【感想・ネタバレ】逆説の世界史3 ギリシア神話と多神教文明の衝突のレビュー

あらすじ

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「ヘラクレス」はなぜキリスト教に負けたか。

『逆説の世界史』は、ベスト&ロングセラー『逆説の日本史』の著者による新たなライフワーク。構想15年の本シリーズは、民族・宗教・イデオロギーによる偏見や差別を極力排し、世界史を「地球人の視点」で読み解く文明論です。
待望の第3弾は「多神教文明の興亡」がテーマ。ギリシア神話の神々がキリスト教に撲滅されたように、多神教文明は「強い一神教」に駆逐されるのが世界史の大原則。ところが、日本とインドには、一神教に負けない「強い多神教」がある。その強さの根源にあるものとは!?
古代ギリシアにおけるオリュンポスの神々と神話から、古代インドで「完全なる死」を求めて誕生したヒンドゥー教と仏教まで、著者が聖地を訪れながら、その謎に迫ります。
日本人ほど宗教に疎い民族は世界でも珍しい。自分は「無宗教」だと思い込んでいる多くの日本人が知っておくべき多神教世界のルーツ、さらに欧米・中東の一神教世界との違いがよく分かる必読書です。
『逆説の世界史』の新章「ローマ編」は、2019年9月頃から小学館のウェブサイト「P+D MAGAZINE」(https://pdmagazine.jp/)にて連載予定。(2019年10月発表作品)

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Posted by ブクログ

どこか予見的

本書はどこか予見的である。第三章第四話「ギリシア・ヘレニズム文明の賢者たち」にあるソクラテスのくだりが面白い。以下は抜粋である。「政治家のアルキビアデスやクリティアスという「弟子たち」がアテネを不幸に陥れたのは歴史的事実だが(中略)根源の責任は、そもそもソフィストとして彼らを教育したソクラテスにあると、多くの市民が考えるようになった」「五百一名いたと考えられる市民(陪審員)の多くは、ソクラテスの論理に共感するよりも、その態度に反感を抱いた」「ソクラテスはわざわざ自分を国法の立場において、その立場から見て、自分が死刑を逃れるために今さら逃亡することは、国法を尊重する人間なら絶対に実行すべきではないと、旧友クリトンに説いた」まるで、どこかの自動車メーカーの元経営トップとどこかの国の世論の関係を見ているようだ。経営トップはソクラテスと違って逃亡し海外で生きているが、本書はこの逃亡前に刊行された。ソクラテスが生きた古代ギリシア都市アテネが衆愚政治に陥り衰退していく様も分かりやすく書かれており、どこかの国の未来のようにも読める。本書は、人前で話す雑学ネタの宝庫でもある。「結婚したまえ。もし妻が良妻ならば幸せになれるし、悪妻ならば哲学者になれる」と言ったソクラテスの話もいい。「イスカンダル」(日本人には宇宙戦艦ヤマトで馴染みの深い固有名詞)はマケドニア大王アレクサンドロスのイスラム世界での呼称というのも勉強になった。「日本の寿司屋では白米のことを「シャリ」と呼ぶが、これもその形状が細かく分割された仏舎利(ブッダの遺骨)と似ているからである」という文を読んで、寿司を前にもうシャリとは言うまいと思った。苦行から帰ってきたブッダに乳粥を差し出したのは「スジャータ」という名の少女である。これも、どこかの企業がブランド名に使っている。「三蔵法師」と「玄奘」が別々の人間として存在していたことも知った。西遊記のモデルは玄奘の方である。「釈迦如来」と「阿弥陀如来」の関係も分かった。超越存在に対して、いくつもある並行世界のうち、この世界では釈迦如来、別の世界では阿弥陀如来がいるのだ、という理屈だけでも教えられていたら、高校日本史の仏像名の暗記はもっと楽だった。まさに自分が知らないことを教えてくれる本であった。ソクラテスの「無知の知」をもたらしてくれる本である。

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2026年03月29日

Posted by ブクログ

 世界史でも「逆説」のスタンスは貫かれている。なにしろ徹底的に自分の頭で考える歴史になっている。そもそも歴史というのは勝者が書き換えた歴史が前提となっているのであり、通り一遍のことを書かれているのであれば、いまさら学ぶ意味はない。だが、この本は我々が疑問に思うことについてかなり突っ込んで書いてくれる。たとえばなぜインドで発生した仏教がインドで今では信者がいないのか?多くの地域で多神教は一神教に敗北しているのに、日本では多神教が生き残っているのはなぜか等のことをしっかり論じてくれている。宗教は大きく歴史を動かしているのに、そのことが理解できない日本人にとって、世界史は分かりづらいのだが、この本は日本人が世界史を学ぶにはとても良い本だ。

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2024年09月16日

Posted by ブクログ

第3弾は「多神教文明の興亡」。
多神教文明が「強い一神教」にはかなわない。
これが世界史の大原則ですが、日本とインドには、一神教に負けない「強い多神教」があるといいます。
その理由とは?
仏教の流れから日本文化を巡り、世界史へと論を進めていきます。
縦横無尽に、歴史の中を行ったり来たりし、その本質を探っていきます。
いや~、実に面白い。

例えば掃除。ヒンドゥー教や儒教の世界では、それは身分の低い人間の仕事で、エリートは絶対にやらない。ところが禅宗では、たとえ俗世間で王侯貴族であった人間でも、出家して僧になればまずトイレ掃除当番をやらされる。人間生きていくうえでは食事と共にトイレは欠かせないからだ。布団の上げ下ろしや洗濯など、昔は身分の低い人間(あるいは女性)にやらせていたことも、全部自分でやらなければならない。そんなこともできない人間がいくら坐禅をしたとしても悟りへの道は到底開けない、と考えるからである。 ー 112ページ

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2019年10月30日

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