井沢元彦のレビュー一覧
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ネタバレ「光る君へ」により、ほとんど高校の古文以来『紫式部』『源氏物語』『平安時代』を意識下に置いた、と言っていいレベルだったが、なぜそんなに興味が無かったのか疑問噴出なほど、かのドラマを大変面白く待ち遠しく観ていた。
素性があまりわかっていない1000年も前の「ある一人の女性」による作品が、実は世界的にも突出した作品であり、永く読み継がれてきたこと、これをベースとして日本の文化のさまざまに影響があったこと、国民性や死生観、情緒といった内面にも通底するものがあることなど、功績たるや華々しいにも程があるにも関わらず、この本のタイトルにもあるように、ドンと真正面に鎮座しているあからさまな違和感すらスルー -
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『逆説の日本史』のコミック化。
戦国から江戸時代、教科書では分からないポイントを解説。
江戸期を理解するためのキーワードは、朱子学。
ここが分からないと、江戸時代の実像が見えてきません。
田沼意次が、賄賂の帝王、悪として伝えられているのはなぜか。
商業改革や貿易によって、財政を立て直そうとする田沼は、朱子学狂信者達によって失脚させられました。
そして、蝦夷地開拓や対露外交の好機は、「名君」松平定信によって潰されました。
今なお「田沼政治」と記されている、決して「改革」と呼ばれないのは、現代の歴史教科書にも朱子学的偏見が影響を与えているからです。
家康が幕府体制を盤石にするために導入したはずの朱 -
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鎖国を、三代家光の時代に、なしくずし的に成立されたことを幕末には「祖法」として敬ってしまった。成立に至る過程や、初代家康の外交政策などは忘れられ、観念としての祖法を守り続ける思考停止。
これは、平和憲法を祖法として敬う我々に酷似している。
世界情勢を理解せず、偶然を勝手に日本の力と勘違いし、祖法を神聖なものとしてしまう思考停止。変わるのは黒船や原爆などの外圧があるときだけ。納得!
というスケールの大きい日本人論。
また、二章では、大阪攻めからずっと浪人対策という観点から述べる。国政爺、天草一揆、由井正雪の乱と。急な戦後で仕事のなくなる食い詰め浪人をどうするかという政治問題 -
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司馬遼太郎の「封建社会では恨みは世襲する」というワード。
関ヶ原の後の処罰により、薩摩、長州、土佐が恨みをもち続け、力を蓄え続け、徳川幕府を滅ぼすに至る。でも、家康は薩摩らを潰すまではできなかったわけで。自分ができなかったことをその先の世代に託したのもしれないが、それも忘れ勝者はおごり、260年かけて弱くなっていくのが切ない。
しかし、潜在的な脅威である天皇家の封印は見事。家康は脅威も対策も全部わかっていたのかもしれない。井沢元彦は徳川家康を「危機管理の天才」と呼ぶ。吾妻鏡を読み、鎌倉幕府の滅び方から学ぶ天才。血縁のスペアを作り、武家諸法度で大名を縛り、朱子学で下剋上思想を潰す。
だが、朱子学