あらすじ
「神国」ニッポンを呪縛し続けてきた「神風」信仰の謎に迫る!日本史の常識を覆す全日本人必読の新・日本史!
「神国」ニッポンは元寇勝利の“奇蹟”により何を失ったのか?! 鎌倉幕府滅亡の背景を掘り起こしながら、責任の所在が曖昧で、危機管理能力が欠落しているという現代日本の病巣の淵源を明らかにする。カミカゼという天祐による勝利信仰が後世の危機管理意識の脆弱さを生んだ、という著者の指摘は昨今の有事論争をまつまでもなく現代日本を生きる者にとって非常に示唆的な警世の書である。
目次
第1章 鎌倉以前の仏教編-日本における仏教伝来の特殊性
第2章 浄土門の聖者たち編-平安後期に流行した「極楽浄土」信仰
第3章 道元と日蓮編-昭和のファシストが心酔した「日蓮サイクル」の虚と実
第4章 元寇と日本人編-危機管理なき防衛意識を決定づけた“勝利体験”
第5章 後醍醐天皇の野望編-「河内の土豪」楠木正成を結び付けた朱子学思想
第6章 後醍醐天皇の新政編-権力と責任を分散させる伝統的システム
年表
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Posted by ブクログ
主に鎌倉時代を扱った巻であるが、この本を読んでやっと鎌倉幕府の成立の背景や鎌倉仏教について分かった気がする。数年前に読んでいたのだが、仏教の話はあまり興味がなかったので読み飛ばしていた。しかし仏教のことがわからないと、日本史がわからないし、日本そのものがわからない。毎回感心するのだが井沢元彦はほんとうに噛んで含めて教えてくれる。
護国のために導入した仏教が、鎌倉時代にさまざまな新しい宗派が登場する背景とその主張について理解しようとしたらたいへんだが、丁寧に説明してくれる。たとえば「浄土」というのは仏の支配する世界の名称のことで、阿弥陀如来の支配する浄土だけを極楽浄土というのだ。そして阿弥陀如来派人々を救うために48の誓願を立てたが、その18番目の誓願に「阿弥陀仏を信じる者は、その国(浄土)に生まれかわるために10回の念仏を唱えればよい」と書かれているのだそうだ。そのことを浄土宗を広めた法然は浄土宗として多くの人に説いて回り、それから多くの個人の救済のための仏教が流行することになるのだ。親鸞の悪人正機説の意味や曹洞宗の寺院が一番多くなった理由等すごく中身の濃い巻であった。
これから逆説の日本史の再読の旅を続けようと思うのだが、あと20巻以上あるのだが、とりあえず一巻ずつ進むことにします。
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ご本人とその政治的主張は非常にクセがあり(マイルドに言って)、好き嫌いが別れそうですが、彼の通史は本当に面白い。「怨霊信仰+コトダマ+ケガレ忌避+和の精神」という日本人の宗教観をベースに古代史から現代までを新たな視点で考察しています。粗い・甘い箇所もあるけど掛け値なしに面白く、目から鱗。考えさせられます。
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重いな。
かなりの部分を仏教史に費やしている。教科書などで単語として覚えた日本仏教史の重要人物達がリアルに浮かび上がって来る。各宗派の差異を比較対照している点も分かり易い。もしかしたらシリーズ中でこの巻が一番面白いのかもしれない。
Posted by ブクログ
時々は思い出して読んでみるこのシリーズ。今回は元寇と後醍醐天皇なんである。
元寇というか、神風というのは時代を超えて今も生きていて、有名どころだよなぁ、とは思っていたけど、後醍醐天皇はよう知らんかった。そして出る杭は打たれる精神で日本らしいなぁ、という流れもあったりだけど、トランプと米国を見ても、やっぱ日本だけじゃなくてどこでも出る杭は打たれるんじゃね?って気もするわね。
というわけで、いつもの通りなるほどねー、と、日本人の考え方の根底にあるものを説明してくれてて面白い。
Posted by ブクログ
鎌倉時代の仏教を理解することで、日本における仏教文化の成り立ちがよくわかる。また、元寇襲来の経緯や神風や足利尊氏、後醍醐天皇などの関係や日本人の防衛意識の起源がこの時代にあったことが理解できた
Posted by ブクログ
井沢節のさえ渡る逆説の日本史シリーズ第6巻。
この巻では、鎌倉仏教の勃興~元寇~鎌倉幕府の崩壊まで。
前回読んだのは学生時代で、あれから7年経つが
前はまったく分からなかった鎌倉仏教が案外スラスラ読めた。
井沢氏の言うように
従来の歴史学の宗教無視は酷いと思う。
自分が宗教を信じないのは自由だが、昔の人は信じていたし、だから宗教は歴史にも大きな影響を与えた。これを忘れてはいけない。
この巻の前半を読めば宗教に関する基礎知識が身に付く。
例えば、仏教とは輪廻からの解脱を目的にしたものであり、決して他者を救済するものでは無かったが、時代は下って南無阿弥陀仏で有名な浄土宗となると、阿弥陀仏は誰をも救ってくれるという事が決められている。
このように、仏教思想の変遷を辿る上で非常に勉強になる一冊。
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鎌倉仏教と元寇の謎
・鎌倉新仏教の展開Ⅰ
鎌倉以前の仏教編―日本における仏教伝来の特殊性
・鎌倉新仏教の展開Ⅱ
浄土門の聖者たち編―平安後期に流行した「極楽浄土」侵攻
・鎌倉新仏教の展開Ⅲ
道元と日蓮編―昭和のファシストが心酔した「日蓮サイクル」の虚 と実
・元寇と日本人編―危機管理なき防衛意識を決定付けた
”勝利体験”
・鎌倉幕府の滅亡Ⅰ
後醍醐天皇の野望編―「河内の土豪」楠木正成を結び付けた朱子 学思想
・鎌倉幕府の滅亡Ⅱ
後醍醐天皇の新政編―権力と責任を分散させる伝統的システム
原始仏教と大乗仏教の違い
・原始仏教
目的:個人の救済
手段:自力による修行
教典:法句経、阿含経など釈迦自身の言葉
・大乗仏教
目的:大衆の救済
手段:如来への信仰
教典:法華経、阿弥陀経など、後世作られた経
鎌倉幕府勢力が衰退した経過
兄弟の均等相続により、所領が細分化
→経営効率が落ちるが幕府への義務(大番役など)は果たさねばならない。
→借金をするが返せず土地を奪われる
→無足人となる
→徳政令で借金棒引き
→それでも経営効率は悪いままなのでまた借金
この繰り返しで、元寇の軍役負担もこれに拍車をかけた
Posted by ブクログ
逆説の日本史第6巻。
鎌倉仏教の成立、元寇、鎌倉幕府の崩壊と後醍醐天皇の野望が描かれている。いよいよ混迷の時代に突入してきました♪日本の仏教についてホントにわかりやすく書かれていて楽しめました♪そして、日本人にとって未曾有の危機であった元寇の勝利は、ビギナーズラックであり、その勝利が太平洋戦争における日本の降伏にまで繋がっている事。歴史って、「鎌倉時代」「室町時代」「安土桃山時代」みたいに、時代ごとで完結しているワケではなく、必ず繋がっているんですよねぇ。そういう風に歴史をみなけりゃイカン!!!
後醍醐天皇、足利尊氏、新田義貞、楠木正成…好きな歴史上の人物が大挙して登場する時代で一気に読めました。日本に登場した数少ない独裁者・後醍醐天皇。そして、独裁者ではなかった昭和天皇の対比が面白かったです。そう!昭和天皇は、戦争犯罪人ではないのです。何故、当時の国家最高権力者が戦争犯罪人ではないと断言できるのか!それが日本の複雑な思想と政治形態のなせる技なんですよねぇ。詳しくは読んで♪
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1〜3章は鎌倉新仏教を中心に日本の宗教について書かれていてとても読みやすく、面白かった!!
4章は元寇について、5/6章は後醍醐天皇について書かれていたけど、筆者の思想が強く出ている部分もあって前半に比べると読むのが大変だった。
幕府の衰退や朱子学思想などは興味が出た。
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逆説シリーズもようやく6巻を終えた。
鎌倉幕府〜室町に入る前までの時代を描いており、この辺は色んな人が出てくるからややこしい。
後醍醐のカリスマ性というか、独裁性というものをヒシヒシと感じたけれど、それでも市民(武士を含む)に支持されないと政策は成功しない。
これは面白くて、結局、大衆というかユーザーというか、の理解が得られないものは失敗するんだなと。
そういうのは昔も今も変わらないなと。
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例によって出張中の飛行機、新幹線で読破。
鎌倉仏教、元寇、建武の新政がテーマ。元寇での負担で、北条の権威が落ちていくさまはおおいに納得。
エネルギッシュな後醍醐が、すべてを手中にしようとして、逆に煩雑さに目を回し放り出すのも、さもありなんと感じた。建武の新政時代は、なかなか奥が深く、興味深い。市井のダークヒーローを作りやすい時代で創造が膨らむ。
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第6巻では、鎌倉新仏教の成立と、元寇から鎌倉幕府の滅亡、建武の親政までの歴史が扱われています。
著者はこれまで、現代の「民主主義」の常識で過去の出来事の意味を解釈することの誤りを繰り返し指摘していますが、鎌倉新仏教と天台本覚思想を結び付けている著者自身が、そうした誤りに陥っているのではないか、という疑いがあります。ただこの点については、著者があくまで宗教の歴史的な意義だけを考察する立場を取っており、信仰の立場からそれぞれの宗教を論じているわけではないということに留意するならば、むしろ正しい主張ではないかと思います。たとえば著者は、親鸞に対する蓮如や、道元に対する螢山の役割を高く評価していますが、ここにも宗教的な信仰の内奥に直接迫るのではなく、彼らの歴史的影響を重視する著者の姿勢がよく示されているように思います。
とはいえ、著者自身も「あとがき」で「今回書いたことは、まさに宗教の本当の意味でのアウトラインであって、仏教というのは、それだけに一生を懸けても極めきれないほどの深いものなのである」と述べているように、やはりこうした立場からそれぞれの宗教の意義を論じ尽くすことは難しいというべきでしょう。著者は本書で末木文美士の『日本仏教史』(新潮文庫)によりつつ、末木以上に鎌倉新仏教と天台本覚思想を直接的に結び付けるのですが、さらに気になるのは、その背後に日本古来のアニミズムの影響を見ている点です。おそらくこうした著者の理解は、梅原猛や鎌田東二らの議論を踏まえているのだと思われますが、どこまでも宗教を文化現象として扱うこうした立場から、親鸞、道元、日蓮らの宗教的実存すなわち「人」に触れることはできないのではないかと考えます。
建武の親政を論じたところでは、後醍醐天皇の宋学からの影響を指摘するとともに、武家を「ケガレ」とみなす後醍醐天皇が政治的な混乱を招いたことを厳しく批判し、戦後日本の空想的平和主義に対する不満が語られています。
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読み流し。
第1章 鎌倉以前の仏教編
第2章 浄土門の聖者たち編
第3章 道元と日蓮編
第4章 元寇と日本人編
第5章 後醍醐天皇の野望編
第6章 後醍醐天皇の新政編
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この巻では前半を使って、仏教の歴史とそれが日本に入ってくる過程を解説しており、勉強になった。
目次
第1章 鎌倉以前の仏教編
第2章 浄土門の聖者たち編
第3章 道元と日蓮編
第4章 元寇と日本人編
第5章 後醍醐天皇の野望編
第6章 後醍醐天皇の新政編
Posted by ブクログ
鎌倉仏教史と元寇。鎌倉仏教って教科書で習ったのは、「一遍=時宗」「日蓮=日蓮宗」みたいな単純な暗記モノだった。コレに比べ、井沢氏の宗教概略は非常に理解しやすい。
Posted by ブクログ
このシリーズ、好きなんですよね。きちんと本屋で買っているものの一つ、でもあります(←いばるな^^;)とはいえ、文庫版なのでまた6巻までしか出てなくって続きが待ち遠しいんですけど…
従来の歴史学者の目に付けないような視点から見ているので、かえってわかりやすい点があるところがまずうれしい。また「言霊」という本も出してらっしゃることからわかるように日本人ならではの習慣(あるいは因習とでも言うべきか)を解明してゆく手腕は見事、だと思う。
この巻は鎌倉仏教についてと、鎌倉幕府の滅亡、について書かれているんだけど特に「宗教にはうとい」ので、こういうわかりやすい本はうれしい。…読み飛ばすにはもったいない本。