に非ず!日本史の常識を覆す全日本人必読の新・日本史!
『週刊ポスト』連載の大好評歴史ノンフィクション第15弾! 本巻の主役は、御三家紀州徳川家から江戸幕府第8代将軍となった徳川吉宗。目安箱の設置、大岡忠相の登用など歴代将軍随一の名君と称される吉宗だが、その一方で、「政治家としての最大の欠点は、生きた経済というものがまるでわかっていない」という問題を抱えていた。吉宗の経済政策失敗の背景にある「商業軽視」という徳川政権の根本的課題に斬りこみ、積極的な経済政策で繁栄する名古屋藩藩主徳川宗春との対決の真相を解き明かす。 さらに、「賄賂政治」を行なったとして悪名高い田沼意次の再評価に挑む。本当に彼は非難されるべき政治家だったのか? 田沼を失脚させて政権を握った松平定信(吉宗の孫)の寛政の改革は誰のための政治だったのか? 幕府という巨大組織の権力闘争の内幕に迫る。歴史の常識といわれている事柄がいかに空疎なものかを暴く著者渾身の一冊!
目次
第1章 六代将軍家宣の新政編
第2章 八代将軍吉宗の支配編
第3章 将軍吉宗vs尾張宗春編
第4章 田沼意次vs松平定信編
年表
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逆説の日本史シリーズの江戸時代編。
綱吉以降の6代目家宣から、10代目家治までをまとめている。
とにかく正しい歴史を理解するうえで重要なのは、「史書というのは勝者=時の権力者が書いてきたもの」という視点だ。
書いた人自身にとって、都合の悪いことは書かれない、または都合の良いように書き換えられている、という「推測」を歴史解釈に取り入れるべき、という井沢さんの観点に大いに共感する。
今作では、徳川吉宗およびその孫松平定信がいかに愚かな政治家であり、教科書に載る様な「名君」とは程遠いのか、そもそも性格自体も粘着質で尊敬に足らない人物だったか、はっきりと分かって非常に面白い。
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出張のお供だったこのシリーズも15巻になったが、1〜2日で読み終わっていたのが、一週間近くかかってしまった。それはさて置き、常識が覆されるかもしれない楽しみがあるのが、このシリーズ。
徳川吉宗や松平定信、新井白石など時代劇のヒーローは朱子学に洗脳されたダメ殿と切って捨て、綱吉同様、田沼意次、尾張宗春を評価する。実際、文献は為政者たちが書き換え作ったものがほとんどで、市井に広がる落首などに真実はあるのかもしれない。
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吉宗vs尾張宗春、田沼意次vs松平定信あたりのお話。しかし、宗春や意次の再評価はまあ聞いた事ある話だが、一橋治済の野望と光格天皇の功績は知らなかった。そして、一橋慶喜って、水戸家からの養子だったのか!(無知)ようやく慶喜が朝廷(官軍)に弓を引けなかったのが理解できた(今更
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八代将軍吉宗の政策と実情を解説。ジリ貧になること間違いない徳川幕府の方針とその原因をリアルに説明。吉宗がドラマや小説で扱われるような名君ではないことを検証している。
単なる暗記科目でしか捉えない日本史が面白いものであることを証明する評論。
みなもと太郎の漫画「風雲児たち」とセットで日本の学生に読ませたい必読書ですね。
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資料の多く残る江戸時代においても、というか多く残るが故にか、事件の本質、人物の評価というものはいかようにも変わってしまう。
歴史的事実を前後の広く大きな流れの中で検証するこのシリーズは面白い。
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タイトル通りなのですが、綱吉を名君、吉宗をバカ殿とし、また、新井白石の経済オンチと田沼意次の名政策ぶりをアピールしています。
ふむふむ。確かに私も高校時代に、「白河の清きに魚も住みかねて もとの濁りの田沼恋しき」といった狂歌を読んだ瞬間に田沼意次に対する評価が自分の中で180度変わったことを覚えています。
それ以降、「他人の評価というものはバイアスがかかっているのだから決して鵜呑みにしてはならない」ということを悟ったのだけれど、、、でもでも、吉宗に対してはもう少し高い評価でもいいんじゃないかなーと思いました(と思うのも、時代劇の刷り込みなんだろうけどさ)。
ということで、他人が貼ったレッテルに惑わされないようにしようとか、その人物が何を成し遂げたのか結果からみようとか、そういうことを考えさせられた巻でした。
幕末へ向けての萌芽があちこちに出てきていて、続きが楽しみです。
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官僚政治と吉宗の謎
徳川幕閣の展開と改革Ⅰ
第一章 六代将軍家宣の新政編
徳川幕閣の展開と改革Ⅱ
第二章 八代将軍吉宗の支配編
徳川幕閣の展開と改革Ⅲ
第三章 将軍吉宗vs尾張宗春編
徳川幕閣の展開と改革Ⅳ
第四章 田沼意次vs松平定信編
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吉宗から田沼~松平定信まで。このあたりはマンガ「風雲児たち」にも詳しいけど、田沼親子は悪臣ではなく名宰相だったこと、松平定信の改革は幕末の腰抜け幕府への「はじまり」だったこと、など、「風雲児たち」と同じ解釈を取ってる。
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やはり、通説とは違う視点を与えてくれる。
ただ、表現に過激すぎる部分があるのと、中国、韓国に対して、感情的な主張をしているところが少し鼻につく。
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文庫化、もう15巻かー。徳川6代から11代将軍までのあんまり馴染みのない時代。権謀術数ドロドロ渦巻いてて、案外好みじゃないか。
儒教・朱子学に染まりきった幕閣たちは、歴史の教科書では「改革」を牽引したとされる英雄扱い。一方、米本位社会からの脱却を図り通商国家を目指した田沼意次は、超極悪人扱い。
何が「終わりの始まり」になり得るのか、組織崩壊の参考としてこの時代をみるのも面白い。具体的には次の巻くらいになるのか。
倒幕・維新の萌芽はもうこの時代から始まっているのであった!
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この巻では、新井白石の正徳の治から、吉宗の享保の改革、田沼意次時代を経て、松平定信の寛政の改革までがあつかわれています。
田沼意次にかんしては、大石慎三郎が名誉回復を図ったことが知られていますが、著者もその立場を引き継いでいるようです。とくに辻善之助の『田沼時代』(岩波文庫)については、田沼の業績を正当に評価していないとして、厳しく批判されています。そのうえで、儒教思想の商業蔑視の考えが江戸時代の経済政策を大きくゆがめていたとして、吉宗や松平定信に対しては辛い評価をくだしています。
江戸幕府の経済政策の問題点を指摘する著者の議論は、おもしろく読みました。その一方で、国際的な環境の変動も視野に入れた、経済史的な観点に立った議論が欠けており、もっぱら貨幣政策によって日本の経済のありようが決定づけられていたかのような印象をあたえる記述になっている点が、多少引っかかるような気分にさせられます。
Posted by ブクログ
井沢氏の基本的な歴史の見方には同意できる事も多い。なので、ずっと読んでるわけだが。
ただ、本書は繰り返しが多くくどい。また、近世には入ってから、少し鼻につくのは対中国、韓国に関するくだり。井沢氏は、これを書きたいために、本シリーズを延々書いているのだろうから、仕方ないといえば仕方ないが。
また、自説を主張するあまり、筆が滑っている部分もあるような気がする。もうちょっと公平な記述もできるのではないかな。