井沢元彦のレビュー一覧
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ネタバレ柿本人麻呂の和歌が好きなので本書を手に取った。
(ほとんど)折口信夫が主人公で、友達の柿本といろは歌の暗号の謎を解くのがおもしろい。和歌の文字数の制限がある上に意味も通して、さらに沓冠などの言葉遊びも入れるなんですごい。そんなジャンルがあるんですね!
だんだん因習のある村が登場して不吉な雰囲気を出すのが上手いので、読んでいてぞくぞくした。面白いのでこの辺りから一気に読めてしまった。
物語は折口の視点で完結しているので、なぜ主人公を折口にせず現代の香坂の視点が無理やり用意されたのか疑問だったが、解説で論説の話に触れられたので納得した。
香坂の金沢にいる母の旧姓は猿丸で、猿丸額も引き継いでおり -
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そもそも、自分自身、江戸時代についてろくな知識を持っていなかったにせよ、この本の視点には目を見張るものがあった。理解した要点以下の通り。
◯幕末を理解するには、徳川家康まで遡って、彼の政策と後世への影響の理解から始めないとダメ。
◯徳川家康は危機管理の天才。仮想敵国である薩長を軍事面で封じ込めるための何重もの防壁、徳川幕藩体制を思想的にバックアップするための朱子学の導入。
◯祖法を盲目的に重んずる朱子学の思想が江戸時代における商業、資本経済や洋式技術の導入を妨げた。
◯徳川家康の時代であれば、技術的に外国からの侵略は不可能であり、亡国の可能性は薩長による内乱だけ。その中では、極めて適切な政策。 -
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これまでの解釈が覆りますね。
逆説シリーズの愛読者ですが、まずはタイトル通り、これまで学校などで学んできたことが、
覆されます。また、理解していたようで実は理解できていなかった、儒学、朱子学についても
よく理解できたと思いますし、これら、当時の宗教or哲学なしに歴史は語れないんだなぁ、と
思いました。 -
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目の覚めるようなシリーズ
著者の源平、徳川幕府も拝読しましたが、死ぬ前に読んでおいて良かったです。おっしゃる通り推測が所々にありますが、合理的な推測なので読んでいて違和感がありませんでした。勉強になりました。ありがとうございました。
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第3弾は「多神教文明の興亡」。
多神教文明が「強い一神教」にはかなわない。
これが世界史の大原則ですが、日本とインドには、一神教に負けない「強い多神教」があるといいます。
その理由とは?
仏教の流れから日本文化を巡り、世界史へと論を進めていきます。
縦横無尽に、歴史の中を行ったり来たりし、その本質を探っていきます。
いや~、実に面白い。
例えば掃除。ヒンドゥー教や儒教の世界では、それは身分の低い人間の仕事で、エリートは絶対にやらない。ところが禅宗では、たとえ俗世間で王侯貴族であった人間でも、出家して僧になればまずトイレ掃除当番をやらされる。人間生きていくうえでは食事と共にトイレは欠かせないか -
Posted by ブクログ
ネタバレ日本史の授業などで、これまで言葉としては当たり前のように学んできた「天皇」、「和をもって貴しとなす」、あるいは「儒教」や「朱子学」といったもの。そして「怨霊・言霊」、これらが日本(人)を規定し、今も我々の無意識の行動を呪縛している、という理論に驚かされた。
同時に、常日頃つき合い難い、面倒な隣国と思っていた大陸や半島の人々も、実は儒教の呪縛に今も縛られているのだという指摘に、思わず膝を打った。
著者は先の言葉を、日本や隣国を規定するキーワードとして、様々な歴史的事例を巧みに用いて、仮説検証を進めてゆく。本書の冒頭で、「歴史認識は、日本独特の宗教を抜きにして正しく理解できない」という刺激に満ちた -
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目が覚めました
歴史には色々な解釈があり得ると思いますが、著者の分析には説得力があり、歴史を見る目が覚めました。死ぬ前にこの本を読むことができて良かったと思いました。